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余部鉄橋列車転落事故 [旅行]

asahi.com 21年、安全な鉄道を /兵庫

6人の犠牲者を出した1986年の余部鉄橋列車転落事故から21年たった28日、香美町香住区余部の鉄橋下の慰霊碑で遺族たちによる追悼法要が営まれた。3年後のコンクリート橋への架け替えに向けて工事がはじまり、周囲の様相も日を追って変わっているが、参列者たちは「鉄道の安全に終わりはない。事故を風化させてはいけない」と、安全な鉄道への願いを新たにした。

 法要は午後1時すぎからはじまり、約40人が集まった。花束で埋まった慰霊碑に、みんなで手を合わせて1分間黙祷(もく・とう)し、住職の読経で焼香を済ませた。

 時雨模様で、山あいを抜ける赤い巨大な鉄橋は、鉛色の空にかすんだ。遺族たちは冷たい雨に打たれながら、こみあげる無念さに唇をかみ締めていた。

 風対策を強化したコンクリート橋の建設工事は来春から本格化する。南側に並行して建設され、3年後の2010年秋の完成が予定されている。全長310メートル、高さ41・5メートルの大きさで、鋼材をやぐら状に組み上げた壮大な鉄橋は、明治期からの1世紀近い歴史に幕をおろす。

 遺族連絡会会長の岡本倫明さん(73)は「乗用車が吹き飛ばされるほどの強風だったのに、なぜ列車を発車させたのか。いまも納得できない」と肩を震わせた。そして、「常に細心の注意を払ってほしい」と、安全の徹底を求めていた。

本ニュース記事は2007年12月のものです。「鉄道の安全に終わりはない。事故を風化させてはいけない」これは間違いないことです。鉄道事故に限らず、すべての交通、そして医療、その他の分野において、事故を100%なくすことは不可能です。これを減らすこと、同じ原因で起きる事故の再発は防ぐこと、これが肝要です。

しかるに遺族連絡会会長の発言「‥なぜ列車を発車させたのか。いまも納得できない」との発言が気になります。会長の発言そのものが気になるというより、事故調査の結果がきちんと遺族に伝達されていないとしたらこれは由々しき問題だと考えるからです。

この事故を引き起こした原因は、システムエラーの中にヒューマンエラーの発生しうるステップを介在させたことと言えます。明確にそれを説明したサイト があります。これによれば、風速警報が出た時に、自動的に列車の運行を止めず、まず係員が駅に風速を確認する慣例となっていたことが大きな原因とされています。そして駅の風速計では数字が甘く出る状態になっていたこともあり、事故列車を停止させるのに間に合わなくなってしまったとのことです。

そして「対策」「知識化」として

対策
(1)図1(省略)に示すように、センサと信号との間に介在していた人間を排除し、風速計と信号機を接続して警報を自動化した。
(2)運転中止の目安を25m/sから20m/sに引下げた。
(3)鉄橋上に風防を取り付けた。

知識化
(1)装置の制御ループの中間に人間の判断をいれるな。
(2)安全装置のセンサが警報を発していたとしても、センサの調子が悪いと思いこめば、人は無視するようになる。
(3)慣例はルールを無視して、容易に形成されてしまう。ルールやマニュアルの本質を理解する必要がある。

と、きちんと報告されています。これを実践することにより、現在新橋梁建設中ですが、幸い二度目の事故は起きていない訳です。

こうした取り組みをきちんと遺族に報告したのか、それとも単に発言を求められた会長が「‥いまも納得できない」と咄嗟に口にしてしまったのか、少し気になります。

遺族に対して民事上の賠償をきちんと済ませ、こうした説明をすることが一番求められているのだろうと思います。


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yokohamachuo

ご存知の通り、この鉄橋事故は確かに国鉄時代のものですが、JR西日本管内で起こったものです。
要するに、JR西日本は元々の体質(出発点)からして安全対策を疎かにしてきた経緯があるという証左に他ならず、そもそも説明責任を期待する方が無理である、と言わざるを得ません。

本気で西日本が安全対策に取り組むと言うのなら、本件のみならず信楽高原鉄道事故、福知山線脱線事故についても、遺族に納得出来るような説明をするのが筋、というものです。

by yokohamachuo (2008-03-28 07:59) 

majubijou

こんばんは^^
また今夜は雨風でちょっと寒さも感じますね。。

電車など乗ってる本人はどうにもできないですからねぇ。。
脱線など考えもしないことでした
でも、今はゆれが大きいときなど
不安がよぎったりしますね。
何百人もの命を預かっているんですから、
ちゃんとした対応をお願いしたいですね。
by majubijou (2008-03-28 19:44) 

筍ENT

yokohamachuoさん、majubijouさん、ご訪問ありがとうございます。

ご指摘のように、旧国鉄やJR西日本がそもそも説明責任を果たして来なかったという問題があるのですね。

私が見つけたサイトは他者からの指摘であり、これが本当に実践されているかどうかは、もしかすると怪しい、のでしょうか。

理想的にはこうした爾後の安全対策を徹底し、そしてそれを被害者・遺族にきちんと伝えることが求められますね。そうしたこともやっていないのでしょうか‥。

majubijouさんの乗っておられるO線は大きな事故は聞きませんが、複々線工事も進んでおり、特に新しい線路区間は慎重に安全管理をして欲しいですよね。
急行などが先行する普通電車を安全に抜き去ることができるようになる訳ですが、新たに考え得る色々な危険を考えて、安全管理を徹底してもらいたいものです。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-03-28 21:31) 

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