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自治体・公的病院と医師の賠償責任 [医療事故]

河北新報 医療行為は公権力行使 病院側の賠償責任否定

 仙台市宮城野区の病院に統合失調症で入院中に死亡した石巻市の男性=当時(29)=の両親が病院の運営法人に3300万円、病院への措置入院を決めた宮城県に140万円の損害賠償をそれぞれ求めた2つの訴訟で、仙台地裁は10日、病院への請求を棄却する判決を言い渡した。一方、県が被告の訴訟では「措置入院先の病院での医療行為は公権力の行使に当たる」との中間判決を出した。

 両訴訟はこれまで、男性が死亡した過失責任が法人と県のどちらにあるのかが、争点となっていた。判決と中間判決により、今後は県の過失責任の有無をめぐる訴訟に一本化される。

 畑中芳子裁判長は「措置入院者に対する病院の医師らの医療行為は県の公権力の行使に当たり、公務員の職務行為と解される。損害賠償責任を負うのは県で、医師や病院は負わない」と述べた。

 判決によると、男性は2006年4月、県の決定で同病院に措置入院し、向精神薬の投薬治療を受けた。歯痛を併発し、鎮痛剤を投与されたが、次第に全身の皮膚がただれ、同年5月に中毒性表皮壊死(えし)症で死亡した。

この事件の詳細がわからないので何とも言えないのですが、2つの点を考えてみたいと思います。

そもそも男性の死因はスティーブン・ジョンソン症候群と思われ、いわば重症の薬疹と考えられます。これは薬を投与するまでに予測不可能なものであり、この症例にあっては誰かを訴えるのではなく、医薬品副作用被害救済制度を活用すべきものでないかと考えます。

もう一点が「措置入院者に対する病院の医師らの医療行為は県の公権力の行使に当たり、公務員の職務行為と解される。損害賠償責任を負うのは県で、医師や病院は負わない」という判断です。もう一歩進めて、措置入院でない通常患者にあっても、医療事故の際公的病院では医師や病院職員が責任を負わず、経営主体たる国や自治体がその責を負うという考え方を徹底させて欲しいと思います。

勤務医はおよそ安い給与で激務を強いられており、挙げ句に訴訟に巻き込まれて敗訴や和解などで有責とされて賠償責任が発生した時に、その一部でも負担させられるとしたらそれは正義とは思えません。またそのために勤務医のための医賠責保険に加入するとしても保険料もバカになりません。

医療崩壊を止めるためにも、大切なことと思います。


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