使いやすい病院 [医療制度/行政]
河北新報 医療現場の声反映 大崎市民病院建て替え
宮城県大崎市は、建て替えを控える市民病院本院(古川)の機能や構造について、医師や看護師ら医療スタッフからのヒアリングを始めた。病院建設に伴い、個別に現場の意見や要望を聴く取り組みは珍しい。「スタッフの働きやすさこそ、患者にとっての安心・安全な医療につながる」との考えに基づき、年度内に策定する建設基本計画に反映させる。
10月に新設した病院建設整備局が、外科や内科など全診療科の科長クラスの医師や看護師、薬剤師、検査技師と面談。病院副院長でもある並木健二局長らが今月末までに計約50人の意見を聴く。
7日のヒアリングには、小児救急科長の工藤充哉医師が出席。現在は大人の患者と一緒の混合病棟になっていることから「子どもの患者のケアにはとても手間がかかる。ミスや事故を防ぐためにも、独立した看護体制をつくってほしい」と要望した。
長期入院児を対象にした院内学級の必要性にも触れたほか、「重度心身障害児のリカバリー(回復)のための病床を設けるよう求める声もあり、応えてあげたい」と患者家族の願いを代弁した。
現在の本院は老朽化が進む本館など3棟を渡り廊下で結んだ構造で、現場から「緊急時の移動に時間がかかる」などと不満が出ている。新病院は現在地を拡張して1棟に機能を集約し、2013年度の開院を目指す。総事業費は160億円を見込んでいる。
通常、自治体病院の建設過程に医療スタッフがかかわる機会は少なく、行政担当者や設計・建設業者が主体となる。その結果、立派でデザイン性は高いが、肝心の医療機能が低く、使い勝手の悪い構造になってしまう例も少なくない。
並木局長は「いい病院をつくるには知恵を絞るしかない。現場の意見をできるだけ取り入れ、患者が安心できる態勢を整えたい」と話している。
評価すべき取り組みだと思います。医療者から見ても、患者側から見ても「使い勝手の良い病院施設」を目指して欲しいと思います。
個人開業医院では、開業しようとする医師が、他の医院を見て回ったり、開業サポート業者がノウハウを提供したりします。それでも必ずしも理想のクリニックが完成するとは限りません。
記事の大崎市民病院はその完成が楽しみです。これが他の自治体病院などの参考になることも期待されます。今までこうした動きがなかったことが逆に残念なくらいです。
以下は蛇足です。東京都立病院が人気のある就職先病院だった頃、東京都は頻繁に各病院を建て替えていました。ところが、大崎市のように、機能的で患者にも医療者にも利便性の高い病院を作るという趣旨ではありません。
この頃の都立病院は各病院各科ごとに、色々な大学の病院の医局からの医師派遣を決めていました。何年か経つとこれを見直そうということで、物理的に病院を壊してしまいます。工事中に“入札”させ、新病院での各科の派遣元医局を全部入れ替えようと言うものでした。
こんなことをしているうちに医師不足が指摘されるようになり、また都立病院はその待遇などから人気就職先病院の地位から滑り落ちて来ていると聞きます。
ある意味対照的なものも感じます。
宮城県大崎市は、建て替えを控える市民病院本院(古川)の機能や構造について、医師や看護師ら医療スタッフからのヒアリングを始めた。病院建設に伴い、個別に現場の意見や要望を聴く取り組みは珍しい。「スタッフの働きやすさこそ、患者にとっての安心・安全な医療につながる」との考えに基づき、年度内に策定する建設基本計画に反映させる。
10月に新設した病院建設整備局が、外科や内科など全診療科の科長クラスの医師や看護師、薬剤師、検査技師と面談。病院副院長でもある並木健二局長らが今月末までに計約50人の意見を聴く。
7日のヒアリングには、小児救急科長の工藤充哉医師が出席。現在は大人の患者と一緒の混合病棟になっていることから「子どもの患者のケアにはとても手間がかかる。ミスや事故を防ぐためにも、独立した看護体制をつくってほしい」と要望した。
長期入院児を対象にした院内学級の必要性にも触れたほか、「重度心身障害児のリカバリー(回復)のための病床を設けるよう求める声もあり、応えてあげたい」と患者家族の願いを代弁した。
現在の本院は老朽化が進む本館など3棟を渡り廊下で結んだ構造で、現場から「緊急時の移動に時間がかかる」などと不満が出ている。新病院は現在地を拡張して1棟に機能を集約し、2013年度の開院を目指す。総事業費は160億円を見込んでいる。
通常、自治体病院の建設過程に医療スタッフがかかわる機会は少なく、行政担当者や設計・建設業者が主体となる。その結果、立派でデザイン性は高いが、肝心の医療機能が低く、使い勝手の悪い構造になってしまう例も少なくない。
並木局長は「いい病院をつくるには知恵を絞るしかない。現場の意見をできるだけ取り入れ、患者が安心できる態勢を整えたい」と話している。
評価すべき取り組みだと思います。医療者から見ても、患者側から見ても「使い勝手の良い病院施設」を目指して欲しいと思います。
個人開業医院では、開業しようとする医師が、他の医院を見て回ったり、開業サポート業者がノウハウを提供したりします。それでも必ずしも理想のクリニックが完成するとは限りません。
記事の大崎市民病院はその完成が楽しみです。これが他の自治体病院などの参考になることも期待されます。今までこうした動きがなかったことが逆に残念なくらいです。
以下は蛇足です。東京都立病院が人気のある就職先病院だった頃、東京都は頻繁に各病院を建て替えていました。ところが、大崎市のように、機能的で患者にも医療者にも利便性の高い病院を作るという趣旨ではありません。
この頃の都立病院は各病院各科ごとに、色々な大学の病院の医局からの医師派遣を決めていました。何年か経つとこれを見直そうということで、物理的に病院を壊してしまいます。工事中に“入札”させ、新病院での各科の派遣元医局を全部入れ替えようと言うものでした。
こんなことをしているうちに医師不足が指摘されるようになり、また都立病院はその待遇などから人気就職先病院の地位から滑り落ちて来ていると聞きます。
ある意味対照的なものも感じます。
市が現地建て替えに固執しているが用地買収に失敗。変形した土地に無理やり建設の方向。駐車場の確保も不可能の見通し。医局医師は猛反発しているが移転は市長が否定。医師流出と研修医確保困難は必至の状況で医療崩壊の危機。
by NO NAME (2009-07-01 04:24)
ご訪問ありがとうございます。
私がこのニュース記事を取り上げてからだいぶ経ちましたが、色々状況も変わったのですね。
大崎市の病院をほめて、都立病院をけなそうと思っていたのですが‥(笑)
情報ありがとうございます。
by 筍ENT (2009-07-01 11:29)