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オウム死刑判決と業/運過致死傷 [医療事故]

asahi.com オウム横山被告の死刑確定へ 地下鉄サリン実行犯で初

 95年3月に起きた地下鉄サリン事件の「実行犯」の1人で殺人などの罪に問われ、一、二審とも死刑とされたオウム真理教元幹部・横山真人被告(43)の上告審で、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は20日、被告の上告を棄却する判決を言い渡した。サリンを散布した5人のうち、死刑が確定するのは初めて。

 東京・霞が関を狙って地下鉄5車両にサリンが散布された事件では計12人が死亡し、5千人を超す負傷者が出た。しかし、横山被告が散布した車両では1人の死者も出ておらず、弁護側は「死刑は重すぎる」と主張していた。

 サリンの実行犯ではほかに、林泰男(49)、広瀬健一(43)、豊田亨(39)の3被告が一、二審とも死刑とされ上告中。一連のオウム事件で死刑が確定するのは、岡崎(現姓・宮前)一明(46)、松本智津夫(52)の両死刑囚に次いで3人目。



横山被告自身の撒いたサリンでは、誰も死亡者が出なかったにもかかわらず、他の実行犯との共同正犯と見なされて死刑が確定したということです。
今回この共同正犯という考え方と業務上/自動車運転過失致死傷について、ちょっと比較して考えてみたいと考えました。

まず故意犯と過失とは当然別に考えるべきです。ただ、基本的に同じような行為の結果、他の「犯人」と違った結果が発生しても同じ刑を受ける、という考え方が、業/運過致死傷では通じないのだろうか、という疑問を持ちました

以前の記事でコメントを頂いた方とディスカッションした時の私見です。
同じような前方不注意運転をした人が複数いたとします。同じように運転中、視線を助手席の上に落としてケースからCDを取り出してカーオーディオに挿入するという動作をしました。

A氏は何ごともなくそのまま走行を続けました。
B氏はガードレールにぶつかり、これを曲げてしまいました。
C氏は車のミラーが歩行者とぶつかり、歩行者が転倒、膝をすりむいてしまいました。
D氏は1人の歩行者をはね飛ばし、死亡させてしまいました。
E氏は幼稚園児の列に車を突っ込み、7人が死亡、3人にケガをさせました。

みな同じ過失を為したのにもかかわらず、彼らの運命=刑事罰の有無、量刑は大幅に異なったものになります。
もちろん民事上は、与えた損害を補償する義務を負います。その大きさに応じて差が生じるのは当然ですが、一方この同じ過失に対する刑事処分に差を与える根拠がどうしてもわかりません。
これは過失に刑事罰を与えるという、他国にはあまり存在しない業/運過致死傷罪そのものが孕む矛盾ではないでしょうか。

故意犯の共同正犯はある意味平等に取り扱われるのに対し、「不運」とも言える事故に対して結果責任主義で対応するのは、整合性が取れないように思います。

やはり業/運過致死傷罪は廃止または見直すべきではないでしょうか。行政処分(但し適正な運用で)で対応すべきことと思います。
さらに、故意犯でないものに刑事罰を与えるという法は権力者が国民を縛る道具になってしまう危険な可能性をもつとさえ思えてしまいます。


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