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怒りを違う方向へのエネルギーに [医療事故]

asahi.com 被害生徒の父、地検に憤り/育英RV事故

仙台育英高校入学式.jpg 「何か良い方法があったら教えて下さい」。仙台育英高生の列にRV車が突っ込んだ事故で娘を失った細井実さん(58)は天を仰いだ。同乗者の男性を「危険運転致死傷の幇助(ほう・じょ)罪にあたる」とした仙台検察審査会の議決を受けた仙台地検の判断は「酒酔い運転の幇助罪」での起訴。なぜ同乗者は運転手と同罪ではないのか――。期待を裏切られた遺族は無念さを募らせた。

24日午後5時半。仙台地検の判断を受けて、細井さんと弁護士2人が記者会見した。

「天国の娘に……」。それまで手書きのノートに目を落としながら心情を説明していた細井さんは、娘の恵さん(当時15)に話が及ぶと声を詰まらせた。10秒後。「何と報告したら良いか、わかりません」と声を絞った。

仙台地検の判断に対して細井さんは「検察審査会の重い言葉を素直に受け取ってくれなかった」と失望感を隠さない。そして、「同乗者が(多賀城市の)自宅まで運転手に送るよう頼まなければ事故は起きなかった」「同乗者は運転手の共犯として罰せられるのが当然だ」と続けた。

ただ、同席した荒中(ただし)弁護士は、起訴状の「(佐々木容疑者が運転手の)佐藤の危険運転致死傷の犯行を容易にさせた」との点を「わずかながらでも評価できる」と述べた。この事実認定は「仙台地検が同乗者にも危険運転致死傷の共同正犯や幇助罪での起訴の可能性を認めた」と判断できるからだ。今後、同乗者が同罪で処罰される道を開いた点で「画期的だ」とも語った。

しかし、細井さんは唇をかみ締める。会見中、隣に座る荒弁護士に「公判中に訴因変更はできないのですか」。荒弁護士は黙って首を横に振った。

細井さんは絞り出すように話した。「我々にとって納得のできないことで裁かれてしまえば、2度と裁くことができない。その点が、非常に悔しい」


仙台地検.jpg何の罪もない自分の子供が飲酒運転の車に命を奪われた。こんな不条理を許せず、怒りの感情を持つことは当然のことです。怒りと、そして大切な子供を失った喪失感が癒されるのには相当の時間がかかると思います。
しかし、その相当の時間が経過した後、故意の殺人と同じだけの怒りの矛先がまだ飲酒運転ドライバーや同乗者にまだ向かっているでしょうか。そして彼らがより長い懲役刑や禁固刑に服した方が怒りがおさまるとでも言うのでしょうか。

医療事故ではまだまだ完成には程遠いものの、裁判外解決や医療事故調などが取り沙汰されています。医療の発展に資すると同時に、患者や遺族との間の紛争をできる限り円満に解決しようとするものです。業過致死傷罪を振りかざして刑事警察が介入する可能性が未だに残されているために、厚労省の医療事故調案は空洞化されたものになっていますが、今後の法改正などに期待したいものです。

一方、こうした交通事故でも、当然直後の遺族感情がクローズアップされ、それを最大の根拠として、ワンパターンの厳罰化のみが進んで来ています。事故を起こしたドライバー、そして今回問題になっている幇助者にともかく重い刑事罰を、というひたすら遺族感情に立脚した、応報主義とも言うべき考え方です。

遺族感情を重視するにしても、重い刑事処分が有用であるとは思いません。謝罪と適切な民事解決が一番の解決策である筈です。飲酒運転に対するペナルティは結果責任主義であってはならないと思います。

今後の飲酒運転事故の撲滅には‥しつこく繰り返し書いて来た通り、飲酒したドライバーには車のエンジンが始動できないシステムを一刻も早く普及させることです。何の役にも立たない“厳罰化”より、こちらを実現して欲しいものと願っています。
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