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判決も仮釈放も被害者感情は切り離せ [生活/くらし]

読売新聞 無期囚の仮釈放、遺族らが意見…法務省が聴取を義務付けへ

法務省.jpg 法務省は25日、無期懲役の判決を受けて刑務所に服役している受刑者(無期懲役囚)を仮釈放する際は、被害者や遺族の意見を聴くことを義務づける方針を固めた。

 刑事裁判に被害者らが参加し、被告人質問などを行える「被害者参加制度」が12月から始まることにあわせ、仮釈放でも被害者重視の姿勢を示すことが狙いだ。年度内にも関係省令を改正する。

 無期懲役は10年以上の服役で仮釈放が可能となる。仮釈放は刑事施設長が申請し、地方更生保護委員会が法務省令に従って〈1〉更生の意欲がある〈2〉再犯の恐れがない--などの観点から許可・不許可を決める。現在でも被害者らから意見を聴取できるが、今後は意見聴取を義務づける。同委員会は、被害者らの意見を、仮釈放の許可・不許可決定の参考にする。

 また、法務省は無期懲役囚の仮釈放申請について、許可・不許可すべてのケースについて入所期間などを公表する方針だ。これまでは許可された場合のみ件数などを年間統計で公表してきたが、今後は、不許可の場合も公表することで、運用の透明化を図る。


判決読み上げ.jpgなぜ被害者や遺族に意見を聞くのでしょう。何となく賛成してしまいそうですが、仮釈放の是非を決めるのに、なぜ被害者や遺族の感情を根拠にするのでしょうか。

そもそも裁判における「被害者参加制度」も納得しがたい制度で、被害者・遺族感情によって刑事罰が左右されるのは間違っていると指摘して来ました。刑事罰はあくまでも為した罪の重さで決めるべきものであり、被害者・遺族の声の大きさで判決が左右されてはなりません。

そして同様に無期懲役の仮釈放の是非が被害者・遺族感情で左右されるのもおかしな話です。仮釈放の可否は、服役中の態度などで決められるべきことであり、塀の外から反対意見をぶつけてこれを阻止するのは正しいこととは思えません。
たとえば仮釈放すると、被害者や遺族に「お礼参り」に行く危険があると判断されたら、刑務所側で仮釈放を見送れば良いことです。これを怖がる遺族などが多かったり、その声が大きかったりすると、仮に心から更生している服役者の仮釈放が拒否される危険もあります。

それとも仮釈放中の再犯について、刑務所がその判断ミスの責任逃れのために、一部を遺族・被害者に押しつけようとしているのでしょうか。

刑事罰の量刑決定から仮釈放に至るまで、あくまでも法に則って客観的に行われなければならない考えます。
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鬼

血も涙も無いとはこういう人のことを言うのだろうな
by 鬼 (2009-03-22 00:33) 

黒猫

久しぶりに聞いた正論です。
法は被害者側の感情を切り離すところから始まった、という一面もあるはずです。
しつこいほど「今のお気持ちは?」と遺族に食い下がるマスコミもどうかと思うし、その感情論にすぐに影響されてしまう大衆もあまりに無責任でしょう。

ただ、司法というものがあらゆる段階で非科学的な印象を受けてしまうのは私が無知なせいでしょうか。
もっと実証的な研究に基づいた判決や仮釈放の決定がなされてもよいと考えるのですが …
人間科学的な、「これこれこういう条件を満たし、その上でこういう条件があればこの被告は再犯する可能性が極度に小さいと知られている」といった研究です。
by 黒猫 (2009-03-22 02:09) 

筍ENT

鬼さん、黒猫さん、ご訪問ありがとうございます。

●鬼さん、血も涙もない、というのは私の考え方に向けられたと考えて良いですね。おそらく被害者・遺族の立場に立った考え方で、多くのマスコミと同じ方向を向いていると思います。

でも、一方年余の服役というペナルティを科されて来た受刑者についても、その立場で考えてみませんか。たとえ故意犯であっても反省し、法で定められた系を受けた人に、これ以上鞭打つことは正義ではないと思います。

●黒猫さん、的確なコメントありがとうございます。被害者感情の受け皿は民法であると考えています。ご指摘のように刑法はもっと客観性を持たせたものであるべきと思います。仮釈放についても、やはりご指摘のように人間科学、精神医学などが介入しても良いですね。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2009-03-22 20:18) 

黒猫

> 被害者感情の受け皿

ことによると「感情」という言葉では言い尽くせないほどの深い傷のケアには、何らかの企業サービス(つまり新たなビジネス)やNPOの活動 … それになによりも行政が関わるべきでしょう。
もちろん、それを実現するためには、これまでなかった法律による枠組み作りが必要となるかもしれません。
こう考えると、司法への被害者感情の「領域侵犯」は行政・立法の怠慢、あるいは無知や考えの無さに起因するとも言えますか。
by 黒猫 (2009-03-22 23:28) 

筍ENT

黒猫さん、たびたびご訪問ありがとうございます。

被害者、ことに遺族の心の傷のケアには何をすべきか、難しい問題です。最終的にはそれを癒すことができるのは時間しかないようにも思いますが、もっとできることがあるかも知れませんね。
そのあたりについての考察はまだ十分していませんでした。

急性期の被害者・遺族感情をもとに検察が裁判所により重い量刑を求める傾向に警鐘を鳴らしたいと思っています。
しかし、被害者・遺族のその後のケアについて、案がありましたら教えて下さい。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2009-03-23 08:36) 

ayu15

被害者救済=加害者厳罰でないですよね。

加害者厳罰以外の被害者救済が進むこと願います。
支援不充分で泣いている被害者もいますもの。
by ayu15 (2009-08-06 15:15) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

ご指摘の通り、加害者厳罰が被害者を救済しません。もっと行政なども巻き込んで、被害者や遺族に対する真の救済を考えるべきでしょうね。

加害者に対しては繰り返しになりますが、客観的な量刑決定を行って欲しいものだと思っています。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2009-08-06 20:50) 

a

仮釈放は感情的なものである。
収容期間満了前の釈放は決してしてはいけない。
無期懲役はずっと刑務所に入れておくべきである。
by a (2011-04-26 13:58) 

筍ENT

ご訪問、古い記事へのコメントありがとうございます。

懲役・禁固刑等の刑はそのままきちんと満期まで、という考え方ですね。その場合は判決の際の量刑をもう一度見直して欲しいと思うのです。
これまた遺族感情に一方的に立脚した考え方ばかりが幅を利かせますが、実際に服役して数十年または生涯拘束されることを本当にイメージしている人がどれだけいるでしょうか。

仮釈放を一切認めないなら、予めそれを前提にもっと各刑事犯の量刑を見直す必要があると思っています。
by 筍ENT (2011-04-26 15:42) 

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