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逮捕

asahi.com 交通事故逮捕 基準はどこに

  人身事故を起こし、業務上過失傷害容疑などで警察に現行犯逮捕される人がいる。身柄が拘束されることによる生活への影響は大きい。しかし、どのような状況だと逮捕されるのか、その線引きははっきりしていない。
(楠田裕司、山田知英)

  横浜市青葉区美しが丘2丁目の交差点で10日夜、横断歩道を青信号で渡っていた女性(50)が右折してきた2トントラックにはねられ、顔の骨が折れるなど全治3週間のけがを負った。

  青葉署は、運転していた会社員の男(21)を業務上過失傷害の疑いで現行犯逮捕。男は事故後、トラックを現場から約80メートル移動させた後、自ら110番通報したという。

  逮捕の理由を、伊藤正道副署長は「青信号で横断歩道を渡っている歩行者をはねた運転手に一方的な過失がある。事故直後女性は意識不明で脳挫傷の疑いがあり、死亡事故になる可能性もあると判断した。本人は事故現場からトラックを移しており、証拠隠滅の恐れもあると判断し、逮捕した」と説明した。

  一方、15日、湯河原町宮上の県道で、乗用車とオートバイが衝突し、オートバイの男性(63)が死亡する事故があった。調べでは、乗用車がパチンコ店の駐車場から車道に出る際、安全確認が不十分だったことが原因という。しかし、小田原署は乗用車を運転していた会社員の男性(39)を逮捕しておらず、任意で捜査を進めている。

  同署の小山田高久副署長は「現場は三差路。乗用車は左右の安全を確認して車道に出たが、もう一つの車道からオートバイが来ていた。もう少し注意していれば防げた事故かもしれないが、過失は小さいと判断した」と話している。

  県内の交通事故は最近5年間で減り続け、06年は約5万4500件。06年の死者数は240人で02年に比べて4割も減った。しかし、人身事故を起こし、業務上過失傷害や業務上過失致死の容疑で逮捕される人は500人前後で推移している。

  逮捕されると、20日間以上にわたって身柄を拘束され、取り調べを受ける可能性がある。被害者の人生ばかりでなく、運転者側の生活にも大きな影響が出るのは必至だ。

  逮捕について定めた刑事訴訟法によると、逮捕は証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合に限ると規定されている。

  実際の運用はどうなっているのか。県警交通捜査課によると、飲酒運転による事故やひき逃げの場合は逮捕、被害者が死亡したり、運転手の過失が大きかったりする場合も原則逮捕という。しかし、判断に迷うケースも少なくなく、そうした場合は現場にゆだねられるのが実情のようだ。

  同課の松原敏勝課長代理は「近年は交通事故の被害者が厳罰を求めるケースが増えている。警察も、交通違反者に対して厳しい姿勢でのぞむ傾向にある」という。

  一方、交通事故事件や裁判を研究する弁護士、学者でつくる交通法科学研究会の事務局長を務める高山俊吉弁護士は「過失の大小は不注意の大小という程度の問題で、逮捕の要件としてはふさわしくないのではないか」と指摘する。「飲酒運転厳罰化の流れにあわせ、逮捕のハードルまで下げられてしまうのではないかと懸念を感じる」と話している。



法律の素人のコメントなので、誤りや無知を含むかも知れませんが、感じたことを書いてみようと思います。

このニュース記事にある「逮捕は証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合に限ると規定」というのは

(刑事訴訟法)
第199条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

に拠るものと考えて良いでしょうか。そうだとすると、事故の連絡を受けた警察官が、ある程度加害者の過失の程度を判断し、これがどの程度の罪に相当するかを考えて逮捕するかどうか考えなくてはいけません。
法律のプロとは言えない一警察官に多くを求めるのは難しいでしょうから、取り敢えず警察署に出頭を求めて、署内で然るべき判断を下すことができる人を置いておいて欲しいと思います。

そもそも逮捕・拘留は、ニュース記事にもあるように、被拘留者にとって、かなり不利益を被る事態です。企業の従業員が職を失う可能性があったり、自営業者はその日の収入を失うことになります。
そして、有罪が確定すれば、拘留は正当とされ何も補償されず、仮に無罪となったとしても、最高でも1日¥12,500しか補償されないようです。

(刑事補償法)
(補償の内容)
第4条 抑留又は拘禁による補償においては、前条及び次条第2項に規定する場合を除いては、その日数に応じて、1日1,000円以上12,500円以下の割合による額の補償金を交付する。懲役、禁錮若しくは拘留の執行又は拘置による補償においても、同様である。

どんなひどい不利益を被ったとしても、一日¥12,500までという規定は被疑者の人権を十分に考えた額とは思えません。しかもこれは、あくまでも無罪となった時に限られる話であり、有罪となった場合には補償はないようです。
即ち、逮捕拘留された場合と、任意捜査の場合とでは、同じ量刑となった時でもかなり被疑者の不利益の差が発生することとなってしまいます。

逮捕・拘留という裁量権を与えられた警察には、やはり慎重な運用を求めたいし、また無罪となった時の補償も見直してもらいたいものです。


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yokohamachuo

ここの所、私は度々裁判の傍聴を行っていますが、私が見た限りに於いては「被疑者が容疑を認めるか否か」で拘留の是非を決めているとしか思えません。これが俗に「人質司法」と言われる所以です。

筍ENT様ご指摘の通り、所詮警察官は「法律の素人」であり、法律の運用手法もデタラメであると言わざるを得ません。だからこそ、昨今、冤罪事件が相次いで起こっているのではないか、と私は考えています。
by yokohamachuo (2007-06-26 23:37) 

筍ENT

コメントありがとうございます。
容疑を認めないと逮捕、軽微な犯罪で認めると取り敢えず釈放、その後任意出頭、ということでしょうか。

ご指摘のような冤罪の温床になりかねない手法ですね。こうした部分を警察の裁量に任せず、きちんとした逮捕の基準を設けて欲しいですね。
by 筍ENT (2007-06-27 17:20) 

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