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警察のやることに間違いはありません 11 [医療制度/行政]

東京新聞 殉職白バイ隊員の警察葬 茨城町 300人が参列、故人をしのぶ /茨城

吉田警部補.JPG 茨城町の町道で今年八月、白バイで取り締まり中に単独事故を起こし、命を落とした県警交通機動隊の吉田聡警部補=当時(27)、巡査から二階級特進=の警察葬が二日、同町上石崎の県警察学校で営まれた。関係者約三百人が参列し、故人をしのんだ。

 小風明県警本部長は「故人が残した遺志を胸に刻み、決意を新たに県内の治安維持のため全力で職務にまい進したい」とあいさつ。吉田警部補の功績をたたえ、警察功労章や県公安委員会表彰、県知事感謝状などが贈られた。参列者は献花して別れを告げていた。

読売新聞 パトカー追跡の2人乗りバイクが衝突、バイクの少年死傷

宇治府道.JPG 3日午後7時55分ごろ、京都府宇治市菟道(とどう)谷下がりの府道交差点で、宇治署のパトカーに追跡されていた同市の職業不詳の少年(16)運転のミニバイクが、京都市のクリーニング店経営男性(73)運転の軽乗用車と衝突。少年は宇治市内の病院に運ばれたが、全身を強く打つなどして約2時間半後に死亡した。

 同署の発表によると、事故の直前に、現場の北約500メートルの府道で、少年がミニバイクで2人乗りをしているのをパトカーが発見。職務質問をしようと停止を求めたが逃走し、事故を起こしたという。同乗していた少年(15)は軽傷。同署の篠田耕作副署長は「追跡行為は適正だったが、関係者がお亡くなりになったのは誠に残念」としている。


白バイ.JPG恒例?のニュース記事2つです。
警察官が取締中に事故で死亡すると2階級特進、警察葬ですか。そして2つ目のニュースはあまりによく見る記事です。警察の追跡にあって事故を起こし、死傷する例が大変多く起きています。

同じ事故による死亡でも、職務中の警察官の場合、違反の疑いがあって追跡されている人の場合で違うのは当然だ、そういうことなのでしょうか。
この白バイは違反車両を追跡中だったという記事を他で見ました。赤色灯を回していたとのことです。制限速度を超えて走行していたのでしょうけれど、そうであればなおのこと一層安全に努めて走行すべきだったのではないでしょうか。
単独事故でしたが、他の車両や歩行者などを巻き込んでいた可能性もあったと思われます。単に殉職してその死を悼み、などということで済ませてはならない筈です。

この2つの記事を見ていて思うのは、やはりどんな時でも警察は無謬だ、という思い込み、というよりそうあらねばならぬという鎧のような考え方です。確かに市民を捕らえて時に恫喝的な取調を行い、検察に送って有罪を取るのが仕事であると、自分たちには万に一つもエラーはない、と言い張りたいのでしょう。しかしそれは現実と乖離しています。

特にこうして追尾されて事故に遭い、命を落とした数え切れないほどの事例の「被害者」はあまりに浮かばれません。
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モンスター患者問題 [医療制度/行政]

毎日新聞 モンスター患者:不当要求や嫌がらせ、県立4病院で130件--昨年度 /宮崎

県立宮崎病院.jpg ◇診断に文句/緊急でもなく救急車/看護師にセクハラ

 医師や看護師ら医療従事者らに不当な要求や嫌がらせをする「モンスターペイシェント(患者)」によるトラブルが、07年度は県立4病院で130件に上ったことが県の調べで分かった。近年、教育現場で不当な要求を強引に通そうとする「モンスターペアレント(親)」が問題になっているが、医療従事者の受難ぶりが明らかになったのは初めて。

 県が、各病院での事業報告書から「対応が特に困難で、担当を外れたいと感じたケース」を抽出した。この結果、自分の想定と違う診断が出たことに腹を立てて、いつまでも文句を言う▽症状が重くないのに入院したいと要求する▽昼間の待ち時間が長いので、夜、緊急でもないのに救急車を何度も呼ぶ▽女性看護師にセクハラ行為をする--など130事例が見つかった。

 患者と医療従事者のトラブルは従来からあり、今回の調査では軽微なものは除外されている。

 県によると、他県でも同様のトラブルが報告されている。院内に「暴力は許さない」との張り紙を出す▽入院患者に「周囲の患者に迷惑をかけません」との誓約書を書かせる、といった対策を取っている病院もあるという。しかし県としては「患者と医療従事者の関係構築が一番」として、現時点ではこれらの対策には踏み込まない方針だ。【種市房子】


あなたの隣のモンスター.jpg患者と医療従事者の関係構築が一番、などと他人事のような発言をしています。しかし現状は限界ではないかと考えています。

航空機においては、キャビンアテンダントなどに狼藉を働いたり、不穏当な発言をしただけでも毅然とした対応を取ることになり、他の旅客の安全を確保しようということになったようです。

病医院においても、一人のモンスター患者/家族が自己中心的な行動を取ることによって、医療従事者のみならず、他の患者に多大な迷惑をかけていることは間違いありません。
宮崎県に限らず、全国的なレベルでモンスター患者/家族を排斥する基準を作っても良い段階に来ているのではないかと思います。

医療はかなり昔から存在しているのに対し、現代の法がそれを後追いで捉えようとするために、「医療は準委任契約と解される」などという、少し苦し紛れな記述が見られるようになっています。また医師と患者の関係をどう捉えるかも完全にコンセンサスが得られていないようです。

即ち、医師が患者に対して啓蒙、疾病について教え導くという側面もあれば、インフォームド・コンセントの上に医療を行う、対等の立場で向き合う、という場面もあります。
しかしひとたびインフォームド・コンセントが得られたら、原則として患者さんには医師の指示に従って医療を受けて頂かないと、スムーズに治療行為が進みません。もちろん段階毎に説明を繰り返し同意を得る場面は当然ありますが、これを中断させるようなモンスター的行為があった場合には、医療側がその患者や家族を強制的に排斥しても良いくらいのシステムが望まれます。

現状ではそれでも訴えられると医療側が負ける可能性もあり、及び腰になってしまいます。法的に航空機同様、病院の立場をバックアップするシステムが欲しいと思います。
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企業健保の直接処方審査 [医療制度/行政]

NIKKEI NET 薬の診療報酬、健保組合が直接審査 トヨタ・NEC

トヨタ自動車.jpg トヨタ自動車とNECの健康保険組合は10月から、処方せんに基づいて患者に薬を出す薬局と直接契約し、薬の診療報酬明細書(レセプト)の審査や支払いを始める。レセプトを直接チェックすることで社員の健康管理や医療費適正化に役立てるほか、委託手数料などの経費を削減する。企業の健保組合が直接審査・支払いに踏み切るのは両社が初めて。

 両組合はすでに厚労省に認可申請を提出しており、認可が下りれば10月1日から開始する。トヨタ自動車健康保険組合は全国約250の薬局と契約する。


NEC.jpg2008年9月のニュースです。この動きは2つの問題を孕んでいると思います。

一つは会社が直接医療機関や調剤薬局に対して処方内容について口を出すということ。健保組合としては当然支出を抑えようとするでしょうから、もっとゾロ(後発品、ジェネリックとも言う)に変えろとか、本当にこの薬は必要なのか、とか。
そしてその要求に応じないと、今度は組合員に対して他の薬局に行くように指示したりすることも考えられます。
日本の医療をアメリカのSickoの世界に近づけようとする動きとも言えるでしょう。日本が世界に誇れる、医療へのフリーアクセスを崩そうとするものです。

もう一点がプライバシーの問題です。健保組合が組合員の服用している薬を把握しようとすることは問題です。精神科領域の薬を飲んでいる社員をリストアップさせてみたり、重大な病気の社員をピックアップしようとしたりしないでしょうか。社員一人ひとりのプライバシーが守られるのでしょうか。
こうしたルートで収集された社員の心身の健康状態を理由に、異動や昇任に差を付けようとするのなら、これは正義に反すると考えます。

これを許した国の「規制緩和」は、あくまでも医療費抑制しか考えていません。見直すべきだろうと思います。
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業過致死罪で逮捕せよ [医療制度/行政]

産経新聞 大阪拘置所で男性被告が自殺 タオルなどで首つる

大阪拘置所.jpg 大阪拘置所(大阪市都島区)は27日、自殺を図った勾留(こうりゅう)中の40歳代の男性被告が死亡したと発表した。

 同拘置所によると、今月20日午前8時半ごろ、単独室内でタオルとシャツを結んでひも状にし、窓に固定して首をつっているのを巡回中の職員が発見。発見時、男性に意識はなく、搬送先の病院で治療を受けていたが、27日未明に死亡した。同拘置所は「再発防止に努めたい」としている。


こうした記事を書いていると、貴重なコメントを頂戴する機会に恵まれることがあります。先にも業過致死傷罪の成立の要件をわかりやすく教えて頂いたことがありました。今回はそれに基づいて本ニュース記事に検討を加えてみます。

大阪拘置所2.jpg「業務上」こうした事態の「予見可能性」があり、「因果関係」があり、「結果回避義務」があることが示されれば業過致死傷罪が成立するということですね。
何らかの犯罪の容疑で逮捕され、送検、勾留されていた被告が自殺を遂げてしまったということです。こうした状況におかれた被告が自殺を企てることは当然「予見することができた」と考えます。そして、それを「回避」するために、自殺に使えそうなものを本人から預かりおくべきだったと思います。さらに巡回をきめ細かく行い、本人の自殺企図を防ぐべき義務があったと思われます。
当然自殺を図ったことと死亡したことに「因果関係」があり、また勾留と自殺企図の間にも因果関係が認められると考えられます。そしてこうした注意を払いながら被拘留者を管理することが拘置所職員や勾留した検察の「業務」に他ならないでしょう。

個人レベルの過失の責任追及にエネルギーを惜しまない警察・検察が身内の「注意義務違反」にはあまりにも寛容ですね。

そんな人たちに医療事故などの捜査、業過致死傷罪立件などする資格があるのでしょうか。
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いわて銀河鉄道「医療ライン」 [医療制度/行政]

河北新報 「医療ライン」11月運行 いわて銀河鉄道 /岩手

IGRいわて銀河鉄道.jpg 岩手県などが出資する第三セクター・IGRいわて銀河鉄道(盛岡市)は11月から、通院で乗車する高齢者にアテンダントが付き添う「IGR医療ライン」の運行を始める。高齢者の利用増を狙った全国でも珍しい試みで、アテンダントは話し相手も務めるなど地域貢献も目指す。

 医療ラインは盛岡―金田一温泉(二戸市)間を平日に1往復運行し、2両編成のうち1両を通院客優先車両にする。上りは午前7時43分金田一温泉発、下りは午後2時10分盛岡発。

 アテンダントは1車両に1人配置する。高齢者の乗降を手伝うほか、バスなど2次交通への乗り換えを案内。車内では話し相手になり、冷暖房の温度設定にも気を配る。混雑時は他の利用客に座席を譲るよう呼び掛け、薬を飲む水やひざ掛けも提供する。

 アテンダントは有償のボランティアとする方針。IGRは二戸市周辺の在住者を対象に3人程度を募集している。

 医療ライン運行に合わせ、二戸市と一戸町の通院客向けに割引切符の販売も計画。金田一温泉と一戸町の小鳥谷、小繋、奥中山高原の計4駅には家族が送迎しやすいよう、駐車場も設ける。

 IGRは、8月下旬に乗客約300人に聞き取りした結果、約15%が高度医療を受けるため盛岡市に向かう通院客で、医療ラインの導入が利用増につながると判断した。

 医療ラインは早ければ11月上旬にスタート予定。IGR総務部は「高齢者が運転免許証を返納する動きもあり、公共交通機関の利用は増える。医療ラインをベースにサービスの充実を図りたい」と話している。


IGRいわて銀河鉄道2.jpg第三セクター鉄道の活性化と、通院患者の利便を図る、興味深い試みです。主に高齢者を対象に、盛岡への通院患者へのサービスと、利用増を狙ってのこの医療ライン、今後が見物です。

この企画自体に何ら異を唱えるところはないのですが、改めて考えてしまいました。テレビ等で奈良市が高齢者のバス無料パスをやめ、自己負担を取り入れただけで、低所得のお年寄りは外出が困難になってしまう、という報道を見ました。
IGRいわて銀河鉄道の運賃を見ると、金田一温泉や二戸と盛岡の間は2,030円となっています。割引切符を設定しても、おそらく往復するとそれだけで3,000円程度にはなってしまうのではないでしょうか。
鉄道だけで通院できる人はむしろ少数派で、駅までのバス代もかかります。そして医療費は前の記事の東京都日の出町でもない限り、1割負担です。
こうしてみると、都市部以外では所得の少ない高齢者にとって医療を受けるだけでかなりの出費となってしまいます。

盛岡への通院は月1回程度かそれ以下、普段は近くのクリニックで診てもらえるように、病診連携が充実することが望まれます。しかしそれでも最寄りのクリニックまでも、果たしてお年寄りが通院が簡単にできるかについても懸念されます。

医療費に限らず、やはり高齢者に対しての「受益者負担」の名を借りた負担増は見直してもらいたいと考えます。
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東京日の出町の英断 [医療制度/行政]

毎日新聞 <医療費>75歳以上で全額無料化 東京・日の出町

日の出町役場.jpg 東京都日の出町は09年度から、75歳以上の町民について、医療費の窓口での自己負担分(原則1割)を全額無料にする。厚生労働省によると、自治体による無料化は珍しい。16日開会の定例町議会で方針を説明した青木国太郎町長は「後期高齢者医療制度の導入で高齢者に対する風当たりが強い中、日本一お年寄りに優しい町づくりを進めたい」と話している。

 町によると、対象者は人口の1割強に当たる1870人。町の年間支出額を約8500万円と見込む。所得制限はせず、通院や入院に伴う医療費や薬剤費の個人負担分をなくすほか、75歳になる町民の人間ドック受診料も町が全額負担する。0~15歳の医療費は06年4月から既に無料化されている。

青木國太郎.jpg 広域一般廃棄物処分場の受け入れに伴う、排出自治体からの地域振興費(年間計11億円)や、大型ショッピングセンターの進出による3億円超の固定資産税収入があり、必要な予算のめどがついたという。【内橋寿明】


以前は70歳以上の医療費自己負担は全国的に0でした。また他地域のことを把握していませんが、東京都では65~69歳にもそれに準じた医療証を配布し、無料で医療が受けられていました。
いつの間にか老人医療に自己負担が導入され、私の記憶では当初1ヵ月1000円、次いで530円×4回の負担、そのうちに1割負担と、段階的に引き上げられて来ています。
そして現在の後期高齢者医療制度となっています。

三ツ沢つるつる温泉.JPG自治体によって、小児については公費負担の年齢の上限を引き上げているところが多く見られますが、高齢者に優しいシステムを作ったのはこのニュース記事の日の出町以外に聞きません。画期的なことと思います。

必ず問題になって来るのが、増え続ける高齢者の医療費を抑制するために、という大義名分で、錦の御旗「受益者負担」の発想です。
医療費に限りません。財政難を理由にそれまで無料だった老人のバス無料乗車証の一部負担や廃止、銭湯無料券の廃止などもあちこちで聞きます。
少子高齢化の責任はまるで今の老人にあるかのような仕打ちです。

高齢者に負担をどうしても求めるとしても、所得や経済状況を細かく評価して、応分に負担を求めるのならともかく、かなり大雑把に医療費負担増やその他の無料サービス廃止を強行するために、外出や医療機関受診を控えざるを得ない人たちが増えているようです。

慶應大権丈善一氏の講演や著書で、医療費削減はやめて、財源を消費税引き上げで賄う考え方を見聞きしました。いくつか数式を組み合わせて論じておられましたが、一点を除いて大いに賛同できるものでした。諸外国との比較もきちんと行い、決して高くない日本の医療費を抑制するべきではないというものです。

消費税引き上げの部分だけ賛同しきれません。権丈善一氏によれば、消費税引き上げで増えた分の支出が医療や福祉サービスで戻って来るという考え方です。
しかし最初から消費税に頼らず、本来所得のみが課税されるべきと思っています。逆進課税の消費税はむしろ廃止すべきではないかと思います。

それはさておいても、医療費の自己負担増は受診控えを招き、疾病の重症化、ひいては医療費の増大を招く、ということは以前から言われている通りです。
百歩譲っても、少なくともこれ以上医療費抑制や自己負担率アップはしてはならないと考えます。

朝日新聞 石原知事 発言から 「引っ越ししたらいい」日の出町医療費無料

石原慎太郎.jpg--日の出町が来春、75歳以上の医療費を無料にする。
「あそこへとんでもないのができただろう。イオンの大モールができたんですよ。これ、棚からぼたもちなんだよ。そりゃ、金が入ってくりゃ何に使うかといったら一番喜ぶことに使うんだからね、町長は。ワンマンか何か知らんけどえらい張り切ったおじさんだけどさ。まあやるでしょうよ、そりゃ。それをもってね、ほかの地方自治体がどうと言ったって、それはうらやみ、そねみの域を出ないんでね」
「使いようのない金が入ってきているかもしらないから、それはやっぱり町長は『よし、おれも年寄りだし、年寄りのために役に立つよ』ということでね、天から降って来たぼたもちをだね、皆に配るっていうのは仕方がないよな、これはやっぱり。町としては貯金したって仕方がない。まあ、うらやましいんなら、みんな日の出町に引っ越して、日の出町を支援したらいいよ」


相変わらずの知事です。医療費無料化などということには全く関心がありません。弱者に対するセーフティネットなどには最初から関心のない男です。日の出町長をワンマン呼ばわりするところなど、笑えます。
自らは高い料亭やレストランで、接待の美食三昧、低所得者がさらに職を失っても知ったことではない知事ならではの発言ですね。
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どう転んでも病院は有責 [医療制度/行政]

産経新聞 徘徊患者の拘束、違法 名古屋高裁病院側に賠償命令

一宮西病院.jpg 愛知県一宮市の病院に入院した岐阜県大垣市の女性=当時(83)=が病院のベッドに身体を不当に拘束され苦痛を受けたとして、家族2人が、病院を経営する医療法人「杏嶺会」に600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が5日、名古屋高裁であった。西島幸夫裁判長は、請求を棄却した1審判決を変更、違法な身体拘束があったと認め、計70万円の支払いを命じた。

 原告側代理人は「医療機関や介護施設での身体拘束を全国で初めて違法と認定した画期的な判決だ」と評価した。

 判決理由で西島裁判長は「拘束しなければ重大なけがをするという切迫した危険性があったとは認められず、ほかの措置にも十分に代替可能で拘束は違法」と述べた。

西島幸夫裁判長.jpg 判決によると、女性は平成15年10月、腰痛で一宮西病院に入院。深夜に病院内を徘徊(はいかい)する症状があり、看護師はひも付きの手袋でベッドに拘束し、女性は手首などにけがをした。18年9月に死亡した。

 判決を受け、原告の長女(65)と長男(64)は名古屋市内で記者会見し「これで3回忌を迎える母に最高の報告ができる」と話した。杏嶺会側は「厳粛に受け止め、判決文をよく検討したい」とコメントしている。

 1審の名古屋地裁一宮支部判決は「拘束以外に危険回避の手段はなかった」として請求を棄却していた。


民事裁判です。刑法などに縛られず、病院の現場の現状などを勘案して判決を書いて欲しかった事例です。
拘束しなければ重大なけがをするという切迫した危険性はなかったと断じています。限られた病院のスタッフのマンパワーで、拘束せずにこの徘徊傾向のある患者を見張る義務があり、それを怠ったと言うことでしょうか。

身体拘束.jpgそしてもし逆のシナリオだったら‥。拘束せずに徘徊の末この患者さんが階段から転落した、壁等にぶつかってケガをした、などということになったら、きっと家族は病院を訴えていたでしょう。そしてこんな判決を出す裁判長なら、病院側がきちんと監視すべきであったという判決を出すのでしょう。

責任を押しつけられるのはいずれにしても病院です。そして医療費削減の結果、病院に配置できるスタッフ数は限られています。そうするともしかすると看護師や看護助手などは過酷な勤務態勢を強いられ、それが元で過労死したり、うつに陥ったりするかも知れません。その時にこの徘徊患者さんや家族が何か補償してくれるのでしょうか。

そんなことはあり得ませんね。今度はまた病院管理者の責任を追及するのでしょう。

そういう訳で、病院はどのみち訴えられて有責。それが厭なら倒産しろ、そう言われているように聞こえます。

これ以上医療崩壊に拍車をかけるようなこんな判決はそろそろ見直してもらえないでしょうか。
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コンビニ受診対策 [医療制度/行政]

asahi.com コンビニ受診抑制策 「徴収OK」7割超

救命救急1.jpg 緊急性のない軽症患者が時間外に診察を受ける「コンビニ受診」が問題となる中、安易な救急医療の利用を抑制するためなら、通常の保険診療による料金以外に自己負担を徴収しても構わないと考える人が7割以上いることが、府が26日に公表したアンケート結果でわかった。

 府が今年5月に府政モニター450人に、インターネットのモニター専用ホームページを通じて調査し、355人(回答率は78・89%)から回答を得た。

 アンケートでは、緊急性のない軽症患者が救急病院で時間外診療を受けることについての考えを聞いた。どんな目的でも自己負担は徴収するべきではない、と答えたのは1割弱にとどまった。また、その負担額がいくらであれば受診を控えるかについては、3千円以上5千円未満が最も多く約25%、千円以上3千円未満が約24%だった。

 06年の府内の救急搬送患者は45万4630人で、そのうち29万4847人(64・9%)が軽症患者。こうした状況が救急医療態勢に大きく影響を与えることが懸念されている。


救命救急2.jpg救急外来のコンビニ利用については、限りある医療資源の無駄遣いであり、救急担当医療者をかなり疲弊させている要因であったことは間違いありません。
このため、各地で実際に施行が始まった自己負担金徴収には多少懸念を持ちつつも賛成して来ました。

自己負担金徴収は、医療保険証さえあれば全国どこの医療機関もフリーアクセスであるという日本の優れた医療保険制度に対し、少しではありますが、制限をかけるものであり、その点においてのみ残念に思っていました。しかし現実には「昼は混んでいるから」「仕事があって」などと言うコンビニ受診が後を絶たず、特に地方でマンパワーの少ない小児科救急は破綻の危機に瀕していたのは周知の通りと思います。

そんな中でこうした患者側へのアンケートでこうした理解が得られたのは有難いことと思います。本当に緊急を要する重症患者などからは免除するなどの措置も必要でしょう。
また全国的に負担額のスタンダードを作るなど、広く検討されるべきと考えます。
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警察のやることにまちがいはありません [医療制度/行政]

asahi.com 容疑者が病院から抜け出す 埼玉県営団地で転落し重傷体

ときがわ団地.jpg 埼玉県警に窃盗容疑などで逮捕された女(29)=さいたま市見沼区=が、過食症で入院した病院から抜け出し、13日夜、同県ときがわ町の県営団地から転落、腰などの骨が折れる重傷を負った。大宮東署が病室近くで24時間態勢で警戒していた。同署は「現時点では適正に捜査活動を行っていたと考えている」と話している。

 同署によると、女はコンビニエンスストアでおにぎりなどを盗んだり、アパートに干してあった洗濯物に火をつけたりしたとして窃盗や現住建造物等放火未遂容疑で逮捕され、窃盗罪で7月8日に起訴された。過食症のため勾留(こうりゅう)執行停止となり、同31日、さいたま市内の病院に入院。今月11日、病院を抜け出した。

 13日に同町の男性(50)方にいることがわかり、署員が駆けつけたが、同日午後7時25分ごろ、団地の4階と3階の間の階段踊り場(高さ8.7メートル)から転落した。

時事通信 受刑者が首つり自殺=栃木

黒羽刑務所.jpg 黒羽刑務所(栃木県大田原市)は14日、単独房で30代の男性受刑者が首をつり、自殺したと発表した。
 同所によると、13日午後11時45分ごろ、下着の半袖シャツで首をつっている受刑者を巡回中の職員が見つけた。シャツの先端を部屋の上部にある通気口の網に掛けていた。


以前うつ病の患者さんに外泊許可を出したところ、その患者さんが自殺してしまい、遺族が病院を相手取って訴えた事案がありました。自殺はうつ病によるものであり、外泊許可を出した医療者を訴えるのはいかがなものかと言う記事を書きました。

今回2件のニュース記事を並べました。誰も警察や刑務所を訴えることはないのでしょうね。

大宮東警察署.jpg警察のやることにまちがいはありません。過食症の被告女性の病気による自殺企図か、または事故ですね。警察には絶対に責任はないのです。
刑務所の刑務官にも何の手落ちもありませんね。自殺したのは受刑者の自分の意志ですから、刑務官を咎めようなどというのは筋違いというものですね。

警察も刑務官も、彼らのやることに間違いはありません。時々踏み字をさせたり、取調中に殴ったりする人もいますが、きっと容疑者の方が悪いんでしょう。

こういうのを無謬(むびゅう)と言います。警察の仕事は絶対に無謬なのです。
時々走ってはいけない歩道の上を自転車で警官が走っていたりするような気がしますが、きっと見まちがいなのでしょう。
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夜間救急崩壊させぬよう願います [医療制度/行政]

河北新報 開業医が市立病院当直 南相馬で医師会協力

南相馬市立小高病院.jpg 市立病院の常勤医師が大幅に不足する非常事態が続く福島県南相馬市で、市内の開業医が今月から、市立小高病院(南相馬市小高区)の夜勤当直に協力することが決まった。渡辺一成市長が5日、明らかにした。

 小高病院が開業医と個別に交渉し、協力してくれる医師を非常勤医師として雇う。現段階で10人前後の医師が月1回以上の当直勤務を引き受ける意向を示している。期間は来年3月末まで。

 小高病院では4月から3人の常勤医師が交代で夜勤当直を担う状態が続いている。9月には1人が退職する見込みで、勤務状況がさらに悪化することが懸念されていた。

 渡辺市長が4日夜、南相馬市医師会の臨時総会で病院の現状を説明し、夜勤当直への支援を要請。医師会は医師個人の判断に委ねることで、協力することを了承した。

 市は6月、市立総合病院(同市原町区)と小高病院で医師不足が深刻化し、診療業務が危機的状況にあるとして「非常事態」を宣言。市民に対し、かかりつけ医の利用などを呼び掛けている。

南相馬市長渡辺一成.jpg 渡辺市長は「協力が得られたことで現状の病院機能は維持されるが、引き続き市民に理解を求めていきたい」と話した。市医師会は「支え合う必要があると判断した」と説明している。


市立病院の医師だけでは夜間の救急を賄いきれず、市医師会会員、即ち市内の開業医が協力して夜間診療対応体制をスタートしたという記事です。

画期的と思います。開業医は高齢医師も多く、全員参加というのは無理ですが、特に若手で病院を退職して開業して間もない医師などはこうした仕事は適任かと思います。

せっかく地域全体で始動したこの救急体制、ぜひ壊さないで頂きたいと思います。今から釘をさしておきたいと思います。
珍しいニュース記事ではありません。ニュースにならない事例も耳に入ります。
夜間救急で見てもらった。お薬を飲んで何日か様子を見ましょう。そうしたら帰宅後急変し、不幸な転帰を取った。そうだ、あの時帰宅を進めた医者が悪い、訴えてやれ。

夜間の診療は検査等も十分できず、取り敢えずの処置や投薬しか通常できません。その診療の結果がベストコースとならなかったからと言って、告発したり提訴したりしていると、協力開業医も一人やめ二人やめ、せっかくの救急体制が維持できなくなります。

訴えた人が何某かの金銭を首尾良く手に入れた頃、他の夜間救急にかかりたかった患者さんはもはや夜間救急にかかれず、路頭に迷ってしまうということになりかねません。このあたりをよく考えて頂きたいと思います。
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