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それでも業過致死罪 [医療事故]

読売新聞 誤診で男性患者が死亡、医師を書類送検…埼玉・白岡

 埼玉県警捜査1課と久喜署は17日、不適切な治療により入院患者が死亡したとして、白岡中央総合病院(埼玉県白岡町、256床)の男性医師(42)を業務上過失致死容疑で、さいたま地検に書類送検した。

 調べによると、医師は2005年11月3日午後、腹痛を訴えて訪れた同県南埼玉郡の男性会社員(当時54歳)が、実際には直腸に穴が開く「直腸せん孔」を起こしていたのに、「急性小腸炎」と誤診。

 入院後、男性の容体が悪化しても、医師は薬の投与を看護師に指示しただけで適切な治療を行わず、翌4日午後、直腸破裂が原因の「汎(はん)発性腹膜炎」で男性を死亡させた疑い。医師も誤診だったと認めているという。

読売新聞 飛び出し園児死亡事故、業過致死罪問われた男性に無罪判決

 茨城県ひたちなか市で2003年11月、幼稚園児(当時6歳)を軽トラックではねて死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた同市の男性会社員(36)の判決が17日、水戸地裁であり、河村潤治裁判長は「前方注視、減速の義務違反は認められない」などとして無罪(求刑・禁固6月)を言い渡した。

 男性は同年11月1日午後3時55分ごろ、園児の自宅前の市道で園児をはね、脳挫傷などで死亡させたとして、在宅起訴された。

 現場は、歩車道の区別やセンターラインのない幅5メートルの道路。検察側は、住宅が立ち並ぶ地域では、人が道路上に飛び出す事態は十分予見可能などと、回避義務違反を主張していた。

恒例のように、2つのニュース記事を並べました。全く別の事件ではありますが、似ています。
どんなに細心の注意を払っても避けられない事態というものがあります。結果的には誰かが死傷するような事態になってしまい、それを避けられなかった“加害者”が悪い、刑事訴追して刑罰を科すという考え方がそもそも根本的に間違っています。

交通では弱者である歩行者を最大限保護するという意図があるように思われます。例えば車対車であれば、どちらが優先道路であったか、どちらの信号が青だったか、そうしたことで責任配分が検討されますが、片方の当事者が歩行者であると、車の分がかなり悪くなります。

医療でもなぜか患者が弱者、医師が強者の如くに考えられ、今まではまず考えられなかった刑事訴追が日常茶飯事になってしまいました。
果たして医師は強者でしょうか。
医師にはまず応召義務があります。特段の理由がない限り患者の診療要請は拒否できず、拒否したらそれ自体を罰せられる可能性さえあります。
そして診療を行い、全てが最短コースでベストの診断・治療が行われないとそれが不法行為であるかのように言われ、時に刑事訴追の憂き目に遭います。

最終的に不幸な結果になった時、診断が難しく結果誤診とされてしまうこともあります。それを罰するのでしょうか。
100%正しく診断を下せなかった医師を次々に塀の中に放り込んで行ったら、日本から医師はいなくなります。

検察は、そして国民は日本から医師を排斥しようとしているのでしょうか。今の医療崩壊の根本をなすこの事態を当然とでも思っているのでしょうか。

不適切な医師法改正もなされなければなりませんが、まずは業過致死傷罪を廃止して欲しいと繰り返し訴えます。
医療に限らず、過失を罰してはなりません。民事の範疇で事後処理を行うべきです。


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Progarmer

私の父が危篤に陥り、白岡中央総合病院に運ばれました。入院し、輸血等で一命は取りとめたものの、治療(延命処置)を行わなかったら余命2日~3日と言われました。治る見込みはありません。との医師の宣告に家族は、父をこれ以上苦ませるのは忍びないと、悲しみをこらえながら『延命処置はしないで自然死でおねがいします。なにとぞ苦しみの無いようにお願いします。』と言いました。
その後なにも治療はせず一週間が過ぎ医師から、お父さんは回復しています、との知らせをうけ、現在ではすでに一ヶ月を過ぎました。本日 担当の看護師と医師から私の母と姉が言われた言葉は病院を出て行ってください。と言う言葉でした、また このままおいて置いて頂きたいなら誠意をみせろと言われたそうです。ここは病院てしょうか?現在父は肺炎にかかり治療中です。医師は診療ミスでしたとはっきりと認めたそうです。


by Progarmer (2010-04-14 20:17) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

本文で私が主張した内容とはまた少し違いますが、お父様の事例について私なりに考えてみました。
まずは、最初の診断が正しくなかったことについて、悪い方向に行ったのでなくて、それだけは何よりでした。
やはり医師は最悪の事態を考えて、その上で最善の対処を考えるということになります。最悪の事態をまずはご家族に話したのだろうと思います。
予想外に恢復されたこと自体は何よりと思います。

さて一方病院を出て行って欲しいという発言。「誠意を見せろ」という発言は私にも理解できませんが、退院または転院して欲しいというのは、現在の医療制度における歪みの最たるものだろうと思います。
入院期間がある程度以上になると、それ以降医療機関が受け取れる診療報酬が大幅に減ります。病院も経営を考えると、そうした患者さんの転院をお願いするのは経営の問題であり、未だに医療費削減しか頭にない厚労省の作ったルールに縛られるからでもあります。

患者さんが十分な治療を受けて、問題なく退院できるまで病院にいられる保険医療制度に戻して欲しいものです。

「誠意」の意味は私も理解できませんが、こうした事情があることをご承知おき下さい。決して病院を擁護する訳ではありませんが‥。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2010-04-14 20:38) 

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