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犯罪者、厚労省 [医療制度/行政]

東京新聞 命削られる無保険者 受診二の足昨年30人死亡

 二〇〇〇年から国民健康保険料の滞納者に保険証の返還を義務付けたことにより、無保険の状態になる人が急増している。昨年は三十四万世帯と一九九九年の四倍以上に。無保険が原因で、診療を受けずに死亡した人が昨年は三十人に上ったという調査結果もある。成長過程の子どもが医療を受けられないという深刻な問題もあり、厚生労働省で実態調査を進めている。 (橋本誠)

福島生協病院_広島.jpg 二〇〇六年十二月、広島市の福島生協病院に乳房の痛みを訴える五十代後半の女性が来た。女性は重い乳がんにかかり、乳房から出血もあった。がんは肺や肝臓にまで転移、痛み止めも効かない状態だった。

 女性は次女と二人暮らし。一緒にスーパーでパートとして働き、月収は合わせて約十八万円。一年以上保険料を滞納したために、保険証更新の際「被保険者資格証明書」(資格証)が市から送られ、全額負担になった。

 女性は「治療費が払えるか心配で、病院にかかるのを我慢していた。パートなので休むと生活にかかわり、休めなかった」と病院の医療相談員にこぼした。相談員のアドバイスを受けて、「すぐに治療が必要」という理由で、短期保険証(短期証)の交付を申請。三割負担に戻った。市の減免制度も適用され、負担はゼロになったが、手遅れの状態で、約半年後に亡くなった。

 相談員は「女性は〇六年の春から胸にしこりがあり、夏から痛みが出てきたと言っていた。がんを告知しても驚いた様子もなく、覚悟の上だったのでは」と言う。全日本民主医療機関連合会(民医連)が加盟医療施設を対象に行った調査では、こうした死亡例は昨年約三十件あった。

今井町診療所.jpg 「資格証なんですけど…」。今年七月、千葉市の今井町診療所。とびひの男児(4つ)を連れた祖母が取り出したのは、保険証ではなく、「負担金10割」と大きく印刷された資格証だった。男児は二年以上無保険で、過去四回の医療費計約一万六千円は、すべて自己負担だった。

 「男児の一家は月収約二十万円でアパート暮らし。二歳の弟もいて生活は苦しいはず」と病院職員。市は本年度から乳幼児の保険証返還を中止しており、職員が区役所に同行して、男児は短期証の交付を受けた。

 「社会保障の構造改革が行きすぎ、命を削るところまできている」と全国保険医団体連合会(保団連)の滝本博史事務局次長。保団連の〇六年度の調査では、資格証患者の受診率は、保険証患者の2%に激減していた。


この問題は以前にも何回か取り上げて来ました。「医療保険保険料を払えない者は死ね」というのが厚労省の打ち出した方針です。国保保険料を滞納すると最終的には保険証を取り上げ、医療は全額自費で受けなければならない。
そもそも国保保険料を支払うことも困難である家庭が全国にたくさんある筈です。千葉市資格証.jpg厚労省が実態調査を進めている、などと書いてあります。実態調査を行うまでもなく、経済的弱者からさらに医療保険の給付を奪う措置をとれば、受診控え、ひいては手遅れ、死亡などという事態を招くのは、調査などというポーズを取って見せなくてもあまりに当たり前のことです。

医療事故やその他の事故で出て来た「業過致死傷罪」の要件を思い出しました。事故が「予見出来たこと」、事故を「回避」できたこと、それを怠ったこと。これが業過致死傷罪の成立要件になるということです。
さて、厚労省がこうして全国の自治体等に対して国保被保険者資格証を発行させ、医療保険給付を取り上げる行為が、罹患患者の受診抑制→手遅れによる死亡を招くことは、間違いなく「予見可能」です。そしてこんな方針を取らなければ犠牲者が出なかった訳で、「回避」すべきであったことは明らかです。それを回避どころか、反対意見を押し切ってごり押しし、国民に犠牲者を発生させた事実が厳然としてあります。

厚労省は業過致死罪で刑事訴追を受けるに値し、しかも過失でなく故意である可能性もあるので、未必の故意による殺人罪に該当するかも知れません。

財政のみを念頭に置いて、経済的弱者の死亡には何とも思わない、血も涙もない行政機関・厚労省はどうして裁かれないのでしょうか。

最低限のセーフティネットである医療を、決して国民から取り上げてはなりません。
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