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画期的な判決 [医療制度/行政]

時事通信 巻き込み事故で運転手無罪=「死角から進入、否定できず」-福岡地裁

 大型トラックで左折した際、バイクと衝突し、運転していた男性を死なせたとして、業務上過失致死罪に問われたトラック運転手の男性(36)の判決公判が8日、福岡地裁で開かれ、松藤和博裁判官は「バイクがトラックの死角から進入してきた可能性は否定できない」として、無罪(求刑禁固1年)を言い渡した。
 男性は2002年4月3日、大型トラックを運転中、福岡市博多区の交差点で安全確認を怠って時速10~15キロで左折。トラックの左側にいたバイクに接触し、運転していた男性=当時(21)=を死亡させたとして、04年6月に在宅起訴された。



画期的な判決と思います。
誤解を招かぬよう、順を追って書きます。

事故は現実に発生し、バイクの男性が亡くなってしまったのは事実です。民事的解決は正当になされるべきです。この記事では触れられていませんが、被害者のバイクの男性の遺族にはきちんと民事的補償がなされた、あるいはなされるものと考えます。万が一トラックが任意保険に入っていなければ、当然一生かかってもトラックドライバーは賠償金を払い続けなければなりません。

このニュース記事で取り上げられているのは、あくまでも民事の問題ではなく、刑事裁判としての判決です。
かねてより主張して来ましたが、業務上過失致死傷の判断は厳正に行われるべきであり、被害者や遺族の感情のはけ口にしてしまってはいけません。それは民事上で行われるべきことです。過失で起きた事件の加害者を厳罰に処すことは誰の幸福をも招かないばかりか、ヒューマンエラーでない、システムエラーを探求して次の事故を防ぐ手だてを講ずるステップを阻害する一因ともなりかねません。

この事故においてヒューマンエラーとシステムエラーを考えてみます。トラックではサイドミラーに頼らざるを得ない後方確認で、死角が大きく、バイクが発見できないことがあります。このこと自体をトラックドライバーの責任とするのはナンセンスです。強いてヒューマンエラーを指摘するなら、左折開始直前にさらにもう一度サイドミラーを見るべきだったと言うことになりますが、その前にドライバーの認識としては巻き込み防止確認は完了しているということになります。むしろ巻き込みばかり何度も確認していると、今度は進行方向の安全確認がおろそかになります。

「同じ事故を繰り返さない」‥これを実現させるのは、トラックの死角をいかに減らすか、後方確認をもっと容易にする方法はないか、を考えることだと思います。素人の私の思いつきではありますが、例えば最近の乗用車の車庫入れ用に装備されているような後方のモニター画像を、トラックのインパネに表示するような装置が作れないか、と考えます。これはあくまでも私案ではありますが、このようにシステムエラーを一つずつつぶす方法を模索していくことが大切と考えます。

このトラックドライバーの無罪を不満として、検察が控訴するとか、マスコミが遺族にマイクを向けて、「無罪では被害者が報われない」などという発言を引き出そうとするのは、あまりに不毛です。

冷静になって、同じ悲劇の再発を防ぐことを第一に考えるべきです。
補償は民事の問題です。これを強調しておきたいと思っています。


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