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マーラー8番:都響/インバル [音楽/読書]

インバル都響.JPG4月29日、ミューザ川崎にて、都響/インバルの演奏会がありました。マーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」を聴いて来ました。

フルボルテージの合唱で始まるこの曲、緊張のピアニッシモを求められる部分は多くありません。第1部、第2部ともに盛り上がって曲を閉じます。

インバルはオケと合唱に比較的速いテンポを与えます。チェリビダッケにも師事したことがあるとの記載がありましたが、チェリビダッケとは対照的に、たっぷり歌わせる部分以外は比較的オケの尻を叩いて巻いているように見えます。

一方インバルのタクトは、例えば4拍子であれば、4拍目の途中で一瞬止まります。音楽を停めてしまいそうに見えますが、そこでスピード調節をしているようです。次の楽句にうつる前の“ため”を作っているのでしょうか。

インバル.jpg誰かの評論で、この都響と若杉弘による千人の交響曲を評して、この曲が昇天していく過程を表していることがよくわかった、というものがありました。都響とインバルの今回の演奏でもそれは実感することが出来ました。
死を極端に恐れたとされるマーラーが、死後の世界をこれだけ素晴らしいものであるはずだ、と描き出したと思われるこの曲で、天国に向かって進んで行く様子が感じられました。

晋友会の合唱は大変整ったもので、インバルの指揮にきちんとついて行きます。噂に違わぬ実力と思われました。

満足できる演奏であったと思っています。今後の都響とインバルに期待したいと思います。
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エリアフ・インバルと都響 [音楽/読書]

asahi.com 「古典を核にプログラム」 インバル、春から都響の主席指揮者に

 イスラエルの指揮者エリアフ・インバルが4月、東京都交響楽団のプリンシパルコンダクター(首席指揮者)に就任する。任期は3年。新たなファン層開拓が求められている都響。「古典を核に、現代音楽をどう織り交ぜるかが、プログラム作りの鍵だ」と語った。

 インバルは36年生まれ。マーラーやブルックナーを得意とし、フランクフルト放送交響楽団やベルリン交響楽団などを率いてきた。日本の楽壇とは35年のつきあい。都響でも、95年から00年まで特別客演指揮者を務めた。

 都響の演奏について「外来の指揮者から多彩な様式を吸収してきたためか、マーラーの演奏も、単に厚く重いだけのものから、軽みを帯びた力強いものになってきた」と評価する。

 4月の就任披露公演では、マーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」を演奏する。翌年にはラベルを振る予定だ。「代わり映えしないとの声も聞く。でも、長く演奏され続けている曲こそが真に創造的で、新しいものを提唱できるのだと伝えたい」と語る。

 「新しいものを『進化』としてあがめるのは西洋の発想。変わらぬものに価値を置く文化を持ってきた日本人の方が、『創造』の本当の意味を知っているのではないですか」

 ただ、新作を軽視しているわけではない。新作を演奏することは「演奏家の義務」との思いがある。

 「ストラビンスキーの『春の祭典』の初演に立ち会った人の何人が、これがいつか古典になると想像したか。新作を世に出す人がいて初めて、100年後に古典になる曲が生まれる。私たちは今日も次のストラビンスキーやバルトークを聴いているかもしれない。そんな気持ちで一つひとつの作品の誕生に臨みたい」

 作品が後世に残るかどうかを決めるのは聴衆だ、とも言う。

 「聴衆は、いつの時代も本能的に『残るもの』を精査する力を持っている。評論家が酷評しても、残るものは残る。聴衆を過小評価し、専門家の意見に流されていては、本物は見抜けない。今こそ私たちは聴衆の力を信じるべきなのです」

 都響は、大ヒットドラマ「のだめカンタービレ」に全面協力したこともあり、クラシックの公演に初めて足を運ぶ聴衆が増えた。どんなプログラムで彼らを取り込むかが問われている。

 「若い人が新しいものを望んでいるとも限らない。ベートーベンやモーツァルトといった古典の公演に、好んで足を運んでいる。古典の中に現代音楽をうまく織り交ぜてプログラムを構成する。それは、とても創造的な仕事だと思います」

インバルの一ファンとしては取り上げない訳には行かない記事です。少し古い1月のものです。以前にもインバル/都響の第九についても書きました。

又聞きの伝聞になるので情報の確度は何とも言えませんが、H.カラヤン、C.アバドの後ベルリンフィルのシェフを決めるのに、S.ラトル、D.バレンボイムの名が上がったとされますが、この時インバルも候補には挙がっていたという話もあるようです。
もちろん結果的にはラトルが就任、その後のインバルは当時手兵のベルリン響を、ベルリンフィルに劣らぬオーケストラに育てるつもりだという発言をしていたと記憶しています。

そうしてみると、インバルの“野望”は果たされぬまま、日本の都響に着任する、ということになります。ファンとしてはちょっと複雑な気持ちではあります。

もう一つ気になったのが、先のフィルハーモニアオーケストラとのマーラー公演のプログラムに誰かが寄稿していた文章だったと思うのですが、最近インバルは丸くなったというコメントがありました。
インバルは客演も含めて、かなりきっちり練習しないと気が済まないという評を見たことがあったので、少なくとも自分の考えている音楽を最大限に聴衆に伝えようという意志が感じられました。ところが、丸くなったということは、ほどほどのところで妥協してしまっているのではないかという懸念があります。

しかし経緯はともかく、4月以降インバルの作り出す音楽に接するチャンスが増えることは素直に嬉しいことと考えたいと思います。これからインバルの演奏を聴いて、彼がどう変わっていくか、変わらないか、確かめたいと思っています。


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ラ・フォル・ジュルネ・オ・カナザワ [音楽/読書]

北國新聞 「熱狂の日」金沢で開催 仏発祥の世界的音楽祭 5月、東京に次ぎ国内2番目

 フランス発祥の世界的音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」が、今年五月の大型連休中に金沢市内を会場に開催されることが決まった。県立音楽堂を中心とした一帯がコンサート会場となり、世界トップクラスの音楽家が多彩なプログラムで競演する。国内での開催は東京に次いで二番目で、集客力のある新たなイベントの誘致で、県などは二〇一四(平成二十六)年度末とされる北陸新幹線金沢開業後の首都圏や沿線からの誘客の目玉の一つにしたい考えである。  北國新聞社の新春鼎談(ていだん)の中で、谷本正憲知事が明らかにした。世界最大級の音楽祭である「ラ・フォル・ジュルネ」は、一九九五年から毎年、欧州を中心に開催されており、国内では〇五年から都内でも開かれている。

 県や金沢市が誘致を働き掛け、今年からは東京に加えて金沢市でも同時期に開催することになった。金沢市は世界で六番目の会場となる。

 音楽祭は、世界各国の一流音楽家によるさまざまな趣向を凝らしたクラシックを中心とした公演を低料金で提供し、本格志向の愛好者から子どもまでが気軽に楽しめるのが特徴となっている。

 「ラ・フォル・ジュルネ金沢 『熱狂の日』音楽祭2008」(仮称)の開催期間は五月三日から三日間を予定しており、県立音楽堂や金沢市アートホールをはじめ、駅周辺全体が音楽祭一色となるような仕掛けも予定されている。

 今年の東京会場では、「シューベルトとウィーン」をテーマに約三百九十公演を開催予定。関係者によると、金沢会場ではベートーベンをテーマに、東京とは別のプログラムを設定する方向で調整しているという。具体的な公演内容などは、今月下旬にも官民一体となった実行委員会を発足させ、検討を進める。

 ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日) 1995年にフランス・ナントで始まったクラシック音楽祭。これまでに、ポルトガルのリスボン、スペインのビルバオ、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ、東京で開催されている。来場者がコンサートをはしごして楽しめるよう、1公演を45分程度と短く設定するほか、民族楽器などの演奏を体験できるワークショップやゼロ歳児を対象にした演奏会など、多彩なイベントで聴衆を魅了する。昨年の東京会場では約400公演が繰り広げられ、来場者は100万人を超えた。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンについては何度か取り上げて来ました。実際に私が聴きに行った昨年5月の東京国際フォーラムでの様子を 本ブログでご紹介しました 。必ずしも演奏会会場としては優れているとは言えないものの、多くの演奏を聴く機会に恵まれるという点では大変良いイベントと思います。

一方、金沢がクラシック音楽にかける意気込みは、やはり昨年金沢で シューベルト・フェスティバルin金沢 が行われたことを紹介しました。既にこのフェスティバルが、ラ・フォル・ジュルネと似たような催しではあります。

一つだけ苦言?を呈しておくと、このラ・フォル・ジュルネ・オ・カナザワを東京と日程を重ねないで欲しかったと思います。国内外の演奏家も5月3~5日は東京と金沢のいずれかしか出演できず、また聴きたい人もどちらかしか聴けません。
日程を重ねずに両方とも東京でやれ、などというけしからぬことは言いません。ただ時期をずらしてもらえると良かったかと思います。
日本では4~5月のGW、8月のお盆、年末年始がまとまった休みを取りやすい時期で、さすがに正月という訳には行かないでしょうから、暑いですが8月に冷房の効いた会場でベートーヴェンを聴きたかったと思います。時期がずれていたら金沢まで聴きに行ったかも知れません。

それはさておき、以前にも書きましたが、こうして日本にクラシックが浸透して来たのは嬉しい限りです。「音楽を名乗る騒音」が地盤沈下して、私同様クラシックに関心をシフトさせる人が増えて来たことも一因かも知れないと考えています。
各地でこうした催しがもっと増えることを期待したいと思います。ただ、時期を相互に調整して欲しいと希望します。


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小田和正 [音楽/読書]

asahi.com 小田和正、「自己ベスト―2」で記録更新 60代初の1位

 11月28日に発売された小田和正のアルバム「自己ベスト―2」が、12月10日付オリコン・アルバムランキングに初登場で1位になった、とオリコンが発表した。60歳3カ月での1位獲得は、シングルを含めても初の快挙だという。(アサヒ・コム編集部)

 オリコンによると、これまでの最年長記録は、やはり小田だった。05年6月発売の「そうかな」のときの57歳9カ月。小田は30代のときオフコースで、40代、50代ではソロとしてアルバム1位を獲得しており、30代~60代までの各年代で1位となった。

 「自己ベスト2」は、2002年に発売されて230万枚を超えるヒットとなった「自己ベスト」に続くベスト版の第2弾。ドラマ主題歌に起用されてシングルランキング1位となった「こころ」や、NHK連続テレビ小説主題歌の「ダイジョウブ」など全15曲が収録されている。「こころ」は59歳11カ月で1位、というシングル最年長記録の曲でもある。

     ◇

〈アルバム年長1位記録TOP5〉

 1位 60歳3カ月 小田和正 「自己ベスト2」
 2位 52歳3カ月 竹内まりや 「Denim」
 3位 51歳0カ月 井上陽水 「GOLDEN BEST」
 4位 49歳9カ月 山下達郎 「RARITIES」
 5位 47歳11カ月 浜田省吾 「The History of Shogo Hamada”Since 1975”」


今のいわゆるJ-POPについて行けず、クラシックの世界に逃げ込んで久しいのですが、小田和正だけは聴きます。
言葉を持たない曲‥交響曲やピアノソナタ、素晴らしい音楽の宝の山であるクラシックはまだまだいくらでも聴くべき、聴いていない曲がたくさんあります。

小田の曲は、心をわしづかみにし、琴線に触れるどころかゆさぶります。これはクラシックの曲でもなかなかありません。日本語の歌詞を持つからでしょうか。

オフコース5人時代の頃から聴いていました。鈴木康博が抜け、ついで4人のオフコースも解散しました。
この頃の歌詞は聴きようによっては、最初のパートナー鈴木康博に対するメッセージともとれるものが多かったように思います。最近の曲ではその傾向は薄れ、純粋に愛や同世代へのメッセージに聞こえるものが多いように思います。

60歳にしてこの声域、そして今でも恋をしているのではないかと思われるような歌詞、これが小田の魅力なのかも知れません。

忘れられた歌手をひとりで聴き続けているつもりでいたら、テレビへの露出も増え、挙げ句にヒットチャート1位にまでなってしまうと、ちょっと複雑な気持ちでもあります。
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演奏家と曲選び [音楽/読書]

河北新報 孤高のピアニストに焦点 仙台出身小林さん撮影

 世界的に人気が高いピアニスト、フジ子・ヘミング(74)を撮った写真集「FUZJKO(フジコ)」が発行された。撮影したのは、フランスを中心に活動する仙台市出身のオルガニスト、写真家の小林丸人さん(49)。波乱の生き方をしてきた孤高の演奏者フジ子の物憂げな表情が印象的だ。

 写真集はモノクロ、130ページ。リハーサル時の真剣な目、たばこをくわえ、カフェでくつろぐ様子、愛する猫と犬との暮らし…。写っているのはフジ子一人で、笑顔や会話のシーンはない。こびない演奏を貫くフジ子らしい存在感が感じられる。

 5歳でピアノを始めた小林さんは東北学院榴ケ岡高、中央大を卒業後、パリに渡り、スコラ・カントラム音楽院オルガン科で学んだ。同音楽院を卒業後もフランスで演奏を続けており、CD「ORGUE」が高く評価されている。写真家としても活躍中で、フジ子のCDジャケット写真も撮っている。

 日本やドイツ、米国などで演奏していたフジ子が2002年、パリを拠点にしたときから、小林さんは公演を手伝いながら撮影している。

 今月中旬に一時帰国した小林さんは「フジ子は不器用だが、演奏は感性豊かで批判を恐れない強さがある。強烈な個性が受けて、春の武道館公演は立ち見が出たほど。そんなフジ子の一面を知ってもらえればうれしい」と話している。  「FUZJKO」(書肆林檎社)は2400円。

フジ子・ヘミングについてはテレビに取り上げられてから“ブレイク”し、さらに活躍の場面を広げているようです。アルバムも複数出し、評価を得ています。

そんな演奏家であるからこそ、たまたま見つけた疑問について書いてみようと考えました。

たまたま、ショパンのポロネーズ第6番「英雄」を聴き比べする機会がありました。この曲はポピュラーですが、ヴィルトゥオージティを問われる曲で、高度なテクニックを求められます。ショパンの内面の多面的な感情を含むともされますが、まずは華やかな曲ではあります。

目に付いただけでも、A.コルトー、A.ルービンシュタイン、M.ポリーニ、M.アルゲリッチ、V.アシュケナージ、日本人でも清水和音、小山実稚恵‥多数の演奏がすぐ聴けます。

それぞれよく聴き比べると、強調する部分、流す部分、アゴーギクはバラエティに富んでいます。さらによく聴くと、どの演奏も細かいところではミスタッチがどうしてもあるというのが、この曲の演奏の難しさを良く現しています。

そこでこのフジ子・ヘミングの演奏も聴いてみました。そうするとどうしても疑問符が灯ってしまうのです。

繰り返し出てくる主題は2回目以降は右手の三音の和音で演奏されます。オクターブの間にもう一音存在します。例えば最初の和音はF-Des-Fです。ところがフジ子はこの中間の音を一切弾かないのです。空虚なオクターブ=ユニゾンのみで演奏します。

さらに中間部でこの曲の演奏の難しさの一つと言われている、左手オクターブ連打があります。聴きようによっては機関車のように聞こえる部分です。E,Dis,Cis,Hオクターブを左手のみで繰り返し弾きます。両手で弾けば何ということもありませんが、左手のみで奏するのはかなり難しそうです。アルゲリッチなどはすごい勢いでまるで戦車のような演奏です。
ここをフジ子は、どう聴いても、上の音のみを弾き、下の音を省略しているようです。聴かせどころの一つであるこの部分を、一体どうしたものかと首をかしげてしまいます。

名だたるピアニストと言えども、手が小さい等でオクターブ連打はきついのか、また前者のユニゾン弾きでは聴力の問題で、音符を抜くことによる影響を軽視してしまったのか、理由がわかりません。こんな大切な音を抜いて演奏してしまう演奏家は他にいないので目立ってしまいます。

他の曲を試聴してみたところでは、評判に違わぬ優れたものも多いので、どうしてこの曲を弾いてCDに含めたかがわからないのです。どんなピアニストも自分の弾きたい曲以外は弾く必要もないし、リリースする必要もないと思うのです。

もっと自分の好きな、思い入れのある曲をどんどん弾いてもらいたいと思っています。


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ショスタコーヴィチと井上道義 [音楽/読書]

asahi.com 井上道義、ショスタコービチ全15曲演奏に挑む

 ショスタコービチの15の交響曲すべてを8日がかりで演奏するプロジェクトに指揮者の井上道義が挑む。東京フィルハーモニー交響楽団など五つのオーケストラを振る。

 井上はショスタコービチを「異常なまでに難解というイメージを持たれている」と評する。彼が生きた社会主義の時代を、過剰に音楽に関連づけて語る風潮にあるからだという。「風刺や反骨の精神の持ち主だったが、それ以上に自らの音楽のなかに遊ぶ天才だったのだと僕は思う」

 ショスタコービチの譜面には、同時代の作曲家たちとは異なり、フォルテやクレッシェンドといった演奏への指示が極めて少ない。「モーツァルトなどの古典派音楽と同じ気持ちで向き合い直している」

 会場に選んだのは日比谷公会堂。ショスタコービチの交響曲のうち7曲はここで日本初演された。「日本のクラシックのルーツ。渋い建物の感触は、飾りのない彼の音楽にぴったり」

 3千円。公演は3、4、10、11、18日、12月1、5、9日。11月25日には東京アカデミッシェカペレの参加公演も。カジモト・イープラス(0570・06・9960)。

11月のニュース記事です。音楽は楽譜に書かれ作曲家の手を離れたら、演奏者のものだという考え方もあります。演奏する時に楽譜に書かれたことだけから音楽を作り出す考え方と、ショスタコーヴィチならその曲の書かれた時の政治や生活環境をも考えてタクトを振るというアプローチもあるでしょう。

例えば、ショスタコーヴィチの交響曲の中で最もポピュラーと言える第5番の終楽章は「強制された歓喜」である、という説が強くなっています。どうしてもスターリン体制が曲に重なってしまうのでしょう。
この楽章はニ短調で始まります。最後にはニ長調となり、Dのユニゾンで曲は終わります。
色々なアプローチはあって良いと思いますが、楽譜に示された和音進行から、ベートーヴェンの第5番フィナーレと同じような曲作りをしようと思う指揮者もあまりいないと思います。さりとて、最後のDのユニゾンは実はニ短調に戻ったのだ、と無理矢理考えて演奏しようとしても、それは難しそうです。

作曲者が楽譜の上に残したもののみから音楽を作っても良いのではないでしょうか。ある程度のテンポとpやfの指示の範囲で、もっと抽象的な、言葉で説明できないような音楽を作り上げるという姿勢であって良いと思います。
演奏が作曲の背景等の言葉ですべて解説されてしまうようなものであっては、芸術性が高いとは言えないと考えています。


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インバル/都響の第九 [音楽/読書]

ベートーヴェン交響曲第9番「合唱付き」は、あまりにも日本人の年末と関連づけられ、またアマチュア合唱団も年末に向けて練習を重ね、多くのコンサートホールで第九が演奏されていることと思います。

ただ、小中学校の音楽の教科書も変貌を遂げ、もしかすると「歓喜の歌」も「遠き山に日は落ちて」も今の子供達は教わっていないのではないかという心配もありますが。

しかし何より第九はあまりにも有名であり、わざわざ生演奏を聴きに行く気が起きず、これまで第九の生を聴いたことがありませんでした。CDだけはフルトヴェングラー/バイエルン放送響はじめ、バーンスタイン、ヴァント、ムーティ等多数手元にあります。CDさえ普段はあまり聴いていませんでした。

間もなく都響のシェフに就任しそうなインバルが本日池袋・東京芸術劇場で都響・二期会合唱団と第九を休日に演奏するということで、一応インバルファンの私としては行かないわけにいかなく(?)なりました。

本日の演目は、同じベートーヴェンの「レオノーレ序曲第3番」、そして第九でした。
レオノーレでは、都響はインバルの指揮棒によくついて行き、歯切れの良い演奏を聴かせてくれました。
一方第九では、インバルはかなりの速さでオケを引っ張ろうとするのですが、オケがついて行けていないように見えました。第1楽章では1小節くらい指揮棒が先に行っているように見えるところもあり、事前に徹底的に練習すると言われるインバルと都響がどのくらい練習していたのかが気になりました。
勘ぐれば今回都響とマーラーの6番、7番も演奏したようで、そちらに注力したあまり第九がちょっとお留守になったのではないかとも想像できます。

フィナーレに至るまでインバルのテンポは速く、デュナーミクも豊かな表現ではありました。フォルテッシモを与える時のインバルの両手は高く上がり、時に左手は天を指し、元気な姿はよく伝わって来ました。

人間は加齢に伴って時間の経過が早く感じられるようになるので、音楽においてもテンポが速くなるのでしょうか。一方でチェリビダッケのように極端に遅いテンポになっていった指揮者もいます。音楽家の精神的熟成に伴う変化と考えるべきなのでしょうか。

都響のシェフになれば、インバルの指揮を見る(聴く)チャンスも増えそうで、今後期待したいと思っています。


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シューベルト・フェスティバルin金沢 [音楽/読書]

北國新聞 会場に美声あふれる シューベルトフェス幕開け 県立音楽堂 /石川

 2007ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭(同実行委員会、県、財団法人県芸術文化協会主催)の自主事業「シューベルト・フェスティバルin金沢」が2日、金沢市の県立音楽堂で6日間の幕を開けた。7日まで交響曲や歌曲などの多彩な公演で、シューベルトの魅力を余すことなく伝える。同市の金沢21世紀美術館では、芸文協加盟団体の参加事業である「第64回北國写真展」(北國写真連盟、北國新聞社主催)が始まり、趣向を凝らした144点が来場者の関心を集めた。
 シューベルト・フェスティバル初日は、同音楽堂交流ホールで県内在住の声楽家による名歌曲コンサートが開かれた。「歌曲の王」と称されるシューベルトの名曲が次々と披露され、美しく澄んだ歌声が会場を包んだ。

 音楽評論家の響敏也さんはトークショーで、「ベートーベンとモーツァルトに憧(あこが)れを抱き、交響曲には二人への畏敬(いけい)の念が刻まれている」とシューベルトの人物像を紹介した。ピアノ作品を演奏するミニコンサートも開かれた。

 開幕式では、稲垣渉芸文協副会長、山腰茂樹県立音楽堂館長があいさつし、大野由加さんのピアノ伴奏で、声楽家の安藤常光さん(バリトン)、稲垣絢子さん(ソプラノ)が「魔王」「アヴェ・マリア」などで美声を響かせた。

 三日は午後七時から、同音楽堂コンサートホールでオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の公演が行われる。五日はピアニスト仲道郁代さんとOEKメンバーによる室内楽コンサート、六日は「オーケストラと歌曲の夕べ」が開かれる。

先に取り上げた、東京国際フォーラムで数年前から毎年GWに行われる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」、2008年はシューベルト特集予定と聞きました。
そうしてみると、この金沢の催しは、多少それを意識した前哨戦という側面もあるのかも知れません。

6日間の日程であればかなり多くの曲を聴くチャンスに恵まれるでしょう。ラ・フォル‥の方は分科会式ですから、同時には聴けないステージも多いのですが、金沢のこのフェスティバルはどうだったのでしょう。

交響曲にしてみても、ザ・グレートと未完成が有名ではありますが、他の曲も聴きやすく、また室内楽にも優れたものがあり、近くだったら行ってみたかったところです。

クラシックがこうして各地で浸透しつつあるのは大変嬉しいことです。反面今の日本の“音楽”が結局は受け入れなくなりつつあるような話を聞きました。

カラオケに行って歌われる曲の多くが昭和歌謡だと言うのです。生前の阿久悠がラジオ等で話していたようにも思いましたが、今の曲は一緒に口ずさめるものがない、ということ。私自身は既に今の楽曲について行くことを放棄してしまったのでコメントする資格がないかも知れませんが、放棄寸前には同様の感想を持っていました。

結局ジャンルを問わず、ヒトの心にしみて行く音楽だけが残ることと思います。


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全国でクラシックを [音楽/読書]

上毛新聞 草津音楽アカデミー開幕

 世界各国から一流の演奏家が集い、コンサートと若手演奏家のレッスンを行う第二十八回草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティバル(関信越音楽協会、草津町主催)が十七日、草津音楽の森国際コンサートホールで開幕した。三十日までコンサートやレッスン、友の会による街角コンサートなどが行われ、湯の街はクラシック音楽に包まれる。

 今年のフェスティバルは「ベートーベンからブラームスへ」をテーマに、産業革命などの「時代の変革期」に活躍したロマン派の作曲家の作品を中心に取り上げる。ベートーベンをはじめ、シューベルト、メンデルスゾーンなどの名曲を世界的な演奏家が優雅に奏でる。

 オープニング・コンサートでは群馬交響楽団がフランシス・トラビスさんの指揮で、ドボルザークの「バイオリン協奏曲 イ短調」などを演奏。満員の観客を魅了し、同イベントの開幕を華やかに飾った。

毎年東京国際フォーラムで行われる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」のような大きなイベント以外に、こうして各地でクラシック音楽の催しが行われることは嬉しい限りです。
温泉だけで観光客を集めようとするのでなく、こうした演奏会を開催するのは大変有意義なことと思います。

こうした各地のイベントの情報をくまなく収集するのは難しいのですが、他には最近では10月6日から8日まで、兵庫県赤穂市で「赤穂国際音楽祭」が開催されました。
これはオーケストラではなく、室内楽の演奏会で、ある意味地味かも知れませんが、ヴァイオリニスト樫本大進の人気と、赤穂市の街を挙げての一大イベントであるという位置づけもあって、前売り券の売れ行きも上々、実際の会場も満員御礼だったようです。

こうしたイベントが各地でもっと増えてくれることを期待したいと思います。
他のジャンルの音楽も良いけれど、クラシックを「聴かない」のは「もったいない」という気がしています。


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アマオケの祭典 [音楽/読書]

山形新聞 酒田にアマオーケストラ集結 4日間、多彩な音楽イベント

 「全国アマチュアオーケストラフェスティバルinやまがた酒田」が16日、酒田市で開幕した。19日までの4日間、総勢300人によるメーンコンサートや市内での街頭演奏など多彩な音楽イベントを繰り広げる。

 同フェスティバルは、全国のアマチュアオーケストラ145団体で組織する「社団法人日本アマチュアオーケストラ連盟」が毎年、全国各地で開いており、今年で35回目。本県では1976(昭和51)年の山形大会以来、31年ぶり2度目の開催。


16日夜は、幕開けとなる「街かど音楽祭プレコンサート」が酒田市民会館で開かれ、東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターを務めるバイオリニスト三浦章広さんと、ハンガリーを代表する若手ピアニストのファルカシュ・ガーボルさんが出演。2部構成で、第1部ではガーボルさんがリストの「ハンガリー狂詩曲第12番」など3曲を独奏し、第2部では三浦さんとともにブラームスの「バイオリンソナタ第3番」など3曲を演奏した。約350人の聴衆は、響き渡る美しい調べに聴き入っていた。

 17-19日には市交流ひろばや、さかた街なかキャンパスなど市内5カ所で、アンサンブル演奏やピアノ公開レッスンを行う。また、最終日の19日午後2時から酒田市民会館で開かれるメーンコンサートでは、総勢300人が2つのオーケストラを編成し演奏する。



これも既に終了してしまった8月の古いニュース記事です。
今までこうしたアマオケの活動を良く知りませんでした。HPによると日本アマチュアオーケストラ連盟は全国145団体が加盟する組織ということで、その数にはちょっとびっくりしました。はっきり書いてはありませんが、トヨタが後援している組織なのかも知れません。

逆にそれだけの数のオケが所属している組織のイベントということになれば、酒田市に全オケが集まる訳にもいかないでしょうけれど、企画次第では大規模なものも企画できそうですね。


所属オケの一覧を見てみましたが、私が数度に亘って取り上げて来た所沢フィルなどは参加していないようでした。逆に言うと、この連盟以外にも多くのアマオケが存在する訳で、殆ど片隅に追いやられていたクラシックが意外に日本にも根付いているのかと心強くなります。

こうした企画がもっと自分の近くであれば、見に(聴きに)行ってみたいと思います。


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