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交通事故防止と経済学 [車/バイク]

大分合同新聞 高齢者の事故防げ 多発の横断歩道に標示

 高齢者が道路横断中に交通事故に遭うのを防ごうと、県警は、歩行者に十分な左右の安全確認を呼び掛ける「目玉」をデザインした安全標示を、大分や別府など九市の信号機のない横断歩道十カ所に試験的に書き込んだ。
 県内では昨年の交通事故死者五十九人中、約七割に当たる四十一人が高齢者だった。そのうち十四人が道路横断中に事故に遭っている。
 ほとんどが中央線を越えてから、左から向かってくる車にはねられていることから、県警交通規制課は「お年寄りは若者に比べ、横断に時間がかかる。車が来ていないと思って渡り始めても、事故に遭う可能性が高い」と分析する。
 横断歩道の歩道側に「右みて」、中央線付近には「左みて」を標示。歩行者の注意を引き付けようと、「目玉」のマークもペイントして、特に左方向の確認を促している。
 周辺で横断中の交通事故が発生した場所を中心に標示した。

このニュース記事によると、大分県内の高齢者が横断歩道における交通事故で年間14人亡くなったということです。

人命が地球より重いのであれば、交通安全にもっと金をつぎ込むべきで、一番良いのがエレベーター付き歩道橋です。お年寄りに歩道橋の上り下りをさせるのは酷ですから、これが優れた方法と思います。現に交通量の多い都心等ではだいぶ数が増えています。

次にもう少し現実的なのがやはり押ボタン式信号の設置でしょう。上の方法よりは確実性が落ちますが、無信号の横断歩道に比べたらかなりの効果は期待できそうです。

こうした方法が採れないのは、やはり経済的な理由に他なりません。

かつて医療経済学を取り上げ、新生児マススクリーニングについて考えてみたことがありました。全ての新生児に、あるスクリーニング検査実施を考える時、その施行にかかる費用と、病気を防止して障碍児の発生とその介護を防ぐ効果を天秤にかけて、効果が少ないとみれば取りやめる。冷徹な経済学が、予防し得た疾病の発生に目をつぶる構図になっています。

これと全く同じ構造としか言いようがありません。まして事故に遭うのは高齢者が多いとなれば、それを防ぐために投資しようとは考えないのかも知れません。やはり経済学が人の命より優先されています。

この経済学優先という発想そのものが大いに疑問ですが、ここで1,000歩譲って経済学を考えた場合でも、こうした交通安全に対する投資をもう少し考えても良いのではないかという視点で考えてみました。

横断中の高齢者を轢いてしまった車両の運転者の運命も考えてみたらどうかと思うのです。私が常々その存在に反対を唱えている業/運過致死傷罪があるために、ドライバーは、被害者や遺族に民事賠償を行い、免停・取消などの処分を受けるのみならず、時に懲役などの刑事罰を受けるハメになります。さらに公務員や会社員であればそれにより解雇され、自営業も同様ですが収監によりその分の労働力がなくなります。仮に収入のなくなったドライバーの家族が生活保護等の給付を受けることになれば、それは国や自治体の支出になります。

ここまでの経済学を考えているのでしょうか。それを考えても横断歩道に目玉をペイントする予算しか出せないでしょうか。


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コメント 2

鉄道美術館館長♪

個人的な考えですが、スクランブルの交差点への改良やドライバーのモラル改善を考えるのも一つかなと思います!
スクランブルにしてしまうと、慣れないドライバーの誤発進や交通渋滞の原因にもなり兼ねないので何とも言えませんね…(汗
一番良いのは車道と歩道の分離ですが、今の交通社会と言いますか、形成された都市の中では難しい課題ですね…(涙
by 鉄道美術館館長♪ (2008-05-24 08:55) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

スクランブルでない信号だと車(左右折)も青、歩行者も青という、事故の余地を残す信号があり得るので、スクランブルなどのように、車が通る時は全て歩行者をとめるというのも方法ですね。ご指摘の通り渋滞が一番の問題になりそうです。

取り上げたニュース記事の横断歩道は、どうももっと田舎の方のようで、信号にさえ十分金をかける余裕がないのかも知れませんね。

コメントありがとうございます。

by 筍ENT (2008-05-24 14:57) 

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