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産科医療崩壊、簡単にはとめられない [医療制度/行政]

asahi.com 女性産科医復帰支援 応募ゼロ /神奈川

 産婦人科医不足に歯止めをかけたい、と県が今年度から始めた女性産科医師の職場復帰支援プログラムに、1人も応募者が現れていないことが分かった。子育てでいったん離職した女性医師たちの応募を想定した制度だが、なしのつぶての状態に、県は「なぜ応募がないのか考えたい」と話している。

(赤木桃子)

 復帰支援プログラムは、県内の産婦人科医不足を受けて企画された。出産や子育てなどで臨床の現場から離れたものの、復帰を望んでいる女性産科医師を対象に、県立こども医療センターの産婦人科で半年ほど研修を受け、復職の足がかりにしてもらうことを目的にしている。

 研修では、応募者の希望や状況にあわせて、外来・病棟の業務や、搬送されてきた妊婦の診療、手術の見学のほか、帝王切開など各処置の助手を務めることができる。

 同センターで開かれている異常分娩(ぶんべん)についてや、新生児科との連絡の会議などに参加し、周産期管理の考え方を学ぶことができるほか、希望があれば、当直業務をすることもできる。

 勤務は原則週30時間で、基本報酬は月額約27万円となっている。しかし、本人の事情に応じて働けるよう、日額や時給で報酬を支払うこともできる。県は当初、数人からの応募を見込み、今年度予算に事業費約1千万円を計上している。

 しかし、4月から希望者ばかりか、これまでのところ、問い合わせさえもないという。

 同センター総務課は「復職を希望する女性医師は、自分で積極的に働きやすい職場を開拓しており、わざわざ応募する必要がないのかもしれない」との見方を示す。

 その一方で、「現場の勤務環境はまだまだ厳しいので、そこへ戻ろうとする人はあまりいないのではないか。勤務環境が改善されないと、悪循環が続いてしまう」と指摘する産婦人科医もいる。

 県病院事業庁の担当者は「動向を見守りつつ、今後どうするかについて、病院側と話し合っている」と話している。

女性産科医師の職場復帰支援プログラムということですが、本当に応募があるとでも思っていたのでしょうか。

どうして産科医、ことに分娩の現場で仕事をしようとする医師が減ったかがまるでわかっていないようです。激務‥が原因の一つに挙げられますが、そもそも激務を招いた原因は小松秀樹氏の言う「立ち去り型サボタージュ」による産科医不足です。そしてそれを招いたのは、何でも訴えてやろうという風潮だろうと思います。

産科医療において、例え分娩の経過が良くなくても、その都度いちいち産科医の業過致死傷罪を追及しようとか、民事訴訟を起こそうとする人たちがいる限り、産科医の立ち去りは止まらないと考えます。

私が女性で産科医だったら、決して分娩の現場に戻ろうとは思わないでしょう。自分の連れ合いが女性産科医だったら、分娩を取り扱わない外来のみのクリニックの開業でも勧め、決して病院への復帰には賛成しないでしょう。

以前にも書いた通り、産科医療崩壊は一体どうしておきたのか、自分の頸を絞めているのは誰なのか、よく考えてみて頂きたいと思うのです。


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yokohamachuo

産科医不足の問題については神奈川県議会でも取り上げられていますが、有効な打開策が見つからないまま時間だけが徒に経過している、という状況です。

こうなって来ると、ただ単に医師の待遇改善だけでなく、行政が個々の訴訟リスクの分担も検討しなければならない状況に追い込まれる可能性も否定出来ません。
by yokohamachuo (2008-03-20 17:48) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

神奈川県はじめ各自治体レベルで解決できる問題ではないと思っています。厚労省が事故調に関する試案を発表していますが、やはり医師を行か致死傷罪で告発する権限を自分たちの手中に置いておきたいようで、臨床医が反対しています。
今のところこんな状況では立ち去り型サボタージュ、医療崩壊は止まりそうにありません。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-03-20 22:54) 

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