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男鹿市の医師確保策 [医療制度/行政]

さきがけonTheWeb 男鹿市の医師確保の試み“不発” 修学資金貸与、応募ゼロ

 大学卒業後、男鹿みなと市民病院(下間信彦院長)に医師として勤務することを条件とする男鹿市の修学資金貸与制度への申し込みが、1件も寄せられていない。早期の医師確保を目指した、県内市町村で初めての試みだったが、期待外れの結果となっている。

 貸与資格は▽県内の高校を卒業し、県内外の大学で医学を学んでいる学生▽県外の高校を卒業した、秋田大医学部医学科生—のいずれかで、将来男鹿みなと市民病院で医師として働く意思がある人。今年4月に医学部に入学する高校3年生も対象。他の奨学資金の貸与を受けていないことが条件。

 貸与金額は月20万円。貸与を受けた1・5倍の期間、同病院に勤務すれば、修学資金の返還が免除される。6年間貸与を受けた場合、同病院で9年間働くことで返還しなくてもよくなる。

 同病院の中川良一事務局長はこの状況に「せっかくの制度なのに残念」としながらも、推薦入試を除く国公立大の合格発表が3月上旬に行われることを踏まえ、「合格が決まってから応募する学生がいるかもしれない」と期待をかけている。



就学資金貸与のこのプランですぐ連想されるのが自治医大です。自治医大はご存じの方も多いかと思いますが、全学費と月々の生活資金が貸与され、卒業後、出身都道府県にて、貸与を受けた1.5倍の期間勤務し、そのうちの半分を医療僻地にて勤務することにより、全額の貸与金返還が免除されるシステムになっています。この他に防衛医大・産業医大も義務の内容が異なるものの、同様のシステムのようです。

地方自治体が地元の病院勤務と引き換えに就学資金貸与を行うシステムがあるのは初めて知りました。医師不足解消のためのアイディアとしては面白いかとも思うのですが、応募する側からすると、あまり魅力的な条件ではなさそうですね。
ちょっとした算数ですが、月20万貸与され、1.5倍の期間拘束されるということは、男鹿みなと市民病院義務勤務中、給与に13万3333円上乗せされる(年収では160万円上乗せ)のに相当すると言うことになります。
もともと男鹿市の職員(医師)がどのくらいの給与を支払われるのかわかりませんが、誰もが飛びつく条件とまでは言えないかも知れません。

さらに拘束の仕方が、自治医大式であり、防衛医大式ではないことが気になります。
自治医大は在学年数の1.5倍の義務年限(通常9年)を一日も欠くことなく勤務して初めて返還免除となります。一方防衛医大は同様義務年限を務めた年数に応じて返還金額が割り引かれて行きます。

男鹿みなと市民病院に勤務しても、義務期間あと1年を残して退職したりすると、貸与就学資金全額を返還しなければならない、と言う契約ではかなり窮屈です。防衛医大に準じて、勤務した年数に応じて返還額が少しずつ減少し、最後にゼロになるシステムの方が、応募者が増えるかも知れない、そんな気がします。

しかし応募者がいない本当の理由はこんなことよりも、「医療崩壊」のこの時代、病院勤務を続けて訴訟や刑事訴追に怯えながら義務期間を全うする決心をするのがなかなか難しいことかも知れません。義務年限中「立ち去り型サボタージュ」ができないことになってしまいます。市や病院が勤務する医師をしっかり守るシステムの方が求められるのではないでしょうか。


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