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過失事件裁判にも浪花節登場 [車/バイク]

読売新聞 運転過失致死事件の遺族、初の公判参加…きょう東京地裁で

東京地裁.jpg 東京地裁で23日に開かれる自動車運転過失致死事件の公判で、「被害者参加制度」に基づき、被害者側による被告人質問などが行われる。

 最高裁などによると、同制度で被害者側が実際に参加するのは全国で初めて。同地裁では同日の別の傷害事件の公判でも被害者参加が決まっている。自動車運転過失致死事件で法廷に立つ被害者の妻は、「遺族のつらい思いを訴え、被告に実刑を求めたい」と話している。

 東京・千代田区の交差点で昨年8月、オートバイを運転していた男性(当時34歳)が、トラックにはねられ死亡した。23日に開かれるのは、自動車運転過失致死罪に問われたトラック運転手の初公判だ。

 男性の妻(34)が、友人を通じて知り合った男性と結婚したのは2002年1月。その2年後の04年1月、待望の長女(5)を授かった。一人娘を誰よりもかわいがり、週1回の休みの日には必ず外に遊びに連れて行ってくれる優しい父親でもあった。

 毎年大みそかには、年越しそばを作ってくれた。日付が変わるころ、近くの神社に家族3人で参拝した。妻は、交通安全のお守りを買って、オートバイで通勤する夫に託していた。

年越しそば.jpg しかし、夫は昨年8月1日未明、皇居前広場の交差点で、近くの勤務先からオートバイで帰宅途中、右折してきたトラックにはねられた。駆けつけた病院で、長女は「遊園地に連れて行ってくれる約束だったのに」と泣き叫び、妻は、夫の死を告げようとする医師を「聞きたくありません」とさえぎった。

 大黒柱を失った家族の生活は一変した。自然と涙があふれてしまう妻を気遣い、長女は自分の胸に手を当てながら「パパは心の中にいるよ」と励ましてくれる。その長女も夜寝る前に、父の遺骨のそばで突然、「パパに会いたい」と泣くことがあるという。

 自動車運転過失致死罪の法定刑は懲役7年以下。初犯の場合、ほとんどのケースで執行猶予が付く。

 「過失が原因とされる交通死亡事故の刑は、遺族にとって軽いと思う。世の中に訴えていかなければ、現状は変わらないと思ったから」。妻は、公判に参加しようと思った理由をそう説明する。「被告に反省してほしい」との思いを込めながら、夫の兄(35)とともに法廷に立つつもりだ。

 ◆被害者参加制度

 殺人や傷害、業務上過失致死傷などの刑事裁判で、被害者や遺族が希望し、裁判所が認めれば、被告に質問したり、求刑の意見を述べたりすることができるようになった。制度導入には、「被告が言いたいことを言えなくなる」との慎重論もあったが、被害者・遺族の声に応える形で実現した。昨年12月1日以降に起訴された事件に適用されている。


交通安全お守り.jpg1月のニュース記事です。これを見て思うことが2つあります。

まず1つめです。読売新聞もどこまで浪花節の記事を書くのだと思って心からがっかりしました。

以前ネットで集まった3人が強盗目的で女性を殺害した事件がありました。死刑が求刑され、2人に死刑判決が出ました。
この事件を取り上げた毎日新聞は、被害者の女性にフィアンセがいたこと、囲碁が強かったこと、その他週刊誌顔負けの下世話な記事を載せており、その意図を疑いました。被害者がフィアンセもおらず趣味もなく、もしかして天涯孤独の女性だったら、加害者の刑は軽くなるのだろうか。そういうつもりで記事を書いたのなら、こんな被害者に対しても失礼な話はないだろうと、取り上げました。

この交通事故の裁判の記事も負けず劣らずの最低レベルです。事故の被害者の男性に妻がいなかったら、かわいい子がいなかったら、年越しそばを作ってくれるまめな男性でなかったら刑事罰を軽くするのでしょうか。

およそ勘違いも甚だしい考え方です。強殺事件であれ、今回の運過致死事件であれ、被害者の背景を把握した上で起きた事件でない以上、その罪と罰は為した犯罪/過失そのもののみを以て評価されるべきものです。

2つめは、やはり少なくとも過失事件の裁判に被害者参加制度は適用しないでほしいということです。
上記のように、被告ドライバーは、被害にあったオートバイのライダーの男性の生い立ち・背景を知って事故を起こした訳ではありません。そもそも私自身は運/業過致死傷罪そのものに反対ですが、現行法にこの罪がある以上は仕方ありません。但しその裁きは公正に願いたいと思うものです。
業務または自動車運転において、事故はどこまで予見可能であったか、回避可能性はどうであったか、注意義務がどの程度あって、それをどのように怠ったと言えるのか。こうした事項が運/業過致死傷罪の量刑を決める全てであるはずです。
いったいなんのために遺族を法廷に入れるのでしょうか。遺族の声が大きければ大きいほど量刑は重くなり、初犯でも執行猶予がはずされてしまうとでも言うのでしょうか。
こんな誤った裁判を許してはなりません。

過失事件に限りません。故意犯であっても、被害者参加制度には反対です。判決/量刑はもっと客観的になされるべきです。

そして刑事裁判と民事裁判をきちんと分けるべきです。
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コメント 5

きゅんぱち

先生のおっしゃるとおりだと思います。
by きゅんぱち (2009-05-02 21:20) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

今回も何か視点の違う、鋭いご指摘が‥と思い、一瞬緊張しましたが、安堵しました‥。

コメントありがとうございます。今後もよろしくお願い致します。
by 筍ENT (2009-05-02 22:51) 

きゅんぱち

いえいえ、そんな…、ワタクシはそう大したもんじゃぁございませんですよ。
むしろ、先生の御意見を拝読しまして、

       知りたいことと知らなければならないこと

が、ますます増えている今日この頃です。
(^ー^)
by きゅんぱち (2009-05-04 00:41) 

筍ENT

ありがとうございます。

私も知らなければならないこと、がたくさんあって、生半可な知識で記事を書き、きゅんぱちさんや、他の方からも色々教えて頂くことがあります。
大変参考になります。

特に法律には素人なので、なるべく調べて書くようにはしていますが、よく嘘を書いてしまうことがあります。

今後ともよろしくお願い致します。
by 筍ENT (2009-05-04 09:44) 

連続婦女暴行魔 中島大士

愛媛県今治市波止浜169在住の中島大士(なかしまたいし)は暴走族今治連合に所属する暴走族です。
彼らは少女を車で拉致して暴行を加えては、写真を撮り、自分たちには関東連合がバックについていると言って脅します。
そして、被害者の周囲で執拗に暴走を繰り返し、恐怖を与えて口封じをし、再び暴行に現れます。
今治連合の暴走族中島大士に気を付けて下さい。

by 連続婦女暴行魔 中島大士 (2015-12-24 03:04) 

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