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院内調査委員会失格 [医療事故]

毎日新聞 <医療事故>腹腔鏡手術後死亡、医師を書類送検へ 神奈川

淵野辺総合病院.jpg 神奈川県相模原市の医療法人相和会「渕野辺総合病院」で04年2月、手術を受けた同市の女性(当時68歳)が死亡する医療事故があり、県警は22日にも、術後の適切な処置を怠ったとして男性外科医(44)を業務上過失致死容疑で書類送検する方針を固めた。

 県警や病院によると女性は急性胆のう炎で入院。男性外科医が04年2月26日に腹腔(ふくくう)鏡による胆のう摘出手術をしたが、術後に容体が急変。翌朝、出血性ショックで死亡した。同病院は「手術自体は成功したようだが、術後の管理が悪かった。病院としては当初からミスを認めて謝罪した」と説明している。

 同病院は事故を受けて調査委員会を設置。男性外科医は08年9月に懲戒解雇処分を受けた。【鈴木一生、高橋直純】


腹腔鏡.jpg最悪の措置です。この外科医に対する処遇として最悪のことを行っています。

今回はいつも主張する、業過致死傷罪の存在に対する批判ではありません。もちろん最初からこの刑法の条文がなければ、とは思っていますが、このニュース記事で一番許せなかったのは淵野辺総合病院の「院内調査委員会」です。

院内調査の目的は、医療事故や不幸な結果を招いた医療があった時に、その原因をきちんと究明し、その情報を院内スタッフ全員で共有しようという趣旨である筈です。その中からシステムエラーがあれば、皆で改善し、ヒューマンエラーがあればその余地をつぶす方法を考えるのが目的でなければなりません。

医師を吊し上げ、個人責任を糾弾し、挙げ句の果てに懲戒解雇というのは信じられません。以前病院のドラマで現実には存在しない「査問委員会」というのがあり、医師を吊し上げるシーンをちらりと見た記憶があり、あまりに現実とかけ離れた設定と思ったことがありました。ところがこれを地でいくようなこの病院の対応に唖然としました。

この医師は、悪法とは言え現行法に従って罰金刑などが下ったら素直に従い、こんなひどい病院とは完全に縁を切って、もっときちんとした病院で活躍して欲しいと願っています。

きちんとした事故調を立ち上げる前に、こういう病院は考え方を改めて欲しいと思います。
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コメント 18

Leon

4年経って、事故調を付け焼刃的に作ったのはおかしい?
外科医の未熟さもあるが、死亡時のカルテと看護記録の改ざんを命じた
外科の院長に一番の責任があるのではないか。死亡後の司法解剖とカルテと看護記録の所見が一致しないから、4年経って書類送検になった事件である。いわゆる、やめた看護師の内部告発で表にでた事件で根は深い。
by Leon (2008-10-24 11:09) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

このニュース記事以降の情報を得ていませんでしたが、もちろん診療録・看護記録の改竄があったのだとすれば、それはまずいですね。

改竄を命じたのが、やめさせられた外科医でなく、院長だったとすれば、現行法では院長に証拠隠滅の罪が問われることになるのではないかと考えます。

私も続報に注意してみます。コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-10-24 19:08) 

鶴亀松五郎

4年前は、いまのように医療安全委員会の議論が熟していませんでした。
もちろん、やっているところはキチンとやっていましたが。

有害事象が起きたといっても、避けられない合併症によるものなのか、担当医の術後管理の未熟さによるものなのか、あるいは手術手技の未熟さによるものなのか、なんとも言えませんが。
未熟さによる有害事象の場合、先進国では上級医師の監督による期間限定(4ヶ月~6ヶ月後に再評価、評価の結果で延長もある)の再教育の対象となります。
その後も何度も繰り返すようだと、医師資格は維持されますが、臨床現場からの離脱を要求されます(医師登録から外される。その後、長期間の再教育を経て現場復帰も可能)。

>男性外科医は08年9月に懲戒解雇処分を受けた

この先生、その後どうされていらしゃるんでしょうか?
退職金なしの懲戒解雇というのは尋常ではないので、この事例の前も、その後もトラブルが続いたのかもしれません。
そうでないと、懲戒解雇は説明できませんし。
推測でしかないのでそれ以上は、わかりません。


by 鶴亀松五郎 (2008-10-24 21:20) 

筍ENT

鶴亀先生、ご訪問ありがとうございます。

当時の院内医療安全委員会はまだ現在ほど成熟していなかったという事実もあるのですね。
ご紹介頂いたようなシステムができあがっていたのであれば、そしてこの先生が有害事象の発生を繰り返してしまっている場合は、臨床現場からの離脱、ということになるのでしょうけれど、そうだとしても依願退職が適切という気がします。

確かに懲戒解雇処分というのは尋常でなく、私はこうしたことに無理解な病院側の一方的な措置なのではないかと考えていました。
病院による医師の懲戒解雇は、現行法の業過致死傷罪立件よりもっと厳しい条件が必要なのではないかと想像していたので、私はこの記事に驚いていた次第です。

コメントありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。
by 筍ENT (2008-10-25 14:42) 

某大学病院勤務医

以前、この病院にアルバイトに行かされた事があるのですが常勤医師が急に解雇になるのは当たり前の病院です。知ってるだけで10人以上くらいです。
この病院では、一番実権を握ってるのは医師よりも現院長代行(理事長の息子)の奥さんとそのバックについている大阪方面のやくざとその取り巻きの事務系の数人で高い医療器械購入や建物を建てた時のいわゆるキックバック=不労所得=脱税で10億円以上をもらったうえ定価で裏のリース会社を経営しており毎月億単位のリース料を病院側が支払っているとか。
今回の事件でこの病院が恐れているのは上記のことで、外科医の業務上過失致死及び懲戒解雇処分という形で社会的制裁を受けているという方向に争点をすりかえカルテ改竄の件と上記の不正経理の発覚を隠蔽するのが目的だと思います。
マスコミの報道はこの病院の思う壷で、一人の外科医に全責任を負わせた
形になり都合がよいのです。噂では、外科医に対して多額なお金が支払われたと聞いています。ほとぼりが冷めたら病院に戻って欲しいとかの会話があったとか。
こういう病院は一度つぶれて膿を出し、まともな経営母体の管理下で一からやり直した方がよいと思います。
新聞報道を見るとき行間を読まないといけないケースで本当の事実が闇に消されるのは残念だと思います。
by 某大学病院勤務医 (2008-10-26 00:32) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

貴重な情報をありがとうございます。そんな信じられないような裏があるとは、新聞を何回読んでもわかりませんね。

不正経理は、どのように隠蔽しているのかわかりませんが、税務署か、規模によってはマルサによって暴かれるべきでしょう。その結果一度病院の経営が破綻して出直すことになれば良いのでしょうけれど。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-10-26 20:20) 

NO NAME

報道されていることは事実とちがうことがたくさんあるようで、むしろ報道陣がたちが悪いと思います。
この病院は昔はよくなかったけれど最近ではいろいろ頑張っていたようだし雰囲気も昔と比べてとてもよくなっていました。
私もくわしいことは知らないのですが、報道をあまり鵜呑みにしないでいただきたいです。

お言葉ですが、アルバイトをしていただけでそんな裏事情のようなものがわかるものなのでしょうか?
昔はわかりませんが、今はやくざや脱税などは一切ありません。
嘘をついているとは思いませんが、確かでない噂なので理解していただきたいです。
by NO NAME (2008-10-27 10:45) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

NO NAMEさんの知っておられるこの病院に関する情報は、某大学病院勤務医さんのご紹介頂いたものとだいぶ異なりますね。

私には、というより、ニュース記事を読んだ人に真実はこれ以上わかりません。もし不正のようなものがあれば正して欲しいと思います。

もしそうでなければ、いずれにしても私が書いた記事通り、医師を懲戒解雇するような院内調査委は間違っていると思います。

他にも情報がありましたらお寄せ下さい。
by 筍ENT (2008-10-27 20:49) 

NO NAME

当人たちにしか真実はわからないので報道されていることや噂などをあまり鵜呑みにしないでいただきたいです。
何が正しいのかを判断するのは困難なことですが‥

私も直接の関係者ではないのですが、えらそうな言い方をしてしまってすみませんでした。
無理でなければ書き込みを削除しておいていただけませんか?

by NO NAME (2008-10-28 12:19) 

筍ENT

とんでもないです。

このニュースに限らず、どんな事件の報道でも、ニュートラルに、多面的に捉えることは難しく、さらに放送局によってかなりバイアスのかかった報道がなされていることは想像に難くありません。

NO NAMEさんも、特にえらそうなどということはありません。真実は今のところ病院の外にいる人にはわかりませんし。

私も、院内調査委員会を名乗る組織が医療者を懲戒解雇にしたという一点においてのみ批判したいと思います。その他の情報についてはいずれもまだ未確定のもの、という認識でいることにしたいと思います。

懲りずにコメントお寄せ下さい。
by 筍ENT (2008-10-28 21:06) 

NO NAME

No nameさんの情報は、間違いないですよ。
精度の高さに驚きました。

叩けば埃が出るのはまちがいないですよ。
by NO NAME (2008-10-28 23:49) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

いずれにしても不正経理などは良くないし、あれば正して行って頂ければ良いと思います。

ウラの取れないこの病院の現状はさておいて、いやしくも「院内調査委員会」を名乗る以上、個人攻撃の結論を出すような不毛なマネはしないで欲しいと考えた次第です。

真実の追究、再発の防止を最大の目的に掲げるべき「調査委」の名に恥じるべき行為であり、風上にもおけない委員会です。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-10-29 19:29) 

奇貨

一本釣り雇用じゃなく、大学医局依存型だったみたいで、この仕打ちに外科グループ全員席を蹴って引き上げ決定。
同大学から内科も派遣されていたようで、内科の撤退も秒読み状態らし。
by 奇貨 (2008-11-02 01:32) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

医局依存でこのふざけた「調査委」の措置では、当然の帰結ですね。
よくこんなひどいことをしたものです。というか無思慮ですね。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-11-02 20:20) 

NO NAME

 私は医師ではなく別の部署ですが、ベテラン同士の亀裂には困りました。ギリギリ必要なことしか互いに話さないため、事実上各々言いたい事を言っている状態で混乱したものです。
 雇用にもどれだけ影響を与えているか、当人達は考えたことがあるのだろうか。

 医師に限らず、また経験が充分あったとしても、医療ミスに結びつく原因はどこにでもひそんでいるものだとつくづく感じました。
 襟を正して勉強せねばと思い直しましたが、仕事するのが怖くなってしまいます。
by NO NAME (2008-11-17 03:52) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

情報は錯綜していますが、その根本または過程において、そうした派閥・人間関係の破綻が起きて来るのですね。

公立病院で多くの医師を抱える科でも内紛のようなものを見聞きしたことがあります。女性よりは少ないと言われていますが、男性の多い職場にあっても避けられないのですね。難しいところです。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-11-17 08:35) 

続報

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20090404-OYT8T00095.htm

”書類送検の執刀医不起訴

 相模原市の渕野辺総合病院で2004年、急性胆のう炎の手術を受けた同市内の女性患者(当時68歳)が内出血を起こして死亡した医療事故で、業務上過失致死容疑で書類送検された執刀医(45)(懲戒免職)について、横浜地検が嫌疑不十分として不起訴としていたことが3日、わかった。"

ちなみに
ttp://www.sowa.or.jp/fuchinobe/topics/0903_geka.html

”2009年3月16日(月)より、
外科の初診患者さんの診療を休止致します。
なお、再開が決まり次第改めてお知らせ致します。”
再来はやってるみたい
by 続報 (2009-04-05 10:15) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

情報ありがとうございます。やはり刑事訴追されなかった医師が院内で懲戒解雇処分を受けていたということが問題ですね。
逆に刑事訴追されるような医療事故であっても、その医師に行政処分を下すことが適切かと思われるようなケースもあります。増して院内処分などとんでもないと思います。

この病院の外科外来で、最近になって初診の診療を休止したのはいったいどういう訳でしょうか。
これは謎です。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2009-04-05 22:22) 

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