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狂った刑事裁判 [生活/くらし]

さきがけonTheWeb 「極刑望む」と団地住民 藤里事件、畠山被告の第2回公判

 藤里町の連続児童殺人事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職畠山鈴香被告(34)の第2回公判が21日、秋田地裁(藤井俊郎裁判長)で開かれ、検察側証人として被告と同じ団地に住む男性が出廷、「周囲の住民は声をそろえて極刑を望んでいる」と述べた。

 男性は、殺害された長女彩香ちゃん=当時(9)=について「いつも同じ汚れた服を着ていて、髪もぼさぼさで風呂に入っていない様子だった。かわいがっていないなと思った」と述べた。

 また、殺害された米山豪憲君=当時(7)=と同級生だった男性の二男が、昨年のクリスマスで「今年はゲームもおもちゃもいらない。サンタに魔法をお願いし、豪憲君を生き返らせたい」と話したことを明かし、涙ぐんだ。

医療刑事裁判、そして自動車事故をはじめとする色々な事故の刑事裁判について、いくつかの例を取り上げて来ました。業/運過致死傷そのものの問題点もさることながら、実際に行われる裁判では、検察が遺族から写真を提出させたり、量刑が軽ければ遺族が加害者を殺すという発言を読み上げるなど、おかしな裁判が行われています。

今回この連続児童殺害事件について取り上げたのは、この畠山被告をかばおうとか、弁護しようという意図ではありません。正しい裁判を行って、然るべき刑罰が科せられるべきであるのは当然のことです。

この記事は9月のものですが、私が唖然としたのは、検察側証人の、同団地住民男性の発言です。「『周囲の住民は声をそろえて極刑を望んでいる』と述べた」とあります。

被告人の犯罪の真実は確定するまでわかりませんが、これまで報道されて来たことが事実であるなら恐ろしい行為です。
でも私にはこの男性がもっと恐ろしいです。そして、もし本当に周囲の住民が声をそろえているのなら、その狂気の集団に私は近づきたくありません。

「声をそろえて」というのはきっと誇張であって、この男性が自分の発言を正当化するためのレトリックに過ぎないことを望みます。そうであれば狂気はこの男性一人だけですみます。

そもそも、裁判員制度も始まらないうちから、ただの証人が判決に口を出すような発言が許せません。そして被告人と子供の生活ぶりなどを証言するだけならともかく、元近隣住民の死を望むような発言を堂々としてのけることに恐怖を覚えます。

折しも学校におけるいじめ問題が最近のメディアを賑わせています。いじめの構造はそのままに、その舞台が学校が地域社会になったと言っても過言ではないと思います。

昔の日本であれば、「村八分」と言っても、火事消火と葬式は絶交の対象としなかったと聞きます。ところがこの証人男性は、近隣住民一同、この被告人の死を望むと言ってのけているのです。

せめて刑事裁判そのものは全て冷静に客観的に行って欲しいと思います。何が何でも有罪または重い量刑の判決を得ようとする検察のなりふり構わぬこうしたやり方に憤りを覚えます。


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コメント 7

NO NAME

おひさしぶりです。
殺人事件の証人として呼ばれたとき、「知りえる事実について」証言を求められているのですから、確かにご指摘のように、「極刑を求める」までの言質は無意味ですね。これが言えるのは、被害者本人か家族、ないし告訴したひとだけであるべきです。
 マスメディアで、こうした第三者の発言が、あたかも正義を代表するかのようにであるかのように報じられることは、大変残念だと思います。法で裁くということは、審理を十分尽くすことが前提ですから、はじめから結論である量刑を第三者が訴えるのは、たとえ近隣住民ですらあってはならないことです。魔女狩りではないのですから。
 それにしましても、疑問なのは、なぜ彼女は自分の子供が死んだ(を殺した)のに、怒りの顔でいられるのだろう。。。何を恨んでいたのでしょう。
これは心理的に深いものがありそうね。
 間違って自分の子を殺してしまった?のだろうか。単純な事故だった?それを隠す行動が第二の事件を生んだ?。。。魔女狩りが、彼女に自分を見失わせた?
 怒りの顔は、いつもの平素の顔によくあるひとつの顔とみれば、すべてが見えるような気もする。
 現代の魔女狩りが生んだ事件。。。なのかしら。
 
by NO NAME (2007-12-07 21:08) 

夢見る掃除人

上のNO NAMEさんは、「夢見る掃除人」でした。名前入れるの忘れて、送信しちゃった。ごめんなさい。
by 夢見る掃除人 (2007-12-07 21:10) 

筍ENT

ご指摘の通り、当事者でない第三者が量刑に言及すること、そしてそれをマスメディアが正義の発言であるかのように垂れ流すことに、私は憤りを感じています。

一方、実は畠山被告の裁判そのものは十分報道を見ておらず、把握しておりません。どういう動機、どういう心理状態で犯行に到ったかを十分に解明して欲しいと思います。
そして量刑は判事が冷静に決定すべきものですね。
この事件そのものがご指摘のような魔女狩りの産物なのでしょうか。引き続き経過を見てみたいと思います。

コメントありがとうございました。今後もよろしくお願い致します。
by 筍ENT (2007-12-07 22:07) 

夢見る掃除人

 彼女の心理と事件を追体験。。。

 なぜ、危険な橋の欄干に「愛する子」を乗せたのでしょう。なぜ落としてしまったのでしょう。彼女の発作的な行動の裏にある心理とは。。。子をセッカンする「鬼に化身した母」の、裏返しになっってしまったかもしれない愛情と、刑法が注目する「殺意」。二つの心理は、果たして共存しえるのかしら。。。しばらく、考えてみるわ。
 
by 夢見る掃除人 (2007-12-08 09:42) 

筍ENT

コメントありがとうございます。

動物行動科学からすれば、自分の遺伝子のコピーを、自らの身を挺して守ることがありこそすれ、よほどの理由がない限り、自分で手にかけることはあり得ないはず‥ですね。

決闘で勝ったライオンはその雄ライオンを追い出し、または殺し、さらに子ライオンをすべて殺し、元妻のライオンに自分の子供を作らせると言います。元妻ライオンはそれを黙って見ている‥。

イヤな答えが出てしまいそうな気もします。

話を元に戻せば、ぜひ客観的な証拠を元に、正しい法判断が下されることを望みます。
by 筍ENT (2007-12-08 23:58) 

yokohamachuo

この事件について私が興味を引いたのは、「被告が子供の頃からいじめを受けていた」という点です。

私はこれまで、法廷で何件かの児童虐待事件を見てきましたが、そうした親の多くが子供の頃に何らかの虐待を受けている、という実情が垣間見えてきます。
だからと言って被告の行為が免罪される訳ではありませんが、「繰り返される暴力の連鎖を食い止めるのにはどうしたらいいのか」という事を社会でもっと考えるべき時が来ているのではないか、と私は思えてなりません。

また、本件の意見陳述については、率直に言って「検察の暴挙」以外の何物でもありません。事件に無関係な周辺住民に意見陳述させるというのは論外であり、「担当検事の力量不足の成せる業である」と言わざるを得ません。
by yokohamachuo (2007-12-09 12:51) 

筍ENT

児童虐待の連鎖の実態について情報ありがとうございます。
連鎖が存在するのであれば、どうして感情の爆発の矛先が自分の子供に向かうのか、どうしたらそれを防げるのかを考えて行かなくてはなりませんね。
そこまで私も考察が至っていないのですが、避けて通れない問題と思います。

検察の暴挙、本当にそう思って、この記事を書きました。ニュース記事だけでも最近多発しており、さらに私が危機感を持つのは、マスコミがこれに無批判なことです。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2007-12-09 16:30) 

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