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大野病院事件:勝谷誠彦 on TBS radio [医療事故]

ストリーム.jpgTBSラジオで平日14:00頃から、小西克也・松本とも子の「ストリーム」という番組の中に「コラムの花道」という一コーナーがあります。毎週水曜日は、テレビでも良く見かけるコラムニスト勝谷誠彦が言いたい放題喋っており、いつも「しゃべる時限爆弾、勝谷誠彦さん」と紹介されています。

今回大野病院事件を取り上げていたので、どのような発言があるか興味を持って聞きました。
いつも医療者側からの視点でばかり記事を書いて来たので、こうした非医療者のコメントに関心がありました。

結果的には溜飲の下がるような論調で、やや不穏当?発言もありますが、事故調関連の各論を除いて、概ね首肯しうるものと思います。
ストリーミング放送を聴けるので、時間のある方は聴いてみるのも一興です。但し日にちが経つとプッシュアウトされてしまうと思われます。

2008.8.20(水)
TBSラジオ「ストリーム」コラムの花道
勝谷誠彦
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/

「喋る時限爆弾」勝谷誠彦 大野病院事件に関する発言要旨

(赤坂サカスのイベント、渋谷駅サル捕り物の話題をひとしきり、それに続いて)

勝谷誠彦.jpg福島県立大野病院の帝王切開死亡事故。04年医師が逮捕され連行されたというとんでもないシーン。手錠をかけられていた。産科医療崩壊の始まり。
(医療崩壊とは、産科医が)バカバカしくてやってられるか、ということ。懸命に困難な判断をしているのに。パイロットが不時着を試みているのに突っ込んでしまったという時にパイロットを逮捕するのか、という話と同じ。
本人は犯罪と思ってないし、逃亡のおそれもない。なぜ身柄をとって手錠をかけるか。警察が目立ちたがりなのである。病院事故調がちゃんと調査して、「(手術上)他の選択肢もあったかも知れない」という報告書をマスコミが報じたら、警察が動いた。警察に医療のことなどわかりっこない。しかしこれはチャンスだと動いた。
遺族も告発していない。民事訴訟も起こしていない。マスコミが書いて警察が動いた、この卑しさ!
全国の医師がかちんと来た。福島県の60の産科が40になった。小児科もなくなり、外科・脳外科もなくなって行く。

癌にかかってもセカンドオピニオンを聞こうという。マスコミがこれを言い立てている。(ことほどさように)医療はオンリーワンではない。この場合は前置胎盤。これは紀子さまの時と一緒だが、(癒着胎盤は)何千人・何万人に一人というケース。取ったら大量出血。前置胎盤は(予め)わかるが、癒着はエコーでもわからない。(実際に)取ってみなければ出血量もわからない。
子宮全摘は安全だが、患者から先生は子宮を残してくれるよう頼まれていた。患者のことを考えてやっていた。同僚の医師も、安全だけを考えるのならその方が楽だから子宮を取ってしまうと言う。一生懸命やった結果がこれ。メディアの騒ぎ方もひどい。警察も起訴した検察もひどい。

マスコミの責任も大きい。妊婦たらい回しという言葉も作った。奈良県。事情を聞くと、出産前の検診を一度も受けていない臨月の妊婦が真夜中の3時頃ショッピングセンターでうろうろ、産気づいて運ばれた。搬送が遅れたから子供が亡くなったのか、死産だったのかちゃんと調べないで、特に毎日新聞、無責任に「たらい回し」と書きまくった。奈良県じゅうの産科医が怒った。業界用語でこういうのを「野良妊婦」と言う。いきなり飛び込みで来られて危なくてとりあげられない(分娩を取り扱えない)。これで事故があったら逮捕される可能性がある。しかもそういう野良妊婦にはスキッパーが多い。つまり金を払わずそのまま逃げる。病院に対して自治体が赤字を何とかしろと言っておきながら、受け入れが悪いと言う。たらい回しだという。いい加減にしろ。

マスコミも病院も患者ももっと冷静になろう。感情でものを言って医療をかき回してはいけない。
何をするべきか、病院も事故調を作ったところ。航空機や鉄道はまず事故調が入る。現場を保全する。JR西日本がいけないのは事故調が入るまえに現場に入り込んでしまったこと。
事故調は刑事罰を科すために調査するのではない。調査の結果重大な過失があれば刑事罰もあるだろうけれど。あなたを捕まえるためではないので全て話して下さい、次に活かすため。という発想。
医療事故にもこれをいれるべき。調査委が明らかな過失と見れば警察に告発、納得行かないのなら患者に訴訟を起こしてみなさい、と伝える等。ちゃんと冷静に棲み分けていかないと。
現地のマスコミや警察の思惑が前面に出てしまう。

患者も協力しないと医療が崩壊する。
女性自身のドキュメントに兵庫県立柏原病院の話を書いている。小児科医療が崩壊。身体が持たない。コンビニ受診。普通は街の医院にかかる。それで気が済む。しかし取り敢えず県立病院へいってしまう。昼は混んでいるといって夜かかる。患者側も悪い。夜中宿直医が五月雨式に訪れる患者のために寝られぬ。(やめていって一人になった)最後の医師がノイローゼになってやめる、と地元の心ある記者が書いた。柏原病院小児科を守る会が出来た。さらに偉いのが、先生にありがとうと言おう、ということ。見て貰って当たり前、何で待たすんだ、などと言う患者もいるが、地域全体が病院に頼りすぎていた、医師に負担をかけすぎていた、と認識。小児科医に人気の病院となった。
舛添さんが官僚を引き連れて見学にいった。見ろ、こういう運動をやろうと行った。事前に役人が大臣の機嫌をとろうとおもって母親達に聞きに行ったが、「国にやってほしいことは何もありません。医師数増やしなどはどうぞやって下さい、私達がやることは自分でやる。国は自分で考えて動け」と言った。こうした運動を産科でもやるべき。
出産前検診に行け、と近所のコワいオバサンが言う。受診する金がなければ福祉を利用せよ。
夜中の2時でも救急が混んでいる。行くべきでない人がいる。重篤な患者が亡くなってしまうという実害がある。モンスターペイシェントがいる。

大野病院問題はみな考えて頂きたい。兵庫県の問題は女性自身に載っている。いい話である。

(以下相撲の話へ‥略)。

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コメント 4

yokohamachuo

勝谷氏の父親は医師(確か開業医)のようですから、元々医療全般に関心を持っていたのかも知れません。
by yokohamachuo (2008-08-22 18:56) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

そうすると子供の時から診療する側の父親を見ていたことで、医療職側に理解があるのかも知れませんね。
もっともその頃は今のような医療訴訟もなかったとは思いますが‥。

彼の言いたい放題はいつも楽しみにストリーミングで聞いています。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-08-23 01:41) 

きゅんぱち

昨日(2009-06-07)、秋葉原コンベンションホールにて
全国医師連盟 第2回総会・集会
があり、勝谷氏の講演を聴講してきました。
具体的な内容につきましては勝谷氏御本人との約束があるので恐縮ですが書けないんですけど、この記事本文にあるように医療の側面のみならず、マスコミの本質的にどうでもいい煽り方などといった視点から、かなり興味深い話でした。
by きゅんぱち (2009-06-08 12:22) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

ご紹介頂いた講演は本当は私も聞きに行きたいと思っていたものでしたが、残念ながら行けなくなってしまいました。
一部サイトに大まかな論点が紹介されているようなので、そちらを読みに行ってみます。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2009-06-08 20:07) 

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