介護現場での業過致死罪立件

河北新報　弘前・介護施設入浴死亡　付き添い職員を書類送検

　青森県弘前市富田３丁目の老人介護施設「デイサービス孔雀庵（くじゃくあん）」で昨年９月、入浴中の女性＝当時（８４）＝が水死した事故で、弘前署は２９日までに、業務上過失致死の疑いで、施設の２０代の女性職員を書類送検した。

　調べなどによると、職員は昨年９月９日午前１１時２０分ごろ、施設内の特別養護施設に入所していた女性の入浴に付き添っていた際、目を離したすきに女性がおぼれ、死亡させた疑い。

　女性は午前１１時ごろから入浴。浴槽で顔を水中に沈めているのを、別の職員が発見した。デイサービス孔雀庵は今年６月末に業務を中止したという。

やはり不毛だ、と思います。孔雀庵の女性職員は目を離せば入所女性が溺死するかも知れないことを「予見」出来た。目を離したために溺れている状態の発見が遅れたのであり「因果関係」がある。注意を払いながら入所者の入浴介助するのは仕事そのものでもあり「業務上」は当然である。何よりこうした事故の「回避義務」がありそれを怠った。

これまた赤児の手をひねるより簡単な裁判です。女性職員は有罪判決を受け何らかの刑事処分を受けることになります。

そしてその刑事裁判がいったい何の役に立ち、社会のためになったでしょうか。
被告の女性職員は介護の経験やスキルがあるのにこの仕事をやめてしまうかも知れません。孔雀庵は業務を中止してしまいました。ただでさえマンパワー不足が予想されるこうした施設でのこうした事故防止は何一つ検討されることなく、地域住民の介護・ケアを担う施設が一つ休止してしまっただけに終わりました。

医療同様事故調がきちんと調査を行い、原因を細かく分析して再発防止に役立てる。そして刑事立件を行わず、事件に関係した職員は全ての情報を出し合う。遺族への賠償はきちんと行う。できれば民事裁判も経ずに裁判外解決が望ましいと思います。

現実はそうした解決とは程遠いものです。検事は一件有罪＝一丁上がりで、一歩出世でもするのでしょうか。多くの人たちを踏みつけ犠牲にして。

コメント 2

記事を一読した限りでは、まだ警察が書類送検をしたのみで「起訴」には至っていないようですから、その先が気になる所です。

仮に、これで起訴されて有罪判決になったとすると、もう介護職員になろうとする人はいなくなってしまうような気がしてなりません。

by yokohamachuo (2009-01-08 01:11) 

ご訪問ありがとうございます。

ご指摘の通り、警察の書類送検即起訴有罪刑事処分、という訳ではないので、続報を知りたいところです。
過失事案に限らず、警察は死者まで含めて何でも送検、という姿勢が見えますから、検察、次いで裁判所の良識に期待したいところです。

yokohamachuoさんの言われる通り、有罪にでもなったら、医療崩壊に次いで、介護崩壊が起きかねませんね。

コメントありがとうございます。
by 筍ＥＮＴ (2009-01-08 08:26)