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業過致死罪起訴の見送り [医療事故]

毎日新聞 県立安芸病院の医療死亡事故:医師、不起訴に 「遺族の思い考慮」--地検 /高知

高知県立安芸病院.jpg ◇入院男性へ投薬ミス
 県立安芸病院に入院中の男性(当時69歳)が投薬ミスで死亡した事故で、高知地検は26日、業務上過失致死容疑で書類送検された男性医師(38)を不起訴処分とした。

 同地検は「被害者の特定になり、公表を望まない遺族の要望に反することになる」と処分理由を明らかにしなかった。

 地検などによると、男性医師は05年2月、看護師への投薬指示を間違ったため、誤った薬剤を投与し、男性を死亡させたとして、07年11月に同容疑で高知地検へ書類送検されていた。地検の調べに対し、医師は「薬剤の誤投与は確かだが、死亡との因果関係はない」と話したという。

 事故を巡っては、県と遺族の間で損害賠償金2700万円を支払う示談が成立している。【近藤諭】


塩化カリウム.jpg医師を不起訴にしたことは賛成です。しかし理由には納得できません。
この事故では、塩化ナトリウムを投与するべくオーダリングシステムに入力する際、誤って塩化カリウムが入力され、投与されてしまったと言うことです。塩化カリウムは投与量が多ければ心停止にも至る危険のある薬剤です。

確かに人為ミスではありますが、致死の危険のある薬剤が簡単にオーダーできてしまうシステムのシステムエラーであることは間違いありません。人はエラーをおこすもの。そのエラーをシステムで食い止めなければなりません。
例えば端末画面上で、これは投与量をこのくらいにしないと死亡の危険があります、くらいの警告を発するようにすべきでしょう。

こうしたシステムエラーつぶしを考えて行くべきであり、この医師に刑事罰を与えてみたところで、何ら再発防止に役立たない、というのが本来の考え方です。
従って民事上は有責であっても、医師の刑事訴追はしない、という理由づけであれば、不起訴処分について検察の見識を讃えるべきところでした。

しかしあろうことか、「被害者の特定になり、公表を望まない遺族の要望に反することになる」ために不起訴なのだというのです。同じように傷害や殺人事件でも遺族の要望があれば、不起訴にするとでも言うのでしょうか。

こういうことで起訴・不起訴を決めるのは誤っていると思います。
あくまでもエラーはその後の再発防止に資するようにすべきであって、個人の糾弾、断罪は結果何にも資することがないことを考えて、不起訴として欲しいと願っています。
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