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都響プロムナードコンサート 09/03/29 [音楽/読書]

都郷プロムナードコンサート.JPG久しぶりにコンサートに行く機会がありました。
本当はもっと色々なオケと指揮者など、広く聞き比べて、評価すべきところ、結局エリアフ・インバルの演奏会にしか行っていません。

今回聞いたのは都響のプロムナードコンサートで、曲目はS.ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、P.I.チャイコフスキー交響曲第5番という、ポピュラーな組み合わせでした。

ここまでポピュラーな曲だと、つい“予習”を怠ってしまい、サビ?や耳に残った部分以外の曲をちゃんと押さえておらず、評価が難しいところもあります。

インバル都響2.jpgそれでも気づいたことがいくつかありました。
田村響のピアノとオケは特に対立もせず、美しいメロディーのラフマニノフを作り上げて行きました。

「チャイ5」で感じたのは、こうしたポピュラーな曲の時だけなのかも知れませんが、インバルが比較的細かいところにこだわって振っていたことです。例えば終楽章の終わりの方で、長調で奏される主題を最後に管楽器が鳴らしている時にその下でのヴァイオリンとヴィオラが3連符を弾いているところ、うねるような弾き方を要求しているのが、実際の弾き方からも、インバルのタクトからも見えました。

田村響.jpgさらにもっとついでに、この2曲の終わり方、ラフマニノフは「タンタカタン」で終わります。例えば直前に聴いて行ったガブリーロフ/ムーティの演奏ではスピードを落とさず終了しますが、インバルはブレーキをかけました。
同様にチャイ5でも、「ダダダダン」で終わりますが、ここでもインバルはスピードを落としブレーキをかけていました。そこまでの曲のエネルギーを響かせてテンポを落とさずに終了するのと、そこでブレーキをかけるのとどちらが良いか、それこそ指揮者の考え方次第なのでしょうが、インバルの姿勢を表す一つの指標になるのかも知れません。
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大阪センチュリー交響楽団 [音楽/読書]

asahi.com 橋下知事、補助カット対象楽団のお手並み拝聴 /大阪

大阪センチュリー星空ファミリーコンサート.jpg 大阪府の橋下徹知事が30日夜、服部緑地(同府豊中市)の野外音楽堂で大阪センチュリー交響楽団のコンサートを鑑賞した。運営する財団法人への年約4億円の補助金について、文化行政に厳しい橋下知事は来年度予算で大幅削減の意向を示している。この日も鑑賞後、「判断にはまったく影響しない」と考えを変える様子はなかった。

 橋下知事は、チャイコフスキーの「白鳥の湖」やハチャトリアンの「剣の舞」などオーケストラが奏でるクラシックの調べに耳を傾けた。

 約1時間半の演奏後、報道陣に「素晴らしいコンサート」と評価しながらも、「飛び抜けた力を持つのか、地べたをはいずり回ってもスポンサーを見つけてくるのか、そのどちらか。府民に支えてもらえる楽団であることを、年末までに示して頂きたい」と注文をつけた。

橋下徹.jpg 補助金が大幅減となれば楽団の存続が危ぶまれ、府には支援継続を求める約11万人分の署名が提出されている。支援を求める議会の要請もあり、この日の鑑賞となった。


まだ大阪センチュリー響の演奏やCDを聞いたことがありません。どれだけの実力を持つオーケストラなのかわかりません。
また、日本は意外にオーケストラが多く、イギリスに次いで多いとも言われます。
こうしたことを考えると、一オーケストラを、赤字財政に苦しむ自治体がどこまで支えるべきか、難しい問題と思いますが、やはり文化ことにこうした芸術を極力温存して欲しいと思います。

大阪センチュリー響チラシ.jpg大阪府からの補助が減らされるてその分を演奏会のチケット代に転嫁したり、後援会組織を作って会費を集めたりするような方法もあろうかと思いますが、他の国内オケとの“競争力”において不利になりそうです。

聖域とする訳にはいかないでしょうけれど、極力補助金削減は少なくしてもらいたいものと思います。大阪府以外からの支援も臨まれるところです。
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ヨーヨー・マとソニーフィル [音楽/読書]

産経新聞 ヨーヨー・マらとソニー・アマ交響楽団 夢のカーネギー共演 10月実現

ソニーフィルチラシ.jpg ソニーとソニーのグループ企業の社員や家族でつくるアマチュア交響楽団「ソニー・フィルハーモニック・オーケストラ」が10月、米ニューヨークの名門カーネギーホールでチャリティー公演を開催する。ロンドン交響楽団の首席客演指揮者などで知られるダニエル・ハーディングが指揮を務め、世界的なチェロ奏者、ヨーヨー・マも参加するという前例のない豪華版。楽団員たちは「彼らに負けない演奏を披露したい」と意気込んでいる。(岡田敏一)

 同オーケストラは平成7年に結成。現在のメンバーは20代の新入社員から60代のOB社員まで計108人で、約8カ月に1回のペースで東京を中心に公演を開催。練習は公演の約半年前から月1、2回(いずれも土曜日)、品川のソニー本社内にある社員食堂や大会議場などで行う。

 ソニーによると、チャリティー公演が実現したきっかけは、同オーケストラの演奏を聞いた同社の会長兼CEO(最高経営責任者)、ハワード・ストリンガー氏が、社員の士気向上につながると考え、同ホールの上層部と交渉したこと。その結果「今年1月、ストリンガー氏あてに公演開催をOKする招待状が届いた」(ソニー)という。

ヨーヨー・マ.jpg 同オーケストラにとって初の米公演だが、招待状には何と共演者としてクラシック界の超大物、ヨーヨー・マとハーディングの名が記されていた。「一生に一度あるかないかのチャンス」とメンバーたちは一気に色めき立ったという。

 公演決定後、メンバーは毎週土曜日に集まって約4時間、練習に励んでいるという。メンバーは有給休暇を充てるなどして日程を調整しニューヨークへ。当日はドボルザーク作曲の「チェロ協奏曲 ロ短調」やチャイコフスキー作曲の「交響曲第5番 ホ短調」などを計約2時間にわたり披露する予定だ。

 同オーケストラの依田健一部長は「過去20回以上の公演を実施してきたが、世界的な名演奏家と名門カーネギーホールで共演できるという夢がかなって本当にうれしい」と話している。


日本にアマオケが多数ありますが、この話を聞いたらさぞ羨ましいことでしょう。特にヨーヨー・マとの競演は楽しみであると同時に、特にチェロと掛け合いになる管楽器はかなり一生懸命練習しなければならないと思います。

以前ヨーヨー・マに師事した日本人チェロ奏者と所沢フィルのドヴォルザーク・チェロ協奏曲を聴いたことがありました。カーネギーホール.jpg彼のソロは力まず、自然な歌い方でした。また、CD上聞き比べたマの同曲のソロは、ジャクリーヌ・デュプレ等他のチェロと比べても大変好感を持てる印象でした。

マのチェロは大いに期待できるもので、それを支えるオーケストラはがんばらなければならないでしょう。

いずれにしてもある意味大変機会に恵まれたソニーフィルには大いにがんばって欲しいものです。
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図書館と本とCD [音楽/読書]

asahi.com 公立図書館、希少本 次世代に /埼玉

浦和図書館.jpg◇独自データベース活用 すでに25万冊

 書庫からあふれた貴重な本を残そうと、県内の公立図書館がスクラムを組んだ。県内に1タイトル1冊しかない本を、独自のデータベースでリストアップし、該当する本を所蔵する図書館が責任を持って保存していく。貴重な本を県全体で次の世代に残していこうという取り組みで、全国的にも珍しいという。すでに約25万5千冊が保存されている。

 この取り組みは、県内の全市町村や県図書館、県の機関などが06年に「埼玉県公共図書館等における資料保存に関する協定」を結び、昨年1月に始まった。保存するのは、ISBNと呼ばれる書誌コードのついた一般書籍や児童書で、雑誌や郷土関係の資料などは対象外だ。

 本を処分する際は、ISBNを入力すると、県内に1タイトル1冊しかない本が即座に分かる県独自のデータベースを活用する。各図書館の所蔵本のISBN番号を県立熊谷図書館がまとめたもので、年に4回更新している。

 昨年3月末現在、県内の公共図書館が所蔵する本や資料などは計約2200万冊。ただ、ISBNのついている本は約6割にとどまり、もれた本や資料、保存場所など課題も残る。

 利用頻度の低い本の保存は全国的な課題で、東京・多摩地域ではNPO法人共同保存図書館・多摩が4月に発足し、自治体の枠を越えた共同の保存図書館づくりを目指している。

 県内でも共同保存書庫を求める声は強いが、費用面などから早急な実現は難しい。03年に県立川越図書館が閉館になるなど、県立図書館の書庫は、むしろ手狭になっている。一方で、昨年3月までの1年間で県内の公共図書館の蔵書約54万冊が処分された。

 市町村で単館所蔵本が多いのは、吉川市1万1498冊、草加市9901冊、朝霞市8587冊(3月21日現在)という。吉川市立図書館の岡田なるみ図書館係長は「書庫には限りがあり、定期的に処分する本を選んでいるが、単館所蔵本についても将来、資料的価値を見極め、厳選することが必要になってくると思う」と語る。

 県立熊谷図書館の渡辺賢治司書主幹は「市町村の書庫の問題は切実。共同の保存書庫は必要だが、すぐにはできない。本が失われれば、利用者の要求に応えられなくなる。文化遺産を先の世代に継承していくという観点から資料保存を考えなければ」と話している。


図書館CD小平.jpg有意義なプロジェクトと思います。稀少な本を蔵書館が保存していく。大切なことと思います。館内閲覧などの制限をかけないと、貸し出し中に本の装丁がこわれてしまったり紛失されるなど、唯一の資料が散逸してしまう危険もあるでしょう。

一方でニュース記事にもあるように、多くの資料が破棄されています。図書館によってはリサイクル本のシールを貼って、自由に持って行かせるようにしてあるところもあります。

図書館CD板橋中央.jpgそして同じことがCDなどの音響資料にも言えると考えています。
私自身CDを借り出しに行って、後から調べるとそのCDは廃盤で手に入らぬ、貴重なものであったということがありました。都内ですが、どの区にもあるという訳ではなく、ある区の一図書館にのみ在庫していました。

カーメン・ドラゴン.jpg今そのアルバム(写真とは別です)を聴こうとすると、事実上その図書館に足を運んで借り出す必要が出て来ます。CDは割れたり記録面にキズがつくと読み出せなくなってしまいます。
貸出をやめて、院内視聴のみという規制も必要かも知れません。

図書館で働いていた人の話を伝え聞きしました。本当は借りた資料は本でもCDでも、期限までにきちんと返さなければなりません。しかし少しずつ未返却が積もることによって、初めて新しく購入した本やCDのために棚を開けることができる、という現実はあるようです。そうでないと実際には書庫・棚から蔵書・CDが溢れてしまう、ということで、いずれにせよ、地域図書館で複数所蔵する資料は、いずれ整理が必要になるのは間違いなさそうです。
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郡山の音楽都市指向 [音楽/読書]

河北新報 「音楽都市」旅立ち祝う 郡山で記念式典

郡山市原市長.jpg  音楽によるまちづくりを目指す「音楽都市」を3月に宣言した福島県郡山市は24日、市民文化センターで記念式典を開き、約1500人の市民らが新たな旅立ちを祝った。

 郡山市出身の世界的作曲家湯浅譲二さん、指揮者の本名徹次さんらを迎え、パネル討論が行われた。湯浅さんは「これまで市民の力でやってきたこととは違う部分で行政が動くべきだ」と指摘。本名さんは「郡山にしかないコンサートホールがあってもいい」と提案した。

湯浅譲二.jpg 全日本合唱コンクール全国大会の金賞を28年連続で計29回受賞している安積黎明高や、2003年から3年連続中学日本一となり河北文化賞を受賞した郡山二中の生徒による全国レベルの合唱なども披露され、祝賀ムードを盛り上げた。

 原正夫市長は「宣言を機にこれまで以上に魅力と活力あるまちづくりを進めたい」と話した。


大きな自治体ですから、経済力もあり、「音楽都市」を目指すのも難しいことではないかも知れませんね。
新幹線が通っていることもあり、クラシックをはじめ音楽祭を企画すれば、東京や他地域から聴衆を集めることも期待されます。

一番力を入れて欲しいのは、やはりソフト面です。音楽活動の振興‥オケの結成や助成、音楽教育重点化など、日本一を目指すくらいの心意気でぜひ頑張って欲しいと思います。

ここで間違って欲しくないのは、例によってハコモノ行政です。既に立派なコンサートホールもあります。まずは施設ありきで、まだ演奏会の予定も組まれぬうちからいくつも演奏会会場を作っておこう、などとは思わないで欲しいと思います。
郡山市民文化センター.JPGまずは多くの音楽団体を育成し、本当に演奏会場が不足したらその時にコンサートホール新設を検討すれば良いでしょう。

誤った方向に進んで「音楽都市」指向が頓座せぬことを切に祈ります。
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戦争と音楽 [音楽/読書]

読売新聞 コソボに響け平和のハーモニー…日本人指揮者が楽団結成

コソボフィルと柳澤.jpg  民族の対立が続くバルカン半島で、日本人指揮者の柳澤寿男さん(36)が室内管弦楽団を結成し、様々な民族に参加を呼びかけている。

 6月12日には、独立間もないコソボ共和国の首都プリシュティナで演奏会を開く。「音楽には対立の壁を越える力がある」。欧州の火薬庫と呼ばれる紛争の地で、民族共栄のハーモニーを奏でようと、柳澤さんは指揮棒を振り続ける。

 日本で指揮活動をしていた柳澤さんは2004年10月、マケドニア国立歌劇場の指揮者に就任し、バルカン半島に渡った。そして、07年3月、マケドニアに隣接するコソボのコソボフィルハーモニー交響楽団の客演指揮を依頼される。当時、コソボはセルビア共和国の自治州で、国連の暫定統治下にあり、街には崩れたビルなど紛争の生々しい痕跡が残っていた。

 「敵が攻めてきたら、楽器ではなく銃を持ち、死を覚悟して戦う」。紛争で親類2人を亡くしたアルバニア系団員は思い詰めた表情で話しかけてきた。しかし、演奏会でベートーベンの交響曲第7番を弾き終わると、その団員は「音楽に国境があってはいけない」と気持ちを切り替えてくれたという。人の心を和らげ、結びつける音楽の力を確信した柳澤さんは、活動の拠点をコソボに移し、「すべての民族に開放した楽団を作ろう」と決意した。

 各地の交響楽団に声をかけ、「バルカン室内管弦楽団」を設立したのは同年6月。団員は少しずつ増え、今ではマケドニア人、ボスニア人、アルバニア人ら計20人になった。団員たちは普段は各地の楽団に所属しつつ、演奏会の時にだけ参集する。対立の歴史から、旧ユーゴ連邦各地の楽団はそれぞれほぼ単一民族で構成されてきただけに、日本人柳澤さんの試みは次第に注目を集めていった。

 ただ、現地での財政的な支援はほとんどなく、各地から団員を呼びよせる際の費用にも事欠いた。このため、柳澤さんが今年2月、日本で支援を募ったところ、マケドニア名誉総領事の水野清・元衆院議員(83)から、セゾン文化財団の堤清二理事長(81)を紹介され、助成を受けられることに。6月12日にコソボの首都にある教会で、念願の演奏会を開催できる運びになった。

 日本に妻と2歳の長男を残し、1年の半分以上をバルカン半島で過ごす柳澤さん。断水も頻繁に起きるコソボのアパートの一室で、冬にはコートを着込んで寒さをしのぎ、ろうそくの明かりで譜面を読む。

 そんな生活の中、バルカン室内管弦楽団を率いて、日米欧諸国で公演する日を夢見る。「民族間の亀裂を音楽で修復するとともに、演奏会を通じてバルカン半島の現状を知ってほしい」。柳澤さんは、紛争の繰り返されてきた地に平和が訪れることを願っている。(小関智宏)


柳澤寿男.jpgこの記事を見て考えてしまいました。果たして音楽が民族紛争、いがみ合いを少しでも抑制し、平和をもたす力を持つか、ぜひ応援したいと心から願わずにはいられません。

そして、平和な国で、立派なコンサートホールで演奏される音楽と、こうした緊張下にある状況で、場合によっては戦火に怯えつつ聴く音楽はどう違って来るのかと言うことにも興味があります。

思い出されるCDが2つあります。ソ連のクーデターのさなかに録音されたという、モスクワ放送響/フェドセーエフによる、ショスタコーヴィチ交響曲第5番。そして、ベルリンの壁崩壊直後のバイエルン放送響/バーンスタイン他によるベートーヴェン交響曲第9番です。

ある種の興奮や緊張に満ちた演奏になる可能性もあり、特に後者はバーンスタインが歌詞まで一部変更して演奏したということです。
平和下のコンサートでは得られない素晴らしいものとなる可能性も秘めているかも知れません。

コソボフィルの音楽が平和に貢献することを願ってやみません。
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前衛音楽 [音楽/読書]

asahi.com 徐々にクセになる不愉快さ CD「ストレス」

ストレス.jpg  「癒やし系」と相場が決まっているクラシックのコンピレーション(寄せ集め)CDに、「ストレス」なるタイトルの1枚が登場した。蛭子能収が描くジャケットのインパクトもあってか、約5千枚と健闘している。

 全17曲、確かに1曲として落ち着いて聴いていられない。冒頭からキコキコとバイオリンの高音が耳をつく米国の前衛作曲家ジョージ・クラムの「ブラック・エンジェルズ」。歯医者で虫歯をいじられている気分になってくる。

 が、その不愉快な感じが徐々にクセになる。リゲティの「ムジカ・リチェルカータ」はピアノが同じ音を様々なリズムパターンで連打するだけ。打楽器の強烈な後うちに追い立てられるショスタコービチの交響曲第10番に、運動会を思い出して駆け出しそうになるカバレフスキーの「道化師/ギャロップ」。音楽様式の博覧会といった風情だ。

 企画したエイベックス・クラシックスの中島浩之プロデューサーは「癒やし系のCDばかりつくっていて、ちょっと欲求不満だった」と語る。

 「妙に気に障ったり、異様に血が騒いだり。こういう音楽にこそクラシックの醍醐味(だいごみ)があると思うが、業界では売れないとされる。『ストレス』という意表を突くタイトルなら、怖いもの見たさで手をのばした人が『意外にカッコいいじゃん』と目を開いてくれるかも、と考えた」

 ファン開拓には癒やし系――。カラヤン指揮のムーディーなナンバーを集めた89年のCD「アダージョ・カラヤン」が爆発的に売れて以来、クラシック業界はこの呪縛から抜け出せない。結果として耳に快いごく一部の曲を「これぞクラシック!」と聴衆に強(し)い、楽しみの枠を狭めてきたとも言えないだろうか。

 思えば、ドラマ「結婚できない男」では主人公の阿部寛がショスタコービチの交響曲を大音響で聴き、「のだめカンタービレ」でもストラビンスキーがごく普通に流れた。「ストレス」などと自虐的にならずとも、多彩な楽曲を受け入れる感性の土壌は十分に育っているんじゃないか。思いのほか楽しい「ストレス」CDに、そんなことを考えさせられた。(吉田純子)


アダージョカラヤン.jpg面白いコンピレーションCDが出て来たものです。これもクラシックが少しずつ浸透して来た証左と言えるのかも知れません。

「前衛的」とくくられる、現代音楽などをどこまで観賞できるか、聴く人の個人差があるように思います。私個人は、ドビュッシーの前奏曲集第2巻とか、一部のショスタコーヴィチの交響曲など、なかなかついて行けない曲があります。

逆にモーツァルトばかり聴いていたら、今まで聴いたことのない曲ばかりだとしても、早々に飽きてしまいそうです。聴く人それぞれで、どのくらいの曲まで楽しめるかの差が大きいのかも知れません。
以前テレビ番組で一度見たのですが、譜面の上に葉っぱを書いて、五線との交差部に音符を書いて作曲して行くものがありました。詳細はわかりませんが、こんなものを曲と言えるのか、私は否定的に考えています。

いずれにしてもクラシックは宝の山です。自分の好きな作曲家を一人決めて聴いてみようと思ったとしても膨大な曲があります。好きなものを選んで聴く、という聴き方で十分なのかも知れません。
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地方自治体図書館と外部委託 [音楽/読書]

河北新報 三沢市 図書館運営を民間委託 年間経費4000万円削減

三沢市立図書館.jpg  青森県三沢市は4月から、市立図書館の運営に指定管理者制度を導入し、図書館のすべての業務を民間専門業者に委託する。行政改革の一環で、青森県内では初めての試み。開館日の増加などサービスが強化され、市民の利便性が向上しそうだ。

 指定管理者には東京の専門会社図書館流通センターを選定。カウンター業務だけでなく、図書選定、検索や相談の業務、経理など事務部門も委託する。同社社員が館長を務め、地元採用のスタッフ11人が働く。

 大きなメリットはコストの削減。市企画管理課によると、経費は年間4000万円をカットできるという。開館日も増加。これまでは毎週月曜日、祝祭日などが休館日だったが、4月からは祝日も開館し、定休日だった月曜も月2回開く。

 図書館の専門性向上も期待できそう。市立図書館は「市職員だと3、4年で異動になってしまう。民間のスタッフが長期間勤務すれば、技術や知識を身に付け、図書に関する専門性を高めていける」と話している。

 青森県内では2005年、三戸町立図書館がカウンター業務だけ民間委託しているが、図書の選定や事務部門も含めた委託は三沢市が初めて。


VIAX.JPG素朴な、かつ大きな疑問を持ちます。図書館を運営している自治体が、自らの職員(地方公務員)を図書館に配置して業務を行うのと比べて、アウトソーシングに切り換えると、魔法のように大幅な経費削減とサービス向上が行えるのでしょうか。

私が訪れたことのある図書館で言うと、東京都千代田区・北区・板橋区等でVIAXという会社に図書館業務を委託しているようです。委託前と比べて著しく大きな変化が見られたということはありませんでしたが、図書館によっては感じの良い人が増えたという印象がありました。

良いことずくめのようですが、大きな疑問符が灯ります。なぜ経費が削減できて、サービス向上が実現できるか。単純に考えれば、例えば東京都特別区職員の給与に比べてVIAX社員の給与は著しく低く抑えられている。また、区職員が非常に非効率的に配置され、公務員につきものの「休まず」「遅れず」「働かず」を実践していたのではないか‥ということがすぐ思い浮かびます。

どちらも事実であれば、困った、または情けない問題です。一部大手企業でパートや契約社員を正社員待遇に切り換えて行く動きが出て来ている昨今、これに逆行するような動きです。きっと公務員なら日曜出勤や時間外手当がきちんと支給されているところ、派遣会社の社員は一日単価が決まっている程度で、かなり安く雇用されているのではないかと思います。しかし一方で彼らは一生懸命働き、それでも図書館利用者に何か不手際や気に入らないところを見つけられると、役所の担当部課にいいつけられ、おそろしいネガティブフィードバックがかかってしまう宿命を負っていると想像されます。

利用者や自治体に取っては良いシステムのようでも、実際に図書館で勤務する派遣社員の人たちのことを考えると、心配が尽きません。
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遠藤周作 [音楽/読書]

西日本新聞 「遠藤周作を偲ぶ一日」 「沈黙」めぐり対談 作家の青来さんと下野教授 長崎市の文学館

 長崎を舞台にした小説「沈黙」で知られる作家の故遠藤周作氏をしのぶ文学イベント「遠藤周作を偲(しの)ぶ一日」が23日、長崎市東出津町の同市遠藤周作文学館であり、同市在住の作家青来有一さん(49)と長崎シーボルト大の下野孝文教授(49)が「沈黙」をテーマに対談した。

 同文学館がある外海地区は、「沈黙」に登場する架空の村・トモギ村のモデルになったとされる地。下野教授は、江戸時代のキリシタン弾圧の歴史などを解説し、作品のキーワードでもある「沈黙」の意味を青来さんに問い掛けた。

 長崎奉行所に追われたポルトガル人司祭が神に呼び掛けても神が沈黙したままだったということについて、青来さんは「(沈黙は)言葉がはね返ってくる壁のようなものとして書かれている。1つの小説的な技法として非常に大きな意味を持つ」などと語った。

 約100人の市民が来場。同市油木町の主婦吉野ちえこさん(71)は「作品中、司祭が踏み絵を踏まされる場面で、神が沈黙を破って『踏みなさい』と語り掛けてくる意味を探していた。難しいテーマだが、これからも考えを深めていきたい」と話した。

私自身は無宗教・無神論者で、どんな宗教も信じては来なかったし、今も信じていません。不勉強で偉そうなことは言えませんが、世界史を客観的に捉えようと思ったら一つの宗教に与していたら難しいのではないかとさえ思います。

しかし遠藤周作の考えるキリスト像には感銘を受けました。神の定めた戒律を破ると厳しい罰を受けるというキリスト教と違い、人間は弱いものであり、それをマリアが許すという考え方ととらえました。
またキリスト自身も奇跡を起こしたのではなく、病める人の手を握ってその苦しみ・悲しみを分かち合おうとしたのだとしています。
これは遠藤周作の純文学以外でも、いわゆる中間小説でも示されています。「ヘチマくん」「おバカさん」「わたしが・棄てた・女」の登場人物はみな、キリストと同じ存在として書かれていると信じています。また「イヤな奴」でライ病患者との親善野球試合中、ボールでタッチされる寸前に立ち止まってしまう、弱い「私」を非難することができる人はいないでしょう。

宗教としてのキリスト教を信じてはいないのですが、遠藤周作の描くキリスト像には今でも共感を覚えずにはいられません。

そして、弱い立場に立たされた他人を徹底的に糾弾し、刑事厳罰などどこまでも下へ突き落とそうとする昨今の風潮を見るにつけ、今の日本人の心の貧しさを感じてしまいます。誰かを突き落とすことで自分が幸福になれるという幻想から逃れられないのでしょうか。


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シューベルトのヴァイオリンソナタ~LFJ [音楽/読書]

樫本シューベルトソナチネ.jpg以前に取り上げたように、今年のGWも、東京国際フォーラムで「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」が開催されました。今年はシューベルト特集で、交響曲から室内楽まで多くの曲が分科会形式で演奏されたようです。

今回は聴きに行ったプログラムが少なかったのですが、たまたま最終日の最終時間帯に聴いた、シューベルトのヴァイオリンソナタ(ソナチネとも呼ばれる)を聴いていて感じたことを書いてみようと思います。

演奏者は、Vnは樫本大進、Pfはフランク・ブラレイというフランスのピアニストでした。大きなミスタッチや音程のはずれなどもありませんでしたが、あまり洗練された演奏とは言えないように感じました。特に1番、2番はPfとVnのアゴーギクがあまりかみ合わないところもあり、二重奏の難しさを垣間見た気がしました。

樫本大進メンデルスゾーン.jpg現実的にはこのLFJで、樫本、ブラレイとも他の曲もこなさなければならず、このシューベルトのソナチネの練習に割くことのできた時間に限界があったことも考えられます。現にもっと大変な曲でも暗譜で弾いている樫本も、比較的技術的には楽そうなこのヴァイオリンソナタの演奏中、楽譜を見ていました。

しかし思い出したのはある評論です。室内楽ではなく管弦楽曲について書かれていたと記憶していますが、モーツァルトは今や最も演奏の難しいものになってしまったというものです。音符が少ない分、その表現は難しさを伴うという趣旨だったと思います。

このシューベルトのソナチネも、Vnはわかりませんが、Pfは技術的にはそれほど難しいものとは思いません。和音も難解なものもなく、弾きやすい反面、特にVnと一緒になってどう曲を作っていくかという意味においては大変難しいのかも知れません。演奏家の真価が問われてしまうのかも知れません。

それはさておき、LFJの徴収動員数は年々増加しているとのことで、クラシック回帰は喜ばしいことと思っています。できれば金沢は時期をずらせて実施してもらえるとありがたいと思いますが。
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