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道路構造にも検証を [車/バイク]

asahi.com 首都高で大型トラック横転 8月の事故現場近く

首都高5号事故.jpg 8日午前7時50分ごろ、東京都豊島区池袋1丁目の首都高5号線下りで、大型トラック(10トン)が横転し、積み荷の土砂が散乱した。現場は約2時間半にわたって全面通行止めになり、その後、午前11時50分に復旧した。運転手にけがはなかった。

 警視庁高速隊によると、トラックは左側の側壁に接触して横転したという。現場は北池袋ランプ近くの片側2車線の直線道路。土砂と横転したトラックで2車線ともふさがった。

 事故現場は8月、タンクローリーが横転、炎上して、路面が熱で損傷した場所から東南へ約400メートルの地点。この場所は約2カ月後の補修工事の後に復旧した。


2008年10月の事故のニュース記事です。8月にタンクローリーが横転、炎上し、長期間の通行止めと復旧工事が行われた事故の2ヵ月後の事故ということになります。

この事故の方は幸い死傷者もなく、ドライバー自身にもケガもありませんでした。唯一心配なのは、通行止めに伴い通行料金減収があったとして、首都高速道路株式会社から損賠請求があるのだろうか、ということくらいです。

首都高5号航空写真.JPGさて、2ヵ月前のタンクローリー事故と少し場所はずれていますが、同じような場所で事故が起きています。本当に事故の責任をドライバーの不注意だとか、ハンドル操作ミスなどとして片付けて良いのでしょうか。
事故現場の道路を見るとゆるい左カーブが終わり、直線部分に差し掛かったあたりです。ここから先は想像の域を出ませんが、まだカーブが続くと錯覚してステアリングを十分戻さないうちに左の側壁が迫って来て、慌ててハンドルを切り返し、車がコントロールを失い横転した、などということが考えられるのではないかと思います。
この場所を頻繁に通行したことはないのですが、特に大型車やけん引車では咄嗟のコントロールがしづらく、事故に繋がってしまったのではないかと考えています。

単にドライバーにのみ責任を負わせ、現場に問題がないかどうかは一切省みない。そうしたことを続けていると、同じ場所で同じような事故が繰り返されてしまうのではないかと考えます。
道路構造がドライバーの錯覚を招きやすいとしたら、それに対応して「カーブ終了」とか、路面舗装から音を出して注意を惹くなどの工夫もあり得るでしょう。
本当にこの現場の道路構造に問題があるかどうか、これ以上私にはわかりませんが、少なくとも検討がなされても良いのではないかと考えます。

刑事上でもいつでも個人に責任を押し付けて一件落着の日本では、こうしたアプローチもきっと足りないことと思います。
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アイドリングストップ [車/バイク]

東京新聞 ストップ!アイドリング トラックなどへ呼び掛け /神奈川

アイスト川崎.jpg 川崎市は一日、トラックなどの交通量が多い川崎区池上町の市道交差点付近に、信号待ち中のアイドリングストップを呼び掛ける電光表示板三基を設置した。ドライバーの意識改善を図り、環境効果を狙う取り組みで、市は同地点で年末まで、窒素酸化物の排出量を調査する。

 この日の点灯式には、阿部孝夫市長や県トラック協会川崎支部の会員ら約四十人が参加。点灯された表示板付近の沿道で、参加者らは「エンジン停止にご協力下さい」と書かれたプラカードを掲げて呼びかけた。交差点では、赤信号待ちのトラックなどが次々にエンジンを切っていた。

 表示板は信号機メーカー「交通システム電機」が製造、費用は約三百五十万円。一秒ごとに「アイドリング」「ストップ」の文字が交互に点滅する。

 市交通環境対策課は「エンジン発動のガソリン消費量はアイドリング五秒分にすぎない。環境のためにアイドリングを控えてほしい」と呼び掛けている。 (堀祐太郎)


アイストトラック.jpgいつも思います。日本人の特性か、こうしたテーゼが出されるとあまり疑問を差し挟むことなく、絶対服従する傾向があるような気がしています。あまりに大きな出来事としては、戦争に突っ走って行った時代の「非国民」というようなレトリックにこうした類似性を感じます。

さてアイドリングストップです。5秒以上のアイドリングであれば、エンジン停止・再始動の方が燃料の節約、CO2抑制のために良い、と喧伝され、当然これに従うべきだ、ということになっているようです。
しかし、ここでは色々な問題点が予想されるのに、その議論は封印されてしまっています。発進に手間取り渋滞を惹起し、結局燃費が悪くなるのではないか。車によってはバッテリーの劣化に拍車をかけるのではないか。エンジン停止でエアバッグが作動しなくなる車がある。専用バス以外ではバッテリーやエアコンのコンデンサーが壊れるという話も耳にしました。

エコのかけ声のもと、僅かな燃費向上、CO2排出抑制のために、自分の車の寿命を縮めてしまう可能性のある極端なアイドリングストップには賛同できません。

どんな提言にでもまずは疑問を持って当たるべきだろうと思います。
そして、川崎市がこんな電光掲示板のためにかなりの額を支出したのには疑問を抱かずにはいられません。
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警察発表への疑問 [車/バイク]

毎日新聞 <公務執行妨害容疑>巡査の顔殴った東大助教逮捕

大磯警察署.jpg 神奈川県警大磯署は23日、東京都世田谷区経堂1、東京大大学院総合文化研究科助教、猪野和住(かずすみ)容疑者(37)を公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。

 調べでは、猪野容疑者は同日午後1時40分ごろ、大磯町の自動車専用道路「小田原厚木道路」上り線で、県警交通機動隊の白バイの男性巡査(23)に運転免許証の提示を求められた際、免許証を持った右手で巡査の顔を殴った疑い。巡査は2日間のけが。「免許証を見せようと手を伸ばしたら当たった」と否認しているという。

 同署によると、制限速度70キロの道を98キロで走行する乗用車を巡査が止めたところ、猪野容疑者が運転していた。「ここに(免許証が)あるから見ろ」と言いながら殴ったという。同署は傷害容疑も加えて横浜地検小田原支部に送検する方針。【池田知広】


小田原厚木道路.jpgスピード違反の取り締まりで白バイに止められ、腹が立ってつい警官を殴ってしまったのだろう。大学教員ともあろうものが、そういうことをしてはいけないな。
きっとそんな風に読み飛ばされる記事と思います。

しかしどうしても私は警察の側にも疑問があります。まず容疑者が警官を殴ったのは本当かどうか。挙証義務は警察側にあります。殴られたという警官は、受傷を証明する医師の診断が必要だし、それがなければ目撃者の証言が必要でしょう。警官が「自分が殴られた」という主張をしてもそれは証拠価値を持たないと思います。

もう一点は免許証の提示についてです。これはよく誤解されていますが、「違反を疑わせる時に」運転免許証を「提示」する義務はありますが、手渡す義務はありません。もしかすると容疑者が警官に対して手渡すことを拒んだことを咎めようと、警官が容疑者を逮捕するために公務執行妨害容疑をかけるための手段だったのではないかとも疑ってしまいます。

これ以上の事実関係はわかりませんが、いったん身柄を取ってしまえば、取り調べにおいて精神的な圧力をかけて「自白」を引き出し、それを証拠として容疑者の有罪を取ろうとするのは明らかです。

警察発表を鵜呑みにしてはならないと思っています。マスコミも慎重な報道に努めて欲しいと考えます。
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飲酒運転「撲滅」にはならない [車/バイク]

毎日新聞 <飲酒運転>受刑者にアルコール依存“自覚療法”…法務省

法務省.jpg 法務省は、飲酒運転で事故を起こすなどして服役する受刑者の改善指導に、問題を自覚させて行動の修正を促す「認知行動療法」の手法を取り入れる方針を決めた。飲酒運転の背景にはアルコール依存症があるとの指摘が多いためで、治療を重視したプログラムを策定。依存症からの脱却を図り、再犯防止につなげるのが狙い。

 法務省矯正局によると、ひき逃げや危険運転致死罪などで約3000人が服役中で、うち約4割は飲酒運転が関係している。受刑者の一部は、飲酒運転の理由に「少しくらい飲んでも大丈夫」と根拠のない過信を挙げ、背景に「やめたくてもやめられない」というアルコール依存症があるという。

 このため法務省は、出所後の飲酒運転による再犯を防ぐには、認知行動療法を取り入れた依存症の治療プログラムが不可欠と判断した。認知行動療法は、問題行動の原因となる認識や行動のひずみを自覚させ、修正を目指す療法。性犯罪者への指導では既に取り入れている。

 法務省は来年度、専門家に治療プログラム策定を依頼し、刑務所職員が指導に使い始める予定。飲酒できない刑務所内は断酒のきっかけになることが期待され、依存症を断ち切って最終的に断酒につなげる。

 矯正局は「飲酒運転の根拠のない過信は幻想で、犯罪につながることを認識させることが再犯防止につながる」と説明している。【石川淳一】


飲酒運転取締.JPG一歩前進と思います。逆に考えれば今まで飲酒運転で懲役や禁固刑となった人たちは、ただ何もせずに科された刑期の間単に刑務所にいただけということですね。そう考えると刑罰が虚しく無意味なものに思えてしまいます。

今回の記事のように服役中にこうした「認知行動療法」の実施というのは、一歩前進と思います。認知行動療法について心療内科医の熊野宏昭先生が書かれたHPの中を覗いて来ました。

それによると、
認知行動療法では、予測や判断、信念や価値観といったさまざまな認知的要因(認知的変数)を想定し、それらが個人の情緒や行動にどのような影響を及ぼしているかを重視している(認知の機能).そして、治療においては、情緒や行動に直接的に介入するだけでなく、情緒や行動に影響を及ぼしている認知的要因を積極的に治療標的として扱う.また,それらを適応的な認知へと変容していくことによって、情緒の安定や行動の修正を効果的に行っていくことを目的としている.さらに、考え方が変わることによって、気分や行動は変わるということをクライエント自身が繰り返し経験することを通して、「自分の考え方を変容していくことによって、情緒や行動をコントロールすることができる」ということを自覚できるように促していく.すなわち、認知行動療法とは、セルフコントロールの獲得をねらった治療法である.
とのことです。

アルコール依存症そのものや、飲酒運転が許されざる行為であることを受刑者に浸透させるのに、具体的にどのような療法が行われるのか、その組み立て方法はわかりません。ただ精神依存が形成された依存症患者の治療はかなり困難なのではないかと想像します。

以前にも書いた通り、こうした依存症の人たちが飲酒をしてついハンドルを握ってしまう、こうした事態をきちんと回避するのは、エンジン不始動装置に尽きます。飲酒運転をするとどういう結果が待っているか、受刑者や全てのドライバーに理解、浸透させたとしても、飲酒運転はなくならないと考えます。いわば社会全体から見ればヒューマンエラーそのものです。ヒューマンエラーの余地をつぶすシステムが必要です。

飲酒者がエンジンキーを差し込んでもエンジンが始動してはなりません。それが最も簡単で確実な飲酒運転事故防止策です。
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警察は無謬ではない [車/バイク]

読売新聞 白バイに追跡されたオートバイ転倒、同乗の女性死亡

白バイ.jpg 15日午前8時15分ごろ、金沢市古府の国道8号で、石川県警交通機動隊の白バイに追跡されていた、同市内のとび職少年(16)のオートバイが転倒、同乗していた同市間明町、店員森下恋子さん(16)が投げ出され、左側の車線を走行していたタンクローリーにひかれ即死した。

 金沢西署は、少年を道交法違反(無免許運転)の疑いで現行犯逮捕した。

 発表によると、交通取り締まり中の同隊の巡査長(28)が、ヘルメットをかぶらず走っていた2人を発見。約600メートル追跡したが、通行車両が多かったために中断。直後に白バイの約300メートル前方で少年が転倒したという。

 現場は片側2車線の下り坂だった。

 同署の前畑登美男副署長は「無理な追跡はしておらず、適法な取り締まりの範囲内と考えている」とコメントした。


金沢西警察署.jpg拙ブログを読んで下さっている方もおられるようで感謝しています。中に法律に詳しい方がおられて、以前の書き込みにコメントを頂戴しました。私の法に対する無知な部分を指摘して頂き、さらに色々教えて頂いてしまいました。本当にありがたいことだと思っています。

その中で、業務上過失致死傷罪について、それが成立するのには「予見可能性」「結果回避義務」「業務上」「因果関係」などがあると教えて頂きました。

このニュース記事、最近ではこれと類似した被追跡車両が事故を起こした報道があまりに多く、疑問に思っていました。本ブログでも何回か取り上げたことがあります。
爾後の警察発表は判で押したように「適法な取り締まりであった」「追跡に問題はなかった」と、即座に警察側の責任を否定するものです。さらに本事件では、追跡したのは交通機動隊で、被追跡車両のライダーの少年を逮捕したのは所轄のようです。所轄の副署長が、見てもいない交機白バイの追跡を問題なしと断じています。

さて、いくら道交法違反のバイクとは言え、追尾した違反車両がこうした事故を起こすことは「予見」できたのではないでしょうか。警察車両に追跡された違反車両の運転者の心理は当然予見可能と思います。そして同じような事件が全国的に見れば枚挙にいとまがないほど起きています。
当然警察が追尾したことと被追跡車両が事故を起こしてしまったこととの間には「因果関係」があります。
警察は日常的にこうした取り締まりを行っており、また文字通り「業務上」の行為でしょう。
こうした事故を「回避」するには、たとえばあまり長い距離を追跡せず、あきらめたふりを装って、無線等で当該車両の行く先で車両を停止させる等の方法もあるのではないでしょうか。

ノーヘルや信号無視など、当然ながら命を以て償うような違反行為ではありません。同様の事件で死傷した被追跡車両の運転者やその遺族はもっと声を上げて良いのではないでしょうか。
業過致死傷罪で追跡警官を立件することが可能ではないかと思います。

残念ながらこれらの事件で警察に訴えるのは意味をなさないですね。検察に訴え、動かなければこういう時こそ検察審査会に訴えるべきではないかと思います。

以前より業過致死傷罪には反対を唱えていますが、それをかざして医療者、各種交通機関その他、全ての事故で誰かを刑事立件することに一生懸命な警察は、自らの襟を正すべきと考えます。
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誰でも書類送検、除警察 [車/バイク]

毎日新聞 <違法駐車>事故原因に認定、所有者を異例の立件 埼玉

狭山事故現場.jpg 埼玉県警狭山署が、死傷事故の現場付近に違法駐車していたワゴン車の所有者2人を自動車運転過失致死傷容疑で、さいたま地検川越支部へ書類送検した。駐車車両は直接、事故に絡んではいないが、「事故を誘発する可能性を予見できた」と判断した。違法駐車を事故原因に認定して立件するのは異例で、県警は今後も同様に対処していく姿勢をみせている。

 書類送検されたのは同県入間市内の塗装会社役員の男性(42)と同県所沢市内の塗装業の男性(46)。

 調べでは、2人は今年5月12日午前11時25分ごろ、入間市上藤沢の市道で、駐停車禁止の規制がある交差点やその付近にそれぞれワゴン車を縦列駐車し、死傷者が出る事故を引き起こした疑い。

 東京都内の男性会社員(49)=自動車運転過失傷害容疑で現行犯逮捕=の軽乗用車が、この2台を避けようとして対向車線にはみ出し、交差点で近くに住む派遣社員の男性(当時22歳)の原付きバイクと出合い頭に衝突。バイクの男性が死亡し、後ろに乗っていた妻(19)も軽傷を負った。

 同署によると、違法駐車した2人は数十メートル離れた住宅で塗装作業をしていた。「交通量が多くないので駐車しても大丈夫だと思った」と供述したという。

 しかし、現場の交差点は信号機がなく、コンクリート塀があって見通しも悪いため、狭山署は悪質と判断し、9月1日に送検した。県警交通捜査課は「今後も違法駐車が事故を誘発した場合は、道交法違反ではなく、自動車運転過失致死傷罪の適用を念頭に捜査していく」と話している。【浅野翔太郎、小泉大士】


狭山警察署.JPG2007年7月に千葉市美浜区で、駐車中の車に、高校自転車部の自転車が追突し死亡した事故を取り上げました。この時も駐車車両の持ち主を書類送検したこの事件には呆れたものでした。

このニュース記事のケースは全く理解不能なものではないと思われますが、駐車中の車を運過致死傷罪で立件することは慎重に願いたいと思います。

教習所で誰しも教わったことと思います。道路左端に障碍物があった場合は、右方向指示器を出し、障碍物との間隔が十分取れない場合は徐行し通行すること。もちろん本事故のような道の形であれば、なおさら前方の注意も求められたことと思います。
従って軽自動車の運転手に過失を問うのは仕方ないかも知れません。しかし障碍物に過失を問うのでしょうか。

交通事故を科学的に捉え、再発防止に役立てることは大切なことです。何でもドライバーの責任とし、道路構造やその他の状況は省みられず、お約束の三重責任(刑事・民事・行政)を問う法体系になっています。本来信号を設置すべきところにしていなかったとか、路面の舗装が滑りやすいものであるとか、鋭いカーブなのに、制限速度が不適切であったとかであったとしてもそれは一切問題にされません。悪いのは事故を起こしたお前だ。

それに比べると、駐車中の車の責任をも問うのは、ある意味進歩かも知れません。しかしその分軽自動車のドライバーの刑事責任を減じたり、行政処分を軽減するつもりがあるのでしょうか。

そしてこれまた例によって警察は無謬です。交差点にミラーが設置していなかったり、もしかしたら止まれの標識が木の枝に隠れていたりしても、それはきっと公安委員会の責任ではありません。そういう状況を踏まえて運転するべきであったドライバーが全責任を負うのです。
間違っても公安委員会や警察を責めようなどと思ってはいけないのです、ね。
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海難審判と医療事故調 [車/バイク]

asahi.com 遺族側「ただ真実を・・・」

あたご被害者.jpg 横浜地方海難審判庁で始まった審判を傍聴したのは、清徳丸が所属していた新勝浦市漁協組合長の外記栄太郎さん(80)、事故当時、現場にいた金平丸船長の市原義次さん(55)と治夫さんのおいの吉清祥章さん(19)。「ただ本当の原因を知りたい」と願いながら審理を見守った。

 午前5時40分発の電車に乗り、初めて横浜に来た。外記さんは「事故の状況が二転三転したこともあり、納得がいかないこともあった。時間がかかってもいいので、原因を明らかにしてほしい」と話す。市原さんは海難審判庁に向かう途中「この半年は長かった」と振り返った。「審判を見ているだけなのは心苦しいが、判決までの内容をしっかり把握したい」と語った。

 審判廷では、前艦長の舩渡健1佐(53)ら5人の指定海難関係人が法廷中央部に座り、外記さんらはその後ろの傍聴席に座って傍聴した。

あたご船長.jpg 冒頭、理事官が申し立て内容を読み上げる間、外記さんは5人の背中をじっと見つめていた。祥章さんは小さなメモ帳をひざに置きメモをした。腰痛で来られない治夫さんの兄弟で父の美津男さんに「しっかりと聞いてきてほしい」と頼まれたからだ。

 朝から続いた審理は、午後4時半ごろに終わった。清徳丸の衝突直前の位置などで、長岩友久3佐(35)らが事故の経緯を一部争う姿勢をみせたことについて市原さんは「申立書とその場で言っていることが違うのでは。誠意が感じられなかった」と表情を曇らせた。外記さんは「見張り、指導が不十分だったなど『なぜしなかったのか』ということがたくさんある」とし「事故を繰り返さないためにも組織としての責任が問われるべきだ。今後も審理を見続けたい」と語った。


海難審判は行政処分を目的に、国交省の海難審判庁が行うとされ、刑事裁判と形が似ているのでよく例えられるものの、刑事処分は行わないとあります。もし個人の刑事責任を追及する場合には別に刑事裁判が行われるとあります。

今まで海難事故の処理についてはよく知りませんでしたが、こうした審判は非常に参考になります。特に医療事故においては、現在医療事故調について議論されています。しかし、刑事警察・検察は事故調を経ずとも、遺族の申し立て等で別個に動くとされています。

あたご.jpg海難審判にあっては、海難審判庁の判断を踏まえて、刑事訴追が場合によって動くようです。この点だけにおいては、現在の医療事故より優れています。

しかし、海難審判システムの中でやはり問題なのは、審判後、「業務上過失致死傷罪」の疑いで警察が動き始める可能性でしょう。それさえなければ加害者側船舶の乗務員等は、事故の再発を防ぐためにももっと多くの情報提供を行うのではないかと想像します。

海難審判においても、個人の自己責任追及=刑事訴追がむしろ本来の事故再発のための調査の足をひっぱっているのではないかという形がよく表れているように思います。
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結果責任が全て [車/バイク]

asahi.com 路肩で仮眠のトラックに追突、運転手死亡 神奈川のSA

海老名SA入路.JPG 27日午前2時20分ごろ、神奈川県海老名市杉久保、東名高速上り海老名サービスエリア入り口で、仮眠のため停車していた大型トラックに、別の大型トラックが追突した。この事故で、追突した大阪府枚方市の運転手大島重則さん(37)が全身を強く打ち、約2時間後に死亡した。県警は、停車していた運転手を自動車運転過失致死と道交法違反(駐停車禁止)容疑で調べている。

 県警によると、停車していたのは大阪市平野区のトラック運転手(55)。サービスエリア入り口付近でトラックを右側の路肩に止め、車内で仮眠をとっていたという。調べに「駐車場が満車で止められないと思い、入り口で止まっていた」と話しているという。


また運過致死傷罪です。自分が車を動かしていなくても、ひとたび事故があり、相手方が死傷すれば、自動的に運過致死傷罪の疑い、ということですね。

以前にも同様の事故がありました。駐車禁止場所に駐車していた車に自転車競技で公道練習中の高校生がぶつかり死亡、駐車していた車の持ち主が運/業過致死傷罪で送検されたというものでした。

海老名SA.jpg違法駐車であったとしても、何も起きなければ点数付加で、免停点数に達しなければ反則金納入のみです。これが追突され、そのドライバーが死傷するといきなり運過致死傷罪というのは如何かと思います。あまりに乱暴な法の運用と考えます。

また駐停車違反=道交法違反についても疑問があります。たとえ駐車禁止場所であっても、ドライバーが車を動かすことが適切でない状況である場合、過労・眠気等がある場合は、警察もこれを駐車違反で検挙することは適当でないとされます。車の移動を強制すれば、過労/居眠り運転教唆ということになります。

トラックで仮眠していたドライバーを刑事訴追するのは正義とは思えません。追突して亡くなたドライバーの人とは、話し合いまたは民事で解決を図って頂きたいと思います。結果は追突したドライバーにとって最悪のことになってしまいましたが、通常前方不注意で被追突車両には過失配分ゼロと考えるケースのはずです。
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救急搬送と訴訟 [車/バイク]

読売新聞 オートバイ事故死で和解、搬送遅れ認め…流山市と遺族

千葉地裁松戸支部.jpg 千葉県流山市内でオートバイ事故を起こした男性アルバイト店員(当時18歳)が死亡したのは、救急搬送の遅れが一因になった可能性があるとして、遺族が同市を相手取り、1200万円の損害賠償を求めた訴訟の和解協議が25日、千葉地裁松戸支部(岡本岳裁判長)であり、市側が「救急搬送が速やかに行われなかった」と認めて100万円を支払うことで和解が成立した。

 総務省消防庁によると、救急搬送の遅れを巡る訴訟で自治体が和解に応じたケースは珍しいという。

 訴状によると、男性は2003年1月6日午前1時15分ごろ、市道で転倒、出血性ショックなどで約7時間後に死亡した。救急隊は午前1時29分に現場に到着したが、病院への搬送開始は、母親(49)が到着した後の午前2時10分。けがの確認に10分を要したとしても、31分遅れたとしている。

 市側は「男性は飲酒運転の可能性があり、病院側の引き受けが難しくなる恐れがあったので、家族の到着を待った」と主張していたが、地裁が和解を勧告していた。


流山市役所.jpgこれも医療事故そのものと少し構造的に似ているところがあります。市の救急隊は遅滞なく現場に到着したが、病院への搬送開始が遅くなってしまったために、不幸な結果を招く確率を引き上げてしまったということです。

ニュース記事からは、飲酒運転の可能性があるとなぜ病院の引き受けが難しくなる恐れがあったのか、よく理解できません。飲酒であろうとなかろうと、現場で家族を待つ必要があったかどうか。この点で遺族の不満があろうかと思います。

和解金の額からすると、すぐに病院に搬送しても救命し得た可能性はかなり低かったと判断されたと思います。それが遅れたこと自体による遺族への慰謝料的な色合いの強い解決かも知れません。

死に至ったのは、事故そのものです。少しでも救命の可能性を求めて現場から病院へ搬送しようとする過程に問題があったかも知れない。そうすると損賠または和解金が発生する。

少し前であれば、こういう訴訟はなかったことと思います。不幸な結果を、関係者がいればそのうちの誰かの責任に押しつけて糾弾する。日本は米国の悪いところだけをしっかり輸入してしまったようです。
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本当の交通事故防止 [車/バイク]

東京新聞 二輪車 安全運転を ライダーらに注意呼び掛け /群馬

松井田署呼び掛け.jpg 碓氷峠の国道18号をツーリングする二輪車の事故を防ごうと、松井田署は九日、安全運転を呼び掛ける「セーフティーツーリングR18」作戦を峠入口のおぎのやドライブイン駐車場で実施した。

 同署管内では、先月下旬の単独死亡事故以降、碓氷峠を中心に五件の二輪車による交通事故が発生。同署が進める交通死亡事故抑止対策十四日間作戦の一環として行った。

 同署員や県警交通機動隊白バイ隊員らが、「二輪車事故多発」のちらしなどを配り、「砂が多いコーナーもあるので注意してほしい」などとライダーたちに呼び掛けた。 (樋口聡)

東京新聞 死亡事故多発で県全域に『警報』 県警、取り締まり強化 /茨城

 県内で交通死亡事故が多発しているため、県は十日、二〇〇四年十二月以来三年八カ月ぶりに、県全域に事故多発警報を出した。

 警報の発令期間は十日から一週間。県は広報車で注意を呼び掛け、県警は事故が多発している場所で違反の取り締まりを強める。

茨城県警本部.jpg 県内では三日から九日までに死亡事故が十二件起き、計十五人が死亡。発令基準の「十日間で十一件以上」を上回った。

 県などによると、死亡事故が起こった日は真夏日が多く、暑さのためドライバーの集中力が低下している可能性があるという。

 本県の十二件は、今年一月からの死亡事故件数が多い十一都道府県の中で、八月の発生件数としては最多となっている。 (高橋淳)


群馬県松井田署の取り組みは評価に値します。実際にどういう状況で事故が起きやすいか、二輪ライダーに周知し、指導しています。

松井田警察署.jpg一方の茨城県警のやっていることはどうでしょうか。事故多発を大義名分にして、反則金稼ぎ営業強化を図っているとしか思えません。

本当に事故が多発する箇所であれば、そこに警察官を配置し、ここはこういう理由で事故が多いので、気をつけるように、とドライバーやライダーに指導すべきです。ところがそこにかくれてスピードを測定してみたり、一時停止しなかったと咎めて取締りを行い、集金を行う。これでは予防とは言い切れません。
極端な例では、スピードを測定された後、取り締まられる前に事故を起こしてしまうかも知れません。

この二つの警察の取り組みを比較してみると、取締りの本当の目的は事故防止ではない,、のではないか、と疑ってしまいます。本当の事故防止の取り組みを考えて欲しいと思います。
反則金を収入予算化するようなことをせず、正しい交通事故防止にはもっと予算を割き支出してしかるべきでしょう。
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