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病理学も崩壊させたいか [医療事故]

読売新聞 「大腸がん」診断、病院で差…内視鏡治療で1~42%

 大腸のポリープなどを内視鏡で切除する治療で、切り取った組織ががんと診断される割合は、病院によって1~42%と大差のあることが、読売新聞が全国の医療機関に行った調査で分かった。

 顕微鏡で検査を行う病理医によって判断が異なることなどが背景とみられ、医療機関により「がん」「良性」と診断が分かれ、誤診につながる恐れがある実態が浮かび上がった。

 調査は、日本消化器病学会と日本消化器外科学会の研修認定施設など1001施設を対象に、2006年に実施した大腸がん治療について、手術件数や内視鏡切除件数などを尋ね、467施設から回答を得た。内視鏡切除は、先端に小型カメラのついた管を肛門(こうもん)から入れ、病変部をつまみ取る治療だ。

このニュース記事にも悪意を感じます。
癌か否かの最終診断を下すのは病理学です。ポリープなどを切除したあと、それを固定し、スライスして病理標本を作製します。そしてそれを顕微鏡で仔細に観察し、その組織が良性であるか悪性であるかを判断します。
手術中の迅速診断では、十分な固定ができず、凍結標本などの条件の悪い組織標本で判断を迫られることもあります。
こういう仕事をしているのが病理学の医師で、患者さんと直に接することがないこともあり、臨床医学ではなく基礎医学の一分野と位置づけられています。

病理学は結局図形認識とも言えます。写真のような病理標本を見て、これが悪性であるか否かを決定します。何か数量化してこういう条件を満たしたから悪性、というようにクリアに結論を出せる仕事ではありません。
大腸癌のような腫瘍より、さらにリンパ腫のような腫瘍ではもっと診断に迷うこともあると聞きます。

おそらくこうした病理学を知りもせずに、単にアンケート調査を行い、その悪性診断率が医療機関で異なることを槍玉に挙げ、「誤診」という言い方で糾弾したいのでしょう。
実際に手術や化学療法などの治療に携わる臨床医に飽きたらず、今度は病理医をターゲットに攻撃しようとでも言うのでしょうか。

繰り返し書いて来たように、臨床医が治療中にいくつもの選択肢から方向を決め、それが最短かつ最良の結果にならないと民事訴訟で賠償金を取ったり、業過致死傷罪で刑事立件しようとする風潮が、医療崩壊の大きな原因の一つとなって来ました。
今度は病理医をターゲットにして裁判所に引っ張り出し糾弾しようとでも言うのでしょうか。
ただでさえ、病理医も不足している現在、病理学崩壊を起こしたら、癌の診断をする医師がいなくなり、日本での癌治療はできなくなります。

もう誰かを槍玉に挙げようとするのはやめませんか。


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