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喉頭摘出者への差別 [医療制度/行政]

東京新聞 声帯切除の岐阜・中津川市議 質問できず任期終了に

 下咽頭(いんとう)がんで声帯を切除し、発声が困難なため、代読による市議会三月定例会での一般質問を認めるよう求めていた市議からの発言通告に対し、岐阜県中津川市議会の議会運営委員会が五日、これを受け付けないことに決めた。
 市議は発言通告を拒否され続けており、同日の記者会見で「今回で計十度、通告を拒否された。無念」と、所属する共産党会派の同僚議員の代読で思いを吐露した。
 この市議は小池公夫さん(67)。
 一般質問の機会がまったくないまま二期目の四年間を終える可能性が高くなった。
 小池さんは、昨年の十二月議会に提出した「代読を認める決議案」に反対した市議らを相手に、表現の自由などの権利を侵害されたとして民事訴訟を起こしている。
 五日の決定について同市議会の楯(たて)公夫議運委員長は「代読を認める決議案は本会議で否決されている。否決した議員が裁判で被告になっている現状では、議運で協議する段階にない」などと説明した。
 これに対し小池さんは記者会見で「私だけの問題ではなく、障害者の参政権をどう保障するか、全国に提起されている問題」と訴えた。
 小池さんは市議一期目だった二〇〇二年十月の手術で声帯を切除。〇三年四月の再選以降、代読発言を求めてきた。



国会や地方議会において、障碍者にどう対応するか、と言う問題です。視覚・聴覚障碍者が議員になったケースが少なく、前例が参考にしにくいのかも知れませんが、この議員のように視聴覚には問題がないが、発声ができなくなったというケースが今後多く出て来るかも知れません。

喉頭癌・下咽頭癌等で喉頭を摘出することになった人の発声については、手術の工夫で呼気で発声できるようにする方法(気管食道瘻)、食道発声の訓練、そして写真のような人工喉頭があります。

気管食道瘻手術がうまく行った、あるいは食道発声が上手になった人はよいのですが、こればかりは患者さんごとに違ってきます。

人工喉頭による発声はどうしても聞きづらく、中津川市議会のように代読を認めないことにしたのはちょっと信じられません。障碍者に対する考え方がこうした決議に現れているのではないでしょうか。


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ちょこ

貴見のとおり!市民の幸せを実現するためにある議会でこのような差別が行われているのです。裁判ではっきりするでしょう。
by ちょこ (2007-04-03 23:08) 

筍ENT

コメントありがとうございます。

そうですね。裁判になっているので、判決を待ちたいですね。私達の常識から外れた判断が下されることはまずない、と信じます。
by 筍ENT (2007-04-04 14:35) 

Tsurashi

喉頭摘出された方々は、全国で1万8千人ほどいらっしゃるとききます。そのうち、実用的な声を取り戻し、社会復帰を果たされている方はごくわずかに過ぎません。障害者の方々でも、特に喉頭摘出された方々のリハビリテーションの現状は、他先進国と比べると非常に立ち遅れております。しかし日本の一部の病院では、喉頭摘出後の音声再建に真剣にとりくみ始めています。下咽頭癌で空腸などを用いた再建を行った喉頭適者の方でも弁護士、医師、公務員、営業部員として復帰された方が出てきています。食道発声の成功率は3割ほどに過ぎず、そのうちの上級者の方でも、少し騒がしい環境では意思の疎通が困難となります。よろしければシャント発声を検討され、喉頭摘出者への差別に対し、議会で論難をあびせてはいかがでしょうか?http://jp.youtube.com/watch?v=i8Crkd9vmP4&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=ZfHgR1YO3mc
by Tsurashi (2008-01-20 16:09) 

筍ENT

コメントありがとうございます。

シャント発声は私が病院にいた頃はなかなか見るチャンスがありませんでしたが、少しずつ広がりを見せているようですね。
患者さんにとっては福音と思います。そうは言っても発声に多少努力は要するでしょうけれど。

ご指摘のように、この議員がシャント手術を受けて、議会席上または裁判で発言を拒否した他議員達を徹底的にやっつけて欲しいですね。

情報をありがとうございます。
by 筍ENT (2008-01-20 18:55) 

Tsurashi Yamane

2008年6月21日、22日に、宇都宮の栃木県総合文化センターで第9回日本言語聴覚学会が開催されます。
全国から言語聴覚士の先生方が参集し、研究成果を発表されますが、今回は、喉頭摘出後の音声回復法が話題となりそうです。
特に、6月21日(土) 12:15~13:15 D会場 では「喉頭・咽頭全摘出術後に気管-食道シャント術を受けて-私の発声経験-」の演題で、赤木家康 (永生病院 副院長)先生が講演されます。
赤木先生は下咽頭がん治療のため、喉頭・咽頭全摘出術を受け、失声した後、さまざまな方法で音声回復を試みました。
食道発声ではある程度の声が出たものの、診療時の患者さんとの会話、手術時の指示など、実用的な発声からは程遠く、また、電気喉頭は音量、人工的な声質に満足することができませんでした。
最後にたどり着いたのが、プロヴォックス(Provox)を使ったシャント発声でした。
現在では、プロヴォックスを装着して、日々の診療、手術を喉頭摘出以前と同様に行っています。
今回の赤木先生の講演は、喉頭摘出者が自分の声で、喉頭摘出者の現状を語る、初めての本格的講演になるかと思います。
話をすることが不可欠な方々にもっとシャント発声法が普及することを心から祈念いたします。
by Tsurashi Yamane (2008-04-25 13:20) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。貴重な情報をありがとうございます。

自らが喉摘を受け、食道発声や電気喉頭を試し、プロヴォックス装着にたどり着いて、その声で講演されるというのは貴重な講演ですね。
時間が取れれば聞きに行ってみたいところです。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-04-25 19:52) 

名無し

「中津川」 人権」グーグル検索で来ました。
中津川って凄いですよ。
祭りでこんな文章出してます。
(パスワードは「5244」保存したら拡張子の.zipは削除してご覧下さい)
by 名無し (2008-10-22 15:41) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

画像見てみましたが、クラシックカークラブ、中津川観光協会などの名前が出ていますね。イベントのイメージが今一つわかりませんが、文章にもかかわらず、暴走族などが集まってしまうのでしょうか。

詳細をご存じでしたらまたご解説下さい。
by 筍ENT (2008-10-22 20:07) 

名無し

いえ、そういう意味じゃなくて女装者来るなっておかしくないですか?って事です。
祭りでこんな規定のあるのは初めて見たんで。
by 名無し (2008-10-24 18:29) 

筍ENT

なるほど、よく読むと、女装・コスプレお断りになっていますね。別に人に迷惑をかける訳でなし、女装、コスプレを排除する理由がよくわかりませんね。

イベントそのものに対するイメージもなかなか湧きにくいのですが、主催者の意図もよくわかりませんね。

中津川で他にも人権にかかわる問題などがあったらご紹介下さい。
by 筍ENT (2008-10-24 19:16) 

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