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九州新幹線長崎ルートと肥前山口 [旅行]

asahi.com 「結節点」不安と期待と /佐賀

 江北町長選は、5選を目指す現職の田中源一候補(59)と元県職員で新顔の山田恭輔候補(39)の一騎打ちだ。すでに建設へ動き出した九州新幹線西九州(長崎)ルート建設を巡って「反対」「容認」と火花を散らす。県内でも地域間競争が激しさを増す。新幹線問題を通して町民はどんな生き残り策を、次の町長に求めているのだろう。
(市川雄輝、村田悟)

 20日午後、町中心部のJR肥前山口駅から西に延びる旧長崎街道。車2台がやっとすれ違える道幅だが、往来は頻繁だ。

 「2700億円もかけて新幹線が本当に必要なのか。もったいないの一言に尽きる」。黄色いジャンパー姿の田中氏が選挙カーから訴えた。

 街道から手を振っていた理容店の女性店主(56)は新幹線建設反対に賛同する。「(05年の)町民アンケートで反対が多かった。地元の人がいらないものをなぜつくるのか。次の町長も反対し続けて欲しい」

 現在、肥前山口駅は、JR長崎線と佐世保線が分岐する県内唯一の駅だ。田中氏は、新幹線が通れば分岐駅が武雄市に移ると懸念。同駅にとまる特急は現在上下60本程度。だが、新幹線開業後は半減。JR九州が新幹線の停車で補いたい考えだが本数は未定だ。田中氏には、反対を貫いているからこそ県などから引き出せるものもあるとの思いもある。

 駅前で客待ち中のタクシー運転手の男性(62)は「分岐駅だからこそ周辺市町の企業関係者が降りてタクシーを使う。多い時には売り上げの8割近くを占める。新幹線で人の流れが変われば生活ができなくなるかもしれない」。別の男性運転手(58)は「そもそも電車を利用するお客さん自体が少ない。それなのに、2700億円もかけて新幹線をつくっていいのか」と言い、人の流れの変化も心配する。

 同日夕、町役場から約1キロの旧長崎街道の商店街では、対立候補の山田氏がマイクを握った。

 「県と話もできず孤立し、町が変わらない。それでもいいんですか」

 自営業の50代男性が、近くに営業用の車を止めて、20代の長男とうなずきながら聞いていた。

 「取引先がどんどん商売をたたむ中、息子の代までやっていけるのか。変えなきゃ、と焦る気持ちはある」と言う。

 町の人口は9千人台で横ばい。しかし、道行く人に高齢者が多いのが気にかかるという。「交通の要衝として郡内で最もにぎわった一角だったのに、面影はなくなった。このまま新幹線という『黒船』来襲に耐えられるのか。歓迎はしないが、そのための備えをするのが町長の役目だ」

 畑を耕していた別の男性(60)は新幹線を前向きに受け止める。「新幹線で町に人が増えるかもしれない。県との関係を改善しないと県の補助事業を求めても反対していれば得る分が少なくなるはず」。元県職員という肩書を持つ山田氏に「パイプ役」を期待する。

 長崎線の踏切から約600メートル南にある山田氏の事務所。街頭演説の一団が出払う中、プレハブの建物で支持者約20人がストーブを囲んでいた。60代の農業男性は言う。「特急だけでなく新幹線も止まる駅になる。町外から見たら、うらやましい話だ。それで町が埋没するというのなら首長の姿勢と手腕の問題」

 JRの「結節点」の町は、24日に選択の時を迎える。

江北町長選挙の前の2月の記事です。
地元エゴ、などとは言わないことにします。誰だって自分の町の発展を望んでいるし、過疎化を憂いていることと思います。

しかしこの新幹線長崎ルート賛否論争は贅沢な議論かも知れません。現在肥前山口駅を擁し、そこに殆ど全ての特急が停車しています。そして新幹線ができても、そこに新幹線を停めることは決まっている状況のようです。

これが他の町であれば、新幹線開通に伴い在来線は廃止または第3セクター化され、ダイヤも減り、時に廃止の憂き目に遭うという心配をしなければなりません。それに比べたら恵まれた町と言えるでしょう。僅か人口9,000人の自治体に従来殆どの特急を停めて来たのです。

鉄道の分岐または乗換えのために特急が停まった駅というと、私がすぐ思い浮かべるのが東北本線の小山や郡山です。いずれも交通の要所という言い方で優遇されています。
東北新幹線開通までは急行停車駅で、特急が停まらなかった小山には「なすの」などの新幹線が止まります。郡山は以前から特急が殆ど停車していました。

同じような規模の自治体でもこうした「奇貨」で恵まれて来たところと、そうでないところがあるようです。

さてこの江北町に新幹線が通り、肥前山口駅に各駅タイプのみの新幹線が停車することになって、そんなに不利な状況でしょうか。もちろん長崎へ向かう旅客のことを考えたら、速達タイプ列車を肥前山口に停めるべきではありません。武雄温泉とて停車する列車を無闇に増やすべきではありません。博多からの距離を考えたら、佐世保に向かう旅客は各駅タイプの新幹線に誘導すれば良いと思われます。

何より、県や市町村が連携して、第3セクター化されるであろう在来線の運営に注力することが重要なのだろうと思います。

そして新幹線の停車駅の安売りは厳に慎むべきと考えます。


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yokohamachuo

この長崎新幹線については、「どこに停車させるか」以前に「そもそも2700億円もかけて建設するほどの必然性があるのかどうか」が問題視されています。

私は04年の九州新幹線開業直前に長崎(長崎空港~島原)に行き、地元紙(長崎新聞)を読みましたが、基本的には”推進”の立場である地元紙でさえ戸惑っている雰囲気を感じました。

尚、引用されている記事の中で「特急だけでなく新幹線も止まる駅になる。町外から見たら、うらやましい話だ。それで町が埋没するというのなら首長の姿勢と手腕の問題」という地元の方の話が紹介されていますが、仮に新幹線が走り始めたら一介の首長ではどうにも出来ないだろうと私は見ています。

by yokohamachuo (2008-05-24 10:09) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

本当にご指摘通りで、2700億円という建設費をかけるだけの必要があるかというと、疑問ですね。
地元のため、ではなく、地元や周辺、場合により全国区のゼネコンのために作られる新幹線という認識で間違いないでしょう。

新幹線開通で街がどうなるか、以前からyokohamachuoさんがご指摘しておられた、便利が必ずしも街の繁栄に繋がらないという話に繋がりますね。
場合によると、新幹線を望んだ自治体がどんどん埋没し、周囲に吸収されてなくなってしまうかも知れませんね。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-05-24 15:05) 

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