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応報主義促進報道 [生活/くらし]

読売新聞 渋谷・温泉施設爆発、大成建設の設計者ら3人書類送検

シエスパ構造.jpg 東京・渋谷で昨年6月、8人が死傷した温泉施設「SHIESPA(シエスパ)」爆発事故で、警視庁は12日、設計・施工を担当した大手ゼネコン「大成建設」(新宿区)の空調設備の設計担当者(50)と、施設を運営していた「ユニマット不動産」(港区)の取締役(46)ら2人の計3人を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。

 同庁は、大成建設の担当者について、保守・点検を適切に行わないと引火性のガスが充満して爆発する危険性を認識しながら、運営会社に指示していなかったなど重大な過失があったと判断した。

 捜査関係者によると、シエスパ開業後の2006年3月、同社が建設を進めていた港区内の温泉施設の建設を請け負った別の大手ゼネコンが施設を見学。その際、源泉から出る天然ガスを屋外に逃がすための排気管がU字形の場合、結露した水がたまってガスが充満する危険性があると大成建設の担当者に口頭で伝えた。ガス検知器が設置されていない不備も同様に指摘したが、大成建設の担当者は具体的な改善措置を取らなかった。

シエスパ.jpg この担当者は、05年2月に東京都北区の温泉掘削工事現場で起きた火災でも天然ガスが原因だったということを認識しており、排気管のU字形の部分の水抜き作業を定期的に行う必要がある点も理解していたという。しかし、ユニマット不動産に施設を引き渡す際、水抜きの必要性を伝えておらず、結果として開業から1年半の長期間、水抜き作業は行われていなかった。

 また、ユニマット不動産の2人についても、施設開業後にガス漏れの危険性を保守点検業者から指摘されながら、開業後もガス検知器を設置しなかったうえ、水抜き作業の項目を点検マニュアルに追加しないなどの過失があったという。

 同庁は、こうした過失が複合的に重なり合って惨事を引き起こしたと判断した。一方、施設の点検業者については、危険性の認識がなく、水抜き作業も依頼されていなかったことから、過失責任は低いとして立件を見送ったとしている。

 爆発事故で死亡した千財明菜さんの父信行さん(62)は、「ようやく動き出したという感じだ。事故は、何らかの落ち度があって起こったわけで、だれかが責任を取らなければならないと思っている。司法にはその点をしっかりと判断してほしい」とコメントした。

時事通信 「責任どこに」問い続け=かなわなかった花嫁姿-遺族、消えぬ無念・温泉施設爆発

シエスパTBS.jpg 温泉施設「シエスパ」の爆発事故で、亡くなった従業員千財明菜さん=当時(23)=の父信行さん(62)は毎日、遺影の前に座り、手を合わせる。娘の笑顔はもう見られない。「なぜ事故は起きたのか。責任はどこに」。無念の思いを抱きながら、問い続けてきた。
 2007年6月19日の発生直後、信行さんは現場を訪れ、ビデオカメラで撮影した。爆風で吹き飛ばされた建物の壁、崩れたブロック塀…。「この中に娘がいたとは信じられなかった」。今も惨状は目に焼き付く。


この記事を取り上げたのは、いつものように、不毛な応報主義=仇討ち主義に走る刑事裁判に異を唱えるためです。そしてマスコミは相変わらずこうした浪花節刑事裁判に全く無批判であり、むしろそれを促進するような記事ばかり書いています。

上のニュース記事で死亡した被害者の父親の発言が無批判に載せられています。「事故は、何らかの落ち度があって起こったわけで、だれかが責任を取らなければならないと思っている。」
こうした発言はいつも何の疑問を差し挟むことなく報道され、報道の受け手は何となく受け入れてしまいます。そこにはヒューマンエラー、システムエラーと言った概念もないし、真の事故原因追及と再発防止策に必要な情報は二の次にされています。

シエスタ宮田春美.jpgそして2つめのニュース記事はそれ自体がただの応報主義煽動のような記事になっています。
身内の死を悲しむ遺族を取り上げて、まだ感情が安定しない段階の遺族のコメントを、まるで過失に対するペナルティももっと厳罰化しようという動きに繋げようとするかのようです。

被害者・遺族を一番救うのは心からの謝罪であり、次いで民事補償ということになります。過失「犯」を業過致死傷罪に仕立て上げて、少しでも重い量刑を科そうとするのは、以前から主張しているように、検察と急性期の遺族・被害者感情の一致を以て、厳罰化を図ろうとする不毛な動きと考えます。

こうした事故における個人攻撃は意味を持ちません。業過致死傷罪で刑事訴追された人たちはまるで遺族感情のはけ口としてのスケープゴートにしか見えません。
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