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被害者参加制度は行き過ぎだ [生活/くらし]

毎日新聞 <刑事裁判被害者参加>光市の本村さん「権利実現の世代へ」

本村洋.jpg 犯罪被害者週間(11月25日~)最終日の1日、内閣府が東京都内で集会を開き、99年に起きた山口県光市の母子殺害事件で妻子を奪われた本村洋さん(32)が講演した。本村さんはこの日施行された刑事裁判の被害者参加制度に触れ、「事件からたった9年で、求めたことが法整備された。今日から被害者の権利実現の世代へ移った」と評価した。

 被告に無期懲役が言い渡された1審当時、法廷に遺族用の傍聴席はなく、本村さんは遺影の持ち込みも拒否された。「明らかにうそだと思う被告の言葉にも意見が言えず、望んだ死刑判決も出ない。敵は司法だと思った」と振り返った。

 その後、被害者の意見陳述や傍聴席の優先確保が認められるようになり、「被害者が声を上げ、社会が耳を傾けるようになった」と強調。被害者参加制度の実現について「妻が残した最期の言葉を被告に聞けるかもしれない。被告の暴言に謝罪を求められるかもしれない。これからは法廷が真実を確認できる場になる」と語った。【石川淳一】


犯罪被害者週間.jpg今まで刑事裁判の推移について情報も得られず、蚊帳の外に置かれていた被害者・遺族に取っては願ってもいない制度なのでしょう。検察と一緒になって尋問もできる、求刑までできてしまう。

私は反対です。決して公正な裁判など望むべくもありません。被害者や遺族は怒りの頂点にいます。被告人に対する直接尋問はそれ自体最大の非難となるでしょう。被告人は言いたいことがあっても言えなくなる可能性が高いと考えます。例えば正当防衛を主張しようと思っていた被告人も思わず口をつぐんでしまうかも知れません。
また被害者・遺族は考え得るもっとも重い量刑を求刑しようとするでしょう。

以前から書いて来たように、法廷に応報主義(仇討ち)をそのまま持ち込むのがこの被害者参加制度です。確かに今までの被害者・遺族に対する配慮がなかったのは事実ですが、それは法の不備や検察の怠慢だったはずです。今度はこうした応報主義を法廷に持ち込んで少しでも重い量刑を取ろうとする検察の思惑と一致してか、多くの議論を経ぬまま、この制度が強行されてしまっている印象があります。
現に日弁連会長もこの制度の導入に危惧を表明しています。

さらに私が恐れるのは、業/運過致死傷罪の法廷にまでこれが持ち込まれてしまうこと。もはや冷静な裁判など望むべくもありません。事故の分析と、予見可能性、回避義務違反の存否などが冷静に論じられなければならない法廷で、被害者・遺族が「私(家族)はこんなひどい目にあったんですよ!不注意なあなたが悪いに決まっているじゃないですか!」と発言、被告人はやはり発言を封じられてしまう可能性があります。
幸いにして業過致死傷罪の事案については、被害者参加制度はともかく、裁判員制度は適用されないと聞きました。ここで被害者や家族の発言を引き継いでお涙頂戴、浪花節の判決が導き出されてしまったらたまったものではありません。

いずれにせよ被害者参加制度は行き過ぎです。出された判決をきちんと分析し、制度の存続を見直して行くべきと考えます。
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ぜったい誰かが悪い [生活/くらし]

読売新聞 滑り台事故、重体の園児が死亡…広島・廿日市

くすのき幼稚園.jpg 広島県廿日市(はつかいち)市の私立「くすのき幼稚園」で今月20日、上着が滑り台の手すりにひっかかって首が絞まり、意識不明の重体になっていた園児の女児(3)が、29日午後4時10分頃、入院先の病院で死亡した。

 廿日市署などによると、女児は事故当時、肩の部分に模様として穴が空いた毛編みのポンチョを着ており、穴に手すりの上端が引っかかり、首が絞まった状態になった。同署は業務上過失致死容疑で、管理体制などについて調べる。


同様の事例を取り上げて何度も書いて来ました。
どんな人にも、いつも周りには危険な落とし穴があいています。いつ落ちるかわかりません。そしてその落とし穴に落ちて不幸な目にあった時に、自らの、または身内の不幸を嘆くのみならず、関与した人間がいれば、恨みをぶつけようとします。

そしてその恨みをぶつける対象にされてしまう人間を、一緒になって刑事罰に処そうと動くのが警察・検察です。

廿日市署.jpgこのニュース記事でも、滑り台の手すりに突起物があったことを咎めて、設計者や製造過程での不良を糾弾しようとすればできそうです。穴あきポンチョをデザインしたアパレルのデザイナーを捕まえて、おまえのせいで子供が一人死んだぞ、と責めることもできます。そしてこの園児を十分に監督していなかった幼稚園の教諭が悪い、と言って糾弾することもできます。

私には全て言いがかりに聞こえます。そうまでして誰かを刑事罰に処そうとする力学はいったいどこから発生するのでしょうか。まさか警察の刑事課が交通課同様、ノルマに追われているのではないでしょうね。

業過致死傷罪はない方が良いとは思っていますが、もしこれを適用するのなら、慎重に願いたいと思います。運用によっては不毛なとげとげしい社会になって行ってしまうと考えます。
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裁判員制度 [生活/くらし]

河北新報 状況証拠だけで有罪 裁判員模擬裁判 裁判官合議とねじれ

仙台地裁模擬裁判.jpg 目撃証言や物証など有力な証拠がなく、被告側が無罪を主張している傷害致死事件を市民が審理する裁判員模擬裁判が25日から3日間、仙台地裁であり、6人の裁判員と3人の裁判官は27日、有罪と判断し、懲役5年(求刑懲役8年)の判決を言い渡した。

 事件は、居酒屋で知人男性と酒を飲んだ男が男性の腹を踏みつけ、内臓破裂で死亡させた―との設定。男は「記憶にない」と否認しており、男から「やったかもしれない」と明かされ口止めも頼まれたとする同僚の証言など、検察側が示した間接(状況)証拠への評価が焦点となった。

 同日の評議では、裁判員から「踏みつけた証拠がない」「別の人物が暴行したかもしれない」などの意見も出たが、同僚の証言には信用性があり、第三者が関与した可能性も低いと判断した。評決の結果は有罪が6人、無罪が3人で、無罪のうち2人は裁判官。現行の3人の裁判官による合議では無罪となるため、判決に「ねじれ」が生じた。

 終了後、裁判員を務めた宮城県大河原町の会社員佐藤洋さん(44)は「評議までは無罪と考えていたが、ほかの人の意見を聞き被告の犯行とみて問題ないと判断した」と説明。鎌田健司主任弁護人は「評議の雰囲気が裁判員らの有罪のイメージを膨らませた感がある。証拠に基づいて認定してほしかった」と語った。

 無罪の意見だった裁判長の卯木誠判事は「模擬裁判で時間の制約があった。本番では、もっと長い議論をすると思う」と話した。

◎常識と認定水準の均衡課題

 間接(状況)証拠に対する裁判員らの判断が焦点となった仙台地裁の裁判員模擬裁判(25―27日)は、裁判官と裁判員で有罪・無罪の判断が割れ、「市民の常識に照らした判断」と有罪認定水準とのバランスが課題であることを示した。

 最高裁によると、今回の模擬裁判で取り上げた架空の傷害致死事件はこれまで、仙台を含め全国17地裁で計20回の審理を実施している。証拠の取捨選択や立証方法が異なるため単純比較はできないが、判決は有罪と無罪が各10回と判断が分かれている。

 刑事裁判は「疑わしきは被告の利益に」が原則で、有罪認定には「合理的な疑いを差し挟まない程度」の立証が必要とされる。裁判官が繰り返し原則を強調し、裁判員らも理解した上で出した評決は、疑わしさや立証の程度について、裁判官と異なる判断に至った。

 検察側にとって、間接証拠のみで動機も不明なまま有罪認定されたことは、本番の裁判員裁判での立証水準や事件処理の判断基準を考える上で「収穫」といえる。

 一方、弁護側も冒頭陳述や最終弁論で詳細に指摘した検察側証拠と立証の不十分さが評議の中心議題の一つとなった点で、検察側に厳しい挙証・立証責任が課されていることをあらためて浮き彫りにした。


仙台地裁.jpg裁判員制度については、自らの仕事を休まなければならないとか、どういう時に拒否できるのか、などの問題ばかりがクローズアップされ、裁判そのものに与えるこの制度の影響があまり検討されていないように思います。

「市民の常識に照らした判断」を法廷に、というコンセプトで始められたようですが、私が危惧するとおり、市民の常識というのが、かなり怪しくなっています。具体的に言えば、刑法がすっかり応報主義に立脚したものであると捉えられ、被害者・遺族の裁判参加と相俟って、浪花節判決が誘導され、被告人により重い量刑が科される風潮が出てきているように思います。

裁判官に常識がないと言われます。しかし判決を下すために依拠すべきは、あくまでも法であり、被害者・遺族感情や、犯行に対するイメージなどではありません。

またたとえば記事中にあるように「疑わしきは被告の利益に」という原則までどこかに吹っ飛んでしまいそうです。そもそも裁判員には、自分が被害者・遺族だったら、という想像力は豊富にあっても、もし自分が被告人だったら、という想像は殆ど働いていないと思われます。本当に冤罪の可能性はないのか、遺族の顔をみて、すっかり感情移入し、一緒になって被告人を憎んでいないか。大いに考え直して欲しいと思います。

私は裁判員制度に反対です。
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判決も仮釈放も被害者感情は切り離せ [生活/くらし]

読売新聞 無期囚の仮釈放、遺族らが意見…法務省が聴取を義務付けへ

法務省.jpg 法務省は25日、無期懲役の判決を受けて刑務所に服役している受刑者(無期懲役囚)を仮釈放する際は、被害者や遺族の意見を聴くことを義務づける方針を固めた。

 刑事裁判に被害者らが参加し、被告人質問などを行える「被害者参加制度」が12月から始まることにあわせ、仮釈放でも被害者重視の姿勢を示すことが狙いだ。年度内にも関係省令を改正する。

 無期懲役は10年以上の服役で仮釈放が可能となる。仮釈放は刑事施設長が申請し、地方更生保護委員会が法務省令に従って〈1〉更生の意欲がある〈2〉再犯の恐れがない--などの観点から許可・不許可を決める。現在でも被害者らから意見を聴取できるが、今後は意見聴取を義務づける。同委員会は、被害者らの意見を、仮釈放の許可・不許可決定の参考にする。

 また、法務省は無期懲役囚の仮釈放申請について、許可・不許可すべてのケースについて入所期間などを公表する方針だ。これまでは許可された場合のみ件数などを年間統計で公表してきたが、今後は、不許可の場合も公表することで、運用の透明化を図る。


判決読み上げ.jpgなぜ被害者や遺族に意見を聞くのでしょう。何となく賛成してしまいそうですが、仮釈放の是非を決めるのに、なぜ被害者や遺族の感情を根拠にするのでしょうか。

そもそも裁判における「被害者参加制度」も納得しがたい制度で、被害者・遺族感情によって刑事罰が左右されるのは間違っていると指摘して来ました。刑事罰はあくまでも為した罪の重さで決めるべきものであり、被害者・遺族の声の大きさで判決が左右されてはなりません。

そして同様に無期懲役の仮釈放の是非が被害者・遺族感情で左右されるのもおかしな話です。仮釈放の可否は、服役中の態度などで決められるべきことであり、塀の外から反対意見をぶつけてこれを阻止するのは正しいこととは思えません。
たとえば仮釈放すると、被害者や遺族に「お礼参り」に行く危険があると判断されたら、刑務所側で仮釈放を見送れば良いことです。これを怖がる遺族などが多かったり、その声が大きかったりすると、仮に心から更生している服役者の仮釈放が拒否される危険もあります。

それとも仮釈放中の再犯について、刑務所がその判断ミスの責任逃れのために、一部を遺族・被害者に押しつけようとしているのでしょうか。

刑事罰の量刑決定から仮釈放に至るまで、あくまでも法に則って客観的に行われなければならない考えます。
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被害者も悪い? [生活/くらし]

時事通信 交通局職員5人を不起訴=地下鉄作業中の死亡事故-横浜地検

横浜市営地下鉄3000系.jpg 横浜市都筑区の市営地下鉄線路上で2006年12月、レール点検をしていた作業員2人が電車にはねられ死亡した事故で、業務上過失致死容疑で書類送検された死亡作業員2人を含む市交通局職員5人について、横浜地検は21日、嫌疑不十分などでいずれも不起訴処分とした。
 5人は作業員2人と当時の交通局技術管理部施設管理所新羽施設区長、電車部新羽施設区主任2人。地検は区長と両主任について「(作業員が)監視員を配置しないまま作業することを予見できたと断定するだけの証拠がない」と説明。作業員2人については「死亡のため」としている。


よくわかりません。作業員を配置して、安全作業を担保すべき監督者に重大な過失があって、電車が来ることを知らずに作業員が点検作業をしていた、というのであれば、現行法下では監督者に対して業過致死罪の疑いで刑事訴追が行われるであろうことはわかります。
地検の説明では、作業員側が自ら監視員を置くべきであったということになるのでしょうか。

いずれにしても今までもこうした記事に書いて来たように、誰かを刑事訴追しようとする動きには反対を唱えてきました。その意味においては不起訴は適切と思います。

横浜地検.jpgわからないのは作業員を起訴しようとしていたのかということです。自らが被害に遭い、電車にひかれています。被害者がなぜ起訴されなければならないのでしょうか。もし命を落としていなかったら起訴されて何を咎められていたのでしょうか。

他の記事でも時々目にします。死亡した被害者もなぜか書類送検されることがよくあります。もちろん死亡しているため起訴されることはありませんが、でももし生存していたら何を咎めようとしたのか意味不明のことが多くあります。

単に警察ではよくわからないから、すべて送検してあとは任せた、ということなのでしょうか。
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ゴミ収集有料化 [生活/くらし]

河北新報ニュース 越境排出”犯人“特定 開封チェック是か非か

仙台市指定ごみ袋.jpg 仙台市のごみ有料化で一部市民が非有料の周辺市町村の集積所にごみを「越境排出」している問題で、名取市と多賀城市、利府町は袋を開けて排出者を特定し、ごみを引き取らせるなどの措置を取っている。こうした対応を仙台市民はどう受け止めているのだろう。街頭で20―70代の男女6人ずつの計12人に聞いたところ、開封賛成が5人、反対が7人だった。

 12人は越境排出者に対しては一様に不快感を示している。宮城野区の会社員女性(25)は「袋代を惜しんでよその市町村に排出する行為は悪質でみっともない」と憤る。

 3市町が袋を開けて本人を割り出していることについて、太白区の会社員男性(43)は「不届き者は特定し、突き返すべきだ」と支持する。
 泉区の無職男性(74)も容認派だ。「自分の出したごみの袋を開けられると思うと嫌な気になるが、ルールを徹底するにはやむを得ない」と理解を示す。

 一方、反対意見を述べるのは青葉区の大学生男性(21)。「違反者はけしからんが、開封はプライバシーの侵害。未開封のまま仙台市に引き取らせればいい」と話す。

 青葉区の主婦(61)も「開封は行き過ぎ。有料化後、町内会はごみ出しを監視する人と監視される人に分かれ、ぎくしゃくしている中、強権的な対応を取られるとぎすぎす感が増す」と述べる。

 3市町には仙台市の有料化が始まった10月、同市から計約480のごみ袋が越境排出された。いずれも仙台市の非指定袋で出され、値段の高い新しい指定袋を買うのを嫌った市民が捨てたとみられる。

梅原克彦仙台市長.jpg 3市町は袋を開けて中の手紙などで排出者を割り出し、仙台市に引き取ってもらったり、本人に取りに来させたりしている。仙台市の梅原克彦市長も、不適正排出の常習者については必要に応じて開封調査する考えを明らかにしている。


そもそもゴミ収集を有料化することが間違っていると思います。などと言うと、エコロジーに対する理解がない、とか、ゴミ処理にもかなりカネがかかるのだ、などという反論を一斉に頂きそうです。

しかし、本来これは自治体が道を造ったり、図書館を建てたりするのと同様の行政サービスであるはずです。この対価は住民税として支払っているはずで、それと別途ごみ収集代金を徴収されるのは本当は間違ったことであるはずです。

消費税とよく似ています。ゴミ収集費用の徴収は、金持ちほどたくさんゴミを出す訳ではなく、日頃の消費に課税する消費税同様、逆進課税に相当するものと考えます。

自分の住む自治体のゴミ収集所にゴミを出すべきなのは間違いないのですが、周辺自治体に出したくなる気持ちは大変了解可能なものです。隣の町では消費税は課税されないらしい、もしそんな状況が発生したら、当然誰しも隣町に買い物に行くでしょう。仙台市ゴミ集積所.jpgゴミ処理はあくまでも各自治体の予算の中で行うべきであり、「受益者負担」を錦の御旗に収集有料化を勝手に決めてはならないはずです。またそれに「理解」を示してしまう住民も相当お人好しです。まあ竹下内閣時代に消費税を受け入れてしまった国民ですから、仕方ないのかもしれませんが。

法的にはゴミ袋を曝く行為はきっと違法ではないのでしょう。廃棄した、即ち所有権を放棄したものを誰が見ようが調べようが、廃棄した当人の権利の及ぶところではないのだろうと思います。
しかしゴミ袋を曝いて捨てた人間を特定しようとする行為そのものが、卑しい行いに思えてなりません。こんなことをしなくて良いように、ゴミ収集は行政サービスにきちんと組み入れて欲しいものです。
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遺族感情と刑罰を区別せよ [生活/くらし]

asahi.com 涙を無理にとめないで /神奈川

ピア神奈川渡辺治重代表.jpg 事故や犯罪などで肉親を奪われた遺族らで作る被害者支援自助グループ「ピア・神奈川」が、それぞれの体験や心情を綴(つづ)った冊子を出版した。悲惨な事件が後を絶たない中、遺族の悲しみを共有する輪を広げるのが狙い。毎月2回活動しており、電話や面接での連絡も呼びかけている。30日には東京で、各地の団体と犯罪被害者の全国大会も開く予定だ。
(大島具視)

 ピアは、事故で長男(当時20)を亡くした茅ケ崎市の渡辺治重(はるえ)代表(63)らが、03年に設立した。現在、正会員は6人。賛助会員や相談に来た人も含め遺族8人が文集「涙を無理にとめないで」に寄稿して昨年暮れに発行、今月、加筆して増刷した。

 厚木市の橋本清さん(69)は、21歳の三男を失った経験を書いた。三男は自宅をオートバイで出て駐車中の車に追突し、亡くなった。妻(68)が「あなたが車を貸していれば……」と橋本さんを責め、「近所の人の目が気になる」と繰り返すようになった。「このままでは妻が変になる」と、なるべく早く帰るようにした。そんな橋本さんを同僚が「ミスター定時」と呼んでいたことを知り、惨めな思いだったという。

 法制度改革に取り組む遺族もいる。茅ケ崎市の祝部(ほうり)美佐子さん(58)はひき逃げで25歳の長男を奪われた。逮捕された男は覚せい剤取締法違反で執行猶予中で、盗難車に乗っていた。しかも、供述などによると飲酒運転だった。

 祝部さんは危険運転致死罪の適用を検察側に訴えたが、かなわなかった。男が逃げたため、酒酔いが立証できなかった。危険運転致死罪なら最高懲役20年だが、適用されたのは業務上過失致死と道交法違反などで、懲役6年の判決だった。祝部さんは「逃げたら罪が軽くなるなんておかしい」と、飲酒・ひき逃げを厳罰化する法改正を求め全国で活動をしている。

涙を無理にとめないで.jpg 今回、冊子を出し、増刷したのは、活動をより多くの人に知ってもらうため。毎月第2、第4水曜日、横浜市神奈川区の県民センターで遺族からの相談を受け付けている。

 渡辺代表は「悲しみを抱え込まず、吐き出すことが大事。同じ境遇の我々が繰り返しそれを聞いてあげます」と話す。

 冊子は一部700円。ホームページは、http://www.geocities.jp/peerkanagawa/。電話相談や問い合わせは(070・5463・4944)へ。


本ニュース記事を見て、本当に遺族の悲しみを鎮めるものは何であるかを考えさせられています。
図らずも記事に典型的な2つの例が紹介されています。
一つめは三男がバイクで追突事故を起こし落命したケースで、母親が父親に対して車を貸さなかったからだと責め続けたという例
二つめは飲酒運転を立証できなかったために、加害者の刑が軽くなってしまったと不満を持ち続けている例です。

いずれも身内を喪って日にちが経っていないのではないかと思います。やり場のない悲しみはどうしても加害者や関与者への怒りのエネルギーになってしまいます。心理学を学んだ訳ではありませんが、悲しみという感情を怒りに転換する働きがあるのではないかと想像します。
ピア・神奈川表紙.jpg誰かを憎むことによって自らの悲しみの感情を少しでも緩和しようとする。想像に難くありません。やむを得ない現象かも知れません。

こうした心理状態を救い、本当に最終的に悲しみの感情を癒すのに、こうしたグループ活動が大変貢献してくれていると思います。同様の組織や動きが各地であることを望みます。

そして私のいつもの持論です。「卑怯な」検察は急性期の遺族のこうした憎しみに転化された感情を法廷に持ち込み、故意犯はもとより過失反にまで重罰を追わせようとします。本当に「卑怯」と思います。
故意でも過失でも、法に則ったニュートラルな量刑が下されるべきです。遺族を利用して、また浪花節裁判員を利用して、無用な厳罰を下すことは決してしてはならないことだと思います。

特に過失については民事中心に解決を図るべきです。自動車運転にあっては別の記事でも取り上げましたが、厳罰化は無意味です。
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刑事裁判を遺族感情と切り離せ [生活/くらし]

asahi.com 9人死傷飲酒事故 懲役16年に遺族落胆

◇検察に控訴申し入れ

玉川被告.jpg 2人が死亡、7人が重軽傷を負った熊谷市の酒酔い運転の事故の公判で、さいたま地裁の若園敦雄裁判長は12日、危険運転致死傷罪に問われた無職玉川清被告(32)に「異常な高速度で走行し、飲酒運転の常習性から極めて悪質。被害者に何ら落ち度がない」と指摘し、懲役16年(求刑懲役20年)を言い渡した。しかし、厳刑を求めていた遺族は落胆を隠せず、検察に控訴するよう申し入れた。

 「絶対に許さないから」。裁判長の言い渡しが終わり、玉川被告が傍聴席にいた遺族を振り返って一礼した時、遺族の一人が法廷に向かって叫んだ。

 論告求刑で検察側が求めた懲役20年に対して、裁判長は懲役16年を選択した。判決言い渡しで、量刑の判断について、同罪の予定している中でも「相当に重い部類」としながらも、「本件より重大な類型を想定していると観念できる」と、最高刑より短くした理由を説明した。

 裁判長の言い渡しを、証言席で、白いワイシャツ姿の玉川被告はうつむき、ほとんど動かずに聴いていた。最後に主文が読み上げられた際も、じっと聴いていた被告だったが、閉廷直前の遺族の叫びを聴き、被告人席で一瞬目を細め、呆然(ぼうぜん)と前を見つめた。

◇「全然納得できない」

小沢克則樹里.jpg 判決後、亡くなった小沢義政さん夫妻の長男の克則さん(32)は県庁で記者会見し、「全然納得できなかった」と不満をあらわにした。「検察の求刑は希望通り言ってもらえた。判決でも最高刑の20年を言い渡してもらって刑務所で反省してほしかった」

 妻の樹里さん(27)は、求刑より4年少なかった原因のひとつに、裁判長が「任意保険の加入」を挙げたことについて、「被告はプロのドライバーで任意保険に入ることは当然のこと。そんなことが刑期が少なくなる理由とは納得いかない。16年はあまりに短い」と話した。

 樹里さんによると、事故に巻き込まれ、重傷を負った三男と長女(ともに22)は判決後、「私たちの気持ちは裁判官に伝わらなかった」と泣き崩れたという。遺族は検察側に控訴を求めたという。

〈判決要旨〉 2月17日午後1時半ごろ、熊谷市の居酒屋に到着。約5時間、ビール1杯と焼酎のウーロン茶割り約7杯を飲んだ。その後、被告は目のかすみを感じる中、車で同市内のパブクラブに行ったが開店前で、開店時間まで走ろうと友人2人を同乗させ、午後7時10分ごろ出発。その約15分後、現場カーブを速度100~120キロで走行し、反対車線にはみ出して対向車と次々に衝突。2人が死亡、6人に重軽傷を負わせた。

  事故から約2時間後、被告の血液1ミリリットル中から極めて高濃度のアルコール2・2ミリグラムが検出されたことからも、事故直前、相当酩酊(めいてい)していたと推測される。脳の働きがまひし、注意力が散漫になり判断力が鈍っていた。

 事故による結果は重大で悲惨だ。突然一生を終えた2人の無念の情は大きく、過酷なリハビリ生活を続ける三男(22)は大学を休学せざるを得ず、憤りは想像を絶する。

 しかし、被告の車には対人無制限の任意保険がかけられており、必要な賠償がされていくことが十分見込まれる。社会人としてまじめに生活してきており、妻や実母も更生に協力すると述べている。

 被告の運転行為の危険性や飲酒運転の常習性などから本件は極めて悪質だ。重大で悲惨な結果が生じ、さらに被害者や遺族が重い処罰を求めていることなどから、危険運転致死傷罪が想定するかなり重い部類に評価できる。

 被告は相当長期間の懲役刑が相当だが、(危険運転致死傷罪は)本件より重大な類型を想定していると考えられるので、酌むべき事情を考慮すれば主文の刑が相当だ。


さいたま地裁.jpgこのニュース記事を見て、心底落胆しました。この被害者遺族の小沢夫妻は、熊谷市や埼玉県に働きかけ、飲酒運転防止のために、ポスター作成・配布や、タクシー割引券配布、道路標識新設などを実現させることができました。
「罪を憎んで人を憎まず」を実践して来た遺族として、気高く素晴らしいこととして、 以前の記事で 取り上げました。
http://takenoko-ent.blog.so-net.ne.jp/2008-09-30

一般的に遺族感情を考えれば無理からぬ考え方とは思います。しかし過失で刑法に裁かれている被告人に対する発言としては応報感情むき出しです。

遺族の応報感情のみを理由として検察は控訴しないで欲しいと思います。そして許せないのはこの判決内容です。「さらに被害者や遺族が重い処罰を求めていることなどから、危険運転致死傷罪が想定するかなり重い部類に評価できる」という部分です。遺族の発言で判決を左右させてしまうような刑事裁判担当判事は裁判所から追放してもらいたいと思います。裁判所の判断は、決して誰かの感情で流されてしまうようなものであってはなりません。

被害者・遺族の裁判参加は恐ろしいと思います。
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警察の追跡:二次事故の責任は免れない [生活/くらし]

読売新聞 パトカーに追われ車が線路内逃走、未明に運転者逮捕…岩手

六原金ヶ崎.JPG 15日午前2時10分頃、岩手県金ヶ崎町三ヶ尻のJR東北線六原-金ヶ崎駅間の踏切で、パトカーの追跡を受けていた乗用車が上り線路内に侵入、約1キロにわたって逃走した。

 江刺署の発表によると、15日午前2時過ぎ、警戒中のパトカーが同県奥州市内で信号無視をした乗用車を発見。約10分間にわたって追跡したが、現場から数キロ離れた踏切で線路内に入ったため断念した。車は約1キロ南の踏切から線路外に出たとみられる。

 江刺署は、逃走車両のナンバーから運転者を割り出し、16日未明、同県奥州市水沢区、会社員牧野翔容疑者(24)を道交法違反の疑いで逮捕した。

江刺警察署.jpg 県警から通報を受けたJR盛岡支社は、東北線の運転を一時見合わせ、札幌発上野行きの寝台特急「北斗星」に約1時間30分の遅れが出た。

毎日新聞 <交通事故>白バイ追跡中の車衝突 乳児死亡、母重傷 岡崎

 14日午前11時25分ごろ、愛知県岡崎市大樹寺の県道交差点で、白バイに追跡されていた乗用車が、同県豊田市上丘町、主婦、竹内淑美さん(33)運転の軽乗用車と出合い頭に衝突した。竹内さんは骨盤骨折の重傷を負い、同乗の長女夢乃ちゃん(生後5カ月)が外傷性ショックのため約6時間後に死亡した。

 県警岡崎署は、軽乗用車と衝突後、運転していた車を放置して逃げたブラジル国籍の岡崎市羽根北町、無職、ミルトン・セイジ・アサヒ容疑者(26)を、自動車運転過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで緊急逮捕した。

 調べでは、現場の約600メートル手前で、県警第2交通機動隊の白バイの男性隊員が、同容疑者の進路変更の違反を見つけた。停止を求めたが逃走したため、赤色灯をつけてサイレンを鳴らし、時速約70キロで追跡していた。同容疑者は赤信号を無視して県道交差点に進入、無免許だったという。

岡崎市大樹寺.JPG 現場近くで働く男性会社員(43)は衝突音で事故に気づいた。駆け付けると夢乃ちゃんは横倒しになった車の後部座席のチャイルドシートに固定された状態で、男性が割れた窓ガラスから救出した際はかすかに身動きしたという。男性は「助かったと思ったのに」と悔しそうに話した。

 第2交通機動隊の入山勇隊長は「極めて残念で、心からお悔やみ申し上げます。追跡の方法や距離に問題はなく、適正と判断している」とコメントした。【中村宰和、中村かさね】


後者同様のニュースをいやになるほど目にして来ました。その都度追跡した警察側はいつも自らの無責を主張するコメントを発表し、ニュース記事はそれを一方的に流すだけに終始しています。

もちろん事故を起こしたのは被追跡車両であり、その前に違反行為を咎められて警察車両に停止を命じられている訳です。愛知県警交通機動隊パッチ.jpgしかし、警察側もこれだけ繰り返し全国で違反容疑車両を追跡した結果不幸な事故を起こしている以上、もう少し注意義務が必要なのではないのかと考えていました。

そう思っていたところ、一つ目のニュース記事を目にしました。その場で信号無視や線路内走行した車両を停止させ検挙することができなくても、後ほど捕まえることが出来た訳です。
確かに道交法違反は“現行犯”でないと検挙できないことになっていますが、タクシーにも載せるようになった動画記録装置をパトカーにも載せれば、証拠となるのではないでしょうか。

悲惨な被追跡車両とその他の無関係なはずだった車両との事故をこれ以上増やしてはなりません。そしてその後の警察の決まり文句「追跡に問題はなく、適正な職務だった」というような逃げコメントをこれ以上聞きたくありません。
被追跡車両が逃走し、危険運転を惹起し、事故を起こしてしまう事態は今や十二分に「予見可能」で、それを回避する義務を怠っています。追跡した警察車両に十分「業務上過失致死罪」の適応があり得るのではないかと考えます。
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作用・反作用の法則 4 [生活/くらし]

産経新聞 テニス協会もおわび、永久追放も 大麻事件

日本テニス協会.jpg プロテニス選手、宮尾祥慈容疑者の逮捕を受け、日本テニス協会は8日午後、東京都江東区の有明コロシアムで記者会見。渡辺康二・専務理事が「社会的にご迷惑をかけ、深くおわびします」と謝罪した。

 渡辺専務理事は「(宮尾容疑者は)大麻をやるようには見えなかった。再発防止に努めたい」と沈痛な表情。宮尾容疑者は9日から有明コロシアムなどで開かれる全日本テニス選手権に出場予定だったが、7日朝、親族から辞退届が提出されたという。

 同協会は今週中にも臨時常務理事会を招集し、宮尾容疑者の処分を決める方針。永久追放もあり得るという。

宮尾祥慈2.JPG 宮尾容疑者は昨年4月から国内旅行の予約・販売を行う「旅ポケドットコム」に所属。事件を受け、契約は7日に解除された。昨年11月の全日本テニス選手権で受けたドーピング検査では異常はなかった。

 関係者によると、宮尾容疑者は大学時代から全国大会で活躍する一方、高級外車を乗り回し、芸能人との交際もあったという。最近は手首のけがなどで調子を落としていた。


以前からこの問題も取り上げて来ました。テニスではありません。不祥事を為した者が出ると、その帰属団体がその者を切って捨てる風潮です。

「作用・反作用の法則」という言葉は、「医療崩壊」の著者・小松秀樹氏が用いたもので、これを私も使わせてもらっています。

小松氏が最初に取り上げた事件は、東武鉄道手動踏切事故で、踏切を手動操作していた担当者を懲戒解雇し、自らは事故を起こさない、エラーのない鉄道会社であるようなポーズを取ってみせた措置でした。

宮尾祥慈.jpgこうした視点で色々な事件後の、不祥事を起こした者の帰属団体の動きを見ると、今回取り上げたニュース記事のようなものが目立ちます。

簡単に言えば「当日本テニス協会には大麻に手を染めてしまうような者はいない、いてはならない。こんな選手がいたのは何かの間違いだ。追放だ」ということですね。さぞ気高く、人格者の集合体である、尊敬すべき団体なのでしょう。

法律もあり、大麻を所持することは刑事訴追の対象になります。それは間違いありません。しかしいったい誰に迷惑をかけたのでしょう。宮尾選手の今回の事件で誰がどんな被害を受けたというのでしょうか。

現実的にはせいぜい謝罪と当座の活動自粛で十分ではないでしょうか。

私は宮尾選手より、この協会の態度に虫酸が走ります。
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