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医療崩壊/続・自分の頸をしめる人たち [医療制度/行政]

産経新聞 18病院たらい回し…男性死亡 姫路

 兵庫県姫路市の男性(66)が6日未明、吐血するなどして救急搬送された際、近隣の18病院が医師の不在などを理由に受け入れを拒んでいたことが分かった。男性は最終的に約30キロ離れた市外の病院に2時間近くかけて搬送されたが、途中で病状が悪化。搬送先の病院で死亡が確認された。市消防局は「最善を尽くしたが、いろいろな条件が重なり受け入れ先を見つけるのに時間がかかってしまった」としている。
 市消防局などによると、6日午前0時7分、男性の家族から「(男性の)意識がぼんやりしている。目がうつろで吐血した」と119番通報があり、救急隊が出動。受け入れ先の病院を探したが、姫路赤十字病院や国立病院機構姫路医療センターなど18の病院に「専門の医師がいない」「ベッドがない」などの理由で断られたという。
 男性は当初意識があったが、受け入れ先の赤穂市民病院に搬送される途中で心肺が停止。午前1時56分に同病院へ到着したが、同2時17分、死亡が確認された。
 救急搬送をめぐっては、昨年8月、奈良県大淀町の町立大淀病院で高崎実香さん=当時(32)=が分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、19病院に受け入れを断られた末、大阪府吹田市の搬送先の病院で後日、死亡。今年8月にも、同県橿原市内で体調不良となった妊婦(38)が11病院から受け入れを断られ、大阪府高槻市内の病院で死産が確認された。
 高崎さんの義父、憲治さん(53)は「救急医療をめぐる問題があると(関係者は)『二度とこういうことが繰り返されないように』と謝るが、何度も繰り返し起こってしまうことが残念でならない」と話している。


2007年12月のニュース記事です。今では「たらい回し」(一面的な見方に基づく不愉快な表現ですが)は全国に波及し、多少は新聞の論調も変化して来たかとは思います。
この時点では、相変わらず新聞はこうした一面的な見方を垂れ流しています。こうした不幸な事態を引き起こしたのは、患者の受け入れを拒否して「たらい回し」をした病院だ、許せない、責任をとれ。

そして奈良県の事件の遺族の方のコメントを、当然無批判に、取り上げています。
本気でこんな記事を書いているのでしょうか。そして遺族の方の個人攻撃のつもりは毛頭ありませんが、こうした事態を引き起こしたのはいったい誰のせいかを考えて頂きたいと思います。

各病院に、救急診療に十分な数の医師・医療スタッフを配し、救急患者をいつでも速やかに受け入れられる状態を作るにはどうしたら良いのでしょうか。
時間がかかるが、医学部の定員を増やして医師数を増やし、日本の人口当たり医師数を他国並に引き上げようとしています。しかしそれだけでは何にもならないと考えます。
最良の結果が得られなかった医療は全て糾弾され、訴えられ、時に検察・警察まで出て来て医師に刑事処分まで与えようとする。これが続く限り医療崩壊は止まらず、病院から医師はどんどんいなくなります。

ニュース記事がそのまま無批判に載せている、奈良県大淀病院事件の遺族の方のコメント「救急医療をめぐる問題があると(関係者は)『二度とこういうことが繰り返されないように』と謝るが、何度も繰り返し起こってしまうことが残念でならない」に対しては、非難を覚悟で反論を書かせてもらいたいと思います。

このコメントを寄せたあなた自身が、お嬢さんに手を尽くした産科医を訴えているのでしょう。医療崩壊に手を貸している人に、こうした医療資源不足を批判する資格はありません。あなたがやっていることが益々現場から医師達を立ち去らせ、救急患者の受け皿をどんどん減らしているのです。あなた自身にこうした事態を招いた責任の一端があるのです。あなただけにはこんな非難がましい台詞を言って頂きたくありません。

少しでも医療崩壊を止めようと思う気持ちがおありなら、今あなたがなすべきことは、医療者を訴え糾弾することではないはずです。
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