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後期高齢者・資格証明書 [医療制度/行政]

CBニュース 「無保険」の高齢者、十数万人の恐れ

後期高齢者被保険者証.jpg 「後期高齢者医療制度」の保険料徴収で、年金受給額が年額18万円未満の人などを対象にした「普通徴収」の滞納率が福岡や青森県で10%を超えることが、両県の保険医協会の調査で明らかになった。舛添要一厚生労働相は、12月5日の衆院予算委員会で、同制度を運営している各都道府県の「後期高齢者医療広域連合」のうち18連合からの報告を集計した結果、「普通徴収」の滞納率が8.4%になっていることを明らかにしている。低所得の高齢者は全国で約200万人と見られており、この数値から推計すると、「無保険」の高齢者が十数万人に及ぶ可能性がある。

 同制度では、介護保険料と同様、保険料について年金からの天引きを原則にしているが、年金受給額が年額18万円未満の人や、介護保険料の天引き額と後期高齢者医療保険料の合計額が年金受給額の5割を超える人には、天引きではなく納付書や口座振替による「普通徴収」としている。「普通徴収」は7月から始まった。

 福岡県の「普通徴収」の滞納状況については、同県保険医協会が調査。システム未整備で回答できなかった17市町村を除く49市町村が回答し、9月時点で11万2868人の該当者のうち、滞納者が1万6372人で、滞納率が14.5%に上ることを明らかにした。滞納率は、市町村間で大きな開きがあり、福岡市などで20%を超える半面、星野村などでは1%未満だった。

 青森県では、40市町村(9月分について集計中など1市1町については、8月などの数値を代入して算出)の該当者3万3843人のうち、滞納者が4028人で、滞納率は11.9%だった。同県でも、滞納率が50%前後の市町村がある一方、5%未満の市町村もあり、地域差があった。

 「普通徴収」の滞納率については、18の広域連合で「普通徴収」の滞納率が8.4%になっていることを、舛添厚労相が衆院予算委員会で明らかにしている。

 従来の老人保健制度では、75歳以上の高齢者には「資格証明書(資格証)」を発行しないことになっていたが、「後期高齢者医療制度」では、保険料の一年以上の滞納者には「資格証」の発行を義務付けている。「資格証」を発行されると、医療機関の窓口で医療費の全額を負担しなければならず、福岡、青森の両保険医協会では、「経済的な理由から保険料を払えない人が、医療機関で全額の負担はできない。さまざまな負担増で保険料を払えない人が増加しており、医療を必要としながら受けられない高齢者が多数に上る恐れがある」として制度の廃止を求めている。


鈴木厚.jpg国保の保険料を滞納して資格証を交付され、事実上医療を受けられない家族の問題が取り上げられ、結局子供達には保険証を交付したという報道が昨年ありました。
しかし、実は後期高齢者医療制度でもこうした同じ現象が起きていて、深刻な事態になっていることを知りました。

川崎市立井田病院の鈴木厚先生の講演を聴く機会がありました。非常に的確な指摘がありました。後期高齢者のお年寄り達は、戦争の時にまず「お国のために死んでくれ」と言って戦場にかり出され、そして今保険料が払えないでいると再び財政難の「お国のために死んでくれ」と言われているのだと。本当にとんでもない国家であると思います。

同先生は医療はサービス業ではない、国民の安全保障である、という考え方が必要であると説かれました。全くその通りで、そう考えればこれに対する予算を削減しようとするのはおよそ間違った方向であると言える訳です。同時に患者さんを「様」呼ばわりしているのは滑稽ですらあると言えるかも知れません。

ここからは私案です。国民の一番大切なセーフティネットである医療を、保険料が払えないことを理由に、決して拒否してはなりません。そもそも医療保険料を税と別に徴収することが間違っていると考えます。さりとて逆進課税である消費税を引き上げることには賛成できません。むしろ消費税も廃止して、シンプルに全て所得税とすべきであると考えます。
その代わり、非課税限度額を引き下げ、累進課税を緩和しても良いかも知れません。年金保険料、介護保険料も所得に応じて負担する所得税と同様にすべきと考えます。

こうした社会保障にかかる保険料をそれぞれ別立てで徴収しようとするから、納入困難者が出てきて、問題になって来る訳です。税と一緒に一元的に“集金”するのがもっとも良い方法と考えます。もちろんそのためには、しっかりした法整備と、ちゃんとした政府が必要なのは言うまでもありませんが。
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yokohamachuo

一部の心の貧しい金持ち(経団連の御手洗氏がその良い例)の為に弱者が切り捨てられ、その結果が今日の”大恐慌”であったとするならば、この国に未来はありません。

先般、『クローズアップ現代』でも紹介していましたが、最近は多くの人が「治療費が払えない」という理由で通院を遅らせる為、かえって重篤患者が増えているという実態があるようです。
その結果、国民全体の医療費は減少するどころか逆に増え、社会保障費の削減がかえって悪循環を招いているというのだから、一体この国は誰の為にあるのか分かったものでありません。

もしも、こうした事実を厚労省が把握していないのだとするならば、厚労省など最早「百害あって一利なし」だと言わざるを得ません。

by yokohamachuo (2009-04-04 13:08) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

まったくご指摘の通り、小泉内閣時代に医療費自己負担を引き上げたり、保険証を取り上げるために受診抑制がおこり、重症化してから初めて医療機関にかかるので、結局医療費抑制にならないという現象が起きています。
増して、医療機関にかかれず、野垂れ死に同然の人たちもいる一方で、預金口座のゼロの数を数えている御手洗氏をイメージすると許せません。

この国は誰のためにあるか。今のところ官僚と財界のお金持ちの人たち、そして議員のセンセイがたのためにあるようですね。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2009-04-04 15:26) 

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