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リタリン依存症と製造販売元 [診療]

毎日新聞 <薬物依存症>「リタリン」で急増 医師の安易処方が原因か

 向精神薬「リタリン」を乱用し、依存症などの副作用で入・通院したケースが06年度、精神科病床を持つ全国の医療施設で15例に上り、2年前の約2倍に急増していることが国立精神・神経センター(東京都小平市)の調査で分かった。全国にある薬物依存症の民間リハビリ施設「ダルク」を対象にした毎日新聞のアンケートでも、利用者の1割を超える166人にリタリンの使用歴があることが判明した。精神医療関係者は「適応症でない場合に安易に医師が処方し、依存症を増やしている」と指摘している。
 センターは2年に1度、薬物依存の実態調査を実施。今回は06年9月~07年3月、全国1653施設にアンケート用紙を送り、937施設(56.7%)から回答があった。それによると、主にリタリンを乱用し依存症などで入・通院したのは15例で、前回の04年度(8例)から倍増。また、覚せい剤やシンナーなど他の薬物との併用による入・通院も30例あり、前回(19例)から5割以上増えた。
 使った理由は▽疲労感や抑うつ気分の軽減▽覚せい効果を求める▽やせるため――など。15例のうち、自傷行為や自殺(未遂を含む)が6例あった。入手方法は、11例が「医師からの処方」と答えた。
 一方、毎日新聞は全国のダルク31施設(利用者約1000人)にアンケートを実施し、27施設が回答した。今年8月末現在、13施設で計32人がリタリンの乱用による依存症で入・通所していた。過去に使用したことのある入所者も134人いた。「医者の処方だから安全という間違った認識を持ち、依存する人が目立つ」(大阪ダルク)などの意見があった。
 調査した同センターの和田清・薬物依存研究部長は「リタリンは、幻覚・妄想などの強い副作用が覚せい剤のように高い頻度では出ないため、なかなか実態が表面化しにくい。入・通院者が1~2人増えただけでも依存者のすそ野は相当に広がっており、事態は深刻だ」と話している。【精神医療取材班】
 【リタリン】 塩酸メチルフェニデートの商品名。難治性うつ病や睡眠障害の「ナルコレプシー」などの治療に使われる。しかし、爽快(そうかい)感や多幸感が得られたり、食欲抑制作用があるため、若者を中心に乱用されやすい。1958年に販売開始され、当初は軽いうつに使われていたが、旧厚生省が98年、抗うつ薬で効果が不十分な難治性・遷延性うつ病に適応症を限定した。世界60カ国以上で販売されているが、うつ病に使用しているのは日本だけとされる。

リタリン依存症の問題については今年8月5日に日本テレビ系列の「NNNドキュメント『オーバードーズ』」で紹介されていたのをたまたま視聴しました。

日本での処方は安易に過ぎるとか、テレビでの取り上げ方のように、職場の人間関係や過労のためについオーバードーズ、即ち過量服用に走ってしまう人たちが増えて来たようです。複数の医療機関からリタリンを大量に処方してもらったり、裏のルートから入手したりしている様子が紹介されていました。

安易に処方してしまった医師の責任もありますが、もう一点指摘しておきたい問題があります。
このリタリンを販売しているのはノバルティス・ファーマという会社です。今この会社は癌領域の他は、事実上看板とも言える降圧剤を売り込むのに必死です。同系統の降圧剤が市場にひしめき、その中でのシェアを上げることに血眼になっています。

先に武田薬品について取り上げたことがありましたが、このノバルティスも同様に売らんかなの姿勢が明白で、この降圧剤だけを医師に処方してもらうべくMR(医薬情報伝達者)が走り回っています。他の薬もたくさんあるのですが、それに関する情報提供は殆どしていないと聞きます。

こうしたリタリンの問題が発生したら、安易な処方は避けるよう、一般医家にも周知させるようMRが「情報提供」すべきですが、どうもそういうことはしていないようです。最大の看板商品さえ売れれば、リタリンが処方されようがされまいが、知ったことではないようです。あくまでも処方した医師の責任、そういうスタンスなのでしょう。

確かに医師はこうした薬の副作用や問題を把握の上処方する義務がありますが、法的に義務がなかったとしても、製造販売会社はそうした情報を医師に伝達する責任があるのではないでしょうか。

今日も、抗癌剤担当者以外は、ノバルティス社のMRは内科のみを執拗に訪問し、降圧剤処方依頼を繰り返しているようです。

※ この記事を書き終わった後、「リタリン不適切処方で立ち入り=新宿のクリニックに-東京都」などのニュース記事が配信されました。もちろん不適切処方をする医師にも責任があるのは事実ですが、やはり私は製造販売元の責任も考えて欲しいと思っています。


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