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CMよけ

すっかり放置してカビの生えているブログですが、放置のペナルティ?としてCMがついてしまいました。更新すれば消えるとのことで、CMよけを入れました。
時々この古いブログを覗いて下さる方、本当にありがとうございます。
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女性が働くと小児科医療が崩壊する? [医療制度/行政]

産経新聞 子供の初診、働くママが迅速

第一生命.JPG わが子が病気になったとき、できるだけ早く医師に診察してもらう母親は、専業主婦よりも、むしろ仕事を持っている母親に多い-。第一生命経済研究所が実施した、医療機関の利用についての意識調査から、こんな実態が浮き彫りになった。  アンケートは、埼玉県内の幼稚園や保育園などに通う6歳未満の乳幼児の保護者1208人を対象に実施(有効回答率79・2%)。親の就業形態別(フルタイム、パートやアルバイト、無職)に集計をまとめた。


時に総スカンを食らいそうな気もしますが、私は以前から「働くお母さん」にあまり賛成ではありません。
以前にも取り上げたことがありますが、“昔”は、お父さんが外で働き、お母さんは家庭にいて複数の子供を育てながら、それで家計がやりくり出来ていたはずです。サザエさんもフネさんも外に働きに行っている様子はありません。
現在では女性が外で働くことが当然のように言われ、奨励され、子供を預ける施設を充実させることで少子化をくい止めようと言うことしか聞こえて来ません。

働くお母さん.jpgまるで専業主婦がよくないことのような、家庭にいることは良くないことのようにさえ聞こえてしまいます。

お父さんが外に働きに出るだけで家計が維持できるような経済構造を取り戻すべきと、個人的には思っています。どうしても「社会進出」をしたいという女性を押しとどめようとは思いませんが、果たして本当に「働くお母さん」が自分の子供に対して目が届いているのでしょうか。

そしてこのニュース記事です。何の論評もされていませんが、普段子供を見ていない母親が、小児科救急外来を訪れて、小児科診療を疲弊させている様子が浮かび上がって来ます。
女性の「社会進出」→小児改良崩壊は、風が吹けば桶屋が儲かる、というのより現実味がありそうです。

予想される反論と総スカン、男がもっと子供を見ろ、女性にばかり子供や家事を押しつけるからではないか。それが現実的に可能な状況かどうか。
そしてこれは性差別ではありません。「区別」です。男性は逆立ちしても母乳は出ない性です。
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警察・刑務所は密室 [生活/くらし]

神戸新聞 入所手続き後、40代男性死亡 姫路拘置支所

姫路拘置支所.jpg 姫路少年刑務所は七日、管轄する姫路拘置支所に入所したばかりの四十歳代の男性被告が死亡した、と発表した。

 同刑務所によると、被告は六日午前、入所手続き中に胃痛と吐き気を訴えた。個室で休ませたが、職員が午後になって見にいくと意識を失っており、搬送先の病院で死亡が確認されたという。

 同刑務所は「体調不良を訴えた時点では緊急性はなく、対応に問題はなかった」としている。

 姫路署によると、被告は覚せい剤取締法違反罪で神戸地裁姫路支部に起訴されていたという。


こういう事件を取り上げるたびに警察への不信がつのり、不安が増します。無謬を主張したがる警察を監視する組織が存在しないために、このニュース記事の被害者のように泣き寝入りどころか、死人に口なし状態の人が増えているのではないかと思われます。

刑務所側の「‥緊急性はなく、対応に問題はなかった」というコメントを以てこの事件は終了、でしょうか。とんでもない話です。
病気だった場合、腹痛が発症した時点で当然医療機関にかからせるべきであり、これを怠った刑務所側の責任がないと主張して、それを咎めるすべがないとしたら恐ろしいことです。以前にも書きましたが病院の中であったら、たちどころに迅速な対応を怠ったとして医療者が業過致死罪に問われ、高額の損賠を要求されることになったでしょう。なぜ警察や刑務所だとお咎めなしなのでしょうか。

姫路警察署.jpgこうした一方的なコメント発表の報道ばかりが為され、誰にも真実の追究ができない密室となってしまっています。警察や刑務所の中は公開もされず、他の機関が全く監視できません。密室で何が起きたかは永遠に封印されてしまう可能性があります。

そういう状況にあっては、実は病気ではなく、被告男性に対して刑務官などにより暴力がふるわれ、その結果腹部外傷で死亡した可能性も考えてしまいます。本来刑務所側に説明責任があるはずです。

さて、もしこの死亡した男性被告に対して司法解剖が行われたとしても、これまたその結果は捜査上の秘密という大義名分のもと、明らかにされることはありません。警察の無謬性はこうして二重・三重の隠蔽システムによって保護されていると言わざるを得ません。

これで良いのでしょうか。検察審査会などより、「警察監視委員会」のような組織の方がずっと必要と思います。
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ドライバー以外の責任を認めた民事裁判 [生活/くらし]

時事通信 公園の樹木放置、町に責任=見通し悪く死亡事故、賠償命令-名古屋地裁

美和町役場.jpg 愛知県美和町の公園近くで2005年9月、小学2年の男児=当時(7つ)=が車にひかれ死亡したのは、公園の樹木で見通しが悪かったためなどとして、遺族が管理者の同町と車を運転していた女性(37)らを相手に、約6600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が6日、名古屋地裁であった。尾崎康裁判官は町の管理責任を認め、女性らとともに約5600万円を支払うよう命じた。
 尾崎裁判官は、公園入り口付近を含め、公園と道路の境目には当時高さ約3~5メートルの樹木がすき間なく生え、見通しが悪かったのに町は放置したと指摘。児童らが飛び出す危険性が高かったのに、注意を促す看板なども設置せず、管理に瑕疵(かし)があったと結論付けた。動揺してブレーキを踏まなかった女性の過失も重大とした。
 判決によると、男児は自転車に乗って公園から道路に出た際、車にひかれ死亡した。
 男児の母(36)は閉廷後会見し「公園などの管理を見直すきっかけになれば。町は責任を認めてほしい」と話した。
 美和町建設課の話 判決を重く受け止め、改善を図りたい。控訴するかは内容を検討し決めたい。


美和町リバーサイドガーデン.jpg今までの交通事故爾後処理に比べたら進歩と思います。ひとたび交通事故が起きると、それは全て加害ドライバーの責任であり、民事賠償責任以外に刑事処分・行政処分を科す。剰えバカの一つ覚えの厳罰化で運過致死傷剤なる法まで作られてしまいました。

交通事故の起きた状況を一切考慮せず全てドライバーに責任を追わせてきた経緯を考えれば、こうして周囲状況にも考慮する動きは評価すべきと思っています。

ただ懸念される事態は色々あり、この民事裁判がドライバーの刑事・行政処分を軽減させることがあるのだろうかということ。この事故の責任の一部は交通環境にあったと認定されたのですから、本来それをドライバーの処罰軽減に反映させるべきであろうと考えます。

そして何が何でも個人の責任追及をしなければ気が済まない検察・刑法体系からすると、警察または検察が美和町役場職員の吊し上げに走るのではないかという心配もあります。公園を管轄する部署の職員や上司を業過致死罪で立件、などということになるのであれば、不毛の一言に尽きます。

どこまでも個人責任追及システムの歪みがついて来てしまいます。やはり過失と罰に関する法体系を一度見直すべきではないでしょうか。
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滋賀県勤務医の調査 [医療制度/行政]

京都新聞 疲労でミス寸前、半数が経験 県内勤務医 過酷実態裏付け

医師疲労.jpg 滋賀県の病院に勤める医師の5割近くが、過去1年間に疲労が原因で医療事故やミスを起こしそうになり、7割超が以前より疲れやすいと感じている-。県がこのほど行った調査で、激務が指摘される勤務医の過酷な実態が裏付けられた。医師の使命感ややりがいについて、4割近くが「失われていく」と回答し、県は「地域医療を守るために、勤務医の負担軽減が必要だ」としている。

 医師不足などの実態把握を目的に昨年12月、県内全60病院の勤務医1469人にアンケートし、927人から回答を得た。都道府県単位で行政が全勤務医を対象に行う調査は珍しい。

 疲労から医療事故を起こしそうになったのは47%(434人)。最近1カ月の自覚症状について、最も当てはまる項目を問うと「以前と比べて疲れやすい」が「時々ある」「よくある」と合わせて73%(676人)に上った。「いらいらする」「朝起きた時ぐったりしている」「へとへとだ」なども60-70%が当てはまると回答した。

 週当たりの平均超過勤務時間では、20時間以上が25%もいた。1カ月の平均当直回数は「2-3回」が54%と最多だったが「5回以上」も16%。当直明けは83%が「通常勤務」で、当直からの連続勤務時間は「24-36時間未満」が60%、「36時間以上」も30%に上った。

 「患者や家族から暴言・暴力を受けたことがある」のは82%もおり、医事紛争経験者は21%だった。医師としての使命感ややりがいが増しているのは20%だったのに対し、「失われていく」と答えた人は37%。改善点としては「診療以外の業務を軽減」「休日の確保」「医師と理解し合える住民意識を醸成」を求める声が多かった。

 県医療政策室は「勤務医を守るためにも、医療機関の機能分化や連携など地域で医療を支える仕組みが求められている。調査結果の分析から県が目指す方向をしっかりと打ち出し、医師が働きたいと思える環境をつくりたい」としている。


滋賀県庁.jpgこのニュース記事と、マンガを紹介するだけで十分な気もします。病院医療の崩壊を裏付ける興味深い調査です。

医師数の不足も問題ですが、小松秀樹氏の指摘した「立ち去り型サボタージュ」による負のスパイラルが根本にあるのでしょう。報われぬ(経済的にという意味だけでなく)病院医療に失望して病院から医師が立ち去る、残された医師の激務は増悪する。病院から医師がいなくなってしまいます。

調査データの中で気になるのが患者・家族からの暴言・暴力を受けた医師が82%にも上るというものです。患者のために良かれと思って励んだ結果がこれでは、気持ちも萎えます。この根底には、これまた小松秀樹氏の指摘するような、「病院に行けば病気は全て治る」という、患者側の誤った思い込みがあるのではないかと思います。

医療再生のためには医師数増加だけでなく、こうした根の深い問題解決が求められると考えます。
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何が何でも個人を糾弾 [医療事故]

毎日新聞 千曲の医療事故:3人を業過致死容疑で書類送検 /長野

長野赤十字病院上山田診療所.jpg 千曲市の長野赤十字上山田病院(現長野赤十字病院付属上山田診療所)で05年に、液体酸素タンクの供給不足のために人工呼吸器を付けた患者が死亡した事故で、千曲署は4日までに、業務上過失致死容疑で、同病院の当時の事務部長(56)と会計課長(59)、同課主事(29)の3人を長野地検に書類送検した。

 会計課長と同課主事の容疑は05年10月、重症肺炎の男性患者(当時73歳)の人工呼吸器用の液体酸素タンクの管理と確認を怠り、酸素不足で死なせた疑い。事務部長は2人の監督指導を怠ったとしている。【大平明日香】


またか、と思わせるようなニュース記事です。警察は、というより日本の刑法は誰か個人を罰せずにはいられない、罰せずにはおかない、という構造がよく見えます。
かねてから書いているように、これは日本人の仇討ち的応報感情から発生したものと想像しますが、このニュース記事を見るとそれさえ逸脱して、何でも良いから誰かを有罪に、というきわめて不毛な図式に見えます。

液体酸素タンク.jpg医療事故の教科書に出てくる「信頼の法則」に基づき、医師が業過致死罪に問われていないのは納得できることです。医師は患者に投与すべき酸素が、タンク内の酸素が不足する事態まで想定して注意義務を問われない、というもので、さあ、それでは酸素の確認をしなかった事務方でも処罰しようか、ということですね。

この事務方3人を罰金刑だか懲役刑に処して前科者の烙印を押すと、いったいどういういいことがあるのでしょうか。
なぜ民事解決だけではいけませんか。
なぜ誰か個人の責任を追及することにばかり汲々としているのでしょうか。

医療者自体が責任を問われた事件ではありませんが、読んでいてきわめて不愉快になる記事ではありました。
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警察・刑務所の人権蹂躙 [医療制度/行政]

西日本新聞 福岡・小1殺害 拘置所が外部診療拒否 被告、人権救済を申請

富石薫.jpg 福岡市西区の小戸公園で昨年9月に小学1年の富石弘輝君(6つ)が殺害された事件で、殺人罪で起訴された母親の薫被告(35)が持病の線維筋痛症の痛みを訴えているのに福岡拘置所が外部の医療機関を受診させないとして、同被告が日本弁護士連合会と福岡県弁護士会に人権救済を申し立てていることが3日、分かった。

 申立書は2月27日付。恒常的に全身が痛む同症の診断を2006年に受け、逮捕前には入院も検討していたことを記した上で、拘置所に外部診療を強く要請したが「緊急性がない」として拒否されたとしている。

 申立書には「痛みがひどく、失神したこともある。助けてください」と訴える被告の手紙も添付。弁護人は「虐待であり、極めて重大な人権侵害行為。早急な措置を求める」としている。

 これに対し、福岡拘置所は「外部診療は必要であれば行う。個別事例については答えられない」としている。


福岡拘置所.jpg以前にも何回か取り上げて来ました。容疑者や刑事被告人、受刑者が医療を受ける権利が、警察・拘置所、刑務所によって不当に奪われています。中にはそのために死に至ってしまったと思われる事例も取り上げて来ました。

どんな犯罪を為して拘留されたり懲役刑を受けている人でもその人権は守られなければなりません。何か疾病があって、医療行為を受けられなかったがために健康被害を被ったら、その警察・刑務所等は当然厳しく罰せられるべきです。決して過失犯ではありません。未必の故意による傷害・殺人です。

もちろん繊維筋痛症に現段階で著効を示す薬があって、治癒に至る訳ではありません。それでも消炎鎮痛剤や抗うつ剤などの治療が行われて、それなりの効果が得られるものと思われるし、何よりその医療を受ける機会を奪う権利は誰にもないと考えます。

警察・刑務所の猛省を促したいと思います。
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麻薬「メチロン」 [医療制度/行政]

asahi.com 麻薬メチロン服用の被告に無罪 「違法の認識なかった」

メチロン粉末.jpg 大阪地裁は3日、麻薬取締法違反の罪に問われた大阪府大東市の男性会社員(30)に無罪(求刑懲役1年)の判決を言い渡した。会社員は麻薬に指定されている薬物「メチロン」を使用・所持したとして起訴されたが、千賀卓郎裁判官は「違法な麻薬だと知っていたとは認められない」と述べた。

 判決によると、男性は昨年7月19日、メチロンを水で飲んだほか、メチロンの粉末約1グラムを自宅で所持していた。服用後に気分が悪くなり、自ら110番通報。駆けつけた大阪府警の警察官らがメチロンを見つけ、その後に逮捕した。

 判決は、男性がインターネットでメチロンを買った時期は04年9月ごろで、麻薬に指定される約2年半前だったと認定。被告・弁護側が「睡眠導入剤として購入し、冷蔵庫に保管していた。違法な薬物という認識はなかった」とした主張も踏まえ、無罪の結論を導いた。

 府警の捜査員が公判で「(男性は)『飲んではいけない薬です』と言っていた」と証言したことについては「心身に悪影響を及ぼす薬を服用してしまったという意味だった可能性がある」と述べた。

 判決後、千賀裁判官は男性に「無罪ではあるが、軽はずみな気持ちでメチロンを使ったのは事実。自重してほしい」と語りかけた。

 メチロンは00年前後から「脱法ドラッグ」として流通。07年1月の政令改正で麻薬に指定された後、所持や使用が禁じられている。(阪本輝昭)


メチロン注.jpgこのニュース記事には二つの点から注目しました。
この判決にあるように、被告人がこの「メチロン」を購入した時点ではまだ麻薬指定を受けておらず違法性がなかったこと、服用した時点で麻薬指定されていても、それを知らなかったことをきちんと司法が評価したことです。
そもそも麻薬だから所持していてはいけない、という認識を持っていれば、自ら110番通報をするはずもありません。それなのに府警の捜査員が被告人を何としても有罪にしようとする証言を行ったことには不快感を覚えます。


さて全く違ったもう一点です。この違法ドラッグ「メチロン」は正式名称を「(1)2-メチルアミノ-1-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパン-1-オン」と言うそうです。あたまのメチルと最後のオンを合わせてメチロン Methylone という俗称になったのでしょうか。
いずれにしても「メチロン」が麻薬指定と言うのを見てまずはびっくりしてしまいました。昔から解熱剤として注射や内服で利用されて来た古典的な薬「メチロン」がいつの間にか麻薬になってしまったのかと。

私自身は解熱剤を注射したり処方することをしないので直接使う機会は少なかったのですが、少なくとも私の世代ではメチロンという薬剤名になじみのある医師が多いものと想像します。あまりにクラシックな薬なので、どこの会社が開発したものか、そして今それが第一三共から販売されていることなどは知られていなくても、ともかくメチロンという名前の薬の存在は広く知られているものと思われます。
ちなみにこちらはスルピリン水和物(Monosodium[(1, 5-dimethyl-3-oxo-2-phenyl-2, 3-dihydro-1H -pyrazol-4-yl)(methyl)amino]methanesulfonatemonohydrate)だそうです。

いやしくも臨床の現場で使われている医薬と同じ俗称を使わないで欲しいと思います。どきっとしました。もちろんこちらのメチロンは Metilon で綴りも異なりますが‥。
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佐賀県警の隠蔽 3 [医療制度/行政]

毎日新聞 <取り押さえ急死>佐賀地裁が警官の「審判」決定

佐賀地裁.jpg 佐賀市の国道で知的障害のある安永健太さん(当時25歳)が、警察官5人に取り押さえられた直後に急死した問題で、佐賀地裁(神山隆一裁判長)は、5人のうち1人について、特別公務員暴行陵虐罪で「審判」と呼ばれる裁判を開くことを決めた。遺族が特別公務員職権乱用等致死容疑で告訴した警察官5人の不起訴処分を不服として、付審判を請求していた。

 遺族の代理人弁護士によると、決定は2日付。警察官による取り押さえと安永さんの死亡との因果関係の有無を別として、地裁は目撃証言から、制圧時に警察官が、安永さんの胸部を手で殴打したと認定した。

 安永さんは07年9月、佐賀市内の国道を自転車で走っていたところ、バイクに衝突して転倒。現場に駆け付けた警察官5人に取り押さえられた際に意識を失い、急死したとされる。

 安永さんの父孝行さん(47)は08年1月、取り押さえた警察官を特別公務員職権乱用等致死容疑で地検に告訴。地検は同3月、警察官5人を不起訴処分とした。地検は問題の発生直後から独自捜査を進めていたという。

 その結果、地検は安永さんの死因を、心臓が急に止まる「心臓性急死」と発表したが、停止原因は「解明できなかった」とした。また取り押さえは「保護行為」で、死亡との因果関係も認められないと判断したという。

安永孝行1.jpg 一方、孝行さんは不起訴処分を受け、08年4月、佐賀地裁に付審判を請求した。

 この問題を巡っては、遺族が県に約4240万円の損害賠償を求める訴えを佐賀地裁に起こしている。

 最高裁によると、19件目の付審判決定。付審判請求を受けた公務員で付審判が認められたのは0・1%程度にとどまっている。裁判で検察官役を務める弁護士は今後、裁判所が指定する。【高芝菜穂子】

 ▽佐賀地検の渡口鶇次席検事の話 今後、刑事訴訟法に基づいて佐賀地裁において審判が行われるので、決定が出たことに対する具体的なコメントは差し控えたい。

 【ことば】▽付審判請求▽ 公務員を告訴・告発した人が検察官の不起訴処分に納得できない場合、裁判所に刑事裁判を求めることができる手続き。準起訴手続きとも呼ばれ、付審判請求が認められれば起訴と同じ効果がある。


この事件は本ブログにて 隠蔽を許してはならない と題して取り上げ、再度 佐賀県警の隠蔽 として取り上げました。

特に2つめの記事では、類似した事件が発生した高知県で、高知県警は警察官を業過致傷罪の疑いですぐ送検するという、自浄作用を思わせる態度を取り、佐賀県警との差を見せつけられました。

安永孝行2.jpgそもそも、業過致死傷罪で誰かを刑事罰に処すことにはもともと賛成ではありません。過失に対して刑事罰を科すことが再発を防ぐことにはならないし、日本人の応報感情を下敷きにして作られている刑法条文ではないかと考えているからです。

しかしこの佐賀県警に対しては、記事を読んでいる第三者の立場としても怒りを禁じ得ません。警察はいつも自らを以て無謬組織と任じ、エラーを認めることを極端にいやがります。おそらく権威の失墜などということを嫌うのでしょうけれど、既に警察の権威や無謬性など信じている人は多くないと思います。そうしてみると、警察の過失を認めようとしなかった佐賀地検も同じ穴の狢、所詮身内のかばい合いにしか見えません。

こうした始末の悪い公務員に謝罪を求めようとするのに、かくも多くのエネルギーが必要な現状は改める必要があります。この事件が風穴をあけるきっかけになってくれることを望むばかりです。

以前にも書きましたが、こんな警察に、医療事故に踏み込まれて業過致死傷罪で捜査されたくありません。
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海難審判と刑事裁判 [医療事故]

毎日新聞 あたご事故 交代前の当直も責任 月内にも2士官在宅起訴

あたご清特丸.jpg 海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で適切な見張りをせず漁船の2人を死亡させたとして、横浜地検は2日までに、衝突時の当直士官、長岩友久・前水雷長(35)と交代前の当直士官、後潟桂太郎・前航海長(36)の両3佐を業務上過失致死罪などで在宅起訴する方針を固めた模様だ。海難審判は後潟3佐の行為を「事故原因とならない」と結論付けたが、地検は刑事責任を問えると判断したとみられる。月内にも起訴する。

 後潟3佐の交代後に衝突しており、事故時に操船していない乗組員の起訴は極めて異例だ。地検は、見張り不十分など2人のミスが重なり、事故を招いたと判断し、両船の航法については、横浜地方海難審判所裁決(1月、確定)と同様、漁船を右に見るあたご側が回避義務を負う「横切り船航法」で、あたご側に事故の主因を認めたとみられる。

 第3管区海上保安本部(横浜市)の調べなどによると、両船は昨年2月19日午前4時7分ごろに衝突。後潟3佐は直前の午前3時50~55分ごろ、長岩3佐に当直を引き継いだ。この際、清徳丸と僚船の動静監視が不十分だったため、航行中の漁船群を「操業中」と誤解し「衝突の危険なし」と伝えた。海難審判でも「早計だった」とミスを認めていた。

 引き継いだ長岩3佐も見張り不十分なまま、寸前まで自動操舵(そうだ)で直進を続け衝突。沈没した清徳丸の吉清(きちせい)治夫船長(当時58歳)と長男哲大(てつひろ)さん(同23歳)が亡くなった。

あたご海難審判裁決.jpg 両3佐は昨年6月、業務上過失致死と業務上過失往来危険の疑いで地検へ書類送検された。裁決は「長岩3佐が見張りを十分にしていれば、避航動作を取る余裕があった」として、個人では長岩3佐の行為だけを事故原因と指摘。後潟3佐の引き継ぎなどは原因と認定しなかったが、地検は裁決後も関係者への聴取を重ねていた。


海難審判の位置づけについてあまりはっきり知りませんでした。これらの記事や解説などからすると、刑事処分を決定するのが裁判であり、海難審判は最終敵に行政処分を下すことを目的とするようです。
しかし、海難審判は、海上の事故を詳細に検討し、事故の原因を明らかにして、結果事故再発防止に資することのできる、事故調としての意味合いもあるようです。

行政処分という見方からすると、当事者の言い分にあまり耳も貸さず、一方的に運転免許取消しや停止処分を決定し押しつける、自動車運転免許における警察よりも、開かれたシステムと言えるでしょう。この点では自動車事故や違反などについて、海難審判を見習ったもっと開かれたシステムを期待したいものです。

海難審判刑事裁判.jpg一方で、すぐ連想されるのが医療事故調です。未だに医療事故調が発足しないのは、医療事故の原因を明らかにして、これも再発防止に役立てようというシステムであるにもかかわらず、結局医療者個人の責任を問おうとする刑事裁判に全て情報を提供しようという動きを封じることができずにいます。

海難審判でも医療事故調でも、最終敵に個人の責任追及を目的とする刑事裁判に情報を全てそのまま流す状態では、真実の解明にブレーキをかけることになってしまうのは、以前から書いて来た通りです。
このあたりで日本人お得意の応報感情・仇討ち刑法を遠ざけることを考えて良いのではないでしょうか。
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