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刑事裁判を遺族感情と切り離せ [生活/くらし]

asahi.com 9人死傷飲酒事故 懲役16年に遺族落胆

◇検察に控訴申し入れ

玉川被告.jpg 2人が死亡、7人が重軽傷を負った熊谷市の酒酔い運転の事故の公判で、さいたま地裁の若園敦雄裁判長は12日、危険運転致死傷罪に問われた無職玉川清被告(32)に「異常な高速度で走行し、飲酒運転の常習性から極めて悪質。被害者に何ら落ち度がない」と指摘し、懲役16年(求刑懲役20年)を言い渡した。しかし、厳刑を求めていた遺族は落胆を隠せず、検察に控訴するよう申し入れた。

 「絶対に許さないから」。裁判長の言い渡しが終わり、玉川被告が傍聴席にいた遺族を振り返って一礼した時、遺族の一人が法廷に向かって叫んだ。

 論告求刑で検察側が求めた懲役20年に対して、裁判長は懲役16年を選択した。判決言い渡しで、量刑の判断について、同罪の予定している中でも「相当に重い部類」としながらも、「本件より重大な類型を想定していると観念できる」と、最高刑より短くした理由を説明した。

 裁判長の言い渡しを、証言席で、白いワイシャツ姿の玉川被告はうつむき、ほとんど動かずに聴いていた。最後に主文が読み上げられた際も、じっと聴いていた被告だったが、閉廷直前の遺族の叫びを聴き、被告人席で一瞬目を細め、呆然(ぼうぜん)と前を見つめた。

◇「全然納得できない」

小沢克則樹里.jpg 判決後、亡くなった小沢義政さん夫妻の長男の克則さん(32)は県庁で記者会見し、「全然納得できなかった」と不満をあらわにした。「検察の求刑は希望通り言ってもらえた。判決でも最高刑の20年を言い渡してもらって刑務所で反省してほしかった」

 妻の樹里さん(27)は、求刑より4年少なかった原因のひとつに、裁判長が「任意保険の加入」を挙げたことについて、「被告はプロのドライバーで任意保険に入ることは当然のこと。そんなことが刑期が少なくなる理由とは納得いかない。16年はあまりに短い」と話した。

 樹里さんによると、事故に巻き込まれ、重傷を負った三男と長女(ともに22)は判決後、「私たちの気持ちは裁判官に伝わらなかった」と泣き崩れたという。遺族は検察側に控訴を求めたという。

〈判決要旨〉 2月17日午後1時半ごろ、熊谷市の居酒屋に到着。約5時間、ビール1杯と焼酎のウーロン茶割り約7杯を飲んだ。その後、被告は目のかすみを感じる中、車で同市内のパブクラブに行ったが開店前で、開店時間まで走ろうと友人2人を同乗させ、午後7時10分ごろ出発。その約15分後、現場カーブを速度100~120キロで走行し、反対車線にはみ出して対向車と次々に衝突。2人が死亡、6人に重軽傷を負わせた。

  事故から約2時間後、被告の血液1ミリリットル中から極めて高濃度のアルコール2・2ミリグラムが検出されたことからも、事故直前、相当酩酊(めいてい)していたと推測される。脳の働きがまひし、注意力が散漫になり判断力が鈍っていた。

 事故による結果は重大で悲惨だ。突然一生を終えた2人の無念の情は大きく、過酷なリハビリ生活を続ける三男(22)は大学を休学せざるを得ず、憤りは想像を絶する。

 しかし、被告の車には対人無制限の任意保険がかけられており、必要な賠償がされていくことが十分見込まれる。社会人としてまじめに生活してきており、妻や実母も更生に協力すると述べている。

 被告の運転行為の危険性や飲酒運転の常習性などから本件は極めて悪質だ。重大で悲惨な結果が生じ、さらに被害者や遺族が重い処罰を求めていることなどから、危険運転致死傷罪が想定するかなり重い部類に評価できる。

 被告は相当長期間の懲役刑が相当だが、(危険運転致死傷罪は)本件より重大な類型を想定していると考えられるので、酌むべき事情を考慮すれば主文の刑が相当だ。


さいたま地裁.jpgこのニュース記事を見て、心底落胆しました。この被害者遺族の小沢夫妻は、熊谷市や埼玉県に働きかけ、飲酒運転防止のために、ポスター作成・配布や、タクシー割引券配布、道路標識新設などを実現させることができました。
「罪を憎んで人を憎まず」を実践して来た遺族として、気高く素晴らしいこととして、 以前の記事で 取り上げました。
http://takenoko-ent.blog.so-net.ne.jp/2008-09-30

一般的に遺族感情を考えれば無理からぬ考え方とは思います。しかし過失で刑法に裁かれている被告人に対する発言としては応報感情むき出しです。

遺族の応報感情のみを理由として検察は控訴しないで欲しいと思います。そして許せないのはこの判決内容です。「さらに被害者や遺族が重い処罰を求めていることなどから、危険運転致死傷罪が想定するかなり重い部類に評価できる」という部分です。遺族の発言で判決を左右させてしまうような刑事裁判担当判事は裁判所から追放してもらいたいと思います。裁判所の判断は、決して誰かの感情で流されてしまうようなものであってはなりません。

被害者・遺族の裁判参加は恐ろしいと思います。
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