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東京の多摩・島嶼・救急・周産期医療 [医療制度/行政]

東京新聞 都が『支援ドクター』 多摩・島しょ部に10人程度

多摩南部地域病院.jpg 都は二十七日、医師不足が深刻な多摩や島しょ部の公立病院を支援するため、都が即戦力となる医師を直接採用して派遣する「地域医療支援ドクター事業」を来年度から始める、と発表した。来月二十六日まで支援ドクターを募集し、十人程度を採用する考え。

 都福祉保健局によると、派遣先は、島しょや奥多摩にあるへき地の公立医療機関や、多摩地区の公立病院を想定。募集対象は医師歴五年以上の人で、周産期医療(産科・新生児科)や小児医療、へき地医療、救急診療のいずれかに従事してもらう。

 支援ドクターとしての勤務は原則六年間。このうち二年間は多摩・島しょに派遣される「支援勤務」に充て、残り四年間は「キャリアアップ勤務」と位置付け、希望に応じて都立や民間の病院で腕を磨けるようにする。

 支援ドクターには都立病院医師と同等の給与のほか、一日当たり一万円を上限に派遣手当も支払われる。

檜原診療所.jpg 同局は、新規事業費として来年度予算に三千三百万円を要求している。担当者は「医師の必要なところに、都が直接派遣するシステム。医師不足の解消に向けた一歩になれば」と話している。

 問い合わせは、都救急災害医療課医療振興係=(電)03(5320)4428=へ。


私の予想です。この「支援事業」に応募する医師は皆無、または数名にとどまるのではないかと考えています。
そもそも23区内の病院でさえ、産科・小児科医師は不足し周産期医療は危機に瀕しています。そうした状況で、多摩地区や檜原村、伊豆諸島・小笠原諸島などの医療機関に進んで手を挙げて赴任する医師がどのくらいいるか。

既に自治医大卒業生が一名檜原診療所に就職、その他島嶼の診療所には交代で派遣されています。6年間の授業料免除+αの条件でやっと僻地勤務を担ってもらっています。
大島医療センター.jpgそれに引き替え都立病院の給与に日当を乗せたくらいで進んで僻地や厳しい勤務が予想される救急、周産期医療に携わろうとする医師がどのくらいいるでしょうか。

もちろん医師の仕事選びは給与だけではありません。やり甲斐、喜び自体がインセンティブになり得るとは思います。しかし医師にも生活があります。
私の情報は古いのですが、国立病院に次いで低いとされ、地方自治体病院の中ではもっとも低い給与と言われる都立病院の給与に一日1万円程度上乗せした程度の報酬では、待遇に問題があるのではないかと思います。

給与もさることながら、もっとも医療紛争に巻き込まれる可能性の高い周産期医療、救急医療に携わる医師に対して、一切の民事賠償義務を東京都が負う、刑事訴追を極力謙抑的にすべく当局に働きかけるなど、採用した場合に大事に扱うという姿勢を見せることも大切ではないかと思います。以前より東京都立病院での医療事故賠償は、文科省管轄の国立大学病院と違って、全額都が負担するとは聞いていますが、それが今でも変わっていないか、なども明示してもらいたいと思います。

いずれにせよ、ことほど左様に医師不足解消策、多摩・島嶼医療環境の改善が簡単に進むとはとても思えません。
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