SSブログ
生活/くらし ブログトップ
前の10件 | 次の10件

タバコの害は問答無用? [生活/くらし]

産経新聞 喫煙科学研究財団に解散勧告 「国民の健康に反する存在」 日本禁煙学会

喫煙科学研究財団.JPG たばこマネーで運営される喫煙科学研究財団に、日本禁煙学会が解散勧告を突き付けた。助成研究が、「受動喫煙の有害性は立証されていない」といった日本たばこ産業(JT)の主張の論拠になるなど、「国民の健康に反する存在」というのが理由。たばこ規制枠組み条約では、たばこ会社の後援・社会活動規制も論議される見込みで、財団運営が対象になるかどうかが注目される。(八並朋昌)

 ≪関係断絶を要請≫

 「『有害性は立証されていない』という論文を見つけ、意外に思って調べたら、JT系の喫煙科学研究財団の助成研究だった」。受動喫煙の害をネット検索したことのある男性は振り返る。

作田学.jpg 「受動を含む喫煙被害は世界の科学的研究で明白に証明されているのに、10年20年前の水準の論文が、被害をぼかすかのように一人歩きしているのは問題だ」と、日本禁煙学会理事長で神経内科医の作田学さん(61)は指摘する。

 作田さんは20年余り前に「受動喫煙による脳梗塞(こうそく)」を診断して以来、禁煙活動に取り組み、禁煙学会への加盟は個人・団体計約1万1000会員に上っている。

日本禁煙学会.jpg 「JTは喫煙単独の健康被害やニコチンによる麻薬同様の依存性を否定するが、その論拠は財団が助成した研究論文」と作田さん。「財団はJTと表裏一体で、国民の健康と福祉の増進に反する存在」として8月に解散を勧告し、助成金をもらったり役員や評議員になったりする医師らに、財団との関係断絶を要請した。

 ≪運営はJTの寄付金≫

 「財団は専売公社の委託研究を発展させるため、民営化後の昭和61年に公益の財団法人として発足した」と総務部長の寺嶋真之さん(55)。基本財産約24億5000万円の約9割をJTが拠出、運営も主にJTの寄付金で賄う。昨年度は171件の研究に3億4800万円を助成。こうした事業費4億1828万円は、寄付金4億1420万円などで賄い「寄付金の99%はJTから受けている」。

 設立以来の助成総数は単年度の延べで2000件以上。1件の年間助成額は200万円が多く、一般に3年継続なので、研究1件で計600万円をもらう研究者が多い。財団職員5人は2人がJTからの出向、3人がJT出身者。石川隆俊理事長はがん研究で知られる元東大医学部長で、東大や癌(がん)研究会時代に少なくとも計4年間、財団の助成を受けた。

 作田さんは「喫煙に関連する学会の多くの幹部医師が助成金をもらっている。彼らの多くは喫煙被害を指摘しても、JTの企業責任は口にしない」と話す。

 「研究者はたばこ会社からいかなる資金ももらうべきではない」とする世界医師会声明を受けて禁煙学会は平成19年末、財団から助成を受けた医師のほか学会、大学にもJTと財団の関係を説明して同様に要請した。この結果、「財団がJT系とは知らなかった」「助成は今後一切受けない」と数人が表明したという。

 ≪条約会合で規制議論≫

 解散勧告に対し、寺嶋さんは「助成は正当な事業で、研究者の自主的研究に純粋な学術的見地で行っている。今後も喫煙と健康問題の検討、医学の発展に寄与していきたい」と話す。

日本たばこ.jpg JTは財団への支援を「学術的な必要性で行っている。社会貢献活動としてではない」と説明するが、今月17日からのたばこ規制枠組条約第3回締約国会合では「公衆保健政策をたばこ権益から保護する」「たばこ会社の広告となる社会的活動の規制」「たばこの販売促進禁止」も議論される。

 「たばこ産業から資金援助を受けている組織は規制対象に含まれる可能性もあるが、実際にどうなるかは会合での論議しだいだ」と厚生労働省たばこ専門官の森淳一郎さん(39)。「日本以外の国が規制を主張する可能性もある」と指摘する。

 受動喫煙防止などすでに採択されたガイドラインは、国内法では努力規定でしかないが、これらの項目もガイドライン化されれば、財団をはじめJTの多くの社会的活動が見直しを迫られる可能性がある。


私自身もタバコ撲滅に賛成です。今までもJTが如何に死の商人であるか、などを訴えて来ました。また喫煙者も国とJTによって依存症を植え付けられた被害者であることも指摘して来ました。

しかし、今回のこのニュース記事には少し違和感を覚えます。タバコの有害性は明らかである、それにもかかわらずタバコの害を曖昧にするような研究成果を訴える喫煙科学研究財団はつぶしてしまえ。

灰皿.jpg言論の自由は保証されなければなりません。どんな結果になった研究発表も何らかの圧力でなきものにされてはなりません。タバコの害は今やおそらく間違いないものとは思われます。しかしそれに反する主張をする研究や論文を単純に排斥しようとするのは間違った方向と考えます。

タバコの害がはっきりしない、増して喫煙は人体に害はない、という研究・論文に対しては、一つひとつ丁寧に対応し、その矛盾をつき反論して行かなければならないと思います。反論しきれない場合には、一つの研究成果として認めなければなりません。

こうしたことを一切せずに、何でもいいから、喫煙を擁護する声は抹消してしまえ、というのは言論弾圧そのものです。
まして、これらは「意見」を戦わせるディベートやディスカッションではありません。少なくとも一定の手順を踏んだ科学的な成果です。問答無用で葬り去ろうとするのは決して正しいことではありません。

乱暴な弾圧によるタバコ追放運動はどこかで行き詰まってしまう危険をはらみます。きちんと進めて行かないと、タバコの息の根を止めることはできないように思います。
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

刑法と死刑制度 [生活/くらし]

京都新聞 死刑制度の是非考える 下京、高村薫さん講演

大谷ホール講演.jpg 裁判員制度の導入を前に、死刑制度について考える集会が1日、京都市下京区の大谷ホールで開かれた。作家の高村薫さんは講演で「感情に流されず、公正な第三者として制度の是非を考えることが大切だ」と話した。
 大学教員や宗教者たちでつくる実行委員会が主催し、約400人が参加した。
 死刑囚が登場する最新作を発表した高村さんは「人を裁くには、常識や普段の感情とは異なる非日常的な理性が求められる。被害者、加害者どちらの立場でもなく、公正な第三者であることは難しい」と話し、市民が死刑判決にかかわる可能性もある裁判員制度への不安を語った。
 宗教者としてシンポジウムに参加した浄土宗大林寺(宝塚市)の木下達雄住職は、人間が間違いを犯す不完全な存在であることを強調し、「裁判員制度は、本来的に人ができないことを押し付けている」と訴えた。
 山口県光市母子殺害事件で弁護人を務めた安田好弘弁護士は「人を殺した人間を死刑にすることは、非難したことを自ら行うという矛盾に直面する」と話した。


大谷ホール.JPG今まで私が懸念していたことを、よくこのような講演で取り上げて頂けたと思っています。「感情に流されず、公正な第三者として制度の是非を考えることが大切だ」という発言は死刑制度に限らず、全ての量刑、というより刑法の適用に言えることだと思います。

多くの場合犯罪行為の報道を受け取った人は、加害者に怒り、被害者に同情の感情を持ちます。ある程度当然のことですが、マスコミの煽りもあって、必要以上に加害者に厳罰を、と簡単に考えてしまいます。ここで日本人の浪花節的であり、また仇討ちを美化する発想が影響してしまうと考えています。
刑法の歴史を知りませんが、刑事罰は決して応報主義であってはならないと思います。「生命は重いものである。よってこれを奪った者は命を以て償うべきである」という、よく耳にする死刑賛成論者の意見は応報主義の域を出ていません。ハンムラビ法典的と言えるのではないでしょうか。

高村薫.jpg私が一番危惧しているのは、過失をも罰する刑法の存在と、それについてもこの応報主義が持ち込まれることです。結果責任を重視するあまり、故意犯と過失の区別もなく厳罰を訴える声ばかりが大きく響きます。過失を罰する法がなければ良いのですが、現実にある以上、その運用には慎重になって欲しいし、適用する時に被害者感情に流されている現状は絶対に改めて欲しいと考えています。

そしてこのニュース記事にある死刑制度、私も廃止に賛成したいと思います。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

不測の傷害容疑 [生活/くらし]

asahi.com 「男がけった看板当たった」男性重体 大阪のコンビニ前

ローソン看板.jpg 大阪府警は1日、大阪府吹田市豊津町のコンビニエンスストア「ローソン西江坂店」前で、店頭に置いてあった看板が胸に当たったとみられる通行人の男性が帰宅後、意識不明の重体になったと発表した。男性は店長に「男がけった看板が胸に当たった」と話していたという。府警は傷害の疑いもあるとみて調べている。

 吹田署によると、重体になっているのは近くの無職、板垣和志さん(58)。同日午後3時半ごろ、店長が物音に気付いて外に出ると、板垣さんが木製の三脚の看板(高さ約120センチ、幅約45センチ)を立て直していたという。そのまま帰宅したが、同日夕に容体が急変した。板垣さんは心臓に既往症があるという。

 直前に、チケットの予約や料金支払いなどに使う端末機「ロッピー」を操作していた若い男が、うまくいかずに店を出ていた。板垣さんは「今、店から出てきた若い男が看板をけった」と話していたといい、同署はこの男が看板をけり、当たった可能性があるとみて調べている。男は20~25歳ぐらい、身長約180センチ。黒っぽいジャンパー、ズボンを着ていた。

 現場は、大阪市営地下鉄御堂筋線江坂駅の西約100メートルの住宅街。


ローソン西江坂店.JPG不幸な事件ではあります。被害にあった通行人の男性の方の心臓にどんな既往歴があったのかはよくわかりませんが、普通なら胸部打撲程度で何も起きなかったことでしょう。

一方看板を蹴飛ばした男の行為は褒められたものではありません。端末機の操作がうまく行かなかったからと言って、モノに当たるのも困ったものです。看板を壊したら器物損壊ですが、壊れていなかったらそれにも該当しないかも知れません。

ローソンに何か過失があったかというと、よほど倒れやすい不安定な看板を設置したのでない限り、過失はないと考えて良いと思います。

蹴飛ばした男が通行人を狙って看板を蹴飛ばしたのなら傷害罪でしょう。しかしそうでなかったら罪になるのでしょうか。

民事的にも、通行人の男性が重体となった原因の大半は心疾患の既往と思われ、他の2者が損害賠償すべきとは考えにくいと思います。
まして刑事的に男性、もしかして店を訴追しようとするとしたら、これまた不毛と考えます。
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

警察組織内のエラーと対策 [生活/くらし]

河北新報 警察官が実弾誤射、建物の壁貫通 仙台中央署

仙台中央警察署.jpg 仙台中央署で射撃訓練中の警察官が実弾1発を発射し、建物内の壁を貫通させていたことが30日、分かった。中央署には実弾を使用できる射撃場がなく、県警監察課は内部規定に違反するとして、この警察官の処分を検討する。

 監察課によると、警察官は当直勤務で休憩中の28日午前6時50分ごろ、署内の道場で約15メートル離れた的に向けて拳銃を発射。弾は的と壁を貫通し、隣の用具室につるしてあった剣道着に当たって落ちた。道場にはほかに人はいなかった。

 この警察官は、11月6日の県警拳銃射撃大会に出場する予定で、道場で空撃ちの練習をするつもりだったという。「中に弾が入っていることを失念した」などと説明している。

 監察課は「あってはならないことが起きて残念。再発防止に努める」と話した。警察官の階級や年齢、性別については「個人が特定される」として明らかにしていない。


射撃訓練.jpgいつもはここで警察批判を繰り広げるのですが、今回の趣旨はちょっと異なります。空撃ちのつもりで実弾を発射してしまったこの警官のミスは、もし誰か一般人にせよ警察職員にせよ死傷者を出してしまったのであれば、困った事態であり、現行法では業過致死傷罪ということになってしまうでしょう。
しかし現行法下では、何も法に反することはしていないことになります。

故意に実弾射撃を行ったのであれば、器物損壊であり、また誰かに弾が当たってもいい、などと考えていたら未必の故意による殺人・傷害未遂?も考えられるでしょう。
ところがあくまでも過失であるのなら、そうした罪には何ら該当しません。この警官個人を処分しようなどと言うことより、もっとこうした事故の後にはなされるべき措置があるのではないかと考えます。

それは医療事故でもいつも議論される、システムエラーの問題です。警察官が銃に実弾を込めて携行するのには、厳重な管理がなされていると聞きます(テレビドラマの域を出ませんが)。そこに何らかの問題があったからこそ、空砲だと思っていたところ、実弾が発射されてしまう事故に繋がった訳です。

この警官個人を罰してみても再発防止にはなりません。実弾の管理を見直すべきではないのでしょうか。個人糾弾が同様事故再発防止に資することがないのがわかる良い一例だと思います。
「あってはならない‥」という表現、よく聞きます。本気で「あってはならない」と思っているのなら、システムエラーとして捉え、真剣に対策を考えるべきです。

ちなみにこの警察官には上司からの注意、もし必要なら壊した壁と剣道着の補修費用の弁償で十分ではないかと思います。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

日本人の国民性とマスコミ [生活/くらし]

共同通信 実名報道に異例の「付言」 「慎重に対処」と高裁支部

福岡高裁那覇支部.jpg 少女にみだらな行為をしたとして逮捕された際に実名報道され名誉を傷つけられたとして、沖縄県内の公立中学校の男性教諭(36)が、同県内の民放3社とNHKに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部の河辺義典裁判長は28日、1審那覇地裁判決に続いて請求を退ける一方、実名報道を認めた上で報道の在り方に異例の付言をした。

 「逮捕という客観的事実の伝達にとどめるべきで、当然に罪を犯したかのような印象を与えないように節度を持って慎重に対処する必要がある」とした点は、来年5月開始の裁判員制度を意識したと理解することもでき、論議を呼びそうだ。

 河辺裁判長は4社の報道について、名誉棄損やプライバシー侵害による不法行為の成立を否定した上で「実名報道で教諭が被る不利益は非常に大きく、十分配慮する必要がある」と指摘。「あきれた。しかもよりによって」とするアナウンサーの発言などは「配慮に欠けた」と述べた。


NHK沖縄放送局.jpg今に始まった問題ではないと思います。もっとも本質的な問題は、日本人の特性か、犯罪を為した人間がいると徹底的に糾弾し、非難のコメントを浴びせます。そしてそれに対して厳罰を、という世論(のようなもの)が形成されます。起訴猶予となった容疑者にも検察審査会が不起訴不当を訴え、容疑者から全てを奪う第三者の処分に誰も異論を唱えません。

自分や自分が帰属する集団と異なる存在である犯罪者を人格のかけらもないような表現で非難し蹴落とそうとする国民性は、もしかすると世界一人種差別意識が強いと言われる日本人の特性なのかも知れません。

そしてもう一点。
報道機関は警察発表をあまりに鵜呑みにし過ぎです。逮捕=有罪確定という短絡思考が見られます。逮捕とは犯罪の容疑をかけられ身柄を拘束されたという事実に過ぎず、捜査の端緒という意味しか持ちません。しかしひとたび警察発表を聞くと、それが犯人だ、有罪だ、と裁判の判決を待たずに非難合戦を始めます。

松本サリン事件などの教訓が全く活かされていませんね。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

宗教 [生活/くらし]

共同通信 「高島易断」で賠償求め6人提訴 幸運乃光に

高島易断.jpg 運勢鑑定などで知られる「高島易断」を名乗る祈祷師らに不安をあおられ、祈祷料を支払わされたとして、会社員や主婦ら6人が27日、千葉県袖ケ浦市の宗教法人「幸運乃光」などに計約1600万円の賠償を求め、東京地裁に提訴した。

 弁護団は「本件のような霊感商法は許されないことを明確にし、同種の被害を防止したい」と主張。幸運乃光側は弁護団に「契約に不備があったものについては返還に応じるが、被害者を脅すなどの違法行為はない」と説明しているという。

 幸運乃光は今年3月、宗教法人としては初めて、経済産業省から特定商取引法違反で業務停止を命じられた。現在は活動していないとされる。

 原告は東京都、神奈川、埼玉、栃木各県の31-80歳の男女。弁護団は「被害110番」を実施し、ほかにも20人で計4000万円近くの被害を把握している。

 訴状によると、幸運乃光は健康や結婚、息子の就職難など被害者の悩みに付け込み、「寝たきりになる」「息子は自滅する」などと不安をあおり、当初の鑑定料2000円に加え、高額の祈祷料を払わせたとしている。


幸運乃光.JPG統一教会の霊感商法をはじめとして、宗教団体による詐欺とも言える集金活動が横行しています。さすがにこうした行為に対しては司法が介入していますが、果たして宗教団体に対する法的な扱いは適切と言えるのでしょうか。

宗教の自由は保証されなければなりません。これは思想・信条と同様ですが、その宗教団体ということになると、あまりに手厚く保護されているのではないかと思います。
礼拝などを妨害してはならない、というのは良いのですが、宗教法人の収入は非課税であるなど、集金の手段として捉えられて仕方がないと思います。

宗教法人であっても違法な疑いのある行為については厳しい監視が必要であるし、そもそも収入が非課税であるのは疑問です。

私の乏しい歴史の知識でも、繰り返し宗教は権力に利用されたり、逆に迫害されたりして来ました。権力者の都合で教義がねじ曲げられたり(離婚を認めるなど)もしています。
そして今の日本でも宗教団体をバックにした政党が存在しています。

宗教は人の心を清めたり、救うのに有益であることもあります。しかしその一方で教祖の都合のよい教義を信じ込ませ「人心を惑わせ」挙げ句に財産を巻き上げるシステムという一面もあります。その程度によって一部の宗教団体はカルトの烙印を押されることになるのですが、厳密にはその線引きは容易ではないものと思われます。

「さわらぬ神に祟り無し」を地でいくような現行法では、カルト宗教が後を絶たないのではないかと考えます。違法の疑いのある行為に対しては司法が厳しく目を光らせる必要があるのではないでしょうか。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

身内は不送検/業過致死傷罪と浪花節 [生活/くらし]

asahi.com 30代の男性受刑者が自殺 大阪刑務所

大阪刑務所.jpg 大阪刑務所(堺市)は25日、30代の男性受刑者が首をつって自殺を図り、死亡したと発表した。

 刑務所によると、25日午前7時20分ごろ、単独室の中の洗面台の蛇口にタオルをかけて首をつっている男性受刑者を、朝の点検に訪れた職員2人が見つけた。救急車で病院に運ばれたが、約1時間後に死亡が確認された。男性受刑者は07年11月に入所していた。刑務所は「受刑者の心情把握などを徹底し、再発防止に努めたい」としている。

産経新聞 被害者遺族の立場や心情に最大限配慮 JR脱線事故

尼崎脱線事故.jpg □郷原信郎・桐蔭横浜大学法科大学院教授

 「今回の集団面談の実施は、被害者遺族の立場や心情に最大限配慮しようとする神戸地検の姿勢の表れと評価できる。従来の検察捜査では処分決定後に説明を行う程度で、捜査の中間段階でこのように大規模に被害者遺族との面談を行うことはなかった。刑事の過失責任の追及には限度があり、とりわけ企業の組織活動にかかわる事件の場合には多くの困難な要素がある。

 近年、業務上過失致死傷罪で事故当時の社長らが起訴された三菱自動車やパロマ工業の例など、従来の常識では考えられないほどに過失事件の起訴の判断が積極的な方向に変わってきている。だが、やはり現場カーブを急カーブに付け替えた際に当時法的には義務がなかった自動列車停止装置(ATS)の設置をしなかったことについてJR西日本幹部の過失責任を問うことは、予見可能性、結果回避義務などに関して非常に困難な面があることは否定できない。それだけに神戸地検は、事故から3年以上経過した後の社長室の捜索など異例の捜査手法まで用いて刑事責任追及に向けて最大限の努力をすることに加え、捜査の過程においても被害者遺族に可能な限りの誠意を尽くそうとしているのではないか。

 同じ神戸地検が捜査した平成13年の明石歩道橋事故では、当時の明石署長らの不起訴をめぐって遺族から強い反発を受け、最高検も巻き込んだトラブルにも発展した。今回の面談実施には、その経験が生かされているのだろう。『検察の正義』を振りかざして上から下を見下ろすような、かつての検察の姿勢では被害者遺族からの反発は免れない。フラットな関係を築くことが捜査と処分について被害者遺族の理解を得ることにつながるはずだ」


神戸地検.jpg今までも繰り返し書いて来たことです。業過致死傷罪そのものには大いに疑問を持っています。事故が起きた時に個人に対して刑事訴追を行い、裁判で有罪を取って一件落着というこのシステム、事故の再発防止にもならず、実は被害者の救済にも資することのない不毛な法体系であると考えています。

現実にはその業過致死傷罪が刑法に存在する以上、実際にはその運用は慎重かつ公正に行って欲しいと思います。
恒例により?2つのニュース記事を並べました。何らかの過失が疑われる事件で、その被害者数や事故の規模には大きな違いがありますが、それよりもっと大きな違いがあります。

一般人や民間企業が起こした事故には大変厳しく対処します。剰え、浪花節「被害者感情」を利用して、より重い刑罰を科させよう、有罪を揺るぎないものにしようという強固な姿勢が見えます。
一方で身内に近い、警察や刑務所での事件では、立件されることを見るのはまれです。誰の目にも明らかな警察のミスなどで、隠しおおせないものは仕方なく送検しているようですが、こうした刑務所内での事件で、刑務官などが送検されたというニュースを寡聞にして知りません。

刑務所の事件も、その予見可能性(タオルの所持とそれを縛り付ける構造物の存在)と回避義務(受刑者を十分に観察し、自殺などしないか見守る義務)を考えれば、当然業務上過失致死罪があり得ると思います。しかし「再発防止に努めたい」のコメントでおしまいにしようとしています。

一方のJR西日本の事故では、立件そのものもさることながら、被害者の立場や心情に配慮、などという浪花節応報主義を拠り所に、送検するJR関係者などを何としても有罪に仕立てようという姿勢がはっきりしています。
本来その罪を客観的に評価し、中立的に量刑を決めるべき刑法に、決して浪花節を持ち込んではなりません。以前にも書いた、北九州飲酒運転追突事故で、検察が被害者の子供達の写真を法廷に持ち込んだ検察のやり方と軌を一にするものです。

業過致死傷罪は見直して欲しいと思っています。しかしそれはひとまずおくとしても、刑法の適用に応報主義を決して持ち込まないでもらいたいと思います。
nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

自転車の取締り [生活/くらし]

産経新聞 自転車の飲酒運転でタクシー運転手逮捕 大阪府警

大阪市生野区巽東.JPG 22日午後9時ごろ、大阪市生野区巽東の路上で、信号待ちしていたタクシーの左後部に自転車が衝突。通報で駆け付けた生野署員が、自転車に乗っていた男の呼気1リットルから基準値(0・15ミリグラム)以上のアルコールを検出したため、道交法違反(酒酔い運転)容疑で逮捕した。

 調べでは、男は、同区小路東のタクシー運転手、吉川豊憲容疑者(65)。吉川容疑者は勤務後、酒を飲み、帰宅する途中だったという。


道路交通法の条文を読むと、飲酒運転を禁じていること、違反者に対する罰則は自動車、軽車両共通に書かれているようです。
私の理解が足りないのかも知れませんが、軽車両ではむしろ酒酔い運転と飲酒運転の境界が定められておらず、むしろ厳しい罰則が科されるように読めるようです。

しかしこれは現実の道路交通と、それに及ぼす危険を考えれば、釣り合いの取れない罰則と思います。もちろん自転車と歩行者などによる死亡事故の例もありますが、それはニュースになるくらい珍しいケースです。飲酒運転に対する罰則が自動車と軽車両で変わらない、あるいはもしかすると軽車両の方が厳しいとしたら、どう考えてもおかしな法体系と言わざるを得ません。

生野警察署.jpgそしてこのニュース記事のように、刑事訴訟法に則っているとは言え、自転車の飲酒運転を逮捕し、実名報道させることには強い違和感を抱かざるを得ません。
飲酒運転自転車が歩行者とぶつかって死傷させたというのならまだわからないでもありません。たかが自動車に追突したというだけの事故です。自動車にキズがついたらその賠償をし、刑事的には現場で厳重注意では不十分だったのでしょうか。まさか追突された車のドライバーがむち打ちとなったということもないでしょうから。

以前にも警報機の鳴っている踏切に進入した自転車に対して赤切符を切ったというようなニュース記事も目にしました。そもそも青切符システムのできていない自転車の違反の取締りは、もっと現実的にしてもらいたいものです。

それとも自転車からもどんどん罰金を徴収して国家・地方財政に役立てようという魂胆でしょうか。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

駐車違反以上の罪は犯していない [生活/くらし]

千葉日報 違法駐車トラック男性無罪 バイク追突死、過失問えず 地裁松戸支部

千葉地裁松戸支部.jpg 松戸市内で二〇〇四年、違法駐車の大型トラックに追突したミニバイクの男性が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われたトラックの東京都文京区音羽、運送業男性(61)の判決公判が二十日、地裁松戸支部であり、伊藤裁判長は「後続車の追突を予見できたとするのは早計で、過失責任を問うことはできない」として無罪(求刑・罰金五十万円)を言い渡した。

 運送業男性は書類送検され、いったん不起訴処分となったが、松戸検察審査会が不起訴不当を議決。昨年三月、略式起訴され罰金五十万円の略式命令が出されたものの、運送業男性側は不服を申し立て、正式裁判となっていた。

 検察側は公判で「現場にはトラックを照らす街路灯などがなく、(トラック)後方の反射板も汚れにより十分な反射能力がなかったため、後方からトラックを見つけることは困難。運送業男性は後続車が追突する恐れがあることを予見できた」と主張していた。これに対し伊藤裁判長は判決で、現場の市道には約八十メートルの間に五本の街灯があり、数十メートル手前から車を発見可能な明るさがあったと認定。反射板についても、事故直後の写真で反射光が確認できることなどを上げ、十分な反射能力があったとし、「事故の予見可能性があったとするのは早計」とした。

 伊藤裁判長は「ミニバイクがライトをつけ、前方を注視していれば、少なくとも五十メートル手前でトラックに気付いたはず」とも述べた。

 運送業男性の弁護側は「主張事実がほぼ認められた」とした。

 判決によると、運送業男性は〇四年十二月二十日午前五時半ごろ、松戸市紙敷一の駐車禁止の市道に、大型トラックを駐車し、車内で仮眠。同五時四十分ごろ、ミニバイクの同市内の会社員男性=当時(55)=がトラックに追突し、脳挫傷により間もなく死亡した。


松戸市紙敷1.JPG通常追突事故を起こすと、特に前車が停車している場合は、追突した側の車が100%責任を負うことになります。ところがこの事故では、トラックが違法駐車であるからと言って、そのトラックに刑事責任を負わせようとした裁判が行われました。

つくづく検察審査会=素人集団は浪花節人種の集まりであると思います。何か事件が起きると、死亡したりケガをした人に過度に感情移入し、その相手方の刑事訴追をさせようとします。この事件以外でも繰り返し検察審査会の信じがたい不起訴不当議決のニュースを見ることがあります。

ミニバイクは判決文にもあるように、トラックを発見することができた筈です。また明記されていませんが、制限速度の30km/hを遵守していれば、発見が遅れることもなく、追突を回避することができたと思われます。
ライダーが死亡した事実があっても、追突されたトラックの運転手を刑事訴追しようとするのはあまりに無理な考え方です。
これは少し前までの医療事故の判決にも通じるところがあります。

冷静な判決を下した千葉地裁松戸支部を評価したいと思います。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

タスポと利権 [生活/くらし]

河北新報 taspo効果なし? 未成年の喫煙補導減らず

タバコ自販機.jpg たばこの製造・販売業者、宮城県警、県教委などでつくる「県未成年者喫煙防止連絡協議会」が15日、仙台市青葉区のパレス宮城野で開かれた。5月に自動販売機用成人識別カード「taspo(タスポ)」が導入されてから初の会合で、運用に課題が示された。

 仙台市内5署の補導員らが、タスポ導入後も喫煙で補導される未成年者が減っていない現状を報告。コンビニやスーパーで購入しているケースが多く、未成年者の購入を黙認していた販売店もあったという。

 県内でタスポ導入後(5―8月)に喫煙で補導された未成年者は2092人。補導された未成年者全体に占める割合は40.7%で、前年同期に比べ5.6ポイント増加した。

 仙台東署の五十嵐文補導員は「タスポ効果は現在まで出ていない。対面販売での年齢確認を徹底するべきだ」と主張。日本たばこ産業仙台支店の伊藤鉄義業務部長は「タスポによる成人識別でハード面は強化した。今後は大人のモラルなどソフト面の充実が必要だ」と話した。


タスポについては、国家による個人情報収集や、先々生命保険加入拒否などに使われてしまう、とんでもないプライバシー侵害であるという問題について書きました。

今回はこのタスポが大義名分である未成年の喫煙防止に何の役にも立っていないことが白日の下にさらされたということです。自販機を購入する店側から見ても、従来の自販機より高くなったと聞きます。さらに財務省が従来の自販機の使用を禁止し、タスポ対応機しかおけないこととしました。

タスポ2.jpgこうした一連の動きから何が見えて来るか。強制力を持った国家まで動いてタスポカードが作られ、自販機まで新造された。誰が儲かったか。

少なくとも国民でも、喫煙者でもないことは間違いありません。カード会社と自販機製造会社に巨額の金が流れたものと思われます。

タスポに対するメディアの追求が少なすぎる気がしています。国家権力に抑え込まれているのでないことを祈ります。
nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感
前の10件 | 次の10件 生活/くらし ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。