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遺族感情と刑罰を区別せよ [生活/くらし]

asahi.com 涙を無理にとめないで /神奈川

ピア神奈川渡辺治重代表.jpg 事故や犯罪などで肉親を奪われた遺族らで作る被害者支援自助グループ「ピア・神奈川」が、それぞれの体験や心情を綴(つづ)った冊子を出版した。悲惨な事件が後を絶たない中、遺族の悲しみを共有する輪を広げるのが狙い。毎月2回活動しており、電話や面接での連絡も呼びかけている。30日には東京で、各地の団体と犯罪被害者の全国大会も開く予定だ。
(大島具視)

 ピアは、事故で長男(当時20)を亡くした茅ケ崎市の渡辺治重(はるえ)代表(63)らが、03年に設立した。現在、正会員は6人。賛助会員や相談に来た人も含め遺族8人が文集「涙を無理にとめないで」に寄稿して昨年暮れに発行、今月、加筆して増刷した。

 厚木市の橋本清さん(69)は、21歳の三男を失った経験を書いた。三男は自宅をオートバイで出て駐車中の車に追突し、亡くなった。妻(68)が「あなたが車を貸していれば……」と橋本さんを責め、「近所の人の目が気になる」と繰り返すようになった。「このままでは妻が変になる」と、なるべく早く帰るようにした。そんな橋本さんを同僚が「ミスター定時」と呼んでいたことを知り、惨めな思いだったという。

 法制度改革に取り組む遺族もいる。茅ケ崎市の祝部(ほうり)美佐子さん(58)はひき逃げで25歳の長男を奪われた。逮捕された男は覚せい剤取締法違反で執行猶予中で、盗難車に乗っていた。しかも、供述などによると飲酒運転だった。

 祝部さんは危険運転致死罪の適用を検察側に訴えたが、かなわなかった。男が逃げたため、酒酔いが立証できなかった。危険運転致死罪なら最高懲役20年だが、適用されたのは業務上過失致死と道交法違反などで、懲役6年の判決だった。祝部さんは「逃げたら罪が軽くなるなんておかしい」と、飲酒・ひき逃げを厳罰化する法改正を求め全国で活動をしている。

涙を無理にとめないで.jpg 今回、冊子を出し、増刷したのは、活動をより多くの人に知ってもらうため。毎月第2、第4水曜日、横浜市神奈川区の県民センターで遺族からの相談を受け付けている。

 渡辺代表は「悲しみを抱え込まず、吐き出すことが大事。同じ境遇の我々が繰り返しそれを聞いてあげます」と話す。

 冊子は一部700円。ホームページは、http://www.geocities.jp/peerkanagawa/。電話相談や問い合わせは(070・5463・4944)へ。


本ニュース記事を見て、本当に遺族の悲しみを鎮めるものは何であるかを考えさせられています。
図らずも記事に典型的な2つの例が紹介されています。
一つめは三男がバイクで追突事故を起こし落命したケースで、母親が父親に対して車を貸さなかったからだと責め続けたという例
二つめは飲酒運転を立証できなかったために、加害者の刑が軽くなってしまったと不満を持ち続けている例です。

いずれも身内を喪って日にちが経っていないのではないかと思います。やり場のない悲しみはどうしても加害者や関与者への怒りのエネルギーになってしまいます。心理学を学んだ訳ではありませんが、悲しみという感情を怒りに転換する働きがあるのではないかと想像します。
ピア・神奈川表紙.jpg誰かを憎むことによって自らの悲しみの感情を少しでも緩和しようとする。想像に難くありません。やむを得ない現象かも知れません。

こうした心理状態を救い、本当に最終的に悲しみの感情を癒すのに、こうしたグループ活動が大変貢献してくれていると思います。同様の組織や動きが各地であることを望みます。

そして私のいつもの持論です。「卑怯な」検察は急性期の遺族のこうした憎しみに転化された感情を法廷に持ち込み、故意犯はもとより過失反にまで重罰を追わせようとします。本当に「卑怯」と思います。
故意でも過失でも、法に則ったニュートラルな量刑が下されるべきです。遺族を利用して、また浪花節裁判員を利用して、無用な厳罰を下すことは決してしてはならないことだと思います。

特に過失については民事中心に解決を図るべきです。自動車運転にあっては別の記事でも取り上げましたが、厳罰化は無意味です。
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