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小笠原からの急患自衛隊員搬送 [医療制度/行政]

asahi.com 内規違反の飲酒し海自隊員けが、P3Cで搬送 硫黄島

P-3C.jpg 東京の都心から南に約1200キロ離れた海上自衛隊硫黄島航空基地隊(東京都小笠原村)の隊員が、部隊の規則で禁じられている隊舎自室での飲酒の末にけがを負い、海自厚木航空基地(神奈川県綾瀬市)から出動したP3C哨戒機で厚木基地まで搬送されていたことが分かった。

 P3Cは潜水艦の探知・追尾、船舶の航行状況などの監視にあたるのが任務。海自は「服務違反は厳正に対処するが、負傷者の搬送は緊急性があり、やむを得なかった」と説明している。規則違反をきっかけにP3Cの利用まで至ったことに、内部からは批判の声も上がっている。

 海自によると、事故が起きたのは10月16日夜。新しく着任した隊員の歓迎会に参加した1曹(46)ら4人の隊員が、「日本酒なら2合程度、過度にわたらない量」という規則に違反し、それ以上の量の酒を会で飲んだ。午後8時半ごろからは、1曹ら3人が隊舎の自室内でも飲酒を続けたという。その際、1曹が過って左目付近を骨折するけがを負ったという。

 翌17日朝、部隊は1曹を自衛隊中央病院(東京都世田谷区)で精密検査を受けさせる必要があると判断し、航続距離約4千キロで距離的に空輸可能な厚木基地のP3Cの派遣を要請。厚木基地に1曹を空輸し、同中央病院に搬送した。1曹は手術が必要な状態で、現在も入院中という。

 離島に住む一般住民の搬送の場合は災害派遣要請に基づくが、隊員については緊急性があると部隊が判断した場合にP3Cやヘリコプターなどで搬送するという。

 1曹の搬送では往復の飛行で約11キロリットルの燃料がかかった。海自は一般的にこうした代金を隊員に請求しておらず、今回も求めない方針。海自はイージス艦の事故など不祥事が続き、抜本的に組織の見直しを進めている。「燃料高騰で訓練も減らしている時期で、考えられない出来事」と話す関係者もいる。

 硫黄島には長さ約2.7キロの滑走路があり、米軍と共同で使用。海自は周辺海域での救難などにあたっている。島は68年に米国から返還されたが、住民は住んでいない。


US-1A.jpg東京都の離島は伊豆諸島と小笠原諸島に分けられます。伊豆諸島は比較的近いため、島民の救急搬送には東京消防庁のヘリや、自衛隊でもヘリが使われます。
一方小笠原諸島は、日本中で東京から一番遠い自治体と言われ、ヘリでは到達することができません。このため飛行艇US-1が用いられます。小笠原の父島も母島も空港を持たないため、飛行機が使えません。海面に着水、海面から離水できる飛行艇が患者を迎えに行きます。

さてこのニュース記事の海自隊員の外傷については「吹き抜け骨折」でしょうか。致命的な事態に陥る可能性は高くないとしても、やはり急いで眼科・耳鼻咽喉科の診察を受ける必要があると思われます。

こうした事態に立ち至った時、その海自隊員が規則違反で飲酒していたとか、そうした周辺事由を云々している場合ではありません。小笠原村村民と同様、すぐに医療を受ける権利があり、それを国がサポートする義務があると考えます。

従ってこの海自隊員をP3Cが搬送したことを咎めるべきではないと思います。咎めるのなら、後で、規則に違反して飲酒をしていたことについて叱責なり注意なりすれば良いことであって、例えどれだけの燃料代等を費やして東京まで搬送したとしても、それ自体を非難してはならないと考えます。

小笠原村父島・母島においても、島の診療所で経過をみて良いものか、内地(主に東京)の病院に搬送すべきか迷う患者さんの発生が予想されます。
この時に、US-1の燃料代を考えて、患者さんを搬送しないことによるリスクを取るべきではありません。例え軽症者を搬送してしまい、後で笑い話になったとしても、患者さんの疾病・外傷に関して、最悪の事態を考えて最善を尽くすべきであると考えます。

同様に、この海自隊員を搬送したこと自体を責めてはならないと考えます。隊員も国民の一人です。
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Quri

こんばんは。

比較的リベラルな論調の先生にしてこの記事、もちろん当然のことと思います。いかにも朝日らしい自衛隊=悪という図式、特に「内部から批判の声が上がっている」の部分に非常なずるさを感じます。報道であるなら誰が批判していると報道すべき、論評や社説なら私が批判していると明記するべきです。

ところでblow out fracture であれば誰か殴った奴がいるとまずいですね。別のmediaではトイレで誤って転倒とありますが・・・

by Quri (2009-02-09 23:43) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

ご指摘の通り、普段だったら、警察・検察、自衛隊などにいつも批判の目を向けているのですが、一人ひとりの人間=患者と考えた場合、やはり病気・外傷の治療を受ける権利を奪ってはならない、と思いました。

blow out fracture やはり本当は加害者がいたりするかも知れませんね。そうだとしたら身内隠しをしないで、きちんと当人同士で損賠、必要なら刑事立件ということになりますが‥。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2009-02-10 01:53) 

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