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受験、塾と学校教育 [生活/くらし]

東京新聞 塾代 生活保護世帯を支援 都 中学3年 年間15万円 『格差』抑止4月から

杉並区立和田中.jpg 東京都は新年度から全国で初めて、生活保護受給世帯の中学生以下の子どもが、学習塾に通う費用を援助する方針を固めた。所得格差が教育格差につながる傾向があり、高校進学支援で「貧困の連鎖」を抑止する狙いだ。

 都内では、小金井市など五市区が既に塾費用を支援しているが、その必要性を認めた都が都内全域での適用に乗り出した形。都の年間補助額は一人当たり▽中学三年=十五万円▽中学一、二年=十万円▽小学校四-六年=五万円。対象は約一万人で、補助の利用は市区ごとの判断に委ねられる。都保護課は「一般家庭の子どもの塾費は平均約二十六万円。それには及ばないが最低限のサポート」とする。家庭教師や通信教育の費用に充てることも認めている。

 国は二〇〇五年度から、被保護世帯の高校進学者に対し、公立高進学に必要な入学金や学費などの補助を始めた。しかし、〇六年度の厚生労働省調査では、都内の被保護世帯の子どもの高校就学率は65%と低い。都は高校進学率が低いことに加え、学力不足などによる中退者が多いことが原因とみて、中学生以下への支援を決めた。

 都保護課は「貧しさが原因で、高校進学を断念し、社会的に孤立する被保護世帯の子どもも多い。今回の支援は、将来的に生活保護世帯数の増加を抑える予防的観点からのもの」としている。

 首都大学東京の岡部卓教授(社会福祉学)の話 財政力のある東京だから可能で、地方との格差が広がるとの批判も出るだろう。が、地方の「低い基準」を引き上げる効果に期待したい。

毎日新聞 <夜スペ>東京・杉並区民が授業の仮差し止め申し立て

 東京都杉並区立和田中学校で、塾講師による受験対策として実施されている有料授業「夜スペシャル」(夜スペ)を巡り、区民49人が24日、区や区教委、藤原和博校長などを相手に、授業の仮差し止めを東京地裁に申し立てた。


藤原和博.jpg民間から就任した藤原和博校長で有名になった杉並区の和田中で、同校長の発案により塾を学校に入れての夜授業が始まっています。確かに公的な学校という場所に、民間の塾を入れることに議論があろうかとは思います。また学校の授業だけでは十分な学力を得られない、または学校教諭のみでは生徒に十分な学力をつけることができないという判断が働いたとも言えます。

生活保護家庭にも塾代を支給するというニュース記事はさらにこれを追認する発想と考えられます。もはや今の学校ではその授業で生徒に十分な教育を施せないということを東京都が認めたということですね。

数十年前、私が小学校高学年の担任教師は、教科書だけやっていれば、国立・私立の中学校入試に通る、と言い放ち、塾に通う私などに批判的な目を注いでいました。しかしそれは既に非現実的な状況で、四谷大塚進学教室(現在のCS四谷大塚)などに通わずして中学受験に成功することは考えられないのが実態でした。

ことここにいたって、ついに行政がその現実を認めたということでしょうか。本来学校教育そのものを見直すべきなのでしょうけれどね。
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鶴亀松五郎

以前、m3の北のcosmos先生のブログのコメント欄に書き込んだこと重複しますが。

公立の学校でエリート教育学校(http://schools.nyc.gov/NR/rdonlyres/1340CEF0-1E83-4421-98C3-15100FFB99A5/31441/20072008_SpecializedHSStudentHandbook.pdf)を設立しているアメリカのニューヨーク市。
理科系のブロンクス・サイエンス高校(http://www.bxsience.edu/、卒業生からノーベル物理学賞受賞者7名・・ノーベル賞受賞者数の出身高校世界一)やスタイブサント高校(http://www.stuy.edu/、卒業生からノーベル医学賞2名、ノーベル化学賞1名、数学フィールズ賞1名)、映画Fameのモデルになったラガーディア芸術高校(http://www.laguardiahs.org/home.html)が全米でも有名です。
公立の科学英才高校数校と芸術英才高校1校があり、いずれも中学卒業前に入学試験(http://en.wikipedia.org/wiki/Specialized_High_Schools_Admissions_Test)を受けて選抜されます。
学区制はなくて、ニューヨーク市内全域から入学できます。
科学高校は共通入学テストの得点だけの選抜、芸術高校は実技試験だけの選抜です。
ほとんどの入学者は日本で言うところの進学塾に通うか、Kaplanなどの大手テスト・プレップセンターの個人チューター制度(家庭教師みたいなもの)を利用しています。
以前はユダヤ系白人が入学者の8割から9割を占めていましたが、最近は教育熱心なアジア系の子供たちが入学者の6割を占めるようになり、ユダヤ系白人は30%程度に下がっています。
進学塾もテスト・プレップセンターもお金がかかりますので、それらが利用するお金のない家庭の子ども達が不利になるという市民団体の声に押されて、ニューヨーク市教育局(当時は教育委員会)が、無料の進学準備コースを始めました。
公立英才高校を受験するための無料の公立の進学塾です。

同じ試みは大学入試共通テストの学校別平均点やニューズ・ウィークの高校ランキングで全米1位になっているバージニア州立トーマス・ジェファーソン・サイエンス&テクノロジー高校(http://www.tjhsst.edu/)を抱えるバージニア州でも始まっています。
この高校も州内の広範囲から学力試験で入学者を選抜します。
やはり市民団体の声に押されるかたちで、地元の教育委員会が運営する無料の進学準備コースがあって、貧しい家庭の子ども達がトーマス・ジェファーソン高校を目指すための受験勉強のお手伝いをしています。

杉並区の試みは難関大学志望者の多くが私立の中高一貫進学校に進み、公立中学には来てくれないという東京の事情がそうさせたのでしょう。
試み自体は良くても、お金をとるのがネックになっていますね。
日本では、無料の公立の進学塾というのは、できないのでしょうか?

by 鶴亀松五郎 (2008-06-25 21:34) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。
そして、詳しいアメリカの事例を教えて頂き、ありがとうございます。
やはりまず英才教育には金がかかるということ。そして貧しい家の子供たちにも門戸を開くために、無料のコースが作られたりしている訳ですね。
日本で無料の公立進学塾、たぶんなかなか予算がつかないのでしょう。

無料進学準備コース、私の単純化思考では、富裕層と低所得層の間の壁に穴を空け、逆転のチャンスを与えるものと言えそうに思います。

日本でもぜひ実現して欲しいものですね。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-06-25 22:52) 

鶴亀松五郎

理科系のブロンクス・サイエンス高校(http://www.bxsience.edu/、卒業生からノーベル物理学賞受賞者7名・・ノーベル賞受賞者数の出身高校世界一
・・・アドレスが違っていました(単なる脱字なのですが)。
ブロンクス・サイエンス高校、http://www.bxscience.edu/です。
by 鶴亀松五郎 (2008-06-26 12:54) 

筍ENT

ご丁寧にありがとうございます。
まだすぐ見ていなかったのですが、見に行ってみます。

今後ともよろしくお願い申し上げます。
by 筍ENT (2008-06-26 22:00) 

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