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ねたみと過失の罰 [診療]

時事通信 ねたみの脳内メカニズム解明=他人の不幸喜ぶ感情と関連-放医研など

fMRI.jpg ねたみや他人の不幸を喜ぶ感情に関する脳の働きを、放射線医学総合研究所(千葉市)などの研究チームが明らかにした。ねたみは脳内の「痛み」に関する部位が働き、ねたむ相手の不幸で「報酬」にかかわる部位が活動していた。13日付の米科学誌サイエンスに発表した。
 被験者は健康な大学生19人。学業成績や就職先、所有する車など、平均的な大学生を主人公(被験者自身)とし、進路や興味分野が主人公と同じで成績などが優秀な同性A、分野が異なり優秀な異性B、分野が異なり平均的な異性C-の3人の大学生が登場するシナリオを読ませた。
 自己評価によるねたみの程度は、学生Aに対して最も強く、Bにはその半分程度。Cに対してはほぼなかった。脳の活動を機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)で調べたところ、ねたみを感じる時、身体的痛みの処理にかかわる「前部帯状回」という部位が活動しており、ねたみが強いほど活動が高かった。
 次に、学生AとCに食中毒や車のトラブルなど不幸な出来事が起きるシナリオを示し、うれしい気持ちの程度を自己評価してもらった。Aに対しては中程度感じ、Cには全く感じなかった。fMRIでは、Aの不幸に対し報酬系として知られる「線条体」という部位が活動しており、喜びが強いほど活動が高かった。
 さらに、ねたみに関する前部帯状回の活動が高い人ほど、他人の不幸を喜ぶ線条体の活動が高いという関連も分かった。


帯状回.jpgまず動物行動科学から言えば、大変利にかなった脳の動きと言えるでしょう。動物行動科学を系統的に勉強したことはありませんが、雄・雌ともに自らの遺伝子のコピーを多く残すことを至上の目的とする有性動物にあって、人間もその例外ではないというものです。
自らより優れた存在である同性は、自らの遺伝子コピー作成に邪魔な存在になります。逆にその優れた同性が自らのライバルからはずれる可能性が高くなれば、脳は喜びを感じるのは当然のことです。
逆に、この研究が動物行動科学を一部実証したとも言えるかも知れません。

さてここで、唐突ですが、過失を裁く法や、不祥事を起こした人間を組織から切り捨てる風潮について考えてみます。

動物的本能に基づく行為は法を作って制限しなければ、人間社会は維持できなくなります。最も直截的な例ではありますが、強姦にはかなり重い罰が科されることになっています。
過失を為した人間を罰するべきかどうか。私は民事解決のみで良いのではないかと考えて来ていますが、日本においては運過致死傷罪の設定など、むしろ厳罰化に傾いています。もしかすると自分より優れた特徴を持った個体を、過失という理由付けによって有罪に落とす。過失を奇貨として自らのライバルとなったかも知れない存在が下に落ちることを喜びと感じているのではないかと思ってしまいます。

さらにもっとはっきりしていると思われるのが、私がかねてから疑問を抱いている多重処罰です。繰り返し取り上げて来た例ですが、酒気帯び運転に対し、刑事罰・行政処分が下されているのに、追い打ちをかけるように、本来関係ない職場で懲戒処分などが行われます。これも酒気帯びという不祥事を奇貨に、ライバルを下に蹴落とすことに喜びを感じているのではないかと思います。

他国における過失への罰を把握していませんが、もし日本が特に過失に対する罪を重くしているとすれば、日本人は前部帯状回や線条体が他国民より発達しているのかも知れない、と想像してしまいます。
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