くも膜下出血の正診率 [診療]
毎日新聞 <くも膜下出血>初診6.7%見落とす 学会調査
くも膜下出血の患者のうち、脳神経外科医以外が初診した6.7%が風邪などと診断され、事実上、病気を見落とされていたことが7日、日本脳神経外科学会の調査で分かった。患者が軽い頭痛しか訴えなかったことなどから、くも膜下出血を発見できるCT(コンピューター断層撮影)を実施していなかった。同学会は「軽い頭痛の患者全員にCTを行うわけにはいかない。現代医療の限界とも言える」としている。
同学会学術委員会の嘉山孝正・山形大教授らが、宮城県と山形県の2病院で、脳神経外科のカルテ全491例を調査した。
宮城県は07年1月~08年5月が対象。198例中37例が脳神経外科医以外で初診を受け、うち10例(5.1%)が風邪、高血圧、片頭痛などと診断されてCTを受けず見落とされた。10例すべてが再発し2例が死亡した。
山形県は96~05年が対象。専門医以外の初診は293例中48例で、23例(7.8%)が見落とされ、すべてが再発し2例が死亡した。
見落とし計33例のうち17例は、くも膜下出血の常識に反して発症時に軽い頭痛しか起きておらず、委員会は「専門医以外では他の頭痛と区別できない」と指摘。他の16例も「診断が難しい例がある」とした。山形県では脳神経外科医でも見落とした軽度頭痛の患者が1例あった。
米国では5~12%の見落とし率という報告がある。嘉山教授は「くも膜下出血の診断は難しく、完ぺきな診断はできない。現代の医療でも見落としは不可避という現実を周知し、脳ドックの普及など社会全体で対策を考えるべきだと思う」と話している。【奥野敦史】
医療崩壊‥医療訴訟の増多で、副作用報告でさえ控えめになったという報道もありました。そうした中である意味勇気のある報告です。
この記事を捉えて、実際にくも膜下出血の診断に到らず死亡した患者さんの遺族の方が、「CT撮影を怠った」として主治医を訴えるケースが出てくる可能性がないとは言えません。
このニュース記事を見ると、医療資源の問題や、医療費削減指向などがくも膜下出血の診断率を抑えてしまう現状が見えてきます。即ち、全ての頭痛患者の頭部CTを撮影する訳には行かない。CTが不足してしまう。また、これらの診療の保険請求に対して査定が行われ、保険診療としてのCT撮影が拒否されるケースが続出する。そうした事態が考えられます。
嘉山教授は脳ドックなど、という発言をされていますが、これが自費の脳ドックでなく、医療保険または何らかの公費で行われるのが理想的な医療環境と思われます。自費の脳ドックの推進のみでは、「貧乏人はくも膜下出血で死んでも諦めろ」という宣告に等しいものになるからです。
そして現状では、こうした医療資源下で、くも膜下出血の診断に到らなかった医療者を訴えようとは思わないでほしいと思うのです。
くも膜下出血の患者のうち、脳神経外科医以外が初診した6.7%が風邪などと診断され、事実上、病気を見落とされていたことが7日、日本脳神経外科学会の調査で分かった。患者が軽い頭痛しか訴えなかったことなどから、くも膜下出血を発見できるCT(コンピューター断層撮影)を実施していなかった。同学会は「軽い頭痛の患者全員にCTを行うわけにはいかない。現代医療の限界とも言える」としている。
同学会学術委員会の嘉山孝正・山形大教授らが、宮城県と山形県の2病院で、脳神経外科のカルテ全491例を調査した。
宮城県は07年1月~08年5月が対象。198例中37例が脳神経外科医以外で初診を受け、うち10例(5.1%)が風邪、高血圧、片頭痛などと診断されてCTを受けず見落とされた。10例すべてが再発し2例が死亡した。
山形県は96~05年が対象。専門医以外の初診は293例中48例で、23例(7.8%)が見落とされ、すべてが再発し2例が死亡した。
見落とし計33例のうち17例は、くも膜下出血の常識に反して発症時に軽い頭痛しか起きておらず、委員会は「専門医以外では他の頭痛と区別できない」と指摘。他の16例も「診断が難しい例がある」とした。山形県では脳神経外科医でも見落とした軽度頭痛の患者が1例あった。
米国では5~12%の見落とし率という報告がある。嘉山教授は「くも膜下出血の診断は難しく、完ぺきな診断はできない。現代の医療でも見落としは不可避という現実を周知し、脳ドックの普及など社会全体で対策を考えるべきだと思う」と話している。【奥野敦史】
医療崩壊‥医療訴訟の増多で、副作用報告でさえ控えめになったという報道もありました。そうした中である意味勇気のある報告です。
この記事を捉えて、実際にくも膜下出血の診断に到らず死亡した患者さんの遺族の方が、「CT撮影を怠った」として主治医を訴えるケースが出てくる可能性がないとは言えません。
このニュース記事を見ると、医療資源の問題や、医療費削減指向などがくも膜下出血の診断率を抑えてしまう現状が見えてきます。即ち、全ての頭痛患者の頭部CTを撮影する訳には行かない。CTが不足してしまう。また、これらの診療の保険請求に対して査定が行われ、保険診療としてのCT撮影が拒否されるケースが続出する。そうした事態が考えられます。
嘉山教授は脳ドックなど、という発言をされていますが、これが自費の脳ドックでなく、医療保険または何らかの公費で行われるのが理想的な医療環境と思われます。自費の脳ドックの推進のみでは、「貧乏人はくも膜下出血で死んでも諦めろ」という宣告に等しいものになるからです。
そして現状では、こうした医療資源下で、くも膜下出血の診断に到らなかった医療者を訴えようとは思わないでほしいと思うのです。
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