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「使い回し」 [医療制度/行政]

産経新聞 美容外科で麻酔薬使い回し 冷蔵庫で保管 大阪

使い回しプレゾフォール.jpg 大阪市北区の美容外科「エールクリニック」が美容形成手術で使用した全身麻酔に使う薬剤の残りを廃棄せず、別の患者の手術の際にも使い回したことが23日、分かった。同市保健所が医療法に基づき改善指導していた。この薬剤は防腐剤が入っていないため、封を開けて時間がたつと液中に感染の原因になる細菌が増殖する可能性があったという。病院側は実際に患者が感染症にかかるなどの被害はなかったとしている。

 市保健所によると、薬剤は全身麻酔薬「プロポフォール」(販売名・フレゾフォール)。同クリニックでは豊胸手術などで使用していた。50ミリリットルの瓶入りと、20ミリリットルのアンプルで市販されており、メーカー側は、いったん使用すると、薬剤が残っても容器ごと廃棄するよう求めていた。

 市保健所に「クリニックで麻酔薬が不適切に使用されている」との情報が寄せられ、今月22日に立ち入り調査したところ、同病院の院長が今年3~4月に使い回しを2回行ったことを認めた。検査時点での使い回しは確認されなかった。

 同クリニックは1月に開業。院長は市保健所に対し「手術が2日続いたときに冷蔵庫で保管して使い回した。薬の基本的な知識がなかった」と話したという。

時事通信 歯科用注入器を使い回し=同一患者に、「もったいない」-京都

使い回しペリオフィール.jpg 京都府京丹後市の市立久美浜病院で、歯周炎治療に使う歯科用注入器を、同一患者に繰り返し使用していたことが23日、分かった。メーカーは「使用は1回限り」としているが、同病院では「もったいない」と約8年前から使い回ししていた。府は同病院に是正指導した。

 同病院によると、注入器は「ペリオフィール歯科用軟こう」。軟こうが0.5グラム入っており、先端のノズルから歯と歯茎の間に注入する。

 メーカーは「使用は1回限りとし、残った軟こうは容器とともに廃棄する」としていたが、同病院では一度使った注入器に患者の名前を書いたシールを張り、残った分を冷蔵庫に保管。ノズルをアルコール消毒した上で2、3回繰り返し使っていた。

産経新聞 採血器具 相次ぐ使い回し 医療の倫理どこへ

使い回し採血器具.jpg 医療現場で複数の患者に1つの採血器具が使い回しされている実態が相次いで発覚し、少なくとも11府県で使い回しが行われていたことが4日、厚生労働省の調査で分かった。採血器具の使い回しは肝炎など感染症が広がる危険性もあり、専門家らは医療機関の認識の甘さを指摘する。厚労省では6月下旬をめどに全国的な実態をまとめたいとするが、使い回しがどこまで拡大するかは不透明。医療現場の倫理観が改めて問われそうだ。

 問題の器具は、主に糖尿病患者の血糖値を測る際に、指先などに針を刺して微量の採血をするために使用する。ボタンを押すと器具本体から針が飛びだす構造で、個人利用に限られている。厚労省によると8社から23製品の同型器具が販売されているという。

 厚労省が全国調査に乗り出すきっかけとなった島根県益田市の診療所「おちハートクリニック」で問題になった器具は、1つの本体に針が6本セットされ、使うたびに手動で新しい針に切り替える構造だが、同クリニックでは「自動的に切り替わると思った」として針の交換をしていなかったことが判明した。

 島根県の調査では、使い回しのあった1カ月間で37人に使用されたことが分かっている。

 針の使い回しは、肝炎など感染症のリスクがあることは医学の常識。取り扱い説明書はもちろん器具本体に赤く「複数患者使用不可」と書かれていた。

 使い回しが発覚したほとんどは、針の交換はしていたものの、同じ器具を使って異なる患者の採血をしていた。しかし、器具は肌に触れるため、前の患者の血液が本体部分に付着した場合には感染の危険もある。「仮にアルコール消毒したとしても、ウイルスの死滅は保証されない」と関係者は言う。

 高知県では看護学校の演習で使い回しが発覚した。厚労省では「健康相談などのイベントでの使用も考えられる」と、使い回しが広く行われている可能性を懸念する。

 こうした使い回しの実態について、医療機器メーカー「ニプロ」(大阪府)は「添付文書に注意を促す記載をしていた。注意喚起の責任はしっかりと果たしてきたのに」と憤る。益田市のクリニックでは「説明書を読んでいなかった。使い回しをやめるよう求めた厚労省の通達も知らなかった」などと説明しているという。

 だが、医療機関の感覚としてはあまりにずさんで、厚労省幹部は「信じ難い」としたうえで、どこまで広がるか分からない使い回しの実態に頭を抱えている。

 医療現場の一部からは、使い回しができないよう器具自体の構造を変える必要があるとの声も上がるが、医療ジャーナリストの和田努さんは「使用説明書を読むのは常識で、それを見落としたとしたら言語道断。職業的な慣れからきたのか、倫理性が疑われる。行政による再三の注意喚起も必要だが、地方医師会による連絡の徹底も求められる」と指摘している。


使い回し採血器具2.jpg「使い回し」という表現、「たらい回し」のように、やや悪意に満ちた表現に聞こえます。

各記事を見ると、確かに本来残薬は捨てるよう指示されているものであったり、複数の患者に使ってはならないとされる採血器具だったりします。

メーカーは良いでしょう。ちょっと使ってはどんどん捨てて、また自社の薬や器具をたくさん買ってもらえれば、もっと売り上げが伸びます。国も良いでしょう。針だけの交換では危険だから、器具全体を捨てよと。言うのはタダです。何の痛みもありません。

どれももっともな話のようではあります。確かに患者さんのことを考えれば、それが理想的な使い方ということになります。
しかし、特に採血器具については、よほど他の患者さんの血液がべったりと針以外の部分に付着して、それが次の患者さんの採血部位を汚染しない限り、感染はないとされます。全国的に行われていた器具再使用を、何か極悪非道の如くにマスコミは報道しました。

現実にはその危険はほとんどないものです。

患者さんの健康が第一です。それは間違いありません。しかし医療機関の採算を少しは考慮しているでしょうか。残った薬剤は捨てよ、また買え。採血器具もどんどん購入せよ。言うのは簡単ですが、実際に支出する負担を考えてくれる人はいるのでしょうか。
ただでさえ診療報酬をどんどん削り、医療機関の経営が圧迫されている今、あまりに一方的ではないでしょうか。
再使用や残薬廃棄を命じるのなら、それを見越した診療報酬を設定してもらいたいと思います。

同様のことが消費税にも言えます。医療は非課税との原則により、患者さんは保険診療自己負担に対して消費税は課されません、しかし医療機関が購入する医療器具・薬剤は全て消費税が加算されているのです。
消費税の安易なアップはこうした器具・薬剤の逆ザヤを招き、ますます医療機関を苦しめます。

こうしたところにも医療崩壊の一因が潜んでいることを、多くの患者さん、そして全ての人に知って頂きたいと思うのです。
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