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中心静脈カテーテルと「過誤」 [医療事故]

読売新聞 カテーテル手術で大量出血死、琉球大病院で医療過誤か

琉球大医学部附属病院.jpg 琉球大医学部付属病院(沖縄県西原町)は18日、60歳代の女性患者が血管内にカテーテル(細い管)を挿入する手術後、体内に大量出血して死亡した、と発表した。

 手術で血管を傷付けるミスがあった可能性もあり、病院は調査委員会を設置して死因を調べている。

 須加原(すがはら)一博院長らの説明によると、女性は1月下旬、慢性腎不全で入院。人工透析をするため、血液の出し入れ口となるカテーテルを首の静脈に挿入して固定する手術を受けた。翌日、透析を行ったところ、女性は胸部に大量出血し、その翌日に死亡したという。

 病院は、女性の病理解剖を進めており、県警などに報告した。


また医療“過誤”報道です。まずは“ミス”を疑うようです。
何か医療において不幸な結果が発生した時に、まず何をおいても医療者の「ミス」「過誤」を考え、犯人捜しを開始するというこうした記事は、医療崩壊が現実のものとなっている今、もう書かれることがなくなっているように思っていました。ここまで医療者に悪意を持って書かれた記事タイトルには不快感を覚えます。

中心静脈カテーテル.jpg色々な目的で中心静脈カテーテルが留置されます。今回はこのカテを使用して透析が開始されたあと出血してしまったということです。
留置カテーテルの先端が血管壁を貫いて血管外に出てしまっていたとすれば、留置の時に既に胸腔内出血を来していた可能性が高いと思います。

もともとカテーテルの先に眼がついている訳でもなく、静脈穿刺後は血管に沿ってカテーテルの先端を送っていくしかありません。カテーテルが血管壁を傷つけた結果を全て医療“過誤”として医療者の責任を問うのであれば、現在日常診療で広く行われている中心静脈カテ挿入行為は出来なくなってしまいます。

こうしたことを何も考えず、病理解剖の結果も発表される前から医療“過誤”と決めつけるような記事を書いて欲しくありません。
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佐久総合病院の患者減少 [医療制度/行政]

asahi.com 不況で?佐久で患者減少 /長野

佐久総合病院受付.jpg 1年前、患者集中で「たらい回し」が起こりかねないと悲鳴をあげた東信の基幹病院・佐久総合病院(佐久市)で外来・入院両方の患者が減っている。昨年4月~今年1月の患者数は昨年同期に比べ、約3万人(3・9%)の減。佐久地域の他の病院でも同じ傾向が見られる。病院や保健所は昨年の原油高を引き金とする物価高、金融危機を発端とした不況が「受診抑制を招いているのではないか」と懸念している。(伊東大治)
 休日明けの12日昼前の佐久総合病院ロビー。会計待ちの患者が座る長いすは半分も埋まっていない。インフルエンザなどで患者が集中する時期のはずだが、同病院によると、今年1月の外来患者は前年同月より約1600人(3・6%)減った。入院患者も同じく約660人(2・2%)の減だった。
 昨年4月~今年1月までの10カ月で外来と入院あわせ患者が前年同期より約3万人減った。特に外来患者数が前年同期比4・3%減。
 佐久保健所によると、佐久地域13病院の昨年の病床利用率は平均78・5%。病棟のベッドの2割が常に空いている状態で、前年(80・3%)より1・8ポイント下がった。中には8ポイントも利用率が落ちた病院もある。各病院の担当者を集めた会議では、入院患者以上に外来患者が減少していることが報告されたという。
春原秀利.jpg「さらに気がかりなのは入院日数が昨年度に比べ0・4日伸びている点です」と、佐久総合病院地域医療連携室の春原秀利室長は言う。同病院の統計によると、平均入院日数は96年度が18・1日で、その後徐々に短くなり07年度は15・8日となったが、今年度はいまのところ16・2日。「受診を控えて症状が重くなってから治療に来る患者が増え、その分退院も遅れているのではないかと心配しています」と春原室長。
 訪問診療を受け持つ北澤彰浩副診療部長はお年寄りなどから「簡単には病院にかかれない」といった声を聞くといい、「受診控えがあるのかもしれません」と話す。  昨年は物価高と不況に加えて、4月からは後期高齢者医療制度が始まった。保険料が増えた75歳以上のお年寄りも少なくない。春原室長は「治療費を払えないという人が増え、医療が必要な人ががまんしているのではないか」とみる。夏川周介院長は「一般住民はもとより、社会的弱者や経済的弱者が受診を控え健康を害しているとしたら見過ごせない。様々な機会をとらえて警鐘を鳴らしたい」と話している。


佐久総合病院外観.jpgあくまでも佐久総合病院内でのデータを元にした推測ですから、このニュース記事で懸念しているような受診抑制が一番の原因と確定診断することはできないかも知れません。ただ、患者数減と入院日数の増加は確かに受診抑制とそれによる重症化を示唆するデータである可能性は高いかも知れません。

本来日本の優れた医療制度を推進するのに、医療費自己負担を無料化すべきです。もちろん夜間救急などのコンビニ受診の問題はありますが、医師数などの医療資源不足の解消をめざし、その上で患者のフリーアクセスを妨げるものは少しでも取り除くべきと思います。

しかし政府は医療費削減ばかりを考え、受診抑制を“促進”しようと、自己負担を引き上げ、国保保険料や後期高齢者の保険料滞納者から保険証を取り上げる暴挙も開始しました。
最低限の国民の権利である、健康管理の権利を侵害するものです。誰か評論家も言っていましたが、医療はサービスではなく、国民の健康の安全保障であり、それができない国家は国家としての体をなさないとも言えるでしょう。

佐久総合病院の患者数減が、こうした受診抑制によるものでなく、病診連携が進んで、軽症患者等が地元の医療機関で適切に医療を受けていることによるものであれば良いのですが。
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再々・飲酒運転撲滅 [車/バイク]

asahi.com 相次ぐ飲酒運転 被害遺族「なぜ」

飲酒運転遺族.jpg■「取り締まる立場の人がしたら、なくならない」

 今月に入り、県内で警察官と教師の飲酒運転が相次いで発覚し、12日には警察官が懲戒免職となった。過去に飲酒運転の車の事故で家族を亡くした人たちはどう受け止めているのか。8年前、弘前市で飲酒運転の車にはねられ死亡した相馬早容(さよ)さん(当時13)の遺族を改めて訪ねた。

 12日に処分された弘前署中央交番所長の警部補は、青森署勤務だった00年9月18日にも、部下に捜査車両を飲酒運転させ、自宅に送り届けてもらうという問題を起こし、道路交通法違反の幇助(ほうじょ)容疑で書類送検されていた。

 弘前市の中学1年生だった相馬早容さんが、帰宅途中に同市内で飲酒運転の車にはねられたのは00年9月9日。警部補はその直後、最初の問題を起こしたことになる。

 それから8年後の昨年、早容さんの弟で同市立北辰中2年の朋宗(ともひろ)君(14)は「飲酒運転のない社会に」と題した作文を書いた。姉に遊んでもらった思い出や、事故で姉が重体となり、目を覚まさないまま半年後に亡くなったことなどをつづった。

 作文は「交通安全ファミリー作文コンクール」(内閣府など主催、警察庁、文部科学省後援)に提出され、全国1万2818点のなかから最優秀賞にあたる内閣総理大臣賞に選ばれた。

 東京・日比谷公会堂で表彰式があったのは今年1月16日。同21日、22日には地元紙にも受賞が大きく取り上げられた。弘前署の警部補が飲酒運転をしたのは、1週間後の1月30日だった。

 朋宗君は「取り締まる立場の人が飲酒運転をしていたら、飲酒運転はなくならないと思う」と語った。

 早容さんの母親貞子さんは今も、「早容に似合うのでは」と靴や洋服を買い求めてしまうという。「2人で一緒に買い物に行くと本当に楽しかった。それがずっと続くと思っていました」

 早容さんはバドミントン部の練習の帰り道、飲酒運転の車に「20~30メートルほどはね飛ばされた」(貞子さん)。頭蓋骨(ずがいこつ)骨折、くも膜下出血などで意識不明となった。ベッドから動かすことが難しいため、高度な治療を受けるための転院もできず、事故から半年後の01年3月に亡くなった。

 1月、相馬さん一家は表彰式で上京したのに合わせ、早容さんが行きたがっていた東京ディズニーランドに足を運んだ。貞子さんは早容さんの写真を身に着け、いくつかのアトラクションを回った。

 父親奉文(ともふみ)さん(51)は言う。「前から『行かなければ』と思う一方で、つらい気持ちもあって『もう行かなくていいのではないか』とも考えていた。今回約束を果たすことができてさっぱりした」

 一家が東京から帰り、受賞が地元のテレビや新聞に取り上げられて間もなく、警察官らの飲酒運転が発覚した。

 貞子さんは「厳罰化が進んで、これだけ社会問題になっているのに、飲酒運転をやめてほしいという気持ちをなぜ分かってもらえないのか」。

 貞子さんの父は県警の警察官だった。刑事だった父は帰宅が遅く、貞子さんは仕事の大変さを身近に感じて育った。兄も東京で警察官になった。

 「多くの警察官が一生懸命仕事しているのに……。今回飲酒運転をした警察官は、新人歓迎会の帰りに摘発されています。これから県民のために働こうとする若い警察官はどう思ったでしょう」

 朋宗君は受賞作文に〈お酒を飲んだ後、車を運転することはとても危険だということを十分知りながら、それをくり返す大人は今もたくさんいます〉と現実の厳しさを書いていた。その現実をいち早く示してみせたのは、皮肉にも地元の警察官や教師だった。(青池学)


飲酒運転検知.jpg何度も繰り返し書いてきました。そして今回もまたしつこく書きます。

どんなに飲酒運転に対して厳罰を科すことにしても、今のままでは決して‥と言って良いでしょう‥飲酒運転撲滅は不可能でしょう。取り締まる側さえ犯してしまうこのルール、どんなキャンペーンを張っても、どんな厳罰を科すことにしてもなくすことは絶対にできません。
見つからなければ、とリスクを冒してハンドルを握ってしまう。そしてアルコール依存症者に飲酒運転が多いという記事もかつて取り上げました。

本気で飲酒運転を撲滅するには、車が動かないようにするしかありません。そして実際に米国の一部の州で採用されているアルコール・インターロック装置(AILS)を導入すべきです。
確かに飲酒運転をしないドライバーにとっては、エンジン始動前に余計なステップを要求される訳で、ネガティブなシステムではあります。そこはまだ工夫の余地があるのではないでしょうか。
AILSはエンジン始動時以外に一定時間ごとに呼気の吹きかけを要求するようです。ドライバーの入れ替わり防止などには必要なのでしょう。
むしろセンサーをもっと鋭敏にして、ドライバーがわざわざ呼気を機械に吹き込むような動作をしなくても、機械の側で飲酒を検知するシステムを進化させる余地があるのかも知れません。

また、一部実現に向けて動いているとも聞きましたが、飲酒運転前歴のある者の車にのみ義務づけるという方法も、全車装着義務化の前の段階として、現実的な方法かとも思います。

いずれにしても、バカの一つ覚えの厳罰化、金の無駄遣いにしか見えないキャンペーンはもういい加減に見切りをつけて、飲酒運転の本当の撲滅を考えて良いと思います。
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ねたみと過失の罰 [診療]

時事通信 ねたみの脳内メカニズム解明=他人の不幸喜ぶ感情と関連-放医研など

fMRI.jpg ねたみや他人の不幸を喜ぶ感情に関する脳の働きを、放射線医学総合研究所(千葉市)などの研究チームが明らかにした。ねたみは脳内の「痛み」に関する部位が働き、ねたむ相手の不幸で「報酬」にかかわる部位が活動していた。13日付の米科学誌サイエンスに発表した。
 被験者は健康な大学生19人。学業成績や就職先、所有する車など、平均的な大学生を主人公(被験者自身)とし、進路や興味分野が主人公と同じで成績などが優秀な同性A、分野が異なり優秀な異性B、分野が異なり平均的な異性C-の3人の大学生が登場するシナリオを読ませた。
 自己評価によるねたみの程度は、学生Aに対して最も強く、Bにはその半分程度。Cに対してはほぼなかった。脳の活動を機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)で調べたところ、ねたみを感じる時、身体的痛みの処理にかかわる「前部帯状回」という部位が活動しており、ねたみが強いほど活動が高かった。
 次に、学生AとCに食中毒や車のトラブルなど不幸な出来事が起きるシナリオを示し、うれしい気持ちの程度を自己評価してもらった。Aに対しては中程度感じ、Cには全く感じなかった。fMRIでは、Aの不幸に対し報酬系として知られる「線条体」という部位が活動しており、喜びが強いほど活動が高かった。
 さらに、ねたみに関する前部帯状回の活動が高い人ほど、他人の不幸を喜ぶ線条体の活動が高いという関連も分かった。


帯状回.jpgまず動物行動科学から言えば、大変利にかなった脳の動きと言えるでしょう。動物行動科学を系統的に勉強したことはありませんが、雄・雌ともに自らの遺伝子のコピーを多く残すことを至上の目的とする有性動物にあって、人間もその例外ではないというものです。
自らより優れた存在である同性は、自らの遺伝子コピー作成に邪魔な存在になります。逆にその優れた同性が自らのライバルからはずれる可能性が高くなれば、脳は喜びを感じるのは当然のことです。
逆に、この研究が動物行動科学を一部実証したとも言えるかも知れません。

さてここで、唐突ですが、過失を裁く法や、不祥事を起こした人間を組織から切り捨てる風潮について考えてみます。

動物的本能に基づく行為は法を作って制限しなければ、人間社会は維持できなくなります。最も直截的な例ではありますが、強姦にはかなり重い罰が科されることになっています。
過失を為した人間を罰するべきかどうか。私は民事解決のみで良いのではないかと考えて来ていますが、日本においては運過致死傷罪の設定など、むしろ厳罰化に傾いています。もしかすると自分より優れた特徴を持った個体を、過失という理由付けによって有罪に落とす。過失を奇貨として自らのライバルとなったかも知れない存在が下に落ちることを喜びと感じているのではないかと思ってしまいます。

さらにもっとはっきりしていると思われるのが、私がかねてから疑問を抱いている多重処罰です。繰り返し取り上げて来た例ですが、酒気帯び運転に対し、刑事罰・行政処分が下されているのに、追い打ちをかけるように、本来関係ない職場で懲戒処分などが行われます。これも酒気帯びという不祥事を奇貨に、ライバルを下に蹴落とすことに喜びを感じているのではないかと思います。

他国における過失への罰を把握していませんが、もし日本が特に過失に対する罪を重くしているとすれば、日本人は前部帯状回や線条体が他国民より発達しているのかも知れない、と想像してしまいます。
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マクドナルド病院 [医療制度/行政]

読売新聞 名ばかり「部長」70人、北九州市医療センターに是正勧告

北九州市立医療センター.jpg
北九州市立医療センターで、「部長」の肩書の医師七十数人が、「権限のない『名ばかり管理職』の状態にある」として、北九州東労働基準監督署が労働基準法に基づき、センターに是正勧告していたことが12日わかった。

 同労基署や市によると、同労基署はセンターへの立ち入り調査を1月15日に実施した。医師約110人のうち管理職手当が支払われている「部長」七十数人について、実際には病院経営に関与する権限がないのに、管理職であることから時間外勤務手当が支給されていなかった。うち4人には部下が1人もいなかった。

 市は「部長」を行政職の課長級と位置づけ、時間外労働に関して労基法36条に基づき労使間で締結する協定を結んでいない。

 同労基署は1月22日付で、時間外勤務手当の支給や労使協定締結などを是正勧告し、今月20日までに改善報告書を出すよう求めている。

 市内にはほかに3か所の市立病院があるが、いずれもセンターと同様の状態という。北橋健治市長は12日の定例記者会見で勧告を受け入れ、「(手当などの)関連予算を来年度予算案に盛り込みたい」とすべての市立病院で改善を講じる意向を示した。


福岡地検小倉支部.jpgマクドナルド店長問題は他人事ではなかったという記事です。
それにしても、「部長」肩書き大安売りですね。

私も公的病院をそれほど多く見て来た訳ではないので、よく知りませんが、まず国立病院では各科の長は「医長」のようです。国家公務員の事務職「課長」相当だからでしょうか。都立病院では各科の長は「部長」でこれは事務職の部長に相当します。部長空席の場合医長がトップであることもあり、また部長の下に医長がいることもあります。これは事務職の課長や副主幹に相当します。

市立病院の実態はよく知りませんでしたが、アットランダムにいくつかの市立病院のHPを見てみましたが、都立病院と同様のポスト名となっているようでした。

そこへ行くと北九州市立医療センターの「部長」ポスト名の安売りは尋常ではないようです。しかも部長と呼んで起きながら、市の事務職の課長と同列というのは納得がいきません。

部長名で通すなら、市の部長同様の手当を支払うべきだし、また通常「医員」として扱われる医師を単に部長呼ばわりしていただけなのなら、きちんと時間外手当を支払うべきでしょう。

医師もこういう事態に対しては、皆で異を唱えて行くべきだろうと思います。
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他人に厳しく、自らに甘く [生活/くらし]

下野新聞 わいせつ警察官の立件見送り 「厳しい捜査の結果」

栃木県警.jpg 県警の男性巡査部長(54)が少女にみだらな行為をしたとされる問題で、県警は刑事事件としての立件を見送った。児童買春・ポルノ禁止法違反などの構成要件に該当しなかったという。「身内に甘いのでは」と非難される恐れもあるが、県警監察課は「厳しく捜査した結果」と弁明した。

 同法違反や県青少年健全育成条例違反で立件するためには、「(被害者が)十八歳未満だと知っていた」という認識の有無が問題となる。

 同課によると、被害少女(16)が出会い系サイトに「十八歳」と書き込んだ上、出会った際も十八歳と説明。また、少女の服装や携帯品、態度などが大人びていたという。

 県警は立件の有無を検察庁とも協議、巡査部長が少女を十八歳未満だったと認識し得たかどうか「客観的に立証できない」と判断した。

 立件は見送ったものの「警官としての倫理観を持たなければいけない。出会い系サイトの利用も含め、あるまじき行為」と結論付け、懲戒処分としたという

産経新聞 16歳少女をデリヘルで働かす 経営者ら逮捕 静岡

 16歳の少女に売春をさせたとして藤枝署などは14日、児童福祉法違反の疑いで、静岡市駿河区泉町のデリバリーヘルス店「甘えっ娘」の経営者、長田友幸容疑者(32)=同区中原=と女性従業員2人の計3人を逮捕した。いずれも「18歳未満とは知らなかった」と否認している。調べでは、長田容疑者らは昨年8月下旬、県中部居住の少女を同市内のホテルに派遣、男性客にわいせつな行為をさせるなどした疑い。


静岡県警藤枝署.JPGあまりに馬鹿馬鹿しくてコメントする気にもなれませんが、取り上げました。

ともかくも取り上げて、他人に厳しく、自らに甘い警察組織の姿は繰り返し問題視しておきたいと思います。
違う県警だから、というのも言い訳にならないし、栃木県警は何をどう「厳しく」捜査したのか、信用に足る発言とは思えません。

一番よく取り上げているのが、交通課や交通機動隊による、違反容疑車両の追跡と、その車両が引き起こした事故ですが、これも一切自らの責任を認めようとしていません。

権力を持った人間・組織については、常に監視の目を光らせておくことが大切だろうと考えます。
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睡眠時無呼吸症候群、それでも罪 [旅行]

asahi.com JR貨物列車居眠り事故

島田駅.jpg 島田市のJR東海道線で07年8月、運転士の居眠りで後退した貨物列車が後続列車に急接近した事故で、島田区検は9日、JR貨物の男性元運転士(55)=袋井市=を業務上過失往来危険罪で島田簡裁に略式起訴した。求刑は罰金50万円。

 区検などによると、元運転士は07年8月8日午前2時過ぎ、27両編成の貨物列車を運転し、JR島田駅を通過直後から居眠りを始めたため、列車は上り坂で自然停車した。その後、列車は約590メートルにわたって後退し、後続の寝台急行まで約240メートルに迫り、危険を生じさせたとされる。

 元運転士を略式起訴とした理由について、同区検は「自分で気付いてブレーキをかけてけが人も出なかった。今後、運転士として働くことはなく、本人も反省している」としている。JR貨物東海支社によると、運転士は事故後、軽度の睡眠時無呼吸症候群と診断され、出勤停止30日の処分を受けている。


睡眠時無呼吸症候群.JPGまた業務上過失往来危険罪を取り上げます。例え一人の死傷者が出なくても、また交通に関わる器物を何ら破壊することがなくても、当事者を処罰しようとするこの法律に今ひとつ納得出来ていないのですが、それ以前にこの立件に疑問を持ちます。

この運転士は罰を受けるほどひどいことをしたのでしょうか。結果的に事故寸前の事態にはなりましたが、何か重大な安全確認を怠ったとか、信号を無視したとか、速度違反をしたとか、列車運行にあたって不法行為を為したのとはちょっと違います。

睡眠時無呼吸症候群が脚光を浴びるきっかけになったのは確か新幹線運転士の居眠りだったと記憶しています。当時のニュース記事などが見あたらずわからないのですが、その運転士も刑事立件されたのでしょうか。新幹線の場合はATCが働いて事故が起きなかったのはもとより、インシデントにさえならなかったのではないかと思います。
おそらくJR貨物の場合は、新幹線のような安全装置が少なく、運転士のミスやトラブルが事故に直結する可能性が高いのだろうと思います。
それなのに、結果責任‥と言っても事故に至った訳ではないのですが、危険を生じたという事実を元に、刑事罰を与えようとすることに違和感を感じます。

この運転士に対して、前科をつけ、国庫に50万円納入させることに何の意味があるのでしょうか。それより改めて運転業務に関わる職員の、睡眠時無呼吸症候群を含む健康管理を徹底させるなどの措置が大切だろうと思います。

この国はどうしても個人に罪を負わせないと気が済まない国民性なのでしょうか。
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被害者参加制度のもう一面 [生活/くらし]

産経新聞 被害者参加制度…被告暴言で女性泣き出す 二次被害の懸念浮き彫り

全国犯罪被害者の会.jpg 「おまえたちは呪(のろ)われるぞ。茶番、エセ裁判だ」-。被害者が法廷で直接質問できる「被害者参加制度」が適用された事件の初公判が9日、東京地裁(藤井俊郎裁判長)で開かれた。傷害罪に問われた無職の男(43)が公判中に大声で暴言を吐いて、被害女性が泣き出す一幕があった。被害者が法廷で二次被害に合う可能性が指摘される同制度の懸念が浮き彫りになった格好だ。

 起訴状などによると、男は昨年11月、東京都世田谷区内の路上で、占いをしていた30代の女性の肩をつかんで引っ張り、顔などを殴り、約1週間のけがを負わせたとされる。男は起訴事実を大筋で認めた。

 証人尋問で女性が出廷。男と顔を合わせないよう間仕切りが設置されるなか、「(事件は)ものすごく腹立たしい」と述べると、男が大声で騒ぎ出し、法廷が一時中断した。

 次回公判では、女性による男への質問が予定されていたが、女性の弁護士は「今日の進行(トラブル)もあるので」とし、実施するかどうか明言を避けた。

 公判を傍聴した「全国犯罪被害者の会(あすの会)」代表幹事の岡村勲弁護士は、「(同様のトラブルが起きた場合でも)被害者は言いたいことを言ったほうが良い。被告の人間性が分かる効果もあるのでは」と話した。

 女性は初公判に先立ち、慰謝料など約60万円の賠償を求めて損害賠償命令制度を申し立てている。


東京地裁.jpgこの被告人を庇うつもりは毛頭ありません。ただ、逆にこの記事から、刑事裁判の被害者参加制度についての別の一面がクローズアップされたのではないかと考えています。ニュース記事で「懸念が浮き彫りになった」という表現は、被害者・遺族側からの視点のみであり、一方的です。

そもそも被害者参加制度で、被害者が直接被告人を追求、糾弾、より重い量刑を求める場としてだけ捉えられていないでしょうか。実際にいくつか行われた例でも、少しでも重い刑を、執行猶予つき確実な例では少しでも猶予期間の延長を訴えている例の記事を目にして来ました。
すなわち被害者参加制度は、被害者や遺族の応報感情のはけ口であり、検察もそれを利用して少しでも量刑を重く、という意図が見えます。

そういうつもりで被害者や遺族が法廷に臨んでいるのなら、この例のようなリスク(と呼ぶべきでしょう)を甘んじて受けるべきです。本例では被告人のこの発言は結果的に量刑を重くする方向に働くだけだろうと思われますが、事件によっては被害者・遺族はもっと不愉快な思いをするケースがあると思います。
あまり実例に思いを馳せたくないのですが、例えば婦女暴行などで、被告人が被害者の耳を覆わしむるような発言をすることは当然考えられます。

そもそも被害者参加制度には繰り返し反対を唱えていますが、出来てしまったこの制度を利用しようと言う場合には、それ相応の覚悟を持って法廷に臨んで欲しいと思います。
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居眠り運転予防 [車/バイク]

東京新聞 香りの空気砲で居眠り運転防止 眠気感知すると発射  /栃木

香りの空気砲.jpg においで居眠り運転がなくなる? 作新学院大学(宇都宮市)が富士重工業などと協力し、運転中のドライバーに香りがついた空気を噴射して居眠りを防止する装置の研究に取り組んでいる。将来は製品としての実用化も検討中だ。 (横井武昭)

 取り組んでいるのは同大大学院心理学研究科の松本秀彦准教授(40)と同大学院一年武藤佳世子さん(23)ら。二〇〇七年二月に富士重工から松本准教授に協力依頼があり、武藤さんが、香りが心理に与える効果を脳波で分析するアロマコロジーの研究を希望していたことから、共同研究を始めた。

 「香りの空気砲」と名付けられた装置は、穴が開いた箱の中に煙を充満させ、穴の反対側をたたくと輪になった煙が押し出される原理を応用。脳波の動きやまばたきの頻度などでコンピューターが眠気を感知すると、車のダッシュボード付近に設置された小箱から、香りのついたリング状の空気をドライバーの鼻先目がけ発射する。

 香りは覚せい効果のあるレモンやペパーミントなどを使う。同じ香りを長時間かぐと慣れてしまうため、車内に充満しないよう量を最小限に抑えた。

 研究室にドライビング・シミュレーターを用意し、学生や派遣社員らに協力を依頼。香りの濃度を変えるなどして実験を重ね、眠気や疲れに香りが効果的であることが確認できた。将来はスバルなどで車載用として商品化が検討されている。

 武藤さんは「嗅覚(きゅうかく)には個人差がある。今後はどの種類の香りをどのタイミングで出すのかなどの課題を追究し、研究を続けたい」。松本准教授は「香りを使い、リラクセーション効果によるストレス予防や、認知症患者へのケアなどにも幅広く応用できれば」と意欲を語った。


作新学院大学.jpgこうした研究開発に敬意を表したいと思います。事故と言えば処分、厳罰化、それで事故を減らせると思っている単細胞者が多い中で、いかに事故の元の芽を摘んで行くか、という方向のアプローチは素晴らしいと思います。

以前から取り上げている飲酒運転厳罰化の不毛さに加えて、どちらかというと過労などに伴う居眠り運転の防止という点からはアプローチがあまりなかったように思います。強いて言えば、トラックドライバーなどの雇用者側を「罰すること」くらいしか思いついて来なかった警察・検察、たまに自社製品のガムのCMで居眠り運転の危険さを訴える食品会社くらいしか耳にしたことがありませんでした。

以前長野県内の国道18号線を走っていたら、フクロウのマークのついた、居眠り運転警告装置を見たことがありました。どういう原理で作動して、どのように居眠り運転に警告を発するのか未だに知りませんが、少なくともそれが全国的に広がっている様子はありません。

今回の作新学院大の研究が居眠り運転防止に大いに役立ってくれれば、と願います。そして居眠り運転に限らず、自動車運転に限らず、過失が事故を引き起こす構造において、過失発生を防ぐ手段をもっと見出す努力が求められると思っています。繰り返し書きますが、事故の結果に厳罰化を以て対処することは、全くナンセンスです。
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学校プールの事故と、教諭吊し上げ [医療事故]

時事通信 プールで飛び込み生徒死亡=レスリング部顧問を書類送検-福島県警

福島県立大沼高校プール.jpg 福島県会津美里町の県立大沼高校で昨年6月、レスリング部員の1年の男子生徒=当時(16)=がプールに飛び込み、底に頭を強打して死亡する事故があり、県警会津美里署は6日、指導監督が不十分だったとして、業務上過失致死容疑で、同部顧問の男性教諭(39)を福島地検会津若松支部に書類送検した。
 調べによると、教諭は昨年6月10日午後5時20分ごろ、男子生徒がプール(水深1.2~1.3メートル)のスタート台から飛び込んだ際、十分な安全指導や対策を怠り、底に頭を打ち付け、脊髄(せきずい)の一部を損傷させるなどして、6日後に死なせた疑い。
 当時、部員10人が練習に参加。クールダウンでプールを使用していた。教諭は1人で監督に当たっていた。


これも、またか、という記事です。プールで不幸な事故が起きた。生徒が頚髄損傷を引き起こし、死亡してしまった。どうすればこういう事故を今後引き起こさないようにできるか。しかしその前に誰かが悪いはずだ、そうだ部活顧問の教諭を刑事訴追しよう、そう見えます。

福島県警会津美里警察署.jpg高飛び込みではありません。普通のスタート台から飛び込んで、プール底に頭を打つことを誰が予想したでしょうか。
同じようなプールは全国至る所にあるはずです。同じような事故が起きる可能性もあります。

この高校の、しかもレスリング部の顧問教諭だけをつるし上げて何も解決しません。学校のプール、公営プール、競技場のプール、全てのプールにおいて、広く全国的に、飛び込む時はどのようにするのか、飛び込みを指導するにはどのように行うか、その他どんな注意が必要か、周知する必要があります。
この犠牲となった高校生の死を、本当に無駄にしないためには、そうした運動が必要なのであって、この教諭を業過致死罪で立件、吊し上げることに何の意味があるのか、甚だ疑問があります。

やはり不毛だと思います。
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