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脳脊髄液減少症 [診療]

時事通信 交通事故で脳脊髄液減少症=因果関係認めた判決が初確定

脳脊髄液減少症ガイドライン.jpg 交通事故と脳脊髄(せきずい)液減少症との因果関係が争われた訴訟で、因果関係を認めた先月31日の東京高裁判決に対し敗訴した加害者側が最高裁への上告を断念、19日確定した。同様の判決は地裁で4件あるが、確定したのは初めて。
 脳脊髄液減少症は、事故の衝撃などで髄液を包む硬膜にすき間ができ、髄液が漏れることによって起きるとされるが、確立した診断基準はなく、専門家の間で異論もある。
 事故は2004年2月、横浜市内の交差点で発生。自営業の男性(46)が車を運転中、乗用車に衝突されて負傷した。最初は「頭部挫傷」と診断されたが、頭痛が強くなり、05年5月に減少症の診断を受けた。少量の自分の血で髄液の漏れる部分をふさぐ「ブラッドパッチ」という治療を受けて治癒した。
 東京高裁判決は、事故直後から症状が続いていたことや、「起立性頭痛」という減少症に典型的な症状があること、発症前後に他に原因となるような出来事がないことなどから、事故との因果関係を認めた一審横浜地裁判決を支持、加害者側の控訴を棄却した。
 NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会の中井宏代表理事は「高裁が認めた意味は大きい。多くの患者が苦しんでいる中、大きな希望の光となる」と話している。


脳脊髄液減少症.jpg

8月のニュース記事です。
本来であれば、脳脊髄液減少症と交通事故外傷との因果関係と言った性質のものは、司法ではなく、医学の世界の中で結論を出して欲しかったと思います。

医療崩壊の問題で、不確実である医療の中に、法学的な判断を持ち込むことが不適切であり、その結果医学の進歩も副作用報告もストップしてしまうという点が指摘されています。

これと同様、交通事故と脳脊髄液減少症の因果関係はあくまでも主治医や研究者の間で議論の上、「因果関係が否定できない」という結論を、交通事故加害者=実際には保険会社に突きつけ、損賠をするよう働きかけ、それに保険会社が動かされた、という形が理想だったと思います。
もちろん保険会社が徹底拒否の姿勢を見せた時には、その段階で裁判というステップが必要になるのでしょうけれど。

そしてさらに、この脳脊髄液減少症はまだ保険診療が認められていません。実際に患者が存在し、画像診断上も脊髄液の漏出が認められている訳ですから、速やかに保険診療の対象とすべきでしょう。全ての症例が自動車事故のように他保険から治療費を支払われるというのなら良いのですが、そうでないケースもあるはずです。

こういうところに医療費抑制の力学が働いているのなら、許し難いことであるとさえ言えると思います。
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コメント 4

ゆめ

脳脊髄液減少症患者のゆめと申します。

保険金詐欺師のアタリ屋さんが存在する限り、その罪が
軽い限り、
また、少しでも多く保険金をせしめようとたくらむ人が存在する限り、

私たち、真の交通事故で脳脊髄液減少症になってしまった被害者は
いつまでたっても、救われないのかもしれません。

本当にこの病は、数々の不可解な症状が多いです。
私も実際に経験しなければ、こんな症状があるなんて信じられないことばかりです。

たぶん、どんな優秀な医師であっても、
この症状は想像の範囲を超えていると思います。

それだけ、脳脊髄液というものが、人間の精神と身体のバランスを保ち
正常に機能させる役割を持っている証拠だと思います。

脳脊髄液の人体への役割の研究が進めば、
いろいろな未解明の病や
精神の病に、
何らかの光が射すと、私は感じています。

ひとりでも多くの医師や司法関係者の皆様に、
本当に苦しんでいる被害者がいることを知っていただき、

実際に脳脊髄液減少症を体験した患者の声に耳を傾けていただき、
一刻も早く救いの手をさしのべてほしいと願っています。

こうしている間にも力尽きて、自らの命を絶とうと思いつめる
患者たちがいるのです。
by ゆめ (2008-12-09 08:22) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

脳脊髄液減少症については患者さんの発生に医学が追いついていない疾患と言えるのかも知れません。
ただ、実際に髄液漏出所見が客観的所見として得られる以上、診断確定した場合には保険診療を早く認めて欲しいものです。

脳神経外科学が早く見解を打ち出さないと、司法が本記事のように先行してしまうことになります。
そして学問だけでなく、医療保険が早くこの診断・治療の保険適応を認めてくれれば大きな前進となるでしょう。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-12-09 08:41) 

ダダ子

こんにちは。
私自身 脳脊髄液減少症で3回EBPをしました。
私が住んでいるところでは全く知名度も低く、医者も治療出来ない為大変苦労しました。
また医者の診断があるにも関わらず損保は否定してきます。
何の為の保険か分かりません…。
やはり国が早期保険適用をしなければ始まりません。
しかし研究チームの症例数は未だに22例しかありません。

脳脊髄液減少症の早期保険適用を求めて日々活動しています。

ダダ子
http://ameblo.jp/kanao1918/
by ダダ子 (2009-03-09 20:44) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

ご自分自身が苦しんでおられる方の経験談は重みがあります。
自動車事故で被害者の知識があまりないと見ると、保険金を削ってくる会社の実に多いこと。まして脳脊髄液減少症に対してはひどい態度を取っているのですね。医療保険ではまだでも、損保では既にカバーしているのかと思っていました。

引用したニュース記事のような判例が積み重ねられて、まずは損保からきちんと対応してもらいたいものです。そして医療保険もこの疾患をしっかりカバーしてもらいたいと願います。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2009-03-09 21:26) 

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