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弘南鉄道事故-再発防止よりまず刑事訴追 [医療事故]

河北新報 駅員らを書類送検 弘南鉄道脱線事故

弘南平賀事故.jpg 青森県平川市の弘南鉄道弘南線平賀駅構内で2007年6月に起きた列車脱線事故で、黒石署は5日までに、業務上過失往来危険の疑いで、いずれも当時の駅員男性(35)=青森県大鰐町=と営業課長男性(60)=黒石市=を書類送検した。

 調べでは、駅員は07年6月12日午前8時35分ごろ、平賀駅に進入してきた黒石発弘前行き普通列車(2両編成)の進路確認を怠り、誤ってポイントを切り替えて脱線させ、列車の台車などを損壊した疑い。営業課長は駅員に必要な教育訓練をしなかった疑い。

 列車には当時、運転士1人と乗客30人が乗っていたが、けが人はいなかった。

 弘南鉄道の下山敏則総務部長は「社員の書類送検を重く受け止め、引き続き安全対策に万全を期す」と語った。


黒石警察署.jpgニュース記事を見て、またか、という思いです。ひとたび事故が起きた時に、どうしても個人の責任追及をしなければ気が済まないのは日本人の気質なのか、またそれを刑法上定めてしまったからか。

業/運過致死傷罪の他に、業務上過失往来危険などという罪が刑法で定められているのは、このニュース記事を見るまで知りませんでした。司法関連の方、詳しい方には常識だったのかも知れませんが、私は初めてこれを知り、そしてやはり違和感を覚えました。

(過失往来危険)
第129条 過失により、汽車、電車若しくは艦船の往来の危険を生じさせ、又は汽車若しくは電車を転覆させ、若しくは破壊し、若しくは艦船を転覆させ、沈没させ、若しくは破壊した者は、30万円以下の罰金に処する。
2 その業務に従事する者が前項の罪を犯したときは、3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処する。


業過致死傷罪の方は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」となっていますから、それよりは軽いように見えますが、業務上過失往来危険(129条2項)の方は、ひとりも死傷者がいなくても適用される罪ですから、逆に厳しいと言えるかも知れません。

いずれにせよ、かつての東武線踏切事故同様、個人を罰しても事故の再発に資することもなく、システムエラーとして事故を捉え再発防止策を講じるべきところ、不毛な送検と思います。
またニュース記事の「当時の」駅員男性・営業課長男性を書類送検、というのが気になります。既に会社として彼らを懲戒解雇してしまったりしていないでしょうか。

ミスを犯したものを単純に切り捨て、以て会社としてはみそぎが済んだ、というポーズを取ったとしたら、それは卑劣です。そうした処分が行われていないことを望みます。

事故が起きた時、日本では応報主義が再発防止に優先するように見えます。きわめて情けない社会だと思います。
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