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悲しい火災 [生活/くらし]

読売新聞 電気止められ、ろうそくの火で全焼…埼玉の71歳女性宅

ろうそく.jpg 10日午後9時40分頃、埼玉県熊谷市見晴町、無職鈴木孝子さん(71)方から出火、木造2階住宅約80平方メートルを全焼し、隣家の2階の一部約10平方メートルも焼いた。

 鈴木さんは逃げて無事だった。料金滞納で電気を止められ、明かりを採るために使っていたろうそくが原因とみられる。

 熊谷署の発表によると、鈴木さんは一人暮らしで、猫の餌を準備するため、2階寝室のプラスチック製衣装ケースの上に、火の付いたろうそくを立てたまま1階に下り、餌を持って再び2階に上がったところ、衣装ケースが燃えていた。「5日に電気を止められてからろうそくを使い始め、9日には生活保護の相談をするため熊谷市役所を訪れた」と話しているという。


1月のニュース記事です。絵に描いたような悲しい事故です。本人や他の人がやけどで死傷しなかったのが不幸中の幸いです。
法的な知識があまりないのでわかりませんが、失火の責任を問われればこの婦人は50万円以下の罰金刑の可能性があり、また民事上は債務不履行による損害賠償責任を負います。
しかし、まさかこんな状況のこの人に対して刑事訴追はしないであろうと想像(希望)するし、民事訴訟を起こしてみたところで、支払い能力もなく無意味と思います。

火災.jpgこの婦人そして周りをも巻き込んで不幸を来した、電気の停止に少し疑問を感じます。いわゆるライフラインのうち、水道は止まらないようですが、電気が止まったことが、この事故を招いてしまったとも言えます。

こういうケースで何らかの緊急救済措置は考えられないのでしょうか。
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少年審判と遺族の「傍聴」 [生活/くらし]

時事通信 「絶対に許せない」=意見言え、意義あった-少年審判傍聴の遺族が会見・千葉

少年審判傍聴沢田.jpg 「絶対に許せない」。千葉県香取市の路上で11月、銀行員沢田智章さん=当時(24)=が軽トラックにはねられ死亡した事件で、千葉家裁で開かれた少年審判を傍聴した沢田さんの両親らが26日午後、千葉市内で記者会見し、傍聴時の感想などを語った。
 父親の容之さん(55)は、少年審判の意見陳述で「車を凶器にし、安心して歩いているところを後ろからむごたらしく殺した。死刑にできない理由があるなら教えてほしい」と述べたことを明らかにした。
 母親の美代子さん(52)は「息子はすごいスピードではねられ、車、塀、路面と3回たたきつけられた。3回、同じやり方で死刑にしてやりたい」と胸の内を吐露したと説明。「まだ24歳で何もかもこれから。目標の銀行に入り、友人も多かったのに」と悔しさを訴えたという。
 少年審判の傍聴制度が導入されたことについて容之さんは「傍聴しないと分からない事件の内容が多々ある。運動して制度を作ってくれた人たちに感謝したい」。美代子さんは「(少年を周囲が)どこかで止められたのではないかとの思いを新たにした。(少年を)見てさらに傷ついたが、病院で智章の最期を見取った者として、意見を伝えられたのは意義がある」と述べた。


少年審判傍聴千葉家裁.jpg少年審判の傍聴制度のスタートです。傍聴だけなら仕方ないか、と考えていました。しかし詳細はわからないものの、加害者である少年の前で、被害者の遺族がその怒りをぶつける場面がこのように用意されているのでしょうか。

遺族の発言そのものは当然の内容です。この事件は過失による事故ではありません。加害少年が「イライラしていた。誰でもいいから、殺そうと思った」として、面識もない被害者を轢き殺したものです。
私も自分が被害者遺族の立場に立たされたら、この遺族と同じような発言をし、憎しみの感情をぶつけたことと思います。理性を失ってこの少年を殺害しようとする衝動にかられるかも知れません。

こうした被害者・遺族の感情は当然のものです。しかしそれを少年審判に持ち込むことにいったいどういう意味があるのだろうかと思います。刑事裁判に加害者参加制度を導入したことと同様、単純な応報主義を裁判・審判に持ち込んだだけとしか思えません。

どちらも被害者・遺族が加害者に対して言いたいことをぶつけ、それを以て敵討ちの一部としているようにしか見えません。かねてから書いて来たように、犯罪者の量刑は、その罪の内容によって客観的に決定されるべきものであり、被害者・遺族感情で左右されるべきものではありません。

裁判・審判はどんどん間違った方向に歪められて行ってしまっていると思います。
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刑事裁判と署名 [生活/くらし]

時事新聞 極刑求める署名、30万人に=女性拉致殺害事件で母ら-名古屋

磯谷署名.jpg 名古屋市千種区で昨年8月、会社員磯谷利恵さん=当時(31)=が拉致、殺害された事件で、母富美子さん(57)ら遺族が、強盗殺人罪などに問われた元新聞販売員神田司被告(37)ら3人への死刑適用を求めている活動に対し、目標としていた30万人分の署名が寄せられたことが23日、分かった。
 署名は18日に30万人を超え、20日までの分で30万799人となっている。
 富美子さんは「署名からはいつも元気と勇気をもらっている。一時は目標に届かないのではないかとあきらめかけたこともあったが、これを支えに頑張りたい」と話した。


この事件については、この記事のあと既に判決も出され、さらにそれに対する遺族の不満なども報道されています。
以前から書いて来ました。刑事裁判は決して応報主義であってはならないと。被害者あるいは遺族感情を根拠に判決が左右されることがあってはならないと考えています。
刑事罰はあくまでも、加害者が為した罪そのもので決定されるべきであり、遺族の無念さや加害者への憎しみがその罰を引き上げることは正義ではないと考えます。

磯谷犯人.jpg色々な場面で署名が行われます。記憶に新しいところでは、銚子市立病院問題に端を発して、同市長リコールのために署名集めが行われました。このように市民・国民が行政を動かすために行う署名は民主主義上必要かつ重要なものです。しかし、独立した司法に圧力をかけようとして署名を集めるのなら、それは間違っているし、また裁判所もそれに左右されてはならないと思います。

被害者参加制度や裁判員制度はこれと軌を一にするものではないかと危惧を感じて、これも反対を唱えて来ました。
裁判の客観性・公正さが揺らいでいます。もちろん今までの判決が全て正しいとは思いません。しかし、周囲の圧力で判決が左右されるようなことになったら、司法は終わりだと考えます。
それはもはや公正な司法判断ではありません。感情に流されたリンチです。
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監視カメラと個人情報 [生活/くらし]

読売新聞 信号待ちのあなたも…街角カメラ、防犯・商業目的で増殖

監視カメラハチ公前.jpg 信号待ちの歩行者の姿が、テレビモニターに映し出される。退屈そうに顔を上げた若い女性の顔をカメラがとらえた。その瞬間、赤い枠がパッと彼女の顔を囲む。コンピューターには自動的に「20代、女性」と登録された。

 1日30万人が行き交う東京・渋谷のハチ公前交差点。その頭上約30メートルで、大型ビジョンの上下に設置された2台のカメラが通行人の姿を追っていた。

 設置したのは横浜市の看板制作会社「アビックス」。大型ビジョンを見上げた歩行者の顔をコンピューターが自動識別し、広告別の視聴者の数や性別、年齢層などを分析する実験で、10月に始まった。イスラエルで開発された軍事技術の転用で、精度は「90%以上」と時本豊太郎社長(53)は胸を張る。「指名手配犯の顔を登録すれば、見つけて警察に通報することも技術的には可能です」

 1日に集まるデータは約2万人分。「映像は保存せず、解析データのみを抽出するので個人情報の面では問題ない」と、時本社長は全国展開に意欲を燃やす。

 だが、交差点周辺にカメラ撮影に関する告知はない。友人と待ち合わせしていた渋谷区の女性(21)にカメラの存在を教えると、「勝手に調査に使われるなんて気味が悪い」と嫌悪感を示したが、「大勢の人が映るんだし、別に気にならない」という女性(20)もいた。

 日本で街頭カメラの存在が初めて問題になったのは、1966年から大阪府警が大阪市西成区に設置し始めたカメラだった。プライバシー侵害だとして住民らがカメラ撤去などを求めた訴訟では最高裁が98年、15台のうち特定の建物の出入り口を写す1台を「違法」とした。

 だが2002年、警視庁が東京・歌舞伎町に50台の防犯カメラを設置して以降は、カメラは急速に街に広がっていく。同庁によれば今年11月現在、同庁や商店街によるカメラは都内だけで約2570台に上った。

監視カメラドーム.jpg 治安対策から受け入れられていった街のカメラは、いつの間にか商業分野にも侵食している。

 簡易型携帯電話(PHS)会社のウィルコム(東京都)などで作る研究会は来年から、全国のPHS基地局を利用して街頭カメラを設置する。その数は16万台。車や人の流れを監視し、当面は渋滞情報などを提供するが、将来は事業会社に発展させる予定だ。

 カメラに対する意識も変わりつつある。三菱電機ビルテクノサービス(東京都)が今年1月に全国約800人を対象に行った意識調査でも、防犯カメラで自分自身の行動が録画されることを約9割が「気にならない」「最近は気にならなくなった」と回答したという。

 「若い世代ほどカメラへの拒否反応がなくなってきているが、便利さだけで容認していると後戻りできなくなるかもしれない」と警告する東京工科大学の碓井広義教授(メディア論)は「何の目的で撮影し、その情報はどう処理されるのか。透明性を高め、社会全体でルールを作る必要がある」と提言している。(社会部 山下昌一、田中健一郎)


繰り返し監視社会の恐ろしさを訴えて来ました。街中にあふれる監視カメラ、国民の一挙手一投足を監視し、そのレンズの向こうには公安が、そして権力がいます。通過自動車のナンバーを含む画像を全て把握しようとするNシステム、クルマに乗らなくても新幹線N700系はじめ新しい電車車両には監視カメラ、改札にもカメラ。好むと好まざるとにかかわらず、一日の行動は既に全て見張られているのです。

監視カメラ.jpgアンケートで自分が監視されていることを気にならない、と答える人がこんなに多いのには驚きました。どうしてそんなに無頓着でいられるのでしょうか。
よく聞く回答が「別に悪いことをしていないし」「犯罪抑止に役立つのなら」というものです。しかしいつ自分が濡れ衣で取り調べられ、全ての行動を逐一指摘されるかわかりません。

しかし多くの人たちはプライバシーを口にします。個人情報保護法施行後、名簿発行を見送るなど、過剰な反応も出ている一方で、どうしてここまで自分の画像を権力や企業が撮影することに、ここまで無関心なのでしょうか。矛盾を感じます。

ニュース記事にあるように、コンピュータの威力は恐ろしく、大量の画像データの中から顔面認識で、あなたを見つけ出し、何時何分にどこを通過したということを全て拾い上げてくれます。公安や企業にそういう情報を公開することに抵抗を感じないのはあまりに危険です。

変な政府が出来たら、国民は恐るべきシステムの下厳しい管理下に置かれることも考えられます。
本当にそれで良いのでしょうか。

家を一歩でも出る時は帽子とサングラスとマスクが欠かせない、かも知れません。イヤな社会です。
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事故と無謬警察 [生活/くらし]

毎日新聞 <衝突死>41歳男性、教習所で卒業検定中 金沢

大徳自動車学校.jpg 13日午前9時5分ごろ、金沢市松村5、大徳自動車教習所(坂本国正校長)で、大型自動二輪の卒業検定に臨んでいた同市神野町、会社員、五十嵐竜也さん(41)運転のオートバイがコースを外れ、約10メートル先のコンクリート塀に衝突した。五十嵐さんは頭などを強打し、搬送先の病院で約3時間後に死亡した。

 金沢西署などの調べでは、検定は15分ほどで、五十嵐さんは最終段階の折れ曲がったクランクコースから外周へ出る際に脱輪し、その直後、急に加速した。慌ててコースに戻ろうとし、アクセルをふかしたらしい。教習所はコースが一望できる場所から教官がチェック。五十嵐さんは中型二輪の免許を持っており、この日が3回目の検定だった。

 同教習所によると死亡事故は初めて。坂本校長は「ご本人、家族の皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱい。規定に従った指導だが、事故が起きた以上、何らかの問題があるはず。原因を究明して再発防止に努めたい」と話した。【澤本麻里子】

読売新聞 追跡された暴走バイク、信号待ちの女性はねる…名古屋

千種区春岡.JPG 14日午前0時10分頃、名古屋市千種区春岡の県道交差点で、愛知県警のパトカーに追跡されていたバイクが、歩道で信号待ちしていた同市東区、女性会社員(25)をはねた。

 女性は右足を打撲し、軽傷。県警千種署がバイクの同市北区、建設作業員の少年(17)を自動車運転過失傷害容疑で現行犯逮捕した。

 発表によると、2台のパトカーが現場の約500メートル手前で、少年が仲間らとバイク十数台で集団暴走しているのを発見。赤色灯をつけ、サイレンを鳴らして追跡していた。

 千種署は「パトカーは時速10キロほどで走行し、適正な追尾だった。問題はなかった」と説明している。


相前後したニュース記事を2つ並べました。例によって、2つ目のニュース、追跡された車両が事故を起こした事件です。毎回読むのがイヤになる警察のコメント、おそらくマニュアル通り、「適正な職務で問題ないと考えている」という発表がなされています。

大徳自動車学校2.jpgそれでも今回敢えて比較のために取り上げてみたのは、この警察のコメントと対照的な教習所の対応です。
記事を読んだ範囲では、教習所に明らかな過失はありません。通常通りの教習を行っていたものと思われます。

私は二輪免許取得のために、当時教習所ではもらえなかったため運転免許試験場に通いました。この二輪試験コースでは、出発点から周回路に進入する時に、右後方を確認して、他のバイクが走って来ないか確認することになっています。
私が周回路を走行中、進入路からの合流付近にさしかかった時に、試験スタートしたばかりの他の受験者のバイクが私の前に飛び出して来ました。彼はきっと緊張のあまり、右後方確認を怠ってしまったのでしょう。私はパニックブレーキをかけて事故には至らず、いわば課題の緊急停止のようなことを2回やったことになってしまいましたが、結果的にこの回に合格することができました。きっとこの割り込み受験者は不合格になってしまったでしょう。

もしこの時に事故が発生していたら、きっと運転免許試験場=公安委員会は何も責任を取らないでしょう。優先妨害をした受験者に全ての責任を押しつけ、「試験場としては試験実施に何も問題がなかったと考えている」と発表するのでしょう。

千種警察署.jpg一方、この金沢の大徳教習所は二輪教習を中止するとも発表しています。明らかな過失がなくても患者救済のために損倍支出を図った、福島県立大野病院事件と通じるものがあります。
教習所としては、二輪教習を受けていた他の受講者に教習料金を返却したり、もし他の教習所に引き継がせるにしても、相応の損害を負うことになります。
そもそも指導官や試験官が助手席に乗って、緊急ブレーキが踏める状況になっている4輪教習と違って、二輪の場合は、コースの中央から指導、試験採点をするしかありません。受験者の事故を完全に防ぐことは不可能に近いと考えます。
せいぜいコース周囲の地面や壁に、衝撃吸収素材を用いるとか、教習中はケガ予防ウェア装着を徹底させるくらいしか対策はなさそうに思われます。

権力を持った警察と、“客商売”である教習所の違いはありますが、いざ事故が起きた時の対応に天と地の差があります。やはり権力には厳しい監視の目が必要であると考えます。
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過失を裁くということ~誠意が被害者に通じている時 [生活/くらし]

産経新聞 「気落ちしないで…」 死亡事故の遺族に励まされた被告の涙

 自動車教習所の学科授業で、交通事故防止の啓発ビデオを見たことがある。

 免許を取り立ての若い男性が死亡事故を起こしてしまい、被害者やその関係者だけでなく、男性自身の人生も大きく狂ってしまうという内容だった。

 そのときは、演技がわざとらしく感じて真剣に見ることができなかったが、11日に傍聴した男性被告(61)の裁判では、思わず被告に感情移入してしまった。

配送用トラック.jpg 宅配便の配送用トラックで交差点を右折しようとした際、安全確認を怠り、歩行中の女性をはねて死亡させたとして、自動車運転過失致死の罪に問われた被告の初公判が11日、東京地裁で開かれた。

 初老の被告は喪服姿で、うつむいたまま入廷した。被告人席に腰を下ろしてからも、決して顔を上げることはなく、どこかおびえたような表情で、ずっと下を向いていた。

 検察側の冒頭陳述などによると、昭和59年から配送ドライバーの仕事をしていたという被告は11月7日、配送用のトラックで東京都品川区内の交差点で、買い物に行くために横断歩道を渡っていた女性(63)に衝突した。女性は脳挫傷のため、2日後に死亡したという。罪状認否で被告は、「間違いありません」と罪を認めた後、「申し訳ありません」と、深々と頭を下げた。

 情状証人として証言台に立ったのは、被告の上司だった。自分のために出廷してくれた上司に申し訳ないと思ったのか、被告はうつむいたまま、軽く頭を下げた。

 弁護人「お見舞いには、行きましたか?」

 証人「はい。2回行きました」

 弁護人「お葬式には?」

 証人「行きました」

 弁護人「ご遺族に何かお支払いは?」

 証人「(保険金の支払い以外に)告別式やお葬式の準備金として、100万円お支払いしました」

 弁護人「他には何かしましたか?」

 証人「月命日に、事故現場に献花させていただいております」

 弁護人「示談が成立しているようですが、どなたが担当したのですか?」

 証人「私が担当しました。被告も同席しました」

 弁護人「被害者の家に、検事から何度か連絡が来ているということでしたが」

 証人「はい。ご次男によると、『(被告に対し)こんな柔らかい姿勢でいいのか』と、繰り返し電話があったとのことでした」

 配送会社側の対応に誠意がみられたこともあり、被告側と遺族との関係は、おおむね良好であるようだった。それは、この後の被告の発言からも、感じ取ることができた。

 弁護人「ご遺族には何と言われましたか?」

 被告「逆に励まされて、『気落ちしないように』と言われました…」

 弁護人「ご遺族には、今どういう気持ちですか?」

 被告「本当に、申し訳ない気持ちでいっぱいです」

 弁護人「今、免許は?」

 被告「取り上げられました」

 弁護人「仕事はどうなりました?」

 被告「今は、会社内での作業をしています」

 弁護人「今後、運転はどうしますか?」

 被告「もう絶対にしません」

 続いて、検察官による被告人質問が始まった。検察官の厳しい追及に、被告は次第と涙声になっていった。

 検察官「今回、なぜ基本的な確認ができなかったんですか?」

 被告「色々な心配がありまして…。60歳で定年を迎え、今後の仕事のこととか…。近しい親戚(しんせき)が病気で、あと数日の命といわれ…。気がそれてしまいました…」

 安全確認がおろそかになった理由を問われると、被告は大きく肩を震わせて泣き始めた。眼鏡を外し、あふれる涙を手でぬぐう被告の姿に、傍聴席の端で背中を丸めて座っていた被告の妻も、涙をこらえきれない様子だった。

 検察官「18年、無事故ということで、油断していたということは?」

 被告「いや…、それはないと思います」

 検察官「被害者、いくつだったか知ってますか?」

 被告「はい…。63歳…」

 検察官「あなたとそんなに変わらないですよね? 今、いくつでしたっけ?」

 被告「…。61です」

 検察官「あなた、これからもまだ働きたいですよね? 同じような年の人に、このような事故を起こしたことを、どう思いますか?」

 被告「…。本当に申し訳ないと思っています」

 何度も頭を下げる被告に、裁判官は優しい口調で語りかけた。

 裁判官「この先のことについて、どうしようか、考えはあるの?」

 被告「これからも、お見舞いをしようと…」

 裁判官「なお誠意を尽くしていきたい?」

 被告「はい…」

 罪を犯した人に、感情移入する必要は全くないのかもしれない。しかも、結果責任は重大だ。だが、普段から車を運転する機会がある者として、自分が交通事故を起こす可能性を完全には否定できないだけに、「一歩間違えれば、自分があの被告になるかもしれない」と考えると、身の引き締まるような思いがした。

 検察側は、禁固1年6カ月を求刑。判決は、18日に言い渡される。(徐暎喜)


法廷.jpg時に大いに疑問を持つこともある産経新聞の記事にしては、まともな作りであるという印象を持ちました。
過失で人の命を奪ってしまった時に、爾後どのように対応すべきか、どのように解決すべきかを考えるヒントが色々含まれているように思います。

まずこれは刑事裁判です。かねてから私がその存在に反対を訴えている運/業過致死傷罪ではありますが、現行法に定められている以上はこの法で裁かれるのはやむを得ません。

そしてその量刑が決められる時に、被害者や遺族の感情がそれを左右してはならないということも繰り返し主張して来ました。被告人が為した過失そのものを客観的にとらえるべきであり、民事上示談が成立しているとかいないとか、被害者や遺族が厳罰を望んでいるとか、そうした状況が判決を左右してはならないと書いて来ました。
この点から被害者・遺族の刑事裁判参加制度には反対を唱えています。

この記事においては逆のパターンが示されているようです。誠意を見せた被告人に対し、遺族が理解・同情を示しています。
心から謝罪し誠意を見せれば、それが遺族の心を一番救うということをよく現しています。おそらくこの遺族はこの被告人の刑事罰を強く望んではいないであろうことが予想されます。

しかし運/業過致死傷罪が存在する以上、被告人は被害者の死亡という結果を最大の理由に、禁固刑実刑を言い渡されることになるでしょう。被告人が何ヶ月か何年か刑務所に入ったところで、もう誰かが癒される訳でもなく社会に何か役立つことがある訳でもありません。

そしてまた刑法が応報主義に基づくものでない以上、裁判官は本来この被告人の量刑を軽くしてはならないということになります。

このように考えて来ると、過失を罰する刑法はいったい何のためにあるのかと改めて考えてしまいます。そもそもが矛盾を孕んだ法ではないのかと。
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応報主義促進報道 [生活/くらし]

読売新聞 渋谷・温泉施設爆発、大成建設の設計者ら3人書類送検

シエスパ構造.jpg 東京・渋谷で昨年6月、8人が死傷した温泉施設「SHIESPA(シエスパ)」爆発事故で、警視庁は12日、設計・施工を担当した大手ゼネコン「大成建設」(新宿区)の空調設備の設計担当者(50)と、施設を運営していた「ユニマット不動産」(港区)の取締役(46)ら2人の計3人を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。

 同庁は、大成建設の担当者について、保守・点検を適切に行わないと引火性のガスが充満して爆発する危険性を認識しながら、運営会社に指示していなかったなど重大な過失があったと判断した。

 捜査関係者によると、シエスパ開業後の2006年3月、同社が建設を進めていた港区内の温泉施設の建設を請け負った別の大手ゼネコンが施設を見学。その際、源泉から出る天然ガスを屋外に逃がすための排気管がU字形の場合、結露した水がたまってガスが充満する危険性があると大成建設の担当者に口頭で伝えた。ガス検知器が設置されていない不備も同様に指摘したが、大成建設の担当者は具体的な改善措置を取らなかった。

シエスパ.jpg この担当者は、05年2月に東京都北区の温泉掘削工事現場で起きた火災でも天然ガスが原因だったということを認識しており、排気管のU字形の部分の水抜き作業を定期的に行う必要がある点も理解していたという。しかし、ユニマット不動産に施設を引き渡す際、水抜きの必要性を伝えておらず、結果として開業から1年半の長期間、水抜き作業は行われていなかった。

 また、ユニマット不動産の2人についても、施設開業後にガス漏れの危険性を保守点検業者から指摘されながら、開業後もガス検知器を設置しなかったうえ、水抜き作業の項目を点検マニュアルに追加しないなどの過失があったという。

 同庁は、こうした過失が複合的に重なり合って惨事を引き起こしたと判断した。一方、施設の点検業者については、危険性の認識がなく、水抜き作業も依頼されていなかったことから、過失責任は低いとして立件を見送ったとしている。

 爆発事故で死亡した千財明菜さんの父信行さん(62)は、「ようやく動き出したという感じだ。事故は、何らかの落ち度があって起こったわけで、だれかが責任を取らなければならないと思っている。司法にはその点をしっかりと判断してほしい」とコメントした。

時事通信 「責任どこに」問い続け=かなわなかった花嫁姿-遺族、消えぬ無念・温泉施設爆発

シエスパTBS.jpg 温泉施設「シエスパ」の爆発事故で、亡くなった従業員千財明菜さん=当時(23)=の父信行さん(62)は毎日、遺影の前に座り、手を合わせる。娘の笑顔はもう見られない。「なぜ事故は起きたのか。責任はどこに」。無念の思いを抱きながら、問い続けてきた。
 2007年6月19日の発生直後、信行さんは現場を訪れ、ビデオカメラで撮影した。爆風で吹き飛ばされた建物の壁、崩れたブロック塀…。「この中に娘がいたとは信じられなかった」。今も惨状は目に焼き付く。


この記事を取り上げたのは、いつものように、不毛な応報主義=仇討ち主義に走る刑事裁判に異を唱えるためです。そしてマスコミは相変わらずこうした浪花節刑事裁判に全く無批判であり、むしろそれを促進するような記事ばかり書いています。

上のニュース記事で死亡した被害者の父親の発言が無批判に載せられています。「事故は、何らかの落ち度があって起こったわけで、だれかが責任を取らなければならないと思っている。」
こうした発言はいつも何の疑問を差し挟むことなく報道され、報道の受け手は何となく受け入れてしまいます。そこにはヒューマンエラー、システムエラーと言った概念もないし、真の事故原因追及と再発防止策に必要な情報は二の次にされています。

シエスタ宮田春美.jpgそして2つめのニュース記事はそれ自体がただの応報主義煽動のような記事になっています。
身内の死を悲しむ遺族を取り上げて、まだ感情が安定しない段階の遺族のコメントを、まるで過失に対するペナルティももっと厳罰化しようという動きに繋げようとするかのようです。

被害者・遺族を一番救うのは心からの謝罪であり、次いで民事補償ということになります。過失「犯」を業過致死傷罪に仕立て上げて、少しでも重い量刑を科そうとするのは、以前から主張しているように、検察と急性期の遺族・被害者感情の一致を以て、厳罰化を図ろうとする不毛な動きと考えます。

こうした事故における個人攻撃は意味を持ちません。業過致死傷罪で刑事訴追された人たちはまるで遺族感情のはけ口としてのスケープゴートにしか見えません。
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小田急ロマンスカー低速下反対 [生活/くらし]

毎日新聞 <海老名市>ロマンスカー、小田急海老名駅に停車を--署名活動へ /神奈川

小田急ロマンスカー停車駅.JPG
 神奈川県海老名市は10日、小田急海老名駅への特急ロマンスカー停車実現に向け、市民署名活動を展開することを決めた。来年春に内野優市長を会長とする「海老名駅ロマンスカー停車実現市民会議」を発足させ、市民、事業所、商店のほか近隣市町にも協力を求める。来年の秋ごろまでに20万人分の署名集めを目標にする予定。

 内野市長が同日の12月定例市議会本会議で鈴木守議員の一般質問に答えた。同市民会議では、各種団体に協力を呼び掛け、現在整備が進められている駅舎部自由通路整備事業完了後の2011年度を目標に1日10便(5往復)程度の停車を目指し、小田急本社(東京都新宿区)へ要望するという。内野市長は「停車実現は長年にわたる市民の悲願」と訴え、「取り組みには市民の総力結集が必要不可欠。特に市議会の積極的な参画を期待する」と述べた。【長真一】


小田急停車駅.jpgかねてから、新駅設置や優等列車の新規停車には反対を唱えて来ました。当該駅を利用しない人にとってはただの所要時間増加であり、当該駅利用者の利便性が、その他多くの旅客の損害を招いている事実がいつも無視されています。

海老名駅になぜロマンスカー停車が必要なのでしょうか。市民の悲願? 地元が希望すれば、はいそうですか、と優等列車を停めてしまうのですか。
ロマンスカーはかつては新宿-小田原ノンストップ列車しかなかったものが、昨今は通勤利用も意識して停車駅を増やしてしまいました。特急料金を支払って快適性と速達性を得る利用者をターゲットにした列車と言えるのでしょう。
速達性がないがしろにされつつあります。停車駅を増やそうとするのには、それなりの根拠が必要です。地元誓願だけで新規停車を認めてはなりません。

現行ロマンスカー停車駅所在地自治体の人口を調べてみました。

町田(町田市) 405,534
相模大野(相模原市) 701,630
本厚木(厚木市) 222,403
秦野(秦野市) 168,317

海老名近くの、ロマンスカー非停車駅の人口は次のようになっています。

座間(座間市) 128,174
海老名(海老名市) 123,764
伊勢原(伊勢原市) 100,579

海老名市より人口の多い座間市の代表駅である座間には、準急のみが停車し、快速急行・急行は停車しません。海老名には既に快速急行まで停車しています。相鉄やJRの駅もありますが、ロマンスカーまで停車させる必要があるとは思えません。特急料金を支払って新宿まで乗車する、本厚木以西の旅客には、ただの迷惑であり、速達性を損ねる意味において、実質値上げでもあります。

安易な停車駅増加を戒めたいと考えています。
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声の大きな政治家について行くな [生活/くらし]

産経新聞 「だまって聞けっ!」 都議会 知事の一喝にシーン 東京

石原慎太郎.jpg 都議会第4回定例会の代表質問が行われた9日、莫大(ばくだい)な都税を投入して経営再建している新銀行東京問題をめぐり、民主党から「都は新銀行から撤退しろ」などと厳しい質問が相次いだ。

 答弁に立った石原知事は当初、零細企業への支援を行う新銀行東京に対する理解を求めるなど冷静に対応したが、議場のヤジは一向に止まない様子。ついに堪忍袋の緒が切れたのか、石原知事は「だまって聞け!」と議場に向けて一喝した。

 この日、代表質問に立った民主の大沢昇都議は新銀行東京問題をめぐり、「都は新銀行から早急に撤退すべきだ」と糾弾すると、石原知事は「もし銀行を今、つぶしたらどういうことが起きるか、再三、申し上げた。それをご理解いただいて、こういう質問をしていただきたい」と批判。知事が答弁に立ったときから続いたヤジは大きくなり、議場からは「同じ説明を繰り返すな」などのヤジが続出した。

 冷静に答弁していた石原知事もさすがに怒りが頂点に達したのか、突然、顔を上げて「だまって聞けっ!」と、議場に向かって、大きく一喝。突然の大声に議場は、シーンと静まりかえった。


石原都議会.jpg石原慎太郎のこれまでの暴言については、本ブログのポータルとした、 m3.comブログ で記事に紹介しました。ここでは石原慎太郎自体に対する批判は少しおいておきます。

確かにヤジ=不規則発言はほめたものではありません。しかし石原が一喝したからと言って静まりかえってしまったというのは情けない限りです。
特に彼の失策のひとつである新銀行東京問題を追及している時に、同じ答弁を繰り返す知事に対してもっと鋭く迫らなければなりません。ヤジだけでは追求とは言えず、正式な質問で攻略しなければなりません。

たかが「だまって聞けっ!」と言われたからと言って、本当に黙ってしまうようでは議員失格です。権力者の発言を静かにお聞きして、逆らわない、そういう姿勢が、独裁者的存在を生み、かつての第二次世界大戦への道を開いてしまったのではなかったのでしょうか。

声の大きな政治家について行くことは、危険でもあり、民主主義の崩壊でもあります。ヤジでなく、きちんとした質問できっちり質しながら、権力者をコントロールして行くことが求められます。
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資本主義と社会主義の間 [生活/くらし]

毎日新聞 <最低限の生活>首都圏20代男性なら時給1345円必要

労働運動総研牧野富夫.jpg 首都圏で20代の男性が最低限の生活を維持するには時給1345円が必要--。労働問題を研究するシンクタンク労働運動総合研究所などが8日、首都圏では初めての最低生計費の試算結果を公表した。東京都の最低賃金は766円で大きな隔たりがあるとしている。

 テレビやパソコン、洋服など500項目の持ち物調査や外食の割合、値段など生活実体を調査する方法で、東京、神奈川など首都圏4都県の2039人から回答を得た。

 試算は20代男性単身世帯から50代夫婦子供2人、70代女性単身など9パターンで行った。

 20代男性単身世帯では、食費3万9564円で家賃5万4167円、教養娯楽費1万8273円などで計23万3801円(月額)となった。これを最低賃金審議会で使った労働時間の173・8時間で割ると、最低賃金1345円(時給)が必要となる。試算には税、社会保険料金(4万2395円)も含まれる。

 30代母子家庭(35万512円)▽40代夫婦子供2人(56万3652円)▽70代単身女性(20万4815円)などだった。

金沢誠一佛教大学.jpg 調査に携わった佛教大学の金沢誠一教授(公共政策)は「全体として大幅な最低賃金の引き上げが必要だ」と話している。【東海林智】


社会学素人ながら愚考を重ねて来ました。現実的には資本主義と社会主義の間の、ちょうど良いところに日本の政治を位置づけるべきではないかと。
競争がないと社会は発展しない。しかし敗者がその生活も成り立たない状況におかれ、最悪野垂れ死にしてしまうような社会は正義ではない、そう思います。

そして敗者・弱者を国や自治体がきちんと守っていく制度がセーフティ・ネットと位置づけられると考えます。昨今は保険料を払わない者から医療保険の保険証を取り上げます。それ以前に、高い3割自己負担がのしかかって来ます。生活に最低必要な物品を購入するのにも消費税を徴収します。剰えその税率を引き上げようと、政府は虎視眈々とその時期をうかがっています。

現実には生活保護を拒否された人が死亡したり、ホームレスの人が増加したりと、弱者に対する対策は全くもって寒い限りです。金融機関はかつて護送船団方式などと言って死守して来たのと対照的です。国民の安全と権利の侵害を理由に憲法改正してでも戦争を正当化しようとする向きがある一方で、こうした弱者を守ろうとする動きはなかなか見えません。

ニュース記事の試算は興味深いものです。こうしたデータをもとに税金をそこに注ぎ込めというのではありません。法規制を以て企業にそれだけの給与を支払わせるということです。利益の出ている企業は、株主や顧客の方ばかり向いていないで、労働者にそれを還元せよという考え方です。苦しい中小企業には、国や自治体の援助が求められます。

そして、どうしても消費税率を引き上げたいのなら、この最低賃金をその分引き上げるべきです。食料や教育など、例外を設けず課税する日本のシステムにあっては、そのまま最低賃金を引き上げなければ、所得の少ない人の生活は破綻します。
これを実行しないのであれば、決して消費税率を上げるべきではない、そう考えます。
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