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戦争と音楽 [音楽/読書]

読売新聞 コソボに響け平和のハーモニー…日本人指揮者が楽団結成

コソボフィルと柳澤.jpg  民族の対立が続くバルカン半島で、日本人指揮者の柳澤寿男さん(36)が室内管弦楽団を結成し、様々な民族に参加を呼びかけている。

 6月12日には、独立間もないコソボ共和国の首都プリシュティナで演奏会を開く。「音楽には対立の壁を越える力がある」。欧州の火薬庫と呼ばれる紛争の地で、民族共栄のハーモニーを奏でようと、柳澤さんは指揮棒を振り続ける。

 日本で指揮活動をしていた柳澤さんは2004年10月、マケドニア国立歌劇場の指揮者に就任し、バルカン半島に渡った。そして、07年3月、マケドニアに隣接するコソボのコソボフィルハーモニー交響楽団の客演指揮を依頼される。当時、コソボはセルビア共和国の自治州で、国連の暫定統治下にあり、街には崩れたビルなど紛争の生々しい痕跡が残っていた。

 「敵が攻めてきたら、楽器ではなく銃を持ち、死を覚悟して戦う」。紛争で親類2人を亡くしたアルバニア系団員は思い詰めた表情で話しかけてきた。しかし、演奏会でベートーベンの交響曲第7番を弾き終わると、その団員は「音楽に国境があってはいけない」と気持ちを切り替えてくれたという。人の心を和らげ、結びつける音楽の力を確信した柳澤さんは、活動の拠点をコソボに移し、「すべての民族に開放した楽団を作ろう」と決意した。

 各地の交響楽団に声をかけ、「バルカン室内管弦楽団」を設立したのは同年6月。団員は少しずつ増え、今ではマケドニア人、ボスニア人、アルバニア人ら計20人になった。団員たちは普段は各地の楽団に所属しつつ、演奏会の時にだけ参集する。対立の歴史から、旧ユーゴ連邦各地の楽団はそれぞれほぼ単一民族で構成されてきただけに、日本人柳澤さんの試みは次第に注目を集めていった。

 ただ、現地での財政的な支援はほとんどなく、各地から団員を呼びよせる際の費用にも事欠いた。このため、柳澤さんが今年2月、日本で支援を募ったところ、マケドニア名誉総領事の水野清・元衆院議員(83)から、セゾン文化財団の堤清二理事長(81)を紹介され、助成を受けられることに。6月12日にコソボの首都にある教会で、念願の演奏会を開催できる運びになった。

 日本に妻と2歳の長男を残し、1年の半分以上をバルカン半島で過ごす柳澤さん。断水も頻繁に起きるコソボのアパートの一室で、冬にはコートを着込んで寒さをしのぎ、ろうそくの明かりで譜面を読む。

 そんな生活の中、バルカン室内管弦楽団を率いて、日米欧諸国で公演する日を夢見る。「民族間の亀裂を音楽で修復するとともに、演奏会を通じてバルカン半島の現状を知ってほしい」。柳澤さんは、紛争の繰り返されてきた地に平和が訪れることを願っている。(小関智宏)


柳澤寿男.jpgこの記事を見て考えてしまいました。果たして音楽が民族紛争、いがみ合いを少しでも抑制し、平和をもたす力を持つか、ぜひ応援したいと心から願わずにはいられません。

そして、平和な国で、立派なコンサートホールで演奏される音楽と、こうした緊張下にある状況で、場合によっては戦火に怯えつつ聴く音楽はどう違って来るのかと言うことにも興味があります。

思い出されるCDが2つあります。ソ連のクーデターのさなかに録音されたという、モスクワ放送響/フェドセーエフによる、ショスタコーヴィチ交響曲第5番。そして、ベルリンの壁崩壊直後のバイエルン放送響/バーンスタイン他によるベートーヴェン交響曲第9番です。

ある種の興奮や緊張に満ちた演奏になる可能性もあり、特に後者はバーンスタインが歌詞まで一部変更して演奏したということです。
平和下のコンサートでは得られない素晴らしいものとなる可能性も秘めているかも知れません。

コソボフィルの音楽が平和に貢献することを願ってやみません。
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